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毎月のつみたて投資額を決める方法を3つ紹介します(全1記事)

毎月のつみたて投資額はいくらにすればいい? ファイナンシャルプランナーが教える、金額設定の3つの方法

元役者という経歴を活かし、現在はファイナンシャルプランナーとして講演や投資相談を行っている井上ヨウスケ氏。YouTubeチャンネル『井上ヨウスケ/井上FP事務所』では、投資などのお金の知識に加えて、読書や価値観に基づく型にはまらないお金の使い方などを発信しています。本記事では、毎月のつみたて投資額を決める方法について3つ紹介します。
■動画コンテンツはこちら

つみたて金額は状況に合わせて増減してOK

井上ヨウスケ氏:どうも、元役者でファイナンシャルプランナーの井上ヨウスケです。今日は、毎月のつみたて投資額の、金額の設定の考え方を3つ紹介したいと思います。人によっては月10万円、20万円入金する方もおられたりすると、「自分がどれぐらい投資をすればいいのかわからない」という方もいると思うので、3つの方法を紹介します。

最終的な結論としては、つみたて額は常に一定ではなくて、ご自身の状況に合わせて増やしたり減らしたりしていいと思っているので、このあたりを解説していきたいと思います。

では、時間がない方もおられると思うので、まずは動画のポイントを解説していきます。ポイントの1つ目ですが、多くの方がされているのはこの方法かなと思います。目標額を決めて、自分が「これぐらいのリターンが欲しい」という、望むリターンから計算するつみたて額が1つ目ですね。



そして2つ目は、目標額と自分が耐えられるリスク、いわゆるリスク許容度から「何パーセントのリターンがある。だから毎月のつみたて額をいくらにしよう」という考え方ですね。僕がよくお話しするのは、どっちかというとポイント2のほうですね。

そして次にポイントの3つ目が、「今できる範囲で」。要は、「毎月もっとつみたてしようと思ったらできるんだけれども、それをしすぎると今使えるお金がなくなっちゃうな。だからできる範囲で」というのも1つの考え方です。

かつ自分のリスク許容度に合わせたポートフォリオで、得られるリターンから計算する方法。これは目標額を設定せずに、今、自分ができる範囲で増やせるぶんだけ増やす考え方ですね。ポイントの3つ目の方法はあまり言われることはないですが、この方法も僕はいいと思います。

そして最後にポイントの4つ目ですが、つみたて金額はその都度変えてもいいと思っています。過去にもそういう動画を出したと思いますが、つみたて投資は「毎月一定額コツコツと」というワードが強すぎて、「この金額を変えてはいけない」と思う方が多いんです。

ただ、自分らしく生きる時に、例えば「ちょっと今はキャッシュフローがきついから、つみたてをストップしよう」というのはぜんぜんいいと思います。あくまでも無理のない範囲で、投資できる部分だけを投資していく。それに応じてリターンを得るというのが基本的な考え方だと思うので、このあたりを解説していきたいと思います。

つみたて金額の計算は「3つの数値」で決まる

では、今日のお話ですが、今後新NISAが始まっていくと、つみたてできる金額はすごく上がっていきます。その中で、自分の今の生活を大切にしながら、かつ老後に向けても投資したいというバランスが、自分ごとで考えるのがなかなか難しいラインだと思うので、その考え方の3つを紹介したいと思います。

この金額の計算は、基本的には「目標金額」「つみたて期間」「投資のリターン」という3つの変数があって、ここからつみたて金額が決まってくるので、図を使いながら解説したいと思います。



先ほど説明した3つの数字というのは、(1つ目が)「目標金額」ご自身がいくらを目標に投資して、目標金額がいくらなのかというところですね。

そして、何年間つみたてできるのか。いったんつみたてを止めて投資してる期間もお金は増えていくので、厳密にはずっとつみたてしておかなければいけないということではないんです。ただ、わかりやすくつみたて金額を考えるための「つみたて期間」ですね。

次に、何パーセントのリターンなのか(「投資リターン」)という、この3つの数字があったらつみたて金額がわかってきます。いわゆる投資シミュレーションとかは、だいたいこの4つの中のどれかを隠して、ほかの3つで計算をします。

つみたて期間と投資リターンとつみたて金額で、将来いくらになるかという金額がわかる感じなので、この数字を変えることによって、それぞれの数字が変わっていきます。

まずは「目標金額」を考える

つみたて金額を考える時には、目標金額とつみたて期間と投資リターンの3つの数値をどういう数値に設定するのかで、ご自身の今を大切にするのか、それとも未来に重きを置くのかが変わってきます。

そして、まず目標金額ですが、この金額を大きくするのか、それとも少なくするのかによって、当然ベースとなるつみたての金額は変わってきますね。例えばFIREを目指すとか、5,000万円、1億円目指すのであれば、当然つみたての金額は大きくなっていきます。

例えば、僕の動画でよくお話ししている、年金で足りない部分を補うつもりの金額設定にするのか、それともFIREを目指すのかによって大きく変わってくる。これはご自身の価値観(の違い)ですね。

早期リタイアを目標に今をがんばれる人もおられるので、それを設定するのも1つだと思います。でも僕みたいに、それだとちょっと今に負担がかかりすぎるから、年金で足りない金額を準備するというのも1つです。まずはご自身がどういうゴールを設定してるかという、目標金額を考えなければいけないです。

次につみたて期間ですね。要は何歳までつみたてするのかというところですが、例えば「40歳でリタイアしたい」「50歳で」となってくると、つみたて期間は当然短くなっていきます。そのぶん、どうしてもつみたてる金額を増やさなければいけないので、ここもどういう人生プランを描くのかで変わってきます。

仕事を辞めるといっても、「60歳で辞めたいな」と思う方もいれば、「65歳までは働くつもりだ」というふうに、人によってプランが違いますね。当然どれかを少なくしたら、どれかを高くしなければいけないので、これもバランスだと思います。

「投資リターン」は、自分orリスク許容度どちらに合わせる?

そして次に投資のリターンですが、ここがあまりよく考えられないところなのかなと思います。目標金額はわかりやすい数字がありますよね。

準富裕層やFIREとか、ああいう人が決めた目標金額を設定するのは、僕はあんまりしっくりこないんですが、そういう数字がよくあります。「目標金額2,000万円」とか、自分の数字じゃない金額が一人歩きしてるので、これを設定されてる方も多いですね。

期間についても、「なんとなく60歳ぐらいかな」という感覚で考えられてる方が多いので、ここの2つに関しては、ある程度みなさんささっと決められるんじゃないかなと思うんです。

あとはリターンを何パーセントにするかをシミュレーションツールで入れて、ここが大きければつみたて金額が少なくなるし、ここが低かったらつみたて金額は多くなるという変数です。

ここをどうしても高くしたいというのが、僕らの要望ですね。ここが高くいけるんだったら、つみたて額が少なくていいのでうれしいですよね。だから、ここを高く設定しがちなんです。ただ、ここの高さがどう影響を与えるかというと、ご自身に合わせてそれに見合ったリターンを取りにいくのか、それともリターンに自分を合わせるのかという2つがあります。

リスク許容度に合わせるというのは、「自分はあんまりリスク耐性がないから、もうこれぐらいしか株を組めない」となった時に、それに応じたリターンを得ようとするのも(1つの)考え方です。どっちかというと、これが正規なんじゃないかなと僕は思います。

一方で、「自分の目標を達成するためにはこれだけのリターンが必要だ。だからそのリターンを取る代わりに、多くのリスクを引き受けなければいけない」。引き受けるのは自分なので、リターンを高くするために今の自分はちょっと苦しい思いをする。けれどもそれはリターンを手にするためだから、そのために自分がちょっと我慢するのも1つの考え方ですね。

未来を重視すればするほど、今の自分に負荷がかかる

これらの要素を組み合わせるとつみたて金額が出てきますが、このすべてに通ずることは何かというと、「未来を重視すればするほど、今の自分に負荷がかかる」ということですね。



早期リタイアすることによって将来の負担が軽くなるのであれば、今よりも未来を楽させたいという思いがあるから、そのぶん今の自分ががんばらないといけない。早くリタイアしたければしたいほど、今の自分ががんばらないといけないですね。

リスクも一緒ですね。リターンを高く設定して自分に負荷をかけるということは、投資している期間の自分に負荷をかけるということなので、今の自分と未来を大切にする自分のバランスが大切だと思います。

将来の不安をなくすために投資をしている面もあるので、結果的に今の自分のためにはなるんです。ただ、過去の動画でお話ししたとおり、月10万円、20万円投資してもまだ未来が不安ということは、何かが漏れている可能性があると思います。「じゃあなぜ不安なのか」というところは、しっかりと考えたほうがいいと思います。

「つみたてかんたんシミュレーション」を使って解説

この部分を踏まえて、先ほど説明した目標額と望むリターンから計算する方法など3つの方法について、楽天証券の「つみたてかんたんシミュレーション」というシミュレーションツールを使いながら解説をしていきます。



「目標金額達成のための毎月つみたて額を計算する」をクリックすると、このようにつみたて金額と期間とリターンで、つみたて額を計算するという4つの数字の組み合わせがあります。

目標金額と自分の望むリターンから計算する場合に関しては、2,000万円準備したいと考えているとしましょう。期間に関しては、じゃあ30年にしましょうか。全世界や米国に投資しても、だいたい実質リターンは6パーセントぐらいだと思うので、高くても6パーセントがおおよそだと思います。

これで「計算」ボタンを押すと、19,910円でいいよということなので、当然リターンを高く設定すればつみたて額は少なくなる。



つみたて額が少なくなるというのは、今の自分が月に使える金額が増えるということですが、投資の苦しさを引き受ける選択なので、ここが本当にいいのかどうかですよね。これが、まず1つ目の方法です。

そして2つ目は、6パーセントのリターンを得ようと思ったら、単年で半値ぐらい落ちる。要は2,000万円投資していたのが、一気に1,000万円ぐらいまでお金が減っちゃうリスクを引き受けることになります。

「それはちょっとしんどいな。自分は債権ミックスのバランスファンドとかを使って、6パーセントじゃなくて3パーセントぐらいが限界かも」とか、そもそも自分は6パーセントのリターンを手にできるようなリスク許容度がないなという方は、自分に合ったリターンを設定する。これは、いわゆる正統派的な考え方ですね。



これで計算すると(毎月のつみたて額は)34,000円になります。この時に、この「15,000円」をどう捉えるかですね。15,000円を浮かせる代わりに自分に負荷をかけるのか、それとも自分の心地いい、ちょうど長く続けられるなと思うリターンに応じたつみたて額にするか。

例えば34,321円を30年間、3パーセントでやったら(最終つみたて金額は)2,000万円です。



ただ、「どうしても30,000円も無理だな。20,000円しかつみたてできないよ」という場合に関しては、1,165万円ぐらいしか準備できない。



これだったら、目標金額が達成できないという方も多いと思います。これが3つ目の方法です。要は、自分の無理のないつみたて額と、自分に合わせたリターンに応じて、将来増えたぶんだけを準備していくという考え方ですね。

これはあんまり受け入れられないかもしれないんですが、一方で「身の丈にあった投資プラン」という考え方もできるんですよね。「これだけ準備できた。でも、これでも足りないな」となったら、もうちょっと長く働くとか、ほかのところで調整をかけるとか。

お金に執着するほど下落の痛みは大きい

すべてを投資に任せるんじゃなくて、投資は自分の身の丈にあったプランを組んで、それ以外のところでがんばって、なんとか全部で帳尻合わせて老後資金を準備するのも1つの考え方です。すべてを投資に任せるというのは、投資に対してちょっと負荷がかかりすぎる。

少しパラドックス的な要素があるなと思うんですが、老後資金の準備に「このお金がなかったら自分の老後はダメになってしまう、すごく大切なお金だ」と思ってるお金であればあるほど、下落の痛みは大きいと思うんですね。

執着すればするほど、それがつらくなってくる。一方であんまりこのお金に執着してない人は、あまり下落のつらさがなかったりというふうに、思いが強ければ強いほどしんどい思いをするという反面もあると思います。

そのあたりのバランスを考えて、「自分はどれぐらいで仕方ない。これ以上自分はリスクを取れないし、取ったら投資を続けられないんだったら、身の丈にあったリターンを手にする」ぐらいの感覚でいいんじゃないかなと思います。

ちなみにリターンの数値の落としどころなんですが、名目リターンと実質リターンの2つがあって、僕たちは実質リターンを使ってシミュレーションしたほうがいいというところだけ、最後にお話をしたいと思います。

名目リターンと実質リターンの何が違うかと言ったら、「今年S&P500はいくら増えましたよ」というのが名目リターンですね。この名目のリターンから物価上昇率を差し引いたものが、実質のリターンです。

お給料が3パーセント上がっても、物価が2パーセント上がったら、実質増えたのは1パーセントという考え方と一緒です。僕らは将来使えるお金を増やさないといけないので、「インフレを除いてどれだけお金が増えたのか」が大切だと思うので、(大事なのは)実質のリターンだと思うんですね。

投資プランは自分の人生に合わせて組むべき

これはジェレミー・シーゲルの『株式投資』という本から引用してる図なんですが、1802年から2006年の200年間の、配当も合わせたトータルリターンがだいたい6.8パーセントぐらい。なので、複利でだいたい6.8パーセント、7パーセントいかないぐらいのリターンだというのがわかっています。



1946年から2006年、いわゆる戦後の60年間でも、配当を合わせると6.9パーセントぐらいなので、だいたい株に期待できるリターンは6~7パーセントがアッパーかなと思います。

当然、僕たちは60年間投資をするわけではなくて。(スライド)下の期間を見てもらうと、例えば「株式の死」と呼ばれた1970年代ぐらいを含むと、15年間投資しても実質リターンはマイナス0.4パーセントでした。

僕らがどの時期に投資するかによってリターンのブレは大きいので、あんまり高く見積もりすぎると、それはそれで望む結果にたどり着かない可能性があると思います。なので、6~7パーセントぐらい。ちょっと少なめに見積もっておいて、上振れるほうが気持ちは楽だと思うので、僕は5~6パーセントぐらいがいいんじゃないかなと思います。

ということで、毎月のつみたて額はなかなかいろんな情報が多いですね。特にインフルエンサーが語る……インフルエンサーはそもそも入金力が大きかったりするし、大きいからこそフォロワー数が多いみたいなところもあったりします。

そういう人たちのお話を聞いてると、「自分は月10,000円しかできないのに」と思ってしまうかもしれないんですが、別に自分ができる範囲でコツコツやっていった結果、銀行に置いておくよりかはお金が増える。ただそれだけのことだと思います。

自分の財産を、ただ自分の受け入れられる範囲内で株に置き換えておくぐらいの感覚で投資をして、それでも足りない部分は、自分なりにほかの部分から調節するのも考え方だと思います。

あくまでも自分の人生に合わせて投資プランを組むべきだと思います。投資プランがあって、それに合わせる人生でもいいという方はそれでいいと思います。

それだとあんまり味気ないなと思う方は、自分の無理ない範囲で投資はする。それ以外もがんばるというふうに、全部を株に任せる必要はないと思うので、このあたりは1つ参考にしていただければと思います。

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