なぜ仕事をがんばりすぎてしまうのか?
石野:さあ、今回は「なぜがんばりすぎてしまうのか?」というところも、ひもといていきたいと思います。みなさん本当にがんばっていらっしゃると思いますが、「なぜがんばっているのか?」、浮かんだ方がいらっしゃったらチャットで教えてください。

例えば「上司に認められたい」「同僚に勝ちたい」、逆に「キャパオーバーのタイミングがわからないから、がんばりすぎてしまう」という方もいらっしゃると思います。金井さん、ふだんがんばり屋さんのみなさんって、どういった理由で悩んでいらっしゃいますか? もしくはがんばりすぎてしまいますか?
金井:がんばりすぎてしまう方って、がんばっている自覚があまりない人が多い気がしますね。「こんなにがんばっているのに」と思われる方もいるんですけど、たぶんデフォルトでがんばれちゃうので、気がついたらやりすぎていたというか、というのがすごく多いと思います。
(チャットの反応を見て)「自分のキャパオーバーがわかりません」みたいなコメントをくださっていますけど、そういう方が多いような気がしますね。小川さん、どうですかね?
小川:そうですね。なぜがんばりすぎてしまう? 確かに、あんまり自覚せずにというのはあるかもしれないですね。
無理していることを自覚できないパターンも
石野:今、チャットに送っていただきましたけど、中には「上司の評価がとても気になります」と。確かに他人とか評価者からの目線もあると思います。
小川:自分からやりたくてやるというより、「求められているから」とか「やらなきゃいけないから」みたいな感じで、ついつい求められるからがんばってしまうケースもあるのかなと思いました。
金井:なるほど。さとちゃん(石野)は、がんばりすぎてしまう系だと思うんですけど。
石野:はいはい、私はそうですね。
金井:がんばりすぎちゃうのは、なぜなんですか?
石野:まったく一緒で、がんばっている自覚がないんですよ。がんばるタイプだということは、なんとなくわかっている。
私はたまたまポジウィルに入って、自己理解を深める機会があったので、こういう癖があるとわかったものの、がんばっている最中って一番気づきにくいんですよね。私の場合は、ここが悩みのポイントかなと思います。
がんばりすぎを美化してしまう
金井:がんばっている最中に気づきにくいということは、がんばり終わった後に気がつく?
石野:限界を迎えた時。例えば体調を崩した時とか、やり切れた時に気づくんですけど、やり切れると達成感に変わるので、がんばりすぎてしまったことも美化されてしまいます。
金井:なるほど。みなさん、けっこうコメントをいただいていますね。「がんばることが当たり前」「生活のため」「気づいたら麻痺している」「迷惑をかけたくない」。なるほど。
石野:確かに。いろんな意見がありますけれども、今、ピックアップしてもらいました「がんばることが当たり前」。これってもしかしたら、小さい時からの癖とか、親御さんからの言葉の影響もあるのかと思うんですが、金井さん、いかがですか?
金井:そう思いますね。やはり「お母さんとかお父さんのために」と思いすぎている方って、やりたくてやっているというよりは、マストになっちゃうんですよね。だから、「自分がやらなきゃいけない」という思考が強いなと思っていて。
まずは自分の努力を認めてあげる
金井:例えば私は、親が何も言わなかったんですよ。なので、「親のためにがんばる」って思ったことは人生の中で1回もなくて。それなりにがんばるほうだと思うんですけど、そんなに負担になったことがないんですよね。だから、「しんどい」になった時は、適当に自分でサボるし、自分で休むことができるほうだと思うんです。
だけど(がんばりすぎてしまう)みなさんの場合、周りや「親のため」というところが「上司のため」「お客さんのため」とかに向けば良いんですけど、そっちじゃなくて、社内に向いちゃう方が多いような気がしますね。
石野:そうですよね。そういった方のほうが多いかと思うんですけれども、人のためにがんばりすぎてしまう、誰かの期待に応えたいと思ってしまう方には、キャリアのプロとしてどんなアドバイスをされているんですか?
金井:先に「がんばりすぎている」ということをお伝えするかもしれないですね。「よくがんばっているね」というか。
石野:自分では気づけない部分を、トレーナーとしてお伝えするというか。
小川:聞いてもいいですか? その場合は、「がんばりすぎていますよ」とお伝えすると、どういう反応がありますか?
金井:「がんばりすぎていますよ」というより、「よくがんばっていますね。みんなのためにやってきたんですね」とかっていう話をすると、けっこうみなさんワーッて感情が出る方は多いですかね。
石野:そうですよね。私もそういったご指摘をもらった時は、ついつい涙が出てしまうというか、正直に言うと図星なんですよね。がんばりすぎていることに気づいていないふりをしてがんばっていたりするので、心理的負担みたいなものもいろいろとあると思います。小川さんにもそういう声は届きますか?
小川:そうですよね、自分がとにかく一生懸命やっているけれども、がんばっているとも思ってなくて、でもそれを受け止めてもらえると、やはり感情があふれるというのはすごくあるよなと、うかがいながら思いましたね。