2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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刀禰真之介氏(以下、刀禰):その上で、今日は少しみなさんにメンタルヘルス、特に適応障害、鬱ということに関して、残り20分ぐらいで共有できればと思っています。これはよく出す題材なんですけど、みなさん、頭の中で思い浮かべながら聞いてください。
「どうしよう人が倒れている」。みなさんだったらどうしますか? A.助けを呼ぶ B.意識があるか声をかける。どちらでしょう、という話なんですが、実は両方違うんです。
ひっかけ問題で恐縮なんですけども、実はまずは行うべきは自分の安全確保。これは救急の考え方もそうだったりするんですけども、メンタルヘルスの考え方もまったく一緒で、人を守る前に、まず自分を守りましょうというのが鉄則だったりします。
法律的にも労働安全衛生法という、人事の方だったら安全配慮義務みたいなのも、聞いたことがあるんじゃないかなと思うんですけども。もちろん事業主に安全配慮義務があるんですけども、社員さんにも、実は「自分の健康は自分で守りましょう」というのがちゃんと法律に設定されています。
なので、守るべきはまず自分というのが、よくお話しさせていただいている内容です。がんばり過ぎちゃう人たちは、ここをうっかり忘れているケースが少なくないです。
そもそも、ストレスって何か。最近YouTubeをよく見ていて、ストレスの動画を見ていた時、(ストレスは)刺激みたいなことを言っている人がいました。それが不正解とは言いませんけれども、あくまでこのメンタルヘルスとか鬱、適応障害という観点でいくと、ストレスとは、「期待値のズレ」です。
イメージしていただくと、都内ですごく急いでいる時にタクシーが捕まらないと、ものすごくイライラしますよね。一方で僕の奥さんは、沖縄出身なんですけども、沖縄へ行ってタクシーが捕まらなくても、「まあ仕方がないか」と思えるわけですね。
そういった同じタクシーを待つというシチュエーションでも、状況によって期待しているか。すぐ来てほしいのにと期待していたら、どんどんストレスが溜まりますし、あまり期待していなかったら、実はあんまりストレスは溜まらないんですね。なのでストレスは、僕は「期待値のズレ」と呼んでいたりします。
そういったストレスがどんどん溜まるとどうなるかというと、これもみなさん、持って帰ってほしいんですけども、こういった症状が出るんです。つまりここで言いたいことは、いろんなパターンがあって一般化できませんという話です。
僕の場合は不眠に出ます。ある人は肩こりに出たり、ある人は胃が悪くなったり下痢になったり、手汗に出たり、いろいろ出てくるんじゃないかなと思うんですけども。何が言いたいかというと、みなさん自分のストレス反応が起こった時に、自分がどこが不調になるかというのを、ぜひ自分で知ってくださいというところがスタートかなということです。
ストレスの構造のモデル、少しここもご案内しておきます。個人的要因と職場でのストレッサー、職場以外でのストレッサーがあると言われてます。これは職業性ストレスモデルなんですけど、一番要素として大きいのは、実は個人的要因。遺伝要素が一番大きいと言われていたりもします。
会社としてできることは、職場でのストレッサーをある程度なくしていくことが、一番やれることかなと思いますし、職場以外のところもどこまでフォローできるかというのが、会社が可能な予算の範囲、福利厚生を使ったりできる範囲かなとは思いますので、ポイントとしては、職場と職場以外があるという発想を、まず覚えていていただければというところです。
そして少し嫌な話をするわけですけども、自殺者ですね。これは平成14年前後だったかな。2000年前後をピークに3万人いた方々が、2020年だけ2万人少し増えてしまったんですけれども、大きなトレンドでいうと減っています。そして青が男性で、赤が女性ですが、女性のほうは実は自殺する人は少ない。
ちなみに、40代男性マネージャーの層が、一番仕事として負荷率が高かったり、あとは経営者なんかもけっこう鬱になる人も多かったりするので、実は男性のほうが自殺する人は多いんですけども、メンタルクリニックに通っている方々でいうと、3分の2は女性というところで、女性のほうが自分のメンテに、積極的なんじゃないかなとは思っています。
じゃあなんで自殺してしまうかというと、ここ数年いろいろ芸能人だけじゃなく、過去にはスポーツ選手とか有名人も、いろいろ不幸な結末になっているケースもあると思うんですけども、こういったこと(心理社会的要因)が複合的に重なって、フッとした瞬間に自殺してしまうというかたちなんですね。
けっこう嫌な話ばっかりで恐縮なんですけども。自殺は失敗も多くて、なので失敗した方々は死ななくてよかったという話をよくするんですけども。僕はよく経営者向けにも話するんですけども、僕を含めてこういった自殺だったり、鬱になる可能性が、0パーセントの人はいませんということです。誰もがなりますよと。
それを前提として、日々のストレスマネジメントをされたほうがいいです。だからセルフケアが重要なんですよという話です。
この分野をまとめていきます。メンタルヘルスの「いろは」の「い」。「ご自身を守れる」ことが「いろは」の一番スタート。最初です。
あと、ストレスというのは「期待値のズレ」です。そしてストレスは、個人的要因の他、「職場」と「職場以外」で、複雑に絡み合っているということが前提になります。自殺リスクは誰にでもあります。なのでやばい時は「逃げましょう」が一番正しいことですというのを、よくお話ししています。
その上で、じゃあセルフケアとは何かというと、カタカナでわかりづらいと思うんですけども、「ご自身の守り方」になります。検索していただくといろいろ出てくるんですけども、もう少しわかりやすく説明します。
「プラセボ効果」というのをみなさんご存知でしょうか。治療効果のない薬でも、本物と思い込んで飲むと効いてしまう効果のことですね。
実は鬱病に関して、「本物の薬ですよ」と、小麦を1週間飲んだ時の効果と、本当に薬を飲んだ時の効果、両方とも鬱病の抑制があったという研究結果があるぐらい、「マインドが重要」ということですね。当たり前なんですが、心の持ちようが重要という話です。
そういった背景から出てきたのが、ポジティブ心理学。ポジティブな人になろうというのが、2000年前後からありまして、こういった心理学があったりします。ポジティブシンキングがもたらす科学的なメリットってけっこう大きくて、別に鬱病対策だけじゃなく、エビデンスレベルでいうと、ここに書いてあるような、生産性から鬱病発生率が下がるというところまで出たりするので。
ネガティブがポジティブかと言ったら、ポジティブになったほうがいいというのが、なんとなくみなさん、「そんなのわかってるよ」と思うと思うんですけども。当たり前の結論のように言いますけれども、そうなんです。
でも「どうしてもネガティブなんだよね」という人がいることも理解しています。実はポジティブは作れますよというのが、ポジティブ心理学なんですけども、そのための方法としては、ポジティブな人と付き合うことと、three good thingsをやりましょうという話ですね。
ポジティブな人と付き合うとポジティブになりやすいというのは、なんとなくイメージしやすいかなと思うので、付き合う人もそういうふうに選んでもらえればなと思います。three good thingsって何かというと、1日3回良かったことをノートに取っていこうという話なんですね。
僕もこれにトライしたんですけども、3日も経たずに無理で、1週間に1回やってみたんですけど無理でした。1ヶ月に1回、今やっているので、みなさんも自分のやれる範囲でやるのが一番重要なんじゃないかなと。
「毎日できなかった」と、それでネガティブになる必要はないんじゃないかなと思うので、自分のできる範囲で定期的に振り返る習慣、良かったことだけを振り返る習慣が、ポジティブを作れる結果があると、理解していただければなと思います。
と言っても、みなさん忙しいことは知っています。毎日絶好調というわけではないので、自分への不調の気づき方のポイントだけ、今から覚えてもらえればなと思います。
どうやって気付くかというと、「食う・寝る・遊ぶ」という話をよく言っています。これは、食べ過ぎたり、食べられなさ過ぎたり。先ほども言いましたけども、寝られないという話ですね。あと、遊んでもつまらない、やる気も起こらないという状態ですね。
ここに変調があると、メンタルにきている証拠なので、その時は注意したり、専門家に相談したほうがいいです。じゃあ何に気を付けてこういった状態を回避したり、もしくは治していくのかというと、ここに書いてある「神経・感情・コミュニティ」なんですけども、その中でも、専門的には「自律神経を調整する」という表現をしています。
自律神経失調症というのは、なんとなくみなさんも聞いたことがあると思うんですけども、お昼に優位になる神経が交感神経で、夜にゆったり眠くなる時に優位になるのが副交感神経です。夜寝られない、なんか朝まで起きちゃうというのは、実は交感神経が優位になっているということですね。交感神経が優位になっていると寝られない状態になります。
「交感神経って何?」というと、激しく日中に気合が入ったりするような、目がギラギラした状態や、はっきりしているような時が、交感神経が優位になっている状態ですね。
副交感神経が優位になっている状態というのは、なんか夜とろーんと眠たくなーるみたいな状態で、そうなるとちゃんと副交感神経優位になっているので、こういった神経が逆転しないように調整していきましょうということで、睡眠が重要かなというところです。
そのために何をすればいいかというと、結局ここに書いてある通り、僕がよくお勧めしているのは、「幸せホルモン」という表現をみなさんもよく聞いたことがあるんじゃないかなと思うんですけども、散歩と、ストレッチと、湯船に浸かることと、スマホ対策ですね。
これも、できるものからやってもらえればいいんじゃないかなと思うんですけども、今はちょっと日中も、朝もすごく暑いので、暑さが過ぎたら、朝の散歩を取り入れていただいてもいいんじゃないかなと思います。
ストレッチは、私はほぼ毎日やっているので、ぜひやれるところから。血行を良くする、血流を良くするというのも、非常に自律神経に対していい傾向があります。
あと、お風呂ですね。シャワーを浴びるだけじゃちょっと厳しくて、湯船に浸かる。就寝の90分以上前には浸かる。寝る直前に入ってしまうと、実は交感神経が優位になるので、寝られなくなってしまう。私なんかはルーティンで、家に帰ったら即お風呂に入る。お風呂に入るタイミングもみなさん、よく考えてもらえればなというところです。
そしてみなさんも、パソコンを見たりスマートフォンをいじるのはよくあるんじゃないかなと思うんですけども、ブルーライトというのは聞いたことがあるんじゃないですか。実は液晶から入ってくるブルーライトは、交感神経優位にさせやすいんですね。
なので、今日からできるメンタルヘルス対策の1つとしては、寝る1時間前から電源をオフにするとか、できないのであれば、ブルーライトオフ機能ってあります。これも時間設定もできたりします。iPhoneにしろ、Androidにしろ、検索していただければ出てくるので、そういった機能なんかを。こういった細かい積み重ねがセルフケア対策なんだと思っていただければなというところです。
あと、感情ですね。定期的にみなさん、感情を発散していますか? (mogが)「ママ、お仕事がんばって」という集まりなので、ママさんが多いんじゃないかなと思うんですけども、定期的に感情を発散する場を1ヶ月に1回ぐらい作ったほうがいいかなと思います。映画を観るのもいいですし、子どもと一緒にバカ笑いするのもいいと思います。
あと、コミュニティなんですけども、第3のコミュニティ、サードプレイスを作ろうと。特にママさん的に言うと、ワーキングママだと、子どもと仕事の2つの社会しかないというのは、非常に実はメンタル的に良くないという話になります。
自分が活躍できる趣味でしたり、できれば毎週がいいんですけども、定期的に月に1回でもいいので、自分が活躍できたり、カンファタブルなコミュニティ。仕事や家族以外のものを絶対作ったほうがいいです。
こちらはまた嫌な話になるんですけども、自殺の白書から、自殺のルートというのも、実はこんなふうに研究がなされていたりします。見るとけっこう複雑なんですけども、シンプルに職場と家族と他のコミュニティのうち、2つのバランスが崩れると、高確率で鬱病になったり自殺になったりするということです。
なので、コミュニティを意識するということですね。自分が所属しているコミュニティ。みなさんもいくつかあってほしいなと思うんですけども、特に忙しい子育て世代のみなさんだと、子どもと仕事場だけの往復というのは多いんじゃないかなと思います。意識的にご自身を守るために、趣味というものをしっかり継続していただければなと思います。
ご自身の守り方、セルフケアですね。ここに書いてある通りですけども、この中で1つだけ覚えてほしいのは、「食う・寝る・遊ぶ」ですね。ちょっとシンプル過ぎてしまいましたけど、変調の気付き方。ここだけでも、今日は覚えて帰っていただければなと思います。
ラインケアを簡単にだけご説明します。「メンバーとの接し方」みたいな表現を私はよくしております。専門的には「ラインケア」は、検索していただければ、アンガーマネジメント、怒りすぎない、怒りをコントロールする。アクティブリスニング、傾聴みたいなかたちでよく出てくるんですけども。これもちょっとわかりづらいなと思っているので、シンプルにご説明できればなと思います。
「心地よい接し方が重要ですよ」という話ですね。これはリクルートさんの退職本音ランキングなんですけども。離職する時に出てくる本音は、「給与が低い」とかいろいろあるんですけども、実は半分以上は、一緒に仕事をしている人だとか環境要因が過半数以上ですという話ですね。
<link-card token="79b54ba7bb909badb3ae6d2714a922d5" url="https://next.rikunabi.com/tenshokuknowhow/archives/4982/" title="転職理由と退職理由の本音ランキングBest10 |リクナビネクスト" description="転職経験者100人に退職理由の「ホンネ」と「タテマエ」を調査したところ怒りのエピソードが届きました。
堂々の1位に輝いた退職理由とは?そして面接で語った転職理由ランキングの結果は?" targe="_blank" image-url="https://images.logmi.jp/outside_webpage_image/AzksUrQwtRZjJWZ4zE32gf.jpg">なので、いかに接し方、その中ではカンファタブルな接し方が重要かという発想なんですけども、これが上司の方がよくわかっていないケースが少なくないということですね。怒り散らしてしまうのはあまり良くないというところです。接し方が重要なので。
その中でも特に上司向けによく話をするところで、もう1つ今日持って帰ってほしいのはここですかね。よくラインケア研修でするのは、「違いを知りましょう」という話です。
心理学の仕事の「コンフォートゾーン」。あとは、がんばったらできるゾーンは「ストレッチゾーン」ですね。それ以上は「パニックゾーン」。「どうしたらいいんだろう」とちょっと止まってしまうことですね。僕もパニックを経験したことがあります。みなさんもあるんじゃないかなと思うんですね。
適応障害にならないためには、ストレッチゾーンの扱いが非常に重要です。ストレッチゾーンの間でパニックにならないためには、「仕事の量」か「仕事の質」か「人間関係」。この3つのファクターがカンファタブルじゃないと、パニックになってしまうんですね。
3つのうち2つぐらいオーバーにしてしまうとほぼパニックになるので、ここを意識しながら仕事をするといいですよという話をよくすると同時に、上司の方々に関しては、部下のストレッチゾーンをちゃんとコントロールしてくださいねと。それは仕事の量がこなせるのか、仕事の質がこなせるのか。あと、周りとの人間関係が悪くないのかという、そういった発想になっています。
ここを見誤ってしまうと、適応障害になりやすい。ある人は仕事の量をこなせるかもしれないし、ある人は仕事の質をこなせるかもしれない。両方こなせたら優秀だと思うので、それはどんどん引き上げていったほうがいいんじゃないかなと思います。
根幹の考え方。これは上司向けの研修などで少しお話しするんですけども、「いつも、ニコニコ」ですね。僕もUFJにいた時に、上司の部長の顔色を見て、「あ、今はちょっと機嫌が良さそうだ」と思いながら話しかけて、はんこをもらいにいくみたいなことをやっていたんですけども、そんな気を遣わせる上司、冷静に考えると面倒くさいですよね。
なので、「上司の方はいつもニコニコしていることが一番のラインケアですよ」という話をよくしていたりします。
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