2024.12.03
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長期投資の衝撃の真実!20年投資しても年率1.9%しか増えない!?(全1記事)
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井上ヨウスケ氏:ファイナンシャルプランナーの井上ヨウスケです。よく「長期投資を20年したら」というお話をしているんですが、多くの方が勘違いしているんだろうなと思っているのは、20年投資したら、まるで5パーセント、6パーセントずつお金が増えていくと思い込んでいると思うんです。
先に結論を言ってしまうと、20年投資しても、時期を見てしまったらかなり低い2パーセント以下のリターンの年もあったり、一方で13パーセントぐらいのリターンもあったりと、かなりバラつきが多かったりするのが実際のデータです。今日は、運の要素をどうやれば潰せるのかをお話ししていきたいと思います。
では、時間がない方もおられると思うので、まずは動画のポイントを解説していきます。ポイントの1つ目ですが、株式のリターンなどでよく使われる積立シミュレーションで「リターンを何パーセントにしますか?」という時に、僕は「5〜6パーセントぐらいを使っておくといいですよ」「低く見積もっておくといいですよ」と話したりします。
過去の動画では、「インフレを差し引いたあとの株式の実質のトータルリターンが、7パーセントいかないぐらいだ」というお話をしているので、この「7パーセント」というところを参考にされている方も多いと思います。
これを事実として見れば、あくまでも長期の平均であって、20年という区間で見たらまだまだバラつきが残るところがあるので、今日はデータを使いながらそのお話をしたいと思います。
先に結論を言うと、ポイント2でも書いてあるとおり、区間で見たら20年投資しても年率4パーセント以下の確率は50パーセントぐらいある。これはデータの取り方だとは思うんですが、2分の1の確率でリターンが低いということですね。これは事実です。
なので、これはよく言うんですが、ポイントの3つ目に書いてあるとおり、インデックス投資はタイミング投資もしないし、ただガチホ(将来的な利益を見込んで長期的にポジションを保有)する。つまり運命に、マーケットに委ねるということですね。
FRBが利上げしまくる時代だったらもしかしたらリターンは低いし、利下げしまくる時代だったらリターンが高いし、そのあたりは僕らがどうしようもないところです。ただ、結果1パーセントのリターンになったとしても、そういう時代に生きた僕らが得られる対価ということなので、かなり運命に委ねているところがあるんですね。
そうは言っても、「いや、そんなのはやりたくない」と思われる方も多いと思います。最後のポイントに書いてあるとおり、そういう運の要素をさらに低くするのであれば、30年間ぐらいは投資するというふうに期間を延ばすと、かなりバラつきは収まってきて、おおよそ7パーセント前後のリターンになっていく。
それぐらいが見込めるかなと思っているので、期間を伸ばせば伸ばすほど株の期待値に近づいていくという意味で、「30年」を1つの目安にされるといいと思います。
では、さっそくお話をしていきたいと思いますが、投資時期によってリターンはめちゃくちゃ変わります。20年投資したとして見ても、かなり差があるんですね。これは実際に『JUST KEEP BUYING』に載っている図をベースに僕が作ったものです。
S&P500に投資した場合、20年単位で見たS&P500の実質の年率のトータルリターンですね。つまり配当も当然入っていますし、インフレも差し引いて、純粋に何パーセントずつ使えるお金が増えたかという数値です。それを見た時に、20年おきでかなりバラつきがあるんですね。
例えば1900年に投資をスタートした人は、20年間投資をしても年率2.7パーセントぐらいのリターンしか得られなかったということです。一方で1920年に投資をした人は、20年間で9.1パーセントずつお金が増えたということですね。
その次の区間で見ても9.8パーセントですが、1960年からスタートした人は年率1.9パーセントずつしか増えなかった。1980年は13パーセント、2000年代はリーマンショックとITバブルがあったので、この20年でも3.9パーセントずつしかお金が増えなかったということですね。
考えると、このシナリオが存在するわけですが、2分の1の確率で3.9パーセント以下になっているわけですね。一方で大当たりの年に投資している人は、長期の平均の7パーセントよりも遥かに高いリターンを手にしていることになります。
僕がよくお話しする「20年間投資したほうがいいですよ」というのは、長期投資してもマイナスで終わってしまう確率を除去するためには、あくまでも20年ぐらいの投資期間を見たほうがいいですよ、というお話なわけなんですよね。
なので、20年投資したら必ずしも7パーセント、8パーセント、10パーセントのペースでお金が増えていくわけではないということなんです。
それが、この図を見るとかなりわかるんじゃないかなと思います。なので、負けない確率を高めるために、20年間ぐらいは投資をしたほうがいいという最低ラインなんですね。
つまり「S&P500は最強だ」と言われているけれども、僕らは同じ指数に同じ20年間の期間投資したとしても、自分が生まれた時期によって自分が手にできるリターンは決まっているわけですから、ある種運命になるところがあるわけですね。なので、運ゲーなんです。
ただ、勘違いしてはいけないのは、「じゃあ投資しないほうがいいのか」ということを言いたいわけではないんですね。
実際に1960年から1979年は、1960年代後半ぐらいからは高インフレの時代ですよね。アメリカのこの時期に生きている人は、現金で持っていたら7パーセントずつぐらいお金が減っていったわけです。
そう考えると、実質リターンとしては増やせなかったけれども、インフレ以上にはお金が増えているということなので、ある程度お金の価値は守れたわけです。それが、この時代の人たちが得られたリスクに応じたプレミアムというか、リターンなわけですね。
当然、1970年代は金や不動産のほうがリターンは高かったわけですが、だからといって株がダメだったわけじゃない。思っているよりリタイアは遅れるよねということですね。ここは現実にデータとして出ているところなので、しっかり認識しておくべきリスクです。
7パーセントずつ増えると思っていたら、4パーセントずつしか増えなかった。ということは、リタイアが遅れるかもしれないというリスクがあるわけです。ただ、投資期間を延ばすと、7パーセントにかなり近づく。
今度は30年単位で見たらどうかというところで、1900年から1929年まで30年間投資できていたら、年率7パーセントずつぐらい増えた。次の区間で見ても7.1パーセントだった。1960年代から始めた人は、ちょっと厳しいけれども、それでも5パーセントのリターンがあった。
1990年から始めた人は7.4パーセントあったので、30年見ればかなりバラつきは抑えられることを考えると、30年間ぐらい投資できる方にとっては、期待リターンを5〜6パーセントを見ておけば、おおよそ外れないのかなと個人的には思っています。
なので、運の要素をかなり低くしたかったら、やはり投資期間を延ばすということですね。だからこそ増やすフェーズだけ投資するんじゃなくて、受取のフェーズでも運用しながら取り崩していくと、リターンのバラつきが平均に近づいていくところがあります。
どの年代の方でも、インデックス投資においては「できる限り長く運用する」というところはかなり重要な要素だというのが、これでわかると思います。
ちなみに10年単位で見たらかなりバラつきが大きいですね。なので僕は、10年後の教育資金とかを投資で用意することをあまりすすめないのは、投資という手段はギャンブルとは違うといえど、運にベットしているという意味で、ある種ギャンブル要素があると思っているからです。
それだったら、最近多めのファンドを入れてリターンのバラつきを抑えるとか、もしくは確実に用意しておいて、一部だけ株を買いたい人は買ったらいいです。それで足りなかったら、自分が教育ローンを借りるだけというお話なので。
全額投資を基本おすすめしないのは、こういうデータを見ていると運の要素が強く、どの時代に僕らが生きたかという(影響が大きい)ことだったりします。なので、投資期間が短くなればなるほどバラつきが大きいというのは、変わらずデータが教えてくれるところなので、しっかりファクトとして知っておくべきかなと思ったのでお話ししました。
ということで、「20年投資してもそんなにお金が増えなかった」ということは、あまり聞きたくない情報だと思うんですね。実際に20年間投資といった時に、「いや、15年でも……」と言われるケースもあったりするんです。
どこのデータを持ってくるかによって、場合によっては15年間でプラスになる可能性もあるかもしれない。僕らは、「このままでいったらリタイアがこのくらいでできるかな」「このぐらいのお金が準備できるかな」というふうなプランをしていって、それが実現できないリスクもあるわけですよね。
それは正しく認識をしておかないと、見ないでおこうと言って見ずに、実際にその時が来て、「足りないやん。じゃあリタイアを延ばさないといけない」というのは、それはそれで1つのリスクだと思います。
ほとんどの方は今後、長く働いていく時代になっていくと、投資できる期間も伸びると僕は思っています。そうなってくると、30年近く運用ができることがあれば、およその目標に達成するのではないかなと思っています。1つのデータとして知っておくといいかなと思ったので、今日はこの話をしてみました。
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