2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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大江英樹氏(以下、大江):次は「お金を運用して増やす」というお話です。今日は、後半で時間をたっぷり使ってこのお話をしようと思っています。お金を運用して増やすために大事なこと、特に億り人たちが資産を運用してお金を増やすために実践していることは何かというと、スライドに書いてある4つかなと思います。
1つ目、投資をするのはいいんですが、投資対象を見極めることが大事だよということです。2つ目が、投下する金額を増やすかどうか。3つ目が、長期のスタンスで考えることです。一夜明けたら大金持ちになっていたとか、1年間で50万円を1億円に増やしたという本は書店に行くといっぱい出ています。
しかし、さっきも言いましたように短期でそうやって儲かることはないでしょうし、ラッキーなことにそれができたとしても、逆にあっという間にまたお金を失ってしまうことにもつながりかねません。なので、やはり長期のスタンスが大事だということです。
それから下落した時です。運用をしていると当然下がることもあるわけです。これはもう、仕方のないことです。要するに下がった時にどう振る舞うのかが、実は億り人になれるかどうかの分かれ目だったりします。そこのところを詳しくお話をしていこうと思います。
大江:まず、投資対象を見極めるというお話です。例えば株式投資で言えば「銘柄選択」です。不動産投資でいうと「物件の選定」になります。これがとても大事なんです。というか、これがもうほとんど8割、9割ぐらいを占めていると考えてもいいのではないかと私は思っています。
要するに、将来にわたって利益を生み出し続けてくれるものに投資をすることが大事なわけです。利益の成長が持続する企業であるとか、安定して家賃収入が見込めるような物件などに投資をすることがすごく大事だと思います。
こういうお話をすると「でも私は投資信託で資産形成しているけど、投資信託は運用を任せちゃうわけだから見極めるも何もないんじゃない?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、決してそうではないんです。投資信託も見極めることが大事なんです。
一般的に投資信託というと、大きく分けてインデックス型の投資信託とアクティブ型の投資信託があります。インデックス型の投資信託ではいったい何を見極めるのかというと、市場を見極めるわけです。つまり、どこの市場が良いのかです。
例えば今までアメリカが非常に良かったわけですが、今後ともアメリカが良いと考えるのか。そろそろここからは日本が良いと考えるのか。あるいはここのところ低迷している中国がまた少し復活してくるのかな? と考えるのか。どこの市場かを見極めることが大事です。
それがよくわからないのであれば、グローバルに分散投資するのが良いです。例えばオール・カントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)のような、世界中の株式にそれぞれの国の市場の時価総額や、経済規模といった指標に合わせて分散投資をしていくタイプのものです。
大江:もう1つ、コストも大事です。意外とコストを見極めないで投資をしている人が多いんです。例えば同じタイプのインデックス型投信(投資信託)でも、実は手数料が倍どころか4倍の開きがあるものもたくさんあります。高い手数料をまったく見極めもせずにそのまま続けている人がいたりしますので、そういう人は安い手数料のものを見極めて、同じ対象のインデックスであれば切り換えることも必要だと思います。
アクティブ型投信は、まさにファンドマネージャーに運用を委ねるわけです。お任せなので見極めるもなにもないだろうと思われるかもしれません。ですが、そんなことはないんです。
一般的に「運用を見極める5つの『P』」ということで、アクティブ型投信の場合はファンドマネージャーや運用チームの人たちの投資哲学、どんな人材がいるのか、どういうプロセスを経て投資をしているのか、そのファンドの中身のポートフォリオはどうなっているのか、過去の運用成果・パフォーマンスがどうなっているのかという、5つのPを見分けることが大事だと言っています。
アクティブ型投信の場合はどういう運用をしていて、どういうファンドなのかを、自分でしっかり考えることが大事です。『となりの億り人』にも出てきましたし、後ほどのお話にも少し出てきますが、投資信託で資産を形成した方にはいろんな方がいるんです。その中に、こん吉さんという個人投資家の方がいます。
この人はアクティブ型の投資信託をたくさん持っておられるのですが、徹底的に運用説明会やファンドの説明会に出掛けて行き、質問攻めにすると言っていました。やはりそれぐらい、しっかり考えることが必要なのだと思います。実際にアクティブファンドを運用するにあたって、中身を見ることがとても大事です。投資信託でも見極めはすごく大事なことだと思います。
大江:2つ目に大事なことは、「投下する金額を増やすこと」です。投資をするというとみんな、「どれぐらいの運用利回りになるんだろう?」と、運用利回りや運用成績・パフォーマンスが大事だと思うんです。もちろんそれも大事ですが、それと同じぐらい大事か、場合によってはもっと大事なことが「積み立てる金額をどれぐらい増やすか」。つまり、投下金額をどうするかなんです。
よくあることですが、例えば毎月2万円を積み立てながら20年間運用を続けるとどうなるのでしょうか? 「2万円ぐらいだったらできるでしょ」と、金融機関さんはよく言います。毎月2万円ですから1年間で24万円。20年間積み立てをすると480万円です。これを3パーセント複利で運用できたら657万円です。5パーセント複利になると、なんと820万円です。
みなさん、「すごいですね。やっぱり複利の力って大きいですね」と言うんですが、かつてのように定期預金や国債の金利が3パーセントや5パーセントみたいな時があれば、3パーセント複利や5パーセント複利はわかるんです(笑)。でも、投資信託や株に投資をして、毎年確実に3パーセントずつ上がっていくなんてあり得ないじゃないですか(笑)。ですから、これはまさに机上の空論なんです。
ところが、2万円を積み立てするのではなくて、もう少しがんばってもう1万円余分に(合計)3万円積み立てるんです。するとどうなるのかというと、金利がゼロだとしても20年間積み立てたら720万円になるので、3パーセント複利を上回っちゃうわけです。もう少しがんばって4万円を積み立てたら、5パーセント複利を上回ってしまうことになります。これは考えてみたら、当たり前と言えば当たり前のことなんです。
実は投下する金額を増やしておくのはすごく大事で、億り人になった人は「運用を上手にやってうまく銘柄を当てた人」というよりも、むしろ「がんばって投下する金額を少しずつ増やしていった人」なんです。
大江:事実、いろんなブログやSNSでも、投資信託の積み立てをずっと続けてきて1億円を達成した人は時々見かけるわけです。そういう人の記録みたいなものを拝見したことがあります。それを見ると、例えばある人は積み立てを始めたのが2001年です。ちょうど20年前なので、まさに長期で運用しているわけです。
そして投資をした対象は、インデックスファンドです。20年間で1億円をこしらえたんです。これは本当にすばらしいことで、立派だと思います。しかも、再現性もあります。ただここで見ていただきたいのは、どれぐらいのお金を積み立てたのかというと、積み立てた総額はなんと5,000万円なんです。
つまり積み立てした累計が5,000万円で、それが20年間で1億円になったという話なんです。20年間で5,000万円を積み立てたということは、単純に割り算をすれば1年間で250万円です。年間250万円ということは毎月20万円ずつです。20万円ですよ? 毎月20万円を投資するんです。これはけっこうしんどくないですか?(笑)。
2万円とか4万円とか5万円ぐらいならまだなんとかなるでしょうが、20万円はけっこう大変ですよね。ただ、あとでこの本『となりの億り人』にも出てくる白川初美さんという方の例ですが、この方はほとんど投資らしい投資をしていないのに億り人になっちゃったんです。
例えば夫婦共働きで子どもがいない。両親から相続した家にそのまま住み続けており、住宅ローンもないのであれば、それぐらいの積み立てはできないことはないんです。要は、運用も大事なのですが、運用になる種銭というか「元になるお金をいかに増やしていくか」なんです。
さっきの話のようにいかに無駄をなくすかも大事です。貯蓄ができない、投資ができないと言っている人に聞いてみたら、実は入る必要のなかった保険に毎月5万円も6万円も払っていたりするわけです。先ほどのスポーツジムの話もそうです。そういうものを見渡してみると、あっという間に実は7~8万円ぐらいは積み立て投資に回せる部分が出てくるかもしれません。そういったことを考えておくことがすごく大事なんじゃないかと思います。
大江:それから3つ目です。「長期のスタンスで考える」ということです。(スライドの)このグラフはアメリカの代表的な株価指数であるS&P500の、なんと150年間の動きを現しています。このグラフで見ると、ところどころ大きく暴落したところがあるわけです。
1929年の大暴落は私が生まれる前なので経験がありませんが、ブラックマンデーは経験があります。ITバブルもリーマンショックも、もちろん経験があります。1970年代の初め頃にはオイルショックで下がった時もありました。
これを見て何を感じるかですが、非常に長い期間で見ると結局は暴落といっても一瞬の話なんです。かなり大きかったものは1929年の大暴落ですが、これも30年経たないうちにリカバリーができているわけです。
何が言いたいかというと、資本主義というのは本質的に自己増殖するシステムなんです。そういう意味でいうと、短期的には非常に大きく暴落する局面があるのは当然なんですが、やはり長期で考えることがすごく大事なんです。
150年なんて期間を生きるわけがないので、このグラフ自体はまったく意味がないわけです(笑)。しかし、過去の10年、20年、30年で、例えばグローバルに分散投資をして積み立てた場合の成果を見てみます。
30年前の1991年から積み立てを始めた場合の積立金額に対する評価額がいくらになっているのかというと、ほぼ4倍近くになっているわけです。20年だと3倍まではいきませんがそれに近いぐらいになっているし、10年でも倍ぐらいにはなっているわけです。ですから、長期のスタンスで考えるのはすごく必要なことではないかと思います。
実際に10年前ということで考えてみるとおもしろいんです。例えばこのスライドは「10年前に100万円投資をしていたら」というものです。アメリカ編となっていますけど(笑)。ここに書いてあるほとんどの銘柄は、みなさんがよく知っている会社ですよね。
あまり詳しくない人だったら、2番目のNVIDIA(エヌビディア)は聞いたことがないという人もいるかもしれません。でもその他の銘柄、Adobe、Domino'sPizza(ドミノ・ピザ)、Amazon、Netflix、Visa、Microsoft、Apple、Google、Nike(ナイキ)は、知っている株ばかりですよね。一番強烈なのはTesla(テスラ)ですが、もう100倍以上になっているわけです。
大江:「10年前に100万円を投資していたらこんな金額になっていた」というものは、けっこうあるわけです。「アメリカは経済が良かったから投資成果が良いけれども、日本はそんなのないだろう」と言われるんですが、そうでもないんです。日本でもけっこうあるんです。
例えばレーザーテックは100倍以上になっていますし、神戸物産は62倍、MonotaRO(モノタロウ)が42倍と、こういったものがけっこうあります。ただ、先ほどのアメリカと比べて違いがあるのは、アメリカの株ってNVIDIAは知らない人もいるかもしれませんが、ほかの会社はほとんどの人がよく知っている会社だと思うんです。
ところが日本の場合はどうかというと、ある程度の株式投資をしている人ならよく知っている銘柄もあるでしょう。しかし、そうでない人だとあまり聞いたことがないなと思うかもしれません。
エアコンのダイキン工業やワークマンは知っているかもしれませんが、「GMOPG(GMOペイメントゲートウェイ)って何?」「エムスリーって何だろう?」という人がけっこう多いと思います。つまり、どちらかというと日本の場合は小型成長株の成果が高かったということなんです。
神戸物産というとよくわからないかもしれません。みなさんの近くに業務スーパーってありませんか? あれが神戸物産です。この前、iPhoneが登場した15年前の2007年にAppleの株を100万円投資していたら、今は5,000万円になって50倍になっているという記事がありました。しかし、15年間で50倍になっていると言うけど、業務スーパーは10年前と比べると約60倍になっているわけです(笑)。
ですから、こういう銘柄もないわけではないんです。10年前というとずいぶん前だよねとなるかもしれませんが、そんなに大昔でもないんです。10年前に何があったかというと、「なでしこジャパン」です。サッカーのワールドカップで優勝した時ですね。
それから、今ではもうずいぶん大きくなってしまいましたが、芦田愛菜ちゃんや鈴木福くんがとてもブレイクしました。本で言えば、『体脂肪計タニタの社員食堂』がベストセラーになりました。それからとても悲しい記憶ですが、東日本大震災があったのも11年前です。
ヒット商品で言えばその年の1位がスマホなんです。2位がFacebook。たぶん10年ぐらい前からFacebookを始めた人はわりと多いのかもしれません。なので、10年前といってもすごく大昔というわけではなく、比較的最近というイメージがおわかりいただけるのではないかと思います。
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