2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
リンクをコピー
記事をブックマーク
大江英樹氏(以下、大江):お金持ちというと、所得の高い人というイメージが強いんですが、それは少し違う。これもこの本に書いていることなんですが、「『高所得者』が必ずしも資産家ではない」ということですね。これはやっぱり間違えてはいけないことだと思います。
確かに、いくら所得があっても派手な生活をしていたら、なかなかお金は貯まりませんよね。そういう生活をしていても、あり余る収入がある人も中にはいるでしょうけど、どちらかというとそういう人は、やっぱり少数派なんだろうなと思います。
要は、億万長者に共通することは非常にシンプルで、「収入以上に使わない」という、ごく当たり前のことなんですけども、たったそれだけのことなんですよね。したがって、「億り人」というのは必ずしも収入の多い人じゃないんだということですね。
それと同時に、多くの人は、やっぱり収入のことばっかり考えているわけですね。ところが収入というのは、なかなかコントロールをするのは難しいんですよ。だって例えば、自営業の人は、収入が入ってくる時はいっぱい入ってくるでしょうけど、入ってこない時はまったく入ってきませんからね。
サラリーマンは比較的収入が安定していますけれども、収入を増やすのはなかなか難しいですよね。だってサラリーマンで収入を増やそうと思ったら、当然ながら昇格したり昇給したりすることが必要ですけれども、それは自分で決められないですよね。上司や人事部が決めるわけなので。だから自分で収入をコントロールすることは難しいです。でも支出はコントロールすることが可能なわけですね。
特に、サラリーマンで「億り人」が多いと言った理由は、サラリーマンは収入が「給与」というかたちで安定しているわけですから、同じキャッシュフローでも「入」が安定しているのであれば、「出」のキャッシュフローの支出をコントロールすることで、比較的安定してお金を貯めていくことができるからです。
これが例えばタレントとかオーナーという人たちは、「収入」のコントロールが不可能なので、ものすごく「収入」のボラティリティが高い。バラつきが大きいですから、かえって難しいと言えるわけですね。
大江:それともう1つ、この資産形成で大事なことがあるんですね。それは何かというと、実は「再現性」なんです。資産形成で一番大事なこと。つまり誰でもできる。誰でも同じことができるということが、すごく大切なことなんです。
例えばさっきのように、ビットコインで1億円とか、デイトレードであっという間に1億円とか、そういうのは再現性がないんですよね。たまたまラッキーでそういうことになっただけなので、いつどんな時代でも、どんな状況になってもこういうことができるかというと、そういうわけではないんですね。したがって再現性というのがすごく大事です。
資産を作るための方法は、大雑把に言うと3つしかないと私は思っています。1つは「働いて収入を得ること」。これは当然ですよね。働いて収入を得ないことには、いつまで経ってもお金持ちにはなれません(笑)。
2つ目は「稼いだお金を無駄遣いせずに貯めること」。そして3つ目は「貯めたお金を運用して増やすこと」。この3つです。先ほどの再現性という面では、この3つはいずれも再現性があるわけです。やり方はいろいろあるでしょうが、「誰にもできない」という話ではなく、「誰もがやろうと思ったらできる」という話です。
この3つのうち「働いて収入を得る」については、働き方はさまざまだと思いますし、私があえてコメントする必要もないと思います。なので、今日は2番目の「稼いだお金を貯める」というお話と、特に3番目の「お金を運用して増やす」については、本の中では詳しく出ていないのですが、私自身どちらかというと資産運用や投資が専門分野の1つでもあります。なので、そういうお話を中心にしていきたいと思います。
大江:まず「稼いだお金を貯める」についてです。このために大事なことはいったい何だろうか? ということですが、実際に資産をこしらえた人の話を聞いていくと、億り人に共通する思考と行動パターンがあるんです。稼いだお金を貯めるための一番大切な基本は何かというと、「使う前にまず貯める」ということです(笑)。
「お金はあとから貯められない」ということです。要は、天引きあるいは銀行の口座からの自動引き落としで貯めていくんです。これはごく当たり前というか、誰でもわかることなのでしょうが、「誰でもできる」とはちょっと違うんです。天引きの習慣を持っていない人はなかなかお金を貯めることができません。
天引きを先にしてしまえば、残ったお金はどう使おうが、たとえ全部を使ってしまってもかまわないわけです。あらかじめ天引きをする。あるいは天引きができない仕事の立場であれば、銀行の自動引き落としが一番良い方法だと思います。
2つ目が「自分の価値基準でお金を使う」です。どういうことかというと、私はいろんな方にインタビューをしたんですが、億り人たちのお金の使い方は一言で言うと「自分の価値基準をしっかりと持ってお金を使っている」なんです。
これは実際に私がインタビューしたある人の話です。この人は海外旅行がすごく好きです。それもお金持ちになったから行くようになったのではなく、若い頃からずっと海外旅行が好きでしょっちゅう行っていたらしいんです。
「それでよくお金を貯めることができたな」と思うかもしれませんが、その人は「本当に自分の好きなことだから、海外旅行にお金を使うのはいとわない。でも、それ以外のことで無駄だと思うことや自分が興味のないことには1円たりともお金は使わない」と言っているんです。
大江:また別のある人は、すごく音楽が好きで、特に海外から来日したアーティストのコンサートにけっこう行くらしいんです。例えば北海道や九州といった地方に住んでいたとしても、来日したアーティストのコンサートが東京や大阪でしかやらないのであれば、そこまでわざわざ飛行機や新幹線で見に行きます。
これも、そんなに興味のない人からすれば「なんでそんなもったいないことするんだ?」と思いますよね。例えば福岡や札幌に来てくれたなら行ってもいいけど、東京にしか来ないのになんでわざわざ飛行機に乗って行くの? となるかもしれません。でも、その人にとってはそれがものすごく価値のあることなんです。
2人目の例でいうと、海外旅行には興味がないけど、アーティストが来日した時にはどんなにお金がかかってもいいから行くということなんです。つまり、自分にとって価値のあるものにお金を使うことは一向にいとわないわけです。そういうものにためらいはないし、節約はしていないんです。億り人の人たちに共通することの1つは、「節約をしていない」ということです。
節約とは何かというと、「自分にとって価値のあるもの、あるいは自分がやりたいことでも我慢する」ということです。でも、億り人の人たちはそういうことを一切やらないんです。その代わり、自分にとって価値がないものにはたとえ1円たりともお金を使いません。ですから、億り人の多くに共通するのは「節約をしない」ということです。
大江:もう1つは「保険に入っていない」ということです。例えば生命保険や医療保険といったものです。もちろん車を運転する人は自動車保険に入りますが、例えば子どもが大きくなって独立した人は生命保険なんか必要ありません。
あるいは、独身時代は生命保険なんかまったく必要がないから、そんなもの入る必要がないというように非常に考え方が合理的なんです。とても合理的で、無駄な支出はしないんです。これは保険だけではありません。億り人に共通しているのは、「なんとなく消費」をしていないことです。
「なんとなく消費」とは何かというと、深く考えずに「みんながやっているから自分もやる」という消費です。例えばさっきの保険でいえば、本当に必要なのか、必要にしてもいろんな会社の保険料と保障額を比べてみてどれが一番得かをよく吟味して入ったのか。そういうことをしないで、なんとなく勧められるままに入ってしまったという人は多いわけです。
それから、毎日コンビニに立ち寄る習慣です。どうしてもコンビニに行きたいわけじゃないですよね(笑)。なんとなく口寂しくて、飲み物やお菓子を買って帰る人が多いわけです。でも、本当に必要なのか? と聞かれたら、あまり必要じゃないかもしれません。
大江:それから、契約したけど使っていないサブスクリプションのいろんなサービスがありますよね。例えばNetflix(ネットフリックス)やU-NEXT(ユーネクスト)、ディズニープラスなど、いろいろあります。こういうものが好きだったらいいんです。私もNetflixが大好きで、コロナになってからNetflixが一番のお友だちみたいな感じで毎日のように見ています(笑)。
しかしそうではなく、最初はおもしろそうだなと思って契約したけどまったく見ていないという人もいるわけです。だったら、そんなものは解約したほうがいい。通っていないスポーツジムもそうです。この前ある新聞で見たのですが、スポーツジムの会員で、過去1年間に一度も利用していない人が70パーセントぐらいいるらしいんです(笑)。だったらやめればいいですよね。
毎週通っているとか、毎日のようにジムに行っている人には必要だと思うし、自分がすごく満足感を得ているから通っているわけで、悪いことではないですよね。それをやめるのは節約になってしまうわけですから、やめる必要はないんです。でも行っていないのであれば、やめればいいですよね。行っていないからやめてしまうのは、非常に合理的な考え方じゃないかなと私は思います。
今、「携帯のプランを見直しました」というコメントがありましたが、そういうことをやってみたらいいと思うんです(笑)。節約をする必要はないんです。だけど「なんとなく消費」で使っているお金というのは、やめたほうがいいと思います。これが、いわゆる稼いだお金を貯めるための原則のお話です。
2024.10.29
5〜10万円の低単価案件の受注をやめたら労働生産性が劇的に向上 相見積もり案件には提案書を出さないことで見えた“意外な効果”
2024.10.24
パワポ資料の「手戻り」が多すぎる問題の解消法 資料作成のプロが語る、修正の無限ループから抜け出す4つのコツ
2024.10.28
スキル重視の採用を続けた結果、早期離職が増え社員が1人に… 下半期の退職者ゼロを達成した「関係の質」向上の取り組み
2024.10.22
気づかぬうちに評価を下げる「ダメな口癖」3選 デキる人はやっている、上司の指摘に対する上手な返し方
2024.10.24
リスクを取らない人が多い日本は、むしろ稼ぐチャンス? 日本のGDP4位転落の今、個人に必要なマインドとは
2024.10.23
「初任給40万円時代」が、比較的早いうちにやってくる? これから淘汰される会社・生き残る会社の分かれ目
2024.10.23
「どうしてもあなたから買いたい」と言われる営業になるには 『無敗営業』著者が教える、納得感を高める商談の進め方
2024.10.28
“力を抜くこと”がリーダーにとって重要な理由 「人間の達人」タモリさんから学んだ自然体の大切さ
2024.10.29
「テスラの何がすごいのか」がわからない学生たち 起業率2年連続日本一の大学で「Appleのフレームワーク」を教えるわけ
2024.10.30
職場にいる「困った部下」への対処法 上司・部下間で生まれる“常識のズレ”を解消するには