考え方の“クセ”がついてしまう
金井:小川さん、聞いてもいいですか?
小川:はい、もちろんです。
金井:反芻思考って、なる方とならない方がいらっしゃる気がしていて。例えば、上司に怒られたとか、「これ、良くないよ」と注意されたとするじゃないですか。それをわりとポジティブに捉えて「がんばろう」みたいになる方と、「私なんて駄目だ」というふうになっちゃう人と、何が違うんですかね?
小川:そうですね、これはいろんなものがあると思っていて。もちろん性格的な部分も、少なからずあると言われるんですけれども、やはりこれまでずっとそういう考え方をし続けてきたと(いうのが大きいと思います)。
その考えるパターンを、自分で何回も形成していっちゃうんですね。それがネガティブ側にいく方もいれば、ポジティブにいく方もいて、その繰り返しにはまっちゃうところがポイントなのかなと思います。
金井:なるほど。それって気づけるものなんですかね?
小川:そこに気づくのがまさにポイントなんですね。反芻思考がどういうふうに起こるかというと、あんまり考えずに勝手に起こっちゃうんですね。これを「デフォルトモードネットワーク」って言ったりするんですけれども。
金井:すごい。
小川:あんまり別にこれ自体を覚える必要はないんですけれども(笑)。ふだん何も考えてない時、意識的に考えてない時も、脳ってけっこう活発に動いているんですね。
そういう時にこそ、先ほどのような、(上司に)言われたこととかをぐるぐる繰り返している。街を歩いていても、けっこう頭の中で考え事をしていることが多いと思うんですけど、こういう時がまさに、デフォルトモードネットワークがめっちゃ動いているという状態ですね。脳で使われるエネルギーの60〜70パーセントを消費するとも言われています。
石野:へぇ!
寝る直前まで仕事をすることのデメリット
小川:要は、目の前のことに集中せずに、頭の中でぼんやりぐるぐると、過去のことや、未来の心配を考えている状態になっているんですよね。誰にでもあることなので、ある程度はしょうがないんですけれども。
特に仕事でハイになっているとか、寝る直前まで仕事をしていてワーッとなっていると、それがずっと頭の中でぐるぐるし続けちゃうので、結果的に眠れないとか、しんどくなってしまうんですね。
石野:ありますね。確かに。これ、仕事の夢を見るのも、これと似たようなものなんですかね?
小川:そうですそうです。入眠の前に考えていることとか、感情を引きずっていると、睡眠にけっこう影響するので、その前に気持ちを整えるとかが大事になると言われていますね。
金井:先生、聞いていいですか? 気になるんですけど、みなさんけっこう寝る前まで仕事をしている人が多い気がするんですけど、それを夢にも出ないようにするにはどうしたらいいんですかね? さとちゃん(石野)もそういったことがあるよね?
石野:はい、私もけっこう仕事の夢を見ます。
小川:そうですよね。それが無意識で反芻しているっていうことですよね。
目の前のことに集中してみる
金井:私は逆に見ないんですけど、本当になんでなんですかね?
小川:夢に関してはちょっとわからないんですけど、切り替える・切り替えないというのがあって。次のスライドで反芻思考を解決する方法を2つほど書いています。これは我々のアプリでもできるんですけれども、1つは、目の前のことに集中する。
金井:「今・ここ」ですね。
小川:そうです、そうです。「今・ここ」とかよく言うじゃないですか。
石野:瞑想の時によく聞きますね。
小川:そうなんです。あれは何をやっているのかというと、瞑想とかでよく、「呼吸に意識を向ける」って言うじゃないですか。
石野:はい、呼吸とか体とか。
小川:「どういうこと?」という感じなんですけど、ここでやっているのが、実は反芻思考を断ち切るトレーニングなんですよ。要は呼吸って、今、この瞬間の現象じゃないですか。ここに意識を向けている時って、反芻でぐるぐる考えるのをやめられているんですね。ぐるぐると考えちゃうけど、また呼吸に意識を戻すと、この反芻が切れますよね。
石野:なるほど。
小川:というふうに、今この瞬間に意識を向けることで、反芻のぐるぐるから抜け出すトレーニングをしているというのが1つですね。
仕事後にリラックスする手軽な方法
金井:なるほど。コメントをしてもいいですか? 寝る前に瞑想のアプリを付けて、音を聴きながら、スリープモードを付けて、20分で消すというものをやっているんですけど、それですごく寝られるようになった気が(します)。聴きながら寝るというか。
小川:あー、まさに。たぶん、人間ってそんなにいっぱいのところに集中できないから、考えながら寝るんじゃなくて、そっちに耳を傾けることで、より反芻を切って(から)寝れているのかもしれないですね。
金井:確かに。これをやるようになってから、布団に入って2分くらいで寝ていますから。
小川:それはすごい!
石野:すごい。『ドラえもん』の、のび太並みに速い。
小川:瞑想で呼吸を意識することってけっこう難しかったりするんですけど、おすすめとして「ボディスキャン瞑想」というものがあって。ボディスキャンは、体のいろんなところに意識を向けていくんですよ。YouTubeとかでもそういう音源があるので、「ボディスキャン」でぜひ探していただきたいんです。
頭のてっぺんから、じゃあ次は肩、右手、左手、お腹って、意識をどんどんずらしていくんですね。それだと、ずっと呼吸を意識するよりも楽じゃないですか。そうすることで結果的に、「今・ここ」に意識を向けて、ぐるぐるから抜け出せる感じになります。