2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
老後が心配、今からできる準備は?仕事、生活する場所…生き方の選択肢を知ろう(全1記事)
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ナレーター:アンケート調査から、気になる8つのトピックをピックアップ。今回は「老後資金」。
このトピックに関して、「年金をあてにできない今、お金の勉強をしてこなかった世代が、老後に困窮しないためにはどうしたらいいのか?」「元気に働けるうちは働こうと思っているが、今から準備をするとしたら、どういう選択肢があるのか知りたい」などの回答があった。果たして藤野さんは、この問題についてどう解くのか?
藤野英人氏(以下、藤野):ちょっと衝撃的な答えかもしれません。「老後をなくそう」ということです。「老後」という概念をなくすことが、とても大事なことだと思います。
実は老後の問題について話をすると、世の中に二通りの人がいることがわかるんです。それは、老後についての考え方なんですね。どちらかというとサラリーマンの人が多いかもしれません。それは当然なことだと思うんですが、この「老後」という意味合いは、自分が定期的にお金をもらえる先から離れた後にどう生きるか。
起業家や経営者はどう考えているかというと、どちらかというと老後に向けた資金や積立をしている人はあまりいないんですね。彼らは老後をなくそうとしているんです。起業家や経営者でなくても、一般の人がそういう考え方をしてみてもいいのではないかなと思うので、「老後をなくそう」というふうに考えています。
老後をなくすとはどういうことかというと、「より現役である時代を長くしよう」という意味合いになります。ずっと働くのかというと、もちろん働くことは大きな前提なんですが、働くだけじゃないんですね。
自分がより現役感を持って人と交流するとか、一部お金を稼ぐこともするとか。バッチリ「老後」というような、収入がない中でお金を使って生きていく時代をできるだけ長く後にするということを、考えることが重要なんじゃないかなと思います。
藤野:人生100年時代だと、60歳で仕事を定年したとすると、確かに老後の期間はおよそ40年あります。60年でパッキリ(仕事を)辞めて、40年間ぶらぶらしていたら、確かにこの40年をどう生きるのかという話になるんですが、人生はもっとグラデーションで考えたほうがいいと思います。
例えば年金のお金も、正直これから減っていくかもしれないとか、不安がある人もいると思います。でも、自分が5万円でも10万円でも、どういう働き方でもいいから働くことができたら、年金のお金もだいぶ減り方が少なくなると思います。これはある種の“サプリ”みたいなものですかね。年金サプリみたいなかたちで、どれだけ働くことができるのか。
若い人とも接することができるし、かつ世間の人といろいろコミュニケーションを取ったら、頭も活性化されるしボケも減ります。いいことだらけですね。お金も入ってくるということですから、難しい仕事やストレスのある仕事をしなくても、少し軽作業をするとか、ネットでできる仕事とかいろんな仕事があるので、それをやれるといいと思います。
「老後に備えることで重要なことは何か?」というのは、サラリーマンを辞めても長く働ける仕事を自分の中に持つことが大事ですね。今、副業が解禁されて、副業が認められている会社は増えてきましたが、副業をやったほうがいいと思うんですよ。
会社を辞めた後、いろんな違う組織や違う人たちからお金を稼ぐやり方を知っていれば知っているほど、自分の老後の在り方が豊かになります。もちろん一気に副業をやるということじゃないかもしれないけれども、副業をやることによって、自分の仕事以外でお金を稼ぐ習慣を作ることも大事だと思います。
もちろん僕は投資の仕事なので、「新NISA制度を使おうよ」とか、「iDeCo」という制度は確定拠出型年金ですが、これも1回当たりの資金がだいぶ増額されて活用がしやすくなる方向にまいります。なので、NISAとiDeCoを上手に使いながら老後に備える。老後の世界になったら、それを取り崩しながら使うというのもあると思います。
藤野:話は戻りますが、みなさんに考えてもらいたいのは、老後という世界について不安になることよりも、老後というものをなくす、できるだけ現役に近いかたちにする。どこかですべての人は死ぬんですね。そりゃ私も死ぬし、みなさんも死ぬんですよ。でも、それは合意のことじゃないですか。
死ぬ直前の何年か前か、その直前かに体が動かなくなる時期があって、それでだんだんと死に向かうわけですね。それは誰もが変わらないわけですよ。でも、その前まで僕らはどれだけ生き生きと楽しく、自分の人生を歩むことができるかが大事なので、本当の意味での老後というのは体が完全に動かなくなってからかもしれません。
老後という概念をなくすために、健康で生きるとか運動するとか、それから投資をし続けて将来に備えたり、複数で働けるようにして、ずっと長くやっていた仕事が終わったとしても、どこかで働いて細々と食う。それを組み合わせをすることによって、未来に対して備えることができるのではないかなと私は考えております。
あまり不安になりすぎないほうがいいと思います。実際、私は大学でも教えているんですが、大学で「将来の不安は?」というアンケートをとったりすると、20代の子や大学生の10代の子が「老後」と書く人がけっこういるんです。
10代の子が「老後が不安だ」と言うぐらいだから、そりゃあ40、50、60歳になってくると、やはり「どこか体が痛い」「自分の両親が亡くなっちゃった」とか。介護をする中で「自分もそうなってしまう」というように、先を見ていくという面で見れば、お金が大事だなとか、積立したらいいなというのはあると思うんです。
でも、それを考える時にいたずらに不安になったりせずに、老後をなくそう、前向きに生きていこう、今できることをやっていこう、働けるうちまで働こう、iDeCoやNISAとかやれることは全部やっていこうと、具体的なアクションを起こしていく。
それで、老後を少しでもなくしてアクティブに生きる。健康で楽しく現役を続けることのほうが、老後に向けて心配することよりも、はるかに意味のあることではないかなと私は思っております。
ナレーター:さらに藤野さんは、現役を退いた後の未来を考える上で、大切なマインドがあると言います。
藤野:私は富山県の朝日町というところに古民家があって、拠点もあるんですが、そこに行くと水がタダで、掘れば湧いてくるんですよ。立山の天然水がガブガブ飲めて、お風呂もミネラルウォーターの天然水でお風呂に入れるんですよ。これはすごく幸せじゃないですか? 土地の値段もタダみたいなものなんですよね。
なので、老後資金といっても、どう生きたいかによって変わるんですね。ポルシェに乗って海外旅行に年2回行きたいということだったら、2億円とか3億円ぐらい資金が必要になるかもしれないし、地方の中で小さい幸せを探しながら生きていくということだったら、年金の範囲の中で十分暮らせるんですよ。
なのでこれを考える時に、「自分が生き生きと暮らすにはどういう生活をしたいのか」ということを、自分自身に問いかけることがすごく大事だなと思いますね。
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