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強いビジネスパーソンを目指して疲れた方へ。『弱さ考』著者と考える、自分を守る思考法とは(全3記事)

自分の弱みを知ることがメンタルを守る うつ経験者が語る、仕事で心が折れる前にすべきこと [2/2]

やっておきたいセルフケア

小川:我々がやっている心理の世界でも、「湧き上がる感情を否定するんじゃなくて、受け止めてそのままにしておく」みたいなことがすごく大事って言われたりするんですけど、まさにそれを実践していらっしゃるのかなと感じました。

その上で、少し重複するところもあるかと思いますが、「やっておきたいセルフケア」みたいなところ。ちょっとHowの話にはなるんですけれど、「こういうケアができると良い」みたいなものがあれば、ぜひおうかがいできればと思うんですけれど、いかがでしょうか。

井上:セルフケア。そうですよね。さっきの(休職は)たぶん1年とか、人によって期間が違うんですけど、やはり前とは変わった自分で復職しないと、また僕みたいになるんです。

一方でここまでお伝えしてきたように、そう(簡単には)変われないということで、すごく難しいんです。やらなければいけないのは……そうだな、根本のところを変えないと、小手先のHowもなかなかついてこない気がするんですよ。

働くことにおける「演技」という感覚

井上:「弱さって何だ?」という話に戻ると、人間は五角形のチャートでいうと、(点数が)全部同じの人っていなくて。でも、「これぐらいが普通の人間です」みたいな、幅があるんですよね。そこに対してちょっと欠けていたり、あるいは過剰過ぎたりみたいなことがあるんですけど。

それを普通の人の幅にいなかったとしても、戻している演技をしている。職場って基本的に「いつでも・どこでも・誰とでも(働く)」と言われるけれど、例えば「Aさんとは働けるけど、Bさんとはぜんぜん働けない」って、働く人としてはけっこう駄目じゃないですか。

小川:はい(笑)。

井上:「昨日は良かったけど、来週はめちゃくちゃ調子が悪い」も駄目だし。でもそれは全部、演技に過ぎないんです。

僕はさっき「なかったことにはしない」と言ったけど、ある程度は、なかったことにする演技をしている。もちろん非人間的なことだけではないですよ。でも大きく引いて見ると、そういう演技そのものなんだという。「それは別に悲しむことではない」というマインドセットから始めることですかね。

ビジネスの現実に備えるためにもセルフケアは大切

小川:なるほど。よく「社会的カモフラージュ」とかも言ったりしますけれども、普通であるというか、「求められている状態を演技する」みたいなことも必要であると考えているんですか?

井上:いろいろな考え方の本がありますが、(ケアは)本当に大事なんですよ。ピンチの時、血が出ている時にすべきは、まず止血であってケアなんですけど、やはりその後に(職場に)戻ったら人事評価があり、ノルマがあり、みたいな世界で、そこはケアと乖離しているんですよね。

小川:確かに。

井上:だから、まずはケアをする。そしてもう1回、その世界に戻っていく。でもやはり、自分は演技をしている。自分だけじゃなくて、誰もが演技をしていて、でもそれによってすばらしいものも生まれている。人間が共同作業をするというのはそういうことでもあるので、それが息苦しくなり過ぎると駄目ですね。「そういうものなんだ」という認識で戻る。

さっき言った、僕が環境を変えてもらったというのは、その演技がぎりぎりできる状況を作れた。ラッキーではあるんですけれど、例えば自分が「この人と会うとパニック的になってしまう」みたいなことってすごくあると思うんですよ。その人と実際に演技を続けていくことはできないですよね。

そういうパニックだったりストレスの根源みたいなものを取り除いて、「自分がぎりぎり演技を続けられるような範囲なのか?」という問いを、自分に向けてもらうということですよね。

無理せず自分らしく働き続けるコツ

小川:ありがとうございます。そうですね。まさに環境調整とか言いますけども、例えば人事の方と話すなりして、自分が正常でいられるような状態をいかに作るか、みたいなところもすごく大事ですね。

井上:難しいですけどね。リアルなところでは「言うと、面倒くさがられるんじゃないか」みたいな。

小川:じっくり聞かせていただいたんですけれども、あらためて井上さんに「無理せず自分らしく働き続けるコツ」とか「自分を守る思考法」みたいなところを、うかがえればと思うんですが、いかがでしょうか。

井上:そうですね。だいたいお伝えできたんですが、やはり「演技をしているんだ」という、演技ができる環境を作ることが、今日いちばんお伝えしたかったことです。そこで「自分らしさ」みたいなものを追求すると、けっこう難しいなと。

本来、人間は自分らしくあっていい、そうあるべきだと強く思うんですけれど、社会がそうなっているかというと、そうでないところもある。その中で、「こういう自分だったら許せるな」とか、他人との関係の中で自分像みたいなものができてくる。他人がいて演技が始まるからこそ、その中で「あ、自分にはこういうところがあるな」ということがだんだん見えていくものであって。

「本当の自分はこんなものじゃないのにな」とか、さっき言っていた「いつでも・誰とでも・どこでも働ける」みたいな、本質的な何かを求め出すと、かえってつらくなるんじゃないかなと思いますね。

「自分らしさ」を探し求めるよりも大切なこと

小川:自分というものは環境との相互作用の中で出てくるものだから。それを「自分らしいものとは」みたいなことをあまり考えてしまうと、それはそれでしんどくなってしまうんですね。

井上:そうですね。やはり演技をすると言いつつも、それは常に一定のアクションを演じているわけではなくて、やはり人間は演技をしなきゃいけないぐらい、すごくぐにゃぐにゃしたものなんですよね。さっき五角形(のチャート)と言ったけど、同じ軸があったとして、「昨日はこれぐらいだけど、今日はこれぐらい」というものがあったりするので。

さっきの「環境から切り離されても、自分を保って独立した存在として安定しなければならない」みたいなこと自体が、あえてわかりやすく言うと1つの大きな嘘というか。

「そんなはずはないんだ」というところから始めて演技をするのと、わからないまま演技を続けるのでは、けっこう大きな差があるかなと(思います)。

小川:興味深いですね。最近は「ありのまま」とか「そのままでいい」みたいな話って、すごく増えてきたと思うんですけれども、井上さんのお話だと、社会は別にそうなっていない部分も多いから、その中で弱さを出しながらやっていくみたいな。これまでともまた違うお話かなと思ってうかがっていました。

井上:加えると、「演技自体が悲しいマリオネットじゃないんだよ」ということも言いたくて。それは別に職場じゃなくても、親に対しての自分と、友人に対しての自分って、同じ人間とは思えないぐらい、ぜんぜん違う振る舞いをすると思うんです。

小川:確かに。

井上:演技をしなくていい状況に置かれたら、そういう自分が出るのであって。人と関わるということは、やはり演技的に振る舞うことだと思うんですよね。それが相手に対する優しさにもなれば、暴力的にもなり得るし、人間はそもそもそういうものなんだなという。

ちょっと僕が演技、演技と言い過ぎると、「それが社会の厳しさだ」みたいにも聞こえかねないと思うんですけれど、そうではないんだと。そういうものであり、演技は舞台が変われば極端に変わってしまう。

小川:役割が変わるみたいなところですかね。なるほど。いや、すごく興味深いお話です。ありがとうございます。

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