【3行要約】
・レオス・キャピタルワークスが手がける「ひふみ金融経済教育ラボ」が特別講座を開催し、同社代表取締役社長の藤野英人氏が高校生に向けた講演を行いました。
・藤野氏は下着メーカーの営業として活躍した母親の姿勢から「仕事は喜びである」と学んだと語ります。
・同氏は日本経済成長のために、投資への忌避感を払拭することが重要なのではないかと提言します。
高校生に伝えたい「これからを生き抜く力」
藤野英人氏:みなさん、こんにちは。
(会場挨拶)
おー、なかなか元気ですね。今日は(北海道)北広島市に来ました。みなさんとお話をできることを大変に楽しみにしていました。『投資家的に生きる』という題なんですけれども、今日ですね、スライドを作りすぎちゃって、100ページもあるんですよ。

これを全部ちゃんと話すと、たぶん3時間ぐらいかかります。時間が45分、50分ぐらいかな。なので、みなさんの顔を見ながらですね、興味がありそうなところは少し長めに話して、興味がなさそうなところは飛ばしていきます。
ぜひ、みなさんが「おもしろそうだな」「おもしろいな」と思ったら、なんとなくそういう顔をしてください。「つまんないな」と思ったら、つまんない顔してもらってけっこうですので。みなさんの顔を見ながらお話をしたいと思います。
ブラジャーに育てられたファンドマネージャー?
最初にですね、「ブラジャーに育てられたファンドマネージャー」という変なタイトルでお話をしたいと思います。次にギリギリの写真を出します。何かと言うと、これです。(スライドが切り替わる)これ、なんだかわかりますか。わかりますよね。これ、ブラジャーですよね。
「あ、このおじさん、セクハラおじさんなのかもしれない」というふうに思ったかもしれませんが、実は私ととても関係があります。というのは、これは昔、20年ぐらい前に大流行した「グッドアップブラ」というブラジャーになるんです。
このブラジャーを日本で一番売ったのが私のお母さんになります。この人です。(スライドの)左に映っているバカっぽいのが私です。本当に子どもの時の写真なんですけれども。私の母親はたぶん、日本で一番ブラジャーを売った人だというふうに言われています。

ブラジャーを作っているメーカーの中で(当時)日本で一番大きい、ワコールという会社で働いていて。その中で毎年毎年、日本で一番とか東日本で一番とか、ブラジャーを売っていたのが私の母親になります。
仕事が楽しそうだった母の姿
食卓の話題はですね、毎日ブラジャーなんですよ。というか、母にとっては仕事ですから、仕事の話をよくしてるわけなんですけれども。みなさんね、想像してみてください。小学校から大学生ぐらいまで、食事の時に毎日ブラジャーの話をするのはどんな気持ちなのか。
ちょうどみなさんと同じ年ぐらい、高校生の時に、私、すごく嫌だったんですよ。うちの母が毎日ブラジャーの話をすること。それで、ブラジャーの話はもうたくさんだと思っていたんですよね。

例えば私の友人がこう言うんですよ。「おーい、藤野~」って「うちの母ちゃんがさ、お前んとこの母ちゃんからブラジャー買ったよ!」みたいな話をして。まぁ、別になんてことはない話なんですけど、すっごい恥ずかしかったんですね。「おーいヤマダさぁ、そんなこと言うなよ」って。「恥ずかしいから言うな!」みたいに思っていました。
ところが、今から考えてみると、父もがんばって母もがんばってくれたおかげで、大学に行けたり、習い事ができたので、高い教育を施してくれたという面で見れば、私の母に感謝なんですけれども。
でも、それ以上に何を学んだかっていうと、うちの母は仕事が楽しそうだったんですよ。ブラジャーをものすごく売っていたわけなんですけれども。仕事がとても楽しそうで、それでいつも「仕事が辛い」とか「もう嫌だ」と愚痴を言うことはほとんどなかったんですよね。