発達特性と仲良くなる日。〜特性を“使いこなす”という自分攻略法〜(全4記事)
「1日何時間勉強するか」ではなく「頭が働く時間帯」を見極める 勉強が続けられない原因と対策 [2/2]
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その道のプロでも計画どおりには進まない
半村:これを聞いて、ついついみなさん、さっきの比較の話じゃないんですが、「いやいや、林田さんみたいなすごい人はできるかもしれないけど、自分はそんなの無理だよ」って思うかもしれないんですけど。実はこの本にも、あとキズキの中でも、もっと小さな対策とかも僕らは日々話していて。
例えば、さっき計画のお話がちょっと出ていたと思うんですけど。みなさん計画をがんばって立てても、1日、2日は守れたんだけど3日目に守れなかったみたいなことがあると、もうさっきの0か100かになってしまう。
「もうたった3日目で自分は守れなかった」「やっぱり自分は勉強に向いていないやつなんだ」みたいな感じになりやすいんですけど。僕が時々キズキの生徒さんに話していたエピソードがあって。
みなさま、2021年の東京オリンピックのことを覚えていらっしゃいますか。あの時、「東京でオリンピックをやるよ」ということが決まったら、国家的なプロジェクトですから日本中から第一人者たちが集められてすばらしい計画を組んで、すごいチームができてやっていったわけですよね。
いろいろ予定どおりにいかなかったことはあるんですけど、僕が一番覚えているのは実はエンブレムなんですよ。みなさん、覚えていらっしゃいますかね。スタジアムとかどうこうの前に、まずオリンピックのエンブレム、マークを作ろうと。ところが、満を持して発表されたそのエンブレムに盗作疑惑が出てしまった。
「これ、別のアーティストのやつを盗作してるんじゃないの」と言われて、いきなりエンブレムを変えなきゃいけなくなったんですよね。なんで僕がこれが一番印象に残っているかと言うと、本当にプロ中のプロが計画を作ってがんばっても、いきなり計画どおりにいかないことは大人でもあるわけですよ。
だから自分を誰と比較するかという時にこんなエピソードをちょっとだけ頭に描いてみると、「自分が計画を守れなかった。あぁ~もうダメだ!」となった時に「いやいや、プロ中のプロが立てた計画でも、いきなりエンブレムからつまずいたじゃないか」「だからどんな人間だって計画でつまずくのは当たり前なんだ」と考える。 理想が強いタイプほど、計画に「休憩時間」を入れる
半村:あとこれも林田さんの著書の中にあったんですけど、計画を作る時にわざと予備の時間を組み込んでおくとか。計画1つとっても、そういうやり方がちゃんとあるわけですもんね。
林田:そうですね。おっしゃるとおりで、私もそうだったんですけど、この理想が強いタイプの人。休憩時間とかちょっと頭が働かなくなる時間とか、そういうのを一切考えずに、勉強の計画を作る人はやっぱりいるんですよね。それは仕事でも一緒なんですけれども。
ただ現実に落とすと、やっぱり休憩したい時とか、勉強していてもちょっと頭が働かなくなる時があって、そこも見えるようにするのはすごく大事なことなんですよね。
なので私自身も、最初は本当に詰め詰めの計画が理想だったんですけれども。そうじゃなくて、ちょっと休憩することが理想の姿のうちの1つだということをちゃんと知っていくのが大事だったりしますよね。
「1日何時間勉強するか」よりも「頭が働く時間帯」に勉強するのが大事
半村:あと1つ僕が思ったのが、発達障害の特性をお持ちの方は睡眠のリズムが乱れやすいとか、日常生活を同じリズムに保つのが難しいということがあると思うんです。
みなさん焦っているし、完璧に計画を立てなきゃみたいに思っていると、「1日何時間勉強すればいいんでしょう」「1日何ページやればいいんですか」と聞きたくなると思うんですよね。その計画は守れないかもしれないんだけど、聞きたくなっちゃう。
ただ、僕が時々こんな方々に申し上げているのは、「勉強時間よりも勉強時間帯を」ということがあるんですよね。例えば勉強時間というのは、「1日6時間やらなくちゃ」みたいな時間の長さですね。
だけど僕が思ったのは、6時間やっていてもぜんぜん頭に入らないこともあると思うんですよ。しかも「6時間やるべきですよ!」と言われたら、もう“べき思考”にとらわれてしまって、それができなかったら一気に心が折れかねないわけですよね。
その時に、林田さんの「自分を知る」こととつながるんですけど、自分の頭が一番働きやすい時間帯はどこなのかなと考えてみて、まずは一番無理なく頭が働きそうな時間帯に勉強のスケジュールを組み込む。
「何時間やらなきゃ」よりも、「自分の生活リズム的に、やりやすい時間帯はどこなのかな」というのも、特性を考えていく上で重要なのかなと思って、時々こんなお話をしていますね。「勉強時間よりも時間帯を」ということでした。
頭に入ってきやすい「色」は一人ひとり違う
林田:今のやりやすいところというので、もう1つあるのが、勉強のどういう情報が自分の頭に入りやすいのかも、けっこう人によって違ったりしますよね。
例えば読んで目で追うのが頭に入りやすい人とか、私の場合だと、書き写すのが一番頭に入りやすかったりとか。人によっては声に出して読む、だったりするんですよね。そういうのもやっぱり、自分の特性と合う勉強方法を見つける上で大事だったりしますよね。
半村:ええ。僕もこのパートで最後のお話にしますが、キズキで先生をやらせていただいた時に、生徒さんに好きな色があるというか、頭に入ってきやすい色があるということに気づいて、それが青だったんですよね。
林田:おもしろいですね!
半村:それ以降、僕は板書を全部青い字で書いて、ノートも全部青い字で書いてお見せしていたんですけれど。その時に、英語検定の合格がそれで一気に近づいたなんて例もあったのを思い出しますね。 続きを読むには会員登録
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