2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
第822回 ビジネスWikipedia「直線本能」(全1記事)
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三井敬二氏:「直線本能」ついてお話ししてみたいと思います。直線本能というのは、物事が線形(リニア)に変化しないにもかかわらず、直線的に変わっていくものだと思い込んでしまうことを言います。
人は急激な変化をあまり好まない生き物です。そうしたこともあってか、例えば今年まで、1、3、5と変化してきたものがあれば、翌年は7くらいになると考えがちです。そのほうが計画も立てやすいですし、変化への対応も楽ですから、ある意味自然な発想かと思います。
一方で、世の中がそのような線形(リニア)の変化ばかりかといえば、そんなことはありません。むしろテクノロジーが進化するにしたがって、線形ではなく指数関数的に物事が変化することが増えてきました。
例えば、物事のコストの下落具合で考えたいと思います。3Dプリンティングの世界だと、2007年には4万ドルだったコストが、2014年には100ドルに下がっているとか、ドローンの世界だと、2007年には10万ドルだったコストが、2013年には700ドルに下がっているといったことがあります。
ここでお話ししたのは物事のコストの下落具合ですが、いずれも1年経ったら前の年の数分の1というペースで下がっていったものばかりです。
では、なぜこんなことが起こっているのか。その大きな理由は、ITの基盤となっている半導体の性能が、ムーアの法則に則って指数関数的に増加していくからです。
事実、今だとスマートフォン1台の計算能力が、人間を月に送り出したアポロ計画の頃の誘導コンピュータの計算能力全体を超えているとも言われています。
最近よく聞くプラットフォーム型のビジネスも、ネットワーク効果で指数関数的に成長していて、それに伴ってそこで生まれる情報も増えている側面もあります。このように、テクノロジーが進化するにしたがって、線形ではなくて指数関数的に物事が変化する事例が増えてきています。
物事が線形(リニア)に変化しないにもかかわらず、人は直線本能によって「線形に変化するのでないか」「直線的に変わっていくのではないか」と思い込んでしまいがちです。
その癖が出てしまうと、実態とはかけ離れたような捉え方になってしまうことがあるので、ぜひ気をつけていただきたいと思います。
ということで、今回は「直線本能」についてお話ししてみました。これも人間の思考の癖としてありがちですので、ぜひその罠にはまらないように気をつけていただきたいなと思います。
心がけとしては、「昨日までと同じスピードで変化するのは誤解なんだ」と、しっかりと意識しておかれると、とてもよいと思います。
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