2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Stanford Graduate School of Business Earvin "Magic" Johnson: Understand Your Customers and Over-Deliver(全3記事)
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アーヴィン・“マジック”・ジョンソン氏(以下ジョンソン):ありがとう、ありがとう。
(会場拍手)
ありがとう。どうも。
(会場拍手)
ありがとう。ありがとう。
サローナー学部長、ありがとうございます。感謝しています。
やあ、やあ。
(会場笑)
ここにいることを本当にうれしく思います。
司会者:早速ですが、本題に入りましょう。
ジョンソン:そうですね。ええと、最初に、さっきちょうどコーチと会ったんですよ。彼もいい人なんですよね。ドーキンスコーチとショーコーチ、二人とも私の大好きな人たちです。拍手して。スタンフォードには素晴らしいコーチがいるよ。
(会場拍手)
うれしかったなあ。ショーコーチとも会えたらいいんだけど。彼のお母さんとは会ったんだけど、彼とは会ってないんだよ。
(会場笑)
ごめん。
(会場笑)
私も変な音を出して笑ってる。
司会者:それでは、スポーツの話から始めましょう。バスケットボールの話から。
ジョンソン:了解です。
司会者:あなたがまだNBAにいたときから、実はセカンドキャリアとしてのビジネスの仕事の準備を始めていた、ということを知らない人も多いかもしれませんね。どのように準備をしたのか、そしてなぜ準備をしようと思ったのか教えていただけますか。
ジョンソン:まず私たちは、バスケットボールの選手とCEOの原則は同じであるということ理解しないといけません。集中力、戦略、練習のことを考えると、私はCEOとして同じ原則を持っている当時のままの男なんです。また、私は最初にバスケットボール選手として活躍していたときも、競争的な人間でした。何にでも負けたくないんですよね。
妻がね、娘が15か16だったとき、1対1で一緒にバスケをしたらどうかと勧めたんです。先に10点入れたほうが勝ちにする。私は娘に9点までは入れさせますよ。
(会場笑)
で、徹底的に叩きのめす。
(会場笑)
もし自分の母親とバスケをするなら、9.5点までは母にとらせて、また圧倒します。
(会場笑)
勝つのが大好きなんですよ。
(会場笑)
私はこれと同じ競争心を会社の会議室にも持って行ったんです。
私は完璧主義者です。バスケットボール選手としても完璧主義者でした。厳しい練習を延々と続けたものです。今でも私は完璧主義者です。全てを正しい方法で行いたいんです。
だから、アスリートやバスケットボール選手としての原則を考えると、CEOと同じなんです。私は約束の場所にはいつも早く到着する男です。私はプロなんです。今日は11時30分ぐらいに来るように言われましたが、私は10時55分には大学に着きましたよ。
(会場笑)
私は30分間礼拝堂に座って待っていました。それが私という人間なんです。
だから現役時代から引退後の準備をしていたんですね。ドクター・バスに言ったんです。「自分の夢はチャンピオンシップで優勝することだけじゃない。レイカーズでバスケットボール選手としてのキャリアが終わったら、実業家になりたいんです」ってね。
ドクター・バスは私の面倒を見てくれ、私のよき指導者になってくれました。多くの恩師のうちの1人です。ドクター・バスはレイカーズの仕事について教えてくれたのです。帳簿を開き、レイカーズの事業が日々どのように営まれているのか見せてくれました。
私はむちゃな男だったので、レイカーズの広報の人に電話をして、「フロア席に座っている人について知りたいんだけど、彼らの電話番号と名前を教えてくれないかな」と言ってみました。そうして私は20人に電話をすることができ、「ランチをご一緒しませんか」と尋ねたんです。そしたらみんな「いいよ」って言ったんで。
(会場笑)
司会者:そうなりますよね。
ジョンソン:もちろん自分の立場を利用しましたよ。
(会場笑)
そうやって、私はビジネスに関する彼らの知恵を借り、なぜ彼らが成功しているのかを学び、自分のやり方に組み入れたのです。なので、バスケットボールをやっていた頃から、準備はしていました。
でも勘違いしないでくださいよ。レイカーズには150%の力で臨んでいたし、自分がなり得る最高のバスケットボール選手を常に目指していました。オフシーズンのときにバスケットボールの後の人生のための準備をしていたんです。
でも、CEOとしてもそうだけど、バスケットボール選手としても私はむちゃくちゃだった。みんなの意見が間違っていると証明したかったんですよ。最初は、206cmではポイントガードにはなれないと言われました。それは間違いだと証明したかった。次に、バスケットボールのコートから会社の会議室には行けないと言われました。それも間違っていると証明するのは楽しいですよ。
私は常に全力で向かっていく男です。今やっていることが大好きです。でも、バスケットボールがビジネスの世界への準備してくれました。疑問の余地はありません。バスケットボールがなかったら、私は今のようなCEOにはなれなかったと思います。
司会者:仕事を変える上で学ばれたいくつかのいい教訓について教えていただきました。多くの人が仕事を変えようとビジネススクールへとやって来ます。彼らに一言助言を与えるとしたら、どんなものでしょうか。
ジョンソン:最初に、うぬぼれを取り払ってください。私を優れたバスケットボール選手にした「何か」は、私を優れたCEOにする「何か」ではないのです。それを理解しなくてはいけません。ビジネスに関しては何もわかりませんでしたからね。だから、恩師の存在が私にとっては本当に重要だったのです。
そして、いつかは誰かがあなたに「駄目だ」と言います。うん。
(会場笑)
知識欲も欠かせません。それが私がたくさんの人と会っていた理由です。知識に飢えていたし、質問するのを恥だと思いませんでしたから。私にとっては、正しい道に導いてくれる人を確保する、つまり専門家に恩師になってもらうことが大切でした。ビジネスの専門家です。そして、彼らから学んだことを実際に応用することを心がけました。
アスリートは多くの場合、非常に限られた世界の中にいるので、引退後でもまだ若く、残りの人生を生きていかなくてはいけないということを忘れてしまいがちです。私は30代のときに引退したので、残りの人生も長かったし、生きる時間もたくさんありました。
私は自分の第二の人生はビジネスが舞台になるだろうと思っていました。ただ、こんなに成功するとは思いませんでしたけど。今のような状況になるなんて、夢にも思いませんでしたよ。でも、ビジネスマンになりたいということはわかっていたし、ビジネスの世界で成功するために自分の持てる全てを費やそうとも心に決めていました。
司会者:実際にあなたは大成功しましたね。初期のお仕事について振り返ってみたいと思います。あなたは早くにスターバックスと提携し、1998年には低所得地域でスターバックスの店を125店舗出店しました。スターバックスがそのようなことをしたのは、あのときが初めてでしたね。あなたの店は全国平均を上回って成功しました。もう店は手放されましたが、ご自身のキャリアの中でこの取引はどのような重要性を持っていたか教えていただけますか。
ジョンソン:まずその前の話に戻りましょう。マジック・ジョンソン・シアターがきっかけになりましたからね。私は事前調査と情報収集をして、当時最も映画を見に行っている集団はマイノリティであるということを知りました。
でも、マイノリティの住む地域には映画館がなかったんです。私は、「私たちマイノリティが最も映画を見に行く集団なら、もし私が映画館を建てたら彼らはきっと来てくれる」と思いました。すでにそこに需要があるんです。
だから私はソニーの重役に会いに行って、「御社のビジネスの成長はマイノリティが多く住む都市部を通じてもたらされますよ」と伝えたのです。私たちには驚くような消費力があります。現在の消費力を見てください。アフリカ系アメリカ人の消費力は3兆ドル。ラテンアメリカ系の消費力も3兆ドル、しかも拡大しています。
私は座りながら、「なんて莫大な可処分所得だろう。これがあれば私の事業はすぐに大成功するでしょう」と言いました。ソニーの人たちは「やりましょう」と言いましたよ。私が半額出資し、ソニーも半額出資しました。
最初はみんな、「無理に決まってる」と言いました。そんなところに作ったら、すぐにめちゃくちゃにされてしまうと。壁一面に落書きされるだろうと。実際に起こったことといえば、ロサンゼルスのクレンショーに建てた私の最初の映画館が全国で10位以内に入る収益を上げたのです。やらなければならなかったことといえば、館内の売店をちょっと変えたことぐらいです。
(会場笑)
私たちマイノリティは、普通の人とは少し違うからね。
(会場笑)
クールエイドを飲んで育ってきたから、映画館でもイチゴジュースとかブドウジュースとかオレンジジュースとかソーダが欠かせないんです。コーラだけじゃ満足できない。
司会者:確かに。
(会場笑)
ジョンソン:なんでこのことを言ったかっていうと、私の映画館での一人当たり消費額は業界でも有数のものだったからです。ちょっと待てよ。ということは、もし私がただコーラを置いていて、私の映画館に来るお客さんがコーラを飲まないとしたら、事業は失敗するということですよね。
だから私は辛めのホットドッグを売り始めました。ハラペーニョ入りのね。映画館で辛いホットドッグが売られたのは史上初のことでした。私は顧客層を理解し、期待以上のものを提供したのです。
「期待以上」と言う言葉はこれから何度も使いますよ。学生のみなさんはこの言葉をノートに書いてくださいね。「期待以上」ですよ。事業に参入するつもりなら、特に今日の市場では、顧客に期待以上のものを提供することが必要です。さもなくば、顧客はほんの一瞬でいなくなってしまいます。
私は30年に渡って顧客に期待以上のものを提供し続けてきました。だからこそ、アメリカ都市部で随一のブランドを有しているのです。もし私がコーラだけを置いたままだったら、ホットドッグを変えなかったら、問題になっていたでしょうね。
みなさんに少しだけ、私が元バスケットボール選手としてどのように見られたのかお教えしましょう。ロサンゼルスのクレンショーに初めての映画館を開館しようとしたときのことです。私はソニーの食品担当係の人に、「初日にどのぐらいのホットドッグを置くつもりですか」と尋ねました。そしたら彼は「はあ、もちろん郊外の映画館と同じ量ですよ」と言いました。
映画館は金曜日に開館して、郊外では通常1ヶ月かかるホットドッグの量が一晩で売り切れました。なぜかって? だって私たちマイノリティは、最初に夕飯を食べてから映画館になんて行きませんからね。
(会場笑)
私たちが夕飯を食べるのは?
観客:映画館。
ジョンソン:聞こえないよ。
観客:映画館。
ジョンソン:これも、私たちの映画館の一人当たり消費額がかなり高かった理由です。顧客層を理解することが大切なんです。私は都市部に住むマイノリティの消費者が何を求めているのかを理解し、それを提供しました。
マジック・ジョンソン・シアターが大成功したので、私はシアトルに行きました。スターバックスとかいうコーヒーショップの外に長い行列ができているのを見ましたからね。私は、「一体全体どんなコーヒーが出されてるんだろう!?」と疑問に思いました。
(会場笑)
だから、あの列に並んで、自分の目で何が起こっているのか見てみなくちゃと思ったんです。そこで、列に並んで、ずーっとずーっと待って、ついに店に入りました。ところで、私はコーヒーは飲まないんです。紅茶が好きなんです。だから私は、「ここの最高の紅茶を頼む」とか言ったんですね。その紅茶を一口飲んだ私は、こう言いました。「ワーオ」。
(会場笑)
行列ができるのも当然だ。私は、スターバックスはマイノリティが多く住む都市部で次に成功するものになるだろうと思いました。なので、私はスターバックスの最高経営責任者であるハワード・シュルツに電話をして、「お会いしたいんですけど」と言ったんです。
そうして私はシアトルまで飛んで、ハワードと面会をしました。ありがたいことに、ハワードはバスケットボールが好きで、シアトル・スーパーソニックのシーズン・チケットを持っていました。私たちは腰を据えて話しました。
私は彼に、「スターバックスの成長にはマイノリティが多く住む都市部の地域が欠かせませんよ」と言いました。スターバックスは店もたくさんあるし、市場を夢中にさせている。素晴らしいことです。市場を支配しているのです。
私はこう言いました。「でもマイノリティが多く住む地域には1店舗もないんです。私たちには膨大な消費力があります。スターバックスはこの地域できっと成功しますよ」
彼は言いました。「うーん、私たちはフランチャイズをしていないんですよ」
私は言いました。「フランチャイズがしたいわけではないんです。御社と共同出資したいんです。私が半額を出して、あなたが半額を出すんです」
ハワードは、「役員会で相談しなくてはいけないから、もう数回会議をしよう」と言いました。
手短に言うと、私たちはそれから大体4回程話し合いをして、ハワードはついに、私の映画館の経営状況を見に来ることを決めたのです。若いみなさん、とても大切なことを言いますよ。人に売り込むものは真実でなくてはいけません。事業を見に来られたときには、あなたが言ったこと全てがその通りである必要があります。
はたして、ハワードは金曜日の夜に来ました。幸運なことに、それはホイットニー・ヒューストンの映画、「ため息つかせて」が公開される日でした。
(会場笑)
4000~5000人のアフリカ系アメリカ人の女性が映画館の一角を取り囲んで、館内に入ろうとしていましたよ。
(会場笑)
この映画を見るためにね。
ハワードが来て、一緒に映画館のそばまで行ったのですが、彼はとても驚いていました。こんなに多くの人が映画を見るために待っているということにびっくりしたのです。館内に入ると、観客がみんな何かしら頼んでいたので、売店は大繁盛していました。
そしてついに映画が始まりました。私たちは、500席ほどある、私の一番大きな映画館に座っていました。映画が始まって、大体20分ぐらい経った頃でしょうか。館内の全てのアフリカ系アメリカ人の女性は、すっかりホイットニー・ヒューストンの個人的な知り合いになったような気がして、誰もがスクリーンに向かって話し始めました。
(会場笑)
「ちょっと、なんでまだ彼と付き合ってんのよ」
(会場笑)
「彼なんか捨てちゃいなさいよ」
そしてハワードは私を映画館の外までひっぱり出しました。本当の話です。そしてこう言ったのです。
「アーヴィン、映画館でこんな経験をしたのは初めてだよ」
(会場笑)
さらに彼はこう続けました。「契約成立だ」。
私たちは試験的に3店舗出店しました。若い人たち、ここが重要なところですよ。試験的に3回の機会を与えられたのです。この3店舗で期待されている以上の仕事をすることが求められていたのです。
そのことを考えた私は、「マイノリティが多く住む地域に合わせるために、スターバックスを少しだけ変える必要があります」と言いました。コーヒーは素晴らしかったのですが、デザートはいまいちだったんです。スコーンが一体何なのか、ちょっとよくわかんなかったんですね。
(会場笑)
だから私のスターバックスではスコーンを売るのをやめて、さつまいもパイやパウンドケーキ、それにシナモンケーキや桃のコブラーを入れました。
みんな、「マイノリティが一杯のコーヒーに3ドルも払うわけがない」と言いました。私たちはそんなことはないということを証明しました。私の店の客単価はハワードの店の客単価よりも高かったですからね。
私の店は3店舗から125店舗にまでなりました。125店舗出して私の契約が終わったときに、私は全店舗をハワードに売戻しました。私は大きな笑みを浮かべて去っていきました。
(会場笑)
ハワードもニコニコしていました。私たちの提携の後に受けた様々なインタビューで、ハワードは、私の店がいかにスターバックスを大きく変えたか語りました。スターバックスは多くのマイノリティの部長や地区部長、従業員を雇ったのです。現在では、マイノリティが多く住む地域に500~1000店舗ほど出店しています。素晴らしいことです。
スターバックスがこういった地域に進出するための扉を開けたのが私であったことに喜びを感じます。素晴らしいことですので、みんなで拍手をしましょう。
(会場拍手)
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