2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
第822回 ビジネスWikipedia「直線本能」(全1記事)
リンクをコピー
記事をブックマーク
三井敬二氏:「直線本能」ついてお話ししてみたいと思います。直線本能というのは、物事が線形(リニア)に変化しないにもかかわらず、直線的に変わっていくものだと思い込んでしまうことを言います。
人は急激な変化をあまり好まない生き物です。そうしたこともあってか、例えば今年まで、1、3、5と変化してきたものがあれば、翌年は7くらいになると考えがちです。そのほうが計画も立てやすいですし、変化への対応も楽ですから、ある意味自然な発想かと思います。
一方で、世の中がそのような線形(リニア)の変化ばかりかといえば、そんなことはありません。むしろテクノロジーが進化するにしたがって、線形ではなく指数関数的に物事が変化することが増えてきました。
例えば、物事のコストの下落具合で考えたいと思います。3Dプリンティングの世界だと、2007年には4万ドルだったコストが、2014年には100ドルに下がっているとか、ドローンの世界だと、2007年には10万ドルだったコストが、2013年には700ドルに下がっているといったことがあります。
ここでお話ししたのは物事のコストの下落具合ですが、いずれも1年経ったら前の年の数分の1というペースで下がっていったものばかりです。
では、なぜこんなことが起こっているのか。その大きな理由は、ITの基盤となっている半導体の性能が、ムーアの法則に則って指数関数的に増加していくからです。
事実、今だとスマートフォン1台の計算能力が、人間を月に送り出したアポロ計画の頃の誘導コンピュータの計算能力全体を超えているとも言われています。
最近よく聞くプラットフォーム型のビジネスも、ネットワーク効果で指数関数的に成長していて、それに伴ってそこで生まれる情報も増えている側面もあります。このように、テクノロジーが進化するにしたがって、線形ではなくて指数関数的に物事が変化する事例が増えてきています。
物事が線形(リニア)に変化しないにもかかわらず、人は直線本能によって「線形に変化するのでないか」「直線的に変わっていくのではないか」と思い込んでしまいがちです。
その癖が出てしまうと、実態とはかけ離れたような捉え方になってしまうことがあるので、ぜひ気をつけていただきたいと思います。
ということで、今回は「直線本能」についてお話ししてみました。これも人間の思考の癖としてありがちですので、ぜひその罠にはまらないように気をつけていただきたいなと思います。
心がけとしては、「昨日までと同じスピードで変化するのは誤解なんだ」と、しっかりと意識しておかれると、とてもよいと思います。
2024.11.13
週3日働いて年収2,000万稼ぐ元印刷屋のおじさん 好きなことだけして楽に稼ぐ3つのパターン
2024.11.21
40代〜50代の管理職が「部下を承認する」のに苦戦するわけ 職場での「傷つき」をこじらせた世代に必要なこと
2024.11.20
成果が目立つ「攻めのタイプ」ばかり採用しがちな職場 「優秀な人材」を求める人がスルーしているもの
2024.11.20
「元エースの管理職」が若手営業を育てる時に陥りがちな罠 順調なチーム・苦戦するチームの違いから見る、育成のポイント
2023.03.21
民間宇宙開発で高まる「飛行機とロケットの衝突」の危機...どうやって回避する?
2024.11.19
がんばっているのに伸び悩む営業・成果を出す営業の違い 『無敗営業』著者が教える、つい陥りがちな「思い込み」の罠
2024.11.18
20名の会社でGoogleの採用を真似するのはもったいない 人手不足の時代における「脱能力主義」のヒント
2024.11.11
自分の「本質的な才能」が見つかる一番簡単な質問 他者から「すごい」と思われても意外と気づかないのが才能
2024.11.13
“退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方
2024.11.11
「退職代行」を使われた管理職の本音と葛藤 メディアで話題、利用者が右肩上がり…企業が置かれている現状とは