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強いビジネスパーソンを目指して疲れた方へ。『弱さ考』著者と考える、自分を守る思考法とは(全3記事)

Slackの「。」がないだけで怒っていると勘違い 過労でメンタルを崩した編集者を襲った心身の異変

【3行要約】
・株式会社Awarefy代表取締役 / CEOの小川晋一郎氏と、『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の 弱さ考』著者の井上慎平氏による、キャリアとメンタルヘルスをテーマにした対談をお届けします。
・複数回の休職を経験した井上氏は、短期復帰と無理な対策で症状を悪化させました。
・井上氏は、「自分の症状を認めたくない」とやり過ごさずに、自分の状態を冷静に分析する必要があると語ります。

前回の記事はこちら

「自分だけは大丈夫」という思考の罠

小川晋一郎氏(以下、小川):(最初の休職から)戻ってきて、またすぐ普通に働き始められたのでしょうか?

井上慎平氏(以下、井上):最初が1週間か2週間か忘れたんですけど、2週間〜1ヶ月とかで戻れちゃうんですよね。僕の場合は結局、恐らく過度な脳疲労が原因だったと思われるので、ずっと休んでいれば、根本的には何も解決していないのに戻れてしまうんですね。

周りのうつ経験者の人が、「井上くん、それは短すぎるから、どんなに少なくても2ヶ月~3ヶ月は休んだほうがいい」って。産業医の先生にも強く勧められていたんですけど、僕はそれを認められませんでした。「いや、自分だけは大丈夫だ」みたいな慢心があって、また同じところに戻ったけど、根本が解決していないのでまた同じことが起きました。

小川:なるほど。戻る時は、ご自身の感覚としては、頭の働きも完全に戻っている感じがしていましたか?

井上:ぜんぜん完全ではないんです。「Slackを打っていても文字が入ってこない」みたいな異常事態からは抜けて、読めるぐらい。認めたくないんですけど、以前に比べたら明らかに本も読めなくなっている。だけど、ちょっとできるようになってきたら、「俺はもう大丈夫だ」と言い聞かせたかった部分が大きかったですね。

小川:なるほど。戻ってきているし、「このままやれば普通に戻るだろう」という感覚だったんですね。

井上:そうですね。その時は風邪を引いたぐらいの感じで、生涯症状が残る可能性があるとは、ぜんぜん思い至りませんでした。

自分の症状を認めたくなさから“治すために登山へ”

小川:それで1回目の休職から戻られた後はどれぐらい問題なく働けていたんでしょう?

井上:たぶん4回の休職が、ざっくり2ヶ月〜3ヶ月ごとぐらいに駄目になるのを繰り返していましたかね。本当に1年近く休んでから深く反省して、根本的な解決をしてから戻ったんです。

小川:なるほど。じゃあ休んでいる間は、基本的には横になられていた?

井上:いや、ぜんぜん。そんなことをしておけば良かったなという感じなんですけれど。やはり1分が惜しくて働いていた時って、「今ががんばり時だ」みたいな気持ちもあったので、めっちゃがんばって治そうとしちゃうんですよ。

僕は朝、始発で登山とかに行っていました。自然が好きだったので、「自然の中に行けば癒やされるだろう」みたいな。本来はベッドに横になって、ちょっと外を散歩するところから始めて(おくべきでした)。今でもいちばん覚えているのが、その時に不眠だったんですよ。うつの時はよくあるんですけれど、睡眠薬や導入剤を飲んでも寝れない。

4時半ぐらいまで寝れないで、5時にぱっと目が(覚めて)、30分だけ寝れたことに気づいて、「あ、登山に行ける」と、そのまま登山に行ったんです。なので、それぐらいビジネスマインドというか、うつという問題を解決しようとしてしまったという。

小川:「何かしらアクションをしなきゃ」ということで行かれていたと。ちなみに登山から帰られた時って、やはり少しすっきりされていたりするんですか?

井上:脳の機能不全の全般に言えると思うんですけど、たぶん「今、自分がどれぐらいの体調か」というのがわからないんですね。登山へ行った時は行き帰りで運動もしているし、その自覚はあんまりなかったと思います。「すごい辛いからもうやめよう」と思っていないから何回も行ったし。

小川:ということは、「疲れている」という感覚もそこまでなかったんですね。

井上:そうですね。それが山に登った疲れなのか、昨日寝れていないからなのか、もう何が何だかよくわからない。やはり根本的に「自分の症状を絶対に認めたくない」という色眼鏡を掛けて見ているので、冷静に分析できなかったんでしょうね。

背伸びを止め、なりたい人物像から降りた感覚

小川:その後の休職をされた後に、深く反省されたとおっしゃっていたと思うんですけども、その時はどんなことをされていたんですか?

井上:1つは背伸びをする中で、業務範囲が広すぎたんですね。僕は編集長なので、本の企画の判断とかもやりながら、マネジメントなんかしたこともないのにしっかりやる。

本当に4人とか5人とかのちっちゃいチームだったんですよ。でも一応、「そこだったら井上さんがリーダーだよね」となって、チームリーダーも兼ねていたので、それを辞めました。その時に、「ああ、もう自分は『こうなりたい、できる人物像』みたいなところから降りたな」という感覚とともに。

小川:なるほど。その感覚はあるけれども、やらないと解決しないからというので、リーダーから降りた。ご自身でそれをお伝えしたんですか。

井上:そうですね。うつが本当につらかったので、さすがに自分から伝えて降りたんです。でも、正直なところを言うと、やはりそういう自分が認められない気持ちはありました。ただ、もう純粋に体や脳がついてこないのはわかっていました。もし、例えば10ヶ月休んで、いちばんいい時のコンディションで戻れていたら、ひょっとすると「できます」と言っちゃっていたかもしれないですね。

診断をオープンにして復職へ

小川:ありがとうございます。戻られる手前の休んでいる間も、基本的には登山に行かれるか、お休みになっているかみたいなところだったんですかね。 

井上:そうですね。ごめんなさい、さっきの登山へ行ったというのが、大きく谷を経て帰ってくるところでいうと、谷のかなり沈みかけのところ。それ以上行くと、さすがに登山もできなくなるという、もっと底が待っていたんです。

小川:ありがとうございます。そうすると、そこでさらに落ちてしまわれて。でも基本的には病院も行っているわけですよね。

井上:そうですね。服薬とかにぜんぜん抵抗がなかったので通っていましたね。

小川:じゃあそこから先は、しばらくは本当にお休みになって、様子を見ていた感じですか。

井上:そうですね、ほぼ記憶がないですけど、ちょっと散歩に行くぐらいが限度で、とにかく時間だけがある感じでした。

小川:すみません、話が前後しちゃったんですけど、戻られてリーダーを降りて、ご自身の感覚的には「認めたくない」みたいなものも残っている中で業務を再開されて、その時はどのような感じだったんでしょうか?

井上:そこから1年半は、すごく恵まれていたと思います。具体的に言うと、僕はリアルタイムのコミュニケーションがいちばん脳疲労につながるので、できるだけ減らしてもらいました。職場でも25分ぐらい仕事をしたら、5分物理的に横になるのを繰り返して。

そういうことに対して、周りがすごく配慮をしてくれた。ただ、一歩手前には、障害者手帳を取る決心があったんですけれど。あと、双極性障害の診断が下りましたということをオープンにしていたからできたんですけれど、それはすごく恵まれていました。

(もし)僕が就職2年目で、「実は自分には居場所がないのかも」と思っている時に、それを言えたかと言われたら言えなかったので、ラッキーでしたね。

配慮してもらっても安定した自分を失っていた

小川:ありがとうございます。でも、すごく大事ですよね。(診断を)オープンすることに対しての抵抗みたいなものはなく言えたんでしょうか。

井上:言えたんです。僕が曲がりなりにも編集長という肩書を与えられており、1年半をかけて、僕がどういう人間かを知ってくれている人がいる状況だったから、ぜんぜん抵抗はありませんでした。その両方がなくて、例えば転職したてのような状況では、また違った復職があったでしょうね。

小川:なるほどですね。そういう意味では、関係性ができていたから言えたんですね。

井上:ぜんぜん悪い会社じゃないので、すごく配慮もしてくれるだろうということも想像できていました。

小川:ありがとうございます。そこで1年半やられて、最後に10ヶ月休職されたのはその手前のところですか? 

井上:がーんと谷があって、そこが10ヶ月で、復職してからまた1年半ぐらいして、そこからまた体調を崩してしてしまいました。復職するつもりだったんですけど、いろいろ考えた結果、退職のかたちになりました。

Slackのちょっとした表現に不安になってしまう

小川:なるほど。コンディションもある程度良く、調整もできて働かれている中で、最後にもう1回休職されてしまった時は、どんな感じだったんでしょう?

井上:すごく配慮してもらったんです。できることは全部してもらった。それでもやはり、25分働いたら5分横にならなきゃいけないって、土台の体力が足りていないというか。それがわからなかったというのも正直なところです。

1年半やっている時に、「このまま配慮してもらって、ずっとできるかもな」と思っていた部分もあるんですよ。が、急にガタっと崩れた。じゃあ、崩れたのはなんでなの? といった時に、それはわからないですよね。それぐらい脳という臓器はわからない。

小川:じゃあ何かの大きなきっかけがあったというよりは、ベースのところが少し足りていなかったのも含めて……。

井上:ベースが足りなかったのも確かで、何かランダムなことが起きて、急に脳が駄目になったのも確かです。やはり脳が不安定で、昨日と今日でぜんぜん状態が違う。Slackに「。」が1個付いていないというだけで、まったく責められていないのに「この子、めっちゃ怒っているんだ」という被害妄想を(していました)。

「そんなことは以前は思わなかったのに」という変化もあったので、感覚として、「安定している自分」みたいなものを失っていたんです。

小川:それで最後は休むことを決められたと。赤裸々にお話しいただいてありがとうございます。

井上:いえいえ。

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