CLOSE

40代向け資産形成講座【有料セミナー級です】(全5記事)

40歳以降の「つみたてNISA」と「iDeCo」運用の優先順位 老後のための資産形成のポイント

元役者という経歴を活かし、現在はファイナンシャルプランナーとして講演や投資相談を行っている井上ヨウスケ氏。YouTubeチャンネル「井上ヨウスケ/井上FP事務所」では、投資などのお金の知識に加えて、読書や価値観に基づく型にはまらないお金の使い方などを発信しています。本記事では、老後のための資産形成のポイントをまとめてお伝えします。

■動画コンテンツはこちら

働く期間が残り20年あるなら、つみたてNISAもOK

井上ヨウスケ氏:では、ここからやっと投資のお話をしていきますが、深掘りし出すともっと長くなってしまうので、基本的に、40代以降の投資に対する関わり方の土台をお話ししていきます。

例えばつみたてNISAやiDeCoという言葉が出てくるので、それがよくわかっていない方は、過去に作った僕の動画でiDeCoも、つみたてNISAもインデックス投資もいっぱい説明しているので、そういった動画で足りない知識を深掘りしていっていただくといいんじゃないかなと思います。

まず残りの投資期間を考えた時に、今動画を見てくださっている方が40歳とか45歳だったとしても、そのご年代の方であればおそらく65歳まで働くのがもう基本になっていると思います。もしかしたら70歳まで働いているかもしれません。

そう考えると、働く期間としては20年ぐらいはあるわけですよね。20年ぐらいの働く期間があると仮定するなら、つみたてNISAは使っていいと思います。

「つみたてNISAがいいよ」とか、「iDeCoがいいよ」とかよく言うんですけど、これはあくまでも制度なので、要は箱なんですよね。箱の中身で何をするかというところで僕がお勧めしているのは、インデックスファンドを使って投資信託を買って、それで積み立てをしていく方法です。

このインデックス投資というのは、投資のスキルがまったく要らないんですね。ただ長く続けないといけないという縛りだけあって、一応20年あれば好ましい、最低でも15年かなというところです。自分の今の年齢から15年、20年見て、それでもまだまだ働いている段階だったら、ぜんぜんインデックス投資をしていける年代だと思います。

つみたてNISAを使っていくというところで、年齢が40歳以降とかになってくると気になる点もいくつかあるんですね。つみたてNISAは毎年40万円の非課税枠があって、そこの枠で投資信託を買ったら20年間非課税で保有することができるよという感じなんですよ。

ハイリスクとローリスクを合体させる分散投資

例えば、2020年に買ったら20年間、つまり2039年ですね。2039年までは2020年に買った40万円の投資信託を保有し続けていいよ。それがもし60万円になっていたら、本当は20万円の利益に対して税金をかけるけど、つみたてNISAでやっているから課税せずに2039年に受け取ることができるよという制度なんですね。

それが2021年、2022年という感じで、今のところ2042年まで制度が続くとなっているんですね。つまり、2042年に買った40万円は、最長2061年に受け取る感じなんですね。早く受け取るのはいつでもできるけど、最長でそこまで持てるということなんです。

と考えると例えば、ご自身のご年齢を考えていただいた時に、2042年でもう60歳という方もおられると思うんですよね。そうなると、20年間保有したら、もう79、89歳になってくるんですよ。

ここで悩むのが、いわゆる分散投資の考え方です。分散投資というのは株式と債券とかをミックスして、株式だけだったらハイリスク・ハイリターンすぎるけど、現金とか債券というのはほとんど利息がつかない。

ざっくり言うと、熱い水と冷たいお水を混ぜたらちょうどぬるくなりますよね。熱々のお湯は飲めないけれども、冷たい水を足してちょうどいい温度に調節するみたいなことが分散投資の考え方ですね。要は、株はハイリスク、ローリスクな資産(運用)を合体させてちょうどいいバランスにしようよという感覚なんですね。

年齢を重ねるごとに「非リスク資産」の比率を高くする

若い時はハイリスク・ハイリターンな投資をしてもまだまだ自分は働けるし、もし暴落してもまだ受け取らないから、そのまま運用していったらいつか元に戻るだろう。だからハイリスク・ハイリターンでいいよねという考え方ができるんです。でも、例えば50歳とか60歳になってきたら、やはり出口が近づいてくる。受け取りをしないといけない。しかもその受け取るお金は、自分の老後の生活費なわけですよね。



ということは、ハイリスク・ハイリターンにしてしまうと、受け取る直前で大暴落とかが来たらマイナスで終わっちゃう可能性すらあるし、それを働いて補うこともできない。だから、必然的に年齢を重ねれば重ねるほど、非リスク資産という現金とか債券の比率を多くしていくのが伝統的な考え方なんですよ。

なので、若い時にイケイケで運用していても、ちょっとずつ債券とか現金の比率を増やしていって、最終的には株の比率のほうが少ないみたいな感じで投資を終えるケースが多いんですけど。つみたてNISAは、このバランスを変えるのが制度上ちょっとやりにくいところが
あるんですね。ちょっとこれは図を使って説明していきます。

いわゆるリバランスをするということなんですね。何かといったら、例えば株式の債券を100万円持っていました。現金でもかまわないです。非リスク資産を100万円持っている場合は、この2つの比率は50パーセント、50パーセントですよね。

なんですけれども、例えば株式がものすごく値下がりしちゃった場合に関しては、合計170万円ですよね。この170万円のうちの70万円分が株式です。その内訳の100万円が債券ですよということは、比率で言ったら債券ファンドのほうが多くなりますよね。リバランスというのは、これをまた50パーセント、50パーセントの比率に戻してあげるということなんですよ。

リバランスをしづらい、つみたてNISAの仕組み

この時に何をするかといったら、すごくシンプルで、この債券の15万円分を売って、その15万円で株式を買う。すると85万円、85万円になると、50パーセント、50パーセントに戻すことができるという考え方ですね。

これはすごく仕組み的には理にかなっています。リバランスするというのは、いわゆる安い時に買って高い時に売るということをしているんですね。要は、株価が下がったということは暴落している、価値が下がっている、安い時なわけですね。

この時に比率が変わるから、その比率が変わった時に債券を売って、安い時に株を買い溜めしておくことができるんですね。すごく理にかなっているんです。

つみたてNISAというのは、枠が残っていれば新たに買えるんですけど、この逆のパターンですね。この株式が値上がりしてしまった場合がちょっと面倒くさいんですよ。株式が値上がりした場合に関しては、株式のほうが多くなるから、全体で言ったら株のほうが比率が多くなるわけですね。

リバランスというのは当然、株価の値段が上がっても、また50パーセント、50パーセントのバランスに戻してあげないといけない。けれども、つみたてNISAは非課税枠が40万円あるんですよね。この40万円のうち10万円を売りました。売って10万円空いたから、また10万円で違う投資信託を買いたいということができないんですね。

1回枠を使ってしまったら使い回しができないよということなんですよ。ということは、もう買ったら売らずにずっと持ち続けるのが一番理想的な使い方なんですよね。

ということは、この図に戻った時に、さっきと同じように15万円こっちの株を売って、債券を15万円買い足したら50パーセント、50パーセントに戻せるけれども、株を売るというのは、つみたてNISAの制度上ちょっとやりたくないよねとということなんですね。

50歳〜55歳以降の運用のポイント

それを解消する方法はもう1つあって、こっちの金額を増やすことなんです。債券を30万円プラスにして、ここと同じにしてあげたら50パーセント、50パーセントにできるよねということなんですよ。

ただ、この考え方はどうしても投資の資金として確保しているお金以外にもある程度の貯金がないとできないですよね。となってきた時に、働いていたらこれができるんですけど、65歳以降はこういうのができなくなってくると思うんですね。

だから、つみたてNISAをどうするのかは、僕もこの動画を撮る時にいろいろ考えました。1つの方法として思いついたのは、例えば40歳からつみたてNISAを始める。2042年まで、できる限り新しい投資枠を買っていこうと思っている。

例えば、50歳とか55歳以降からは株式の投資信託だけを買うんじゃなくて、バランスファンドという、もともと1つの投資信託の中で株50パーセント、債券50パーセントみたいな感じで、もう分散投資した状態で売ってくれているものがあるんですね。そういうものを使うのも1つだと思うんですよ。

本当は、資産全体で何パーセントになるかみたいなことを言うんですけど、つみたてNISAは、結局2020年の買付枠でいくら儲かった、2021年で買った投資信託がいくら損している、得しているみたいなのが、証券会社のホームページに行ったら載っているんですよ。だから、1つの資産として捉えて2040何年からはもうバランスファンドを買っていくみたいな感じで、年齢に合わせて投資信託で変えていく。



例えば50歳で50パーセント、50パーセントの比率のバランスファンドを買う。58歳ぐらいからは株式3割、債券7割ぐらいのバランスファンドを買うみたいな感じで受け取りの時期を考えて、そのバランスファンドの内訳を変えるのが、後々楽かなと思います。

要は、バランスファンドは、その組み合わせの比率がそのファンドの中で決まっているから、僕たちがなにもしなくてもずっともう50パーセント、50パーセントの割合で保有し続けてくれるんですね。

だから、メンテナンスが要らないので、60歳で債券7割、株3割みたいなバランスファンドを買っていたら、なにもしなくても79歳の時にローリスク・ローリターンな資産のほうが多くなる。そんなに多くは増えていないけど、それだけ暴落してもダメージを受けないような投資信託を選んでいるから、なにも考えずに79歳になったら受け取るみたいな感じにできるので、そのほうが僕は楽なんじゃないかなと思っています。

教育費の目途が立ったらiDeCoも積極的にやっていく

次に、「iDeCoはどうなのか?」という話なんですけれども。iDeCoは自分の年金を作るような制度なので、基本的に積み立てていくと60歳まで引き出せないものになっているんですね。

ということは、途中でもお話ししたとおり、教育費というイベントが終わってからでも遅くないものだと思うので、教育費の目途が立ったらiDeCoも積極的にやっていくといいと思います。

iDeCoの制度も解説すると長くなるので、また解説動画を見ていただければと思いますが、iDeCoに関しては、税制メリットとして掛け金が所得控除になるよ。運用している時の利益が非課税になるよ。出口の時の退職所得控除とかを使うと所得控除の分だけメリットがあるよ、みたいな感じで言われるんですね。

退職金が多い方は、この所得控除のメリットがほとんど生まれない。要は入り口で税免除されたとしても出口部分で課税されてしまったら、ほとんど相殺されてメリットが大きくない。となると、真ん中の投資した利益だけが非課税というメリットが残る感じなんですね。

だから退職金が多い方は、税金の非課税メリット狙いでやるのはあんまりお勧めしないんですけど、普通に運用する意思を持っているのであれば、ぜんぜんiDeCoはいいと思います。

iDeCoはちょっと難しいところもあって、それはなんでかといったら、iDeCoのメリットは入り口の所得控除があること。でもそれは、言い換えたら入り口でも取らない、運用している時も取らない、出口でまとめて取りますよ。でもこの出口には退職所得控除というすごく大きな控除があるからいいよと言われているんですね。

iDeCoのメリットになる「退職所得控除」は改正される可能性も

でも、この出口の部分の退職所得控除が改正される可能性はぜんぜんあるんですよ。今40歳の方がその出口部分の退職所得控除が今のまま絶対使えると思い込んでやっていても、ご自身が50歳、55歳の時に改正が入って改悪されてしまったら、その狙いどおりの税優遇がなくなるかもしれないんですよね。

実際に退職所得控除は、悪い方向にという感覚ではないんですが改正しようという話がちらほら出ているんですね。今55歳の人とかがそういうことを言うのはぜんぜんいいと思うんですけど、40歳とか僕らみたいに30代の人は、そこを狙いすぎるのはちょっと危険かなと思います。

「じゃあ、それがなくなったらメリットないの?」という話なんですけど、シンプルに税の繰り延べというメリットはありますよね。要はiDeCoをすることによって税金が6万円安くなった。じゃあ、6万円浮いたから今投資に回せるお金がより増える。それによって長い期間運用することができたらお金が増える。

「出口部分で取るよ」と言うけれども、今は課税されなくて自由に使えなかったお金が使えるようになった。それでより大きなお金を運用することができた。ということは、将来に税金を取られるのを先延ばししているんですね。それによって運用するお金が増える。それが結果的にメリットにもつながる。

税の繰り延べのメリットは、そもそもiDeCoに残っているものなので、あんまり退職所得控除が使えるというのを期待しすぎずに使っていくのでいいと思います。

ということで、僕の「YouTube」の動画の中では、たぶん過去最長になる1時間ぐらいの長さになったと思います。いろいろしゃべって深掘りしたいところは、僕が過去に出した動画を見ていただくとそこで補足はできると思うので、まずはこの動画でお話ししたことを、最後にもう1度まとめていきたいと思います。

40代の資産運用のポイントまとめ

まず、最初にお話ししたとおり、40代は無駄が出やすい年代なので、まずは増やす前に必要な資金を作っていくという意味でも、使っている資金の無駄を確認していきましょうよというお話でした。

その中身は、ポイント2にもあるとおり、保険とか住宅とか通信費といった固定費と呼ばれるものですね。保険に関しては月2万円以上使っている方は見直しの余地が大きいかもしれないから見直しを検討してください。

通信費に関しては格安SIMを使っていない方は、自分が通信にいったい何を求めているのか、その対価がちゃんとそこに含まれているのか。そうじゃないと思った場合は格安SIMとかにすることによって通信費はかなり安くすることができるよというお話でしたね。

住宅に関しては、今の住宅に住み続けるのか、それとも違う家を選ぶのか、住み替えも1つの選択肢として出てきているので、イエウールさんのようなサイトを使って、まず売れるのかどうか。売れる時、いくらぐらいで売れるのか。その値段によっては住み替えをしようという、新しい人生を選ぶこともできると思うので、そういった部分も諸々踏まえて見直しをしてくださいというお話でした。

ポイント3番目にも書いてあるとおり、20年以上働く方は、つみたてNISAを積極的に使っていったらいいよねというお話でしたね。ただ、40歳からつみたてNISAをして、つみたてNISAが終わると言われている2042年に60歳ぐらいになる方は、全部株式、別のところで現金でというのもいいんですけれども。

それがちょっと面倒くさいよという方は、55歳ぐらいからはつみたてNISAの40万円の枠で株式だけじゃなくて株式と債券が含まれているバランスファンドでそのリスクを調節していくのも1つありじゃないかなというお話をしました。

最後に、ポイント4つ目にも書いてあるとおり、教育費の目途がしっかり立ったらiDeCoも使って非課税で運用できる制度を活用する。つみたてNISAを先に使って、余力があるんだったらiDeCoを使うといいですねというお話をしました。

ということで、本当にセミナーで話すような内容を、僕は真っ暗な部屋で照明1つとカメラに向かってただただ1人でお話をしている状態でしたが、たくさん話してきた中でたった1つだけでも、その内容があなたの役に立てばすごくうれしいなと思っております。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • 30代で選んだ家に一生住み続けるのは難しい ローン残高と売却価格から考える「住み替え」の可能性

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!