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発達特性と仲良くなる日。〜特性を“使いこなす”という自分攻略法〜(全4記事)

勉強のやる気が起きない時は「経験値を稼ぐ」と考える うまくいかなくて挫折、継続できない人のための習慣術 [1/2]

【3行要約】
・勉強のやる気が出ないというのは、学習を続ける上で大きなハードルとなっています。
・株式会社キズキの林田絵美氏と半村進氏は、YouTubeから始める、経験値を稼ぐという考え方など、従来の勉強法にとらわれない方法を提案しています。
・自分を責めず、昨日と少し違うことをやってみる、解答を先に見るなど、小さな一歩から始めることで勉強への抵抗感を減らしていくことができます。

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勉強のやる気が起きない時は「YouTube」から始める

半村進氏(以下、半村):あと、チャットにすばらしいご質問がきています。見てみますと、「通信制高校を卒業し、『大学に行きたい』と言って自宅で浪人中の男子が、家ではまったく勉強を始めることができません。どういうふうに声がけをしたらいいのか、途方に暮れています」。

まあ、親御さんの切なる気持ちですよね。時々親御さんだけじゃなくてご兄弟からこんなご相談いただくこともあるんですけれど。林田さんだったらきっとお説教するとか正論ばっかり言うなんてことはしないと思うんですが、「自分だったらこんなことをするかなぁ」というのはありますか?

林田絵美氏(以下、林田):そうですね。本当に状態にもよると思うんですけれども。さっき特性に応じて自分の頭に入りやすい情報の特徴があると申し上げたと思うんですが。それは必ずしも特性という観点だけじゃなくて、その時のコンディションとか、状態とか気分にもよると思うんですよね。

例えば私も最初、勉強にぜんぜん乗り気になれなかった。高校時代、新しい環境にまったく慣れなくて、勉強にぜんぜん身が入らなかった時期があったんですけど。世界史の勉強にどう集中していこうかなと考えた時に、YouTubeでずっとローマ帝国の動画を見ていたんです。

最初はそんなにおもしろいとも思わなかったんですけど、やっぱり頭が働かない時にギリギリ頭に入るのが、そのYouTubeだったんですよ。それでだんだんそのYouTubeをやっていったら、勉強をするハードルが下がっていって、勉強できるようになった時期があったんですね。

なので今、普通に学校で求められているような勉強は、例えば問題集を解くとかだと思うんですけど。入り口がそこからじゃなくていいというのは、お伝えできるかなと思います。半村さん、どうですかね?

勉強ではなく「経験値を稼ぐ」と考える

半村:あと、どういうふうに声がけをしたらいいのかということなので、その点もちょっと申し上げておこうかなと思います。ただ、これもすごくお恥ずかしい話をするんですけど、「東大に入っているから、お前は勉強ができるんじゃないの」と思われるかもしれないんですが。

実は僕は5年半引きこもっていた時、勉強どころか歯を磨くこともできなくて、引きこもっている間に歯を6本なくしているんですよね。ちなみに今はさらに残っている歯が少ないですけれど。そういう状況も経験していて、何かを始めることができない。歯磨きすら始められないみたいなことは、自分も身に染みてちょっとわかる気がします。

じゃあ、どういうふうに声がけをすればいいかということなんですけど。もしお子さんがゲームとかがお好きなら、「経験値」という言葉もいいんじゃないかなと思ったんですよ。

「ちょっとだけ経験値を稼いでみたら」と。ゲームで経験値という言葉はよく出てきますけど、うまくいく時、うまくいかない時、どっちであったとしても、ちょっとだけ経験してみたという意味で、経験値という言葉を使っているんですよね。

例えば半年ぶりとか、もっと言えば3年ぶりぐらいにそれこそ「YouTubeの勉強動画を見てみたよ」みたいなのも経験なわけですよ。親御さんはどうしても、「勉強はどうするのかな」「ちょっとこういう参考書とか見てみたら」と言いたくなると思うんですけど、「久しぶりの経験として、勉強の方面で経験値を稼いでみたら?」という意味合いで、ちょっとだけ日々やることの幅を広げてみようと。

本当は僕、「新しいお菓子を買ってみる」みたいな経験値もいいと思っているんですけど、勉強のことでというのであれば、ちょっとだけ昨日と違うもの、1ヶ月前と違うものをやってみよう。経験値だけ稼いでみたらどうなんだという。そういう方面でのお声がけのほうが頭に入りやすいかもしれないですね。

あと、(質問者は)「通信制高校を卒業して」という方だったわけですけれども、キズキの生徒さんで、まさに通信制高校を卒業して、20歳ぐらいで初めてご相談に来るなんていう方が多かったかなぁというのも思い出していました。

昨日と「ちょっと違うこと」をやってみる

半村:いい質問がまだまだきています。「少し内容がずれてしまっていたらすみません。ASDと診断を受けたのですが、すでに不登校を経て、今勉強ができる状態じゃないです」と。

キズキの創業者の安田(祐輔)もASD、そしてADHDを持っているんですね。「今、勉強ができる状態じゃないです」というのを正直に書いてくれてすごく立派だなと思いました。「言うのがちょっと恥ずかしいな」という気持ちもあるかもしれないんですけど、ちゃんと書いてくださってありがとうございます。

さっき言ったように、勉強どころか歯磨きすらできずに歯をなくしちゃった自分としては思うことがあります。「今、勉強ができる状態じゃないです」というのを恥ずかしく思っているかもしれないですけど、そんなに恥ずかしく思わなくてもいいと思います。

じゃあ何をすればいいのかなとなった時に、さっきの経験値という言葉をちょっと思い出してほしくて。例えばこれまで通ったことのない道が実は近所にあったらそこを通ってみるとか。僕も、引きこもりからの回復期にちょっと似たようなことを実はやっていたんですよね。

食べたことのないお菓子を買ってみて、こじつけかもしれないけど、「今日人生初の経験が積めたぜ」みたいなことを寝る時に考えるとか。だから「自分は何にもできていない」と思っちゃうかもしれないんですけど、そうじゃないんじゃないのかなと。

昨日とか一昨日とか、2週間前、3週間前と違うことをやってみる。それがちょっとずつ積み重なっていくと、最初はこじつけに思えるかもしれないけど、前よりもやれることがちょっと増えている。

そしてもし誰かの力を借りたいなということになったら、こういう話ができる人はキズキにも多いと思うのでお力になれればと思います。でもまずは、こういうお答えでした。

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