2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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安藤俊介氏:みなさま、こんにちは。ご参加ありがとうございます。一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事の安藤でございます。今日は「コミュニケーションについてあらためて考える」というテーマでお話します。
私たちが社会生活やビジネスをしていれば、コミュニケーションは日々取ることになります。あらためて、そもそもコミュニケーションって何なんだろう? ということについて考えていきます。
コミュニケーションを取る上で、もちろん良好な良いコミュニケーションと呼ばれるものもある一方で、私たちはミスコミュニケーションもよく経験をしているわけなんですが、なんでそんなミスコミュニケーションが起きるのか。
例えば、「ここにペットボトルの水が1つあります」というメッセージを伝えるだけであれば、「ここに1本のペットボトルの水がある」というのは、それ以上でもそれ以下でもないわけですから、ミスコミュニケーションはそんなには起こらないわけですよね。
一方で、会社や家庭の中でコミュニケーションを取る上では、「なんで伝わらないんだろうな?」「こう言っているはずなのに、なんでそう取られてしまうんだろう?」「自分が伝えようとしたことがうまく言葉にできない」といった問題に、しょっちゅう向かうことになるわけなんです。
私たちは社会的な生き物ですので、コミュニケーションなしに社会生活を送ることはできません。なので今日は、私の専門である「アンガーマネジメント」という、特に怒りの感情と上手に付き合う心理トレーニングの視点から、あらためてみなさんとコミュニケーションを考える時間にできればなと思っておりますので、お付き合いください。
さて、まず「コミュニケーション」の定義をちょっと確認してみましょう。コミュニケーションというと、情報のやりとり、連絡、伝達、それから「伝達される情報やメッセージや手紙」というのが、みなさんがイメージされるコミュニケーションかなと思います。
先ほど言ったように、「ここに1本のペットボトルの水がありますよ」という情報を伝えるのがコミュニケーションです。
(スライドで)赤字にもしたんですが、そこに「お互いの意思疎通」「共感」「感情的なつながり」といったものがコミュニケーションには含まれるわけです。
ですから、単純に「ここに何かがありますよ」という情報を伝えるだけであれば、そんなにミスコミュニケーションは起こり得ないんですが、「共感」や「感情的なつながり」という気持ちの部分が入ってくることによって、良好なコミュニケーションになったり、ミスコミュニケーションと言われる残念な状態が起こり得るんですね。
さらに言えばコミュニケーションとは、当たり前ですが「伝える側」と「受け取る側」の両者の作業になります。ですから、どちらかが一方的に伝えるのではなく、もちろん受け取る側もいる双方向の作業。作業と言っていいのかはアレですが、コミュニケーションです。
例えば、私は今日、セミナーに登壇しながらみなさんに向かってお話をしているわけなんですが、ある意味私が「一方的に伝える側」であって、どちらかというとみなさんは「一方的に受け取る側」になります。
私が伝えようとしている意図がうまく伝われば、良好なコミュニケーションになるでしょうし、意図せず「そういうふうに取られてしまったのかな?」「私としては、そういうつもりではなかったな」というものが伝わるとするならば、それはミスコミュニケーションにもなります。
基本的に今日はセミナーというかたちですので、「情報」が主体になります。「コミュニケーションとはこういうものですよ」「こういうふうに伝える・受け取ると、良好なコミュニケーションになるんじゃないかな」という情報が主であって、そこに私の気持ちはあまり乗りません。
ですので、そこまでミスコミュニケーションは大きくはなりにくいんですが、ふだんみなさんが伝える情報に感情的な部分が乗っかってくると、どうしてもミスコミュニケーションが起きやすくなってしまう。これがコミュニケーションの性質であると考えています。
良好なコミュニケーションというのは、伝えたいことが伝わる。例えば、今日のセミナーであれば、私が伝えたいことが伝わる。そして受け取る側の理解度を理解できる。
(今日はオンライン開催で)みなさんの顔がちょっと見えませんので、私が伝えようとしていることに関してどのぐらい理解をしていただいているかは、なかなか理解しにくいところはあります。
ただ、これがふだんのフェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションであれば、「今、ちょっと疑問に感じているかな?」「すごくうなずいているので、これは理解されているかな?」というのが測りやすくなるわけです。
ですので、ふだんの会話の中では、受け取る側の理解度を理解できるかどうかは、相手の表情や声のトーン、あるいは姿勢を通じて「理解されているな」「理解されていないのかな」と、なんとなく推察できるということですね。
そして、リクエストの可否が理解できる。実はコミュニケーションにおいて、多くの場合は何らかのリクエストが入っているんですね。例えば「ここに1本のペットボトルがありますよ」というのはただの情報の伝達であって、そこにリクエストはないです。
ただ、日常会話の多くにおいては、「こういうことをしてほしい」「こういうことを聞いてほしいんだよね」「こういうことがあってね」とか、実は「今、どうしてほしい」「これからどうしてほしい」というリクエストが多分に含まれているんですね。
ですので、自分が出したリクエストが果たして相手に正しく伝わっているかどうか。それが理解できるかどうかが、1つの鍵になるわけです。
さあ、そして受け取る側ですね。受け取る側は、相手が伝えようとしていることが理解できているかどうか。そして、理解度を相手に伝えられるか。
先ほどとは逆になるんですが、例えば、自分が話を聞きながら「うん? それってどういうことなんだろう?」と、眉間にしわを寄せた表情をすると、「自分は理解できていないかもしれない」という合図にはなるわけですよね。
それから、「え? それってどういうことですか?」と、直接的な質問をすれば、相手に対して理解度を示すことにもなるわけです。ですので私たちが受け取る時に、表情もなくうなずきもせずにただただ聞いていると、「自分が理解しているのかどうか」は相手には伝わらないわけです。
そして、リクエストの可否が伝えられる。相手からリクエストを受けた時に、直接「できますよ」と言わなくても、相手が「こうしてほしい」というものに対して、「そういうことなんだ」と思ったら態度で示したり、可否が伝えられるかどうか。この3つが、良好なコミュニケーションにおいては大きなカギになります。
コミュニケーションに関して、前提として簡単に定義のお話をしました。私の場合はアンガーマネジメントの専門家ですが、メッセージやコミュニケーションの中でも、「怒る」とか「叱る」はなかなかハードルが高いです。
みなさんも多くの場合は、「うれしいよ」「それっていいね」とか、感謝の意や喜びを伝えることは、わりと簡単に・心理的な障壁が低くできるかなと思います。
一方で、自分が怒っている、あるいは自分が嫌だと思っていることを相手に伝えるのは、なかなかハードルが高かったりするわけですよね。実際に私たちのところには、「どういうふうにネガティブなフィードバックをすればいいか」とか、叱り方のご相談が数多く寄せられます。
今日は「コミュニケーションをアンガーマネジメント的な視点で考える」ということなので、怒りという感情はいったい何なんだろう? そして、それは何が原因で生まれるんだろう? という仕組みを、まずは理解していただきたいなと思っております。
「私たちを怒らせるもの」ということで、「誰か」や「出来事」、みなさんはどちらが自分を怒らせるものだと思うでしょうか?
例えば、「頭にきた」「腹が立った」「イラッとした」みたいなことは、みなさんも日常生活の中においてよくあると思います。私自身もアンガーマネジメントをずっとやってはいますが、別に怒りの感情がないわけではありませんので、頭にくることもあれば、イラッとすることもいくらでもあるわけです。
その時に、誰が原因になっていると思うでしょうか? それとも出来事が原因になっていると思うでしょうか? どちらだと思いますかね。
(怒らせる原因が)「誰か」であれば、「あの人さえそんなことを言わなければ」「あの人さえいなければ、自分は腹が立つことがないのに」と思うのか。それとも「出来事」でしたら、「こんな出来事さえなければ、自分は穏やかに平和に暮らすことができるのに」「なんでこんな出来事があるんだよ」と思うのか。
さあ、自分を怒らせる原因はどちらにあると思いますか。「誰か」でしょうか、それとも「出来事」でしょうか。おそらく多くの人は「どちらかに原因があるんじゃないかな?」と考えると思います。
ただ一方で、よく考えていくと「どちらなんだろう? よくわからないな。誰かの気もするし、出来事の気もする」と。あるいは「特定の誰かがそれをやっているから」のような気もするし、「繰り返しそれが起きているから」と思う場合もある。
そうなってくると、本当のところ誰か特定の人間が自分を怒らせているのか、あるいは特定の出来事が自分を怒らせているのかが、よくわからないと思うんですね。実はそれはすごく正しくて、自分を怒らせるものは「誰か」でもなければ「出来事」でもないんです。
じゃあ、自分を怒らせるものはいったい何かと言うと、「べき」という言葉です。「~するべき」「これはこうあるべき」、英語で言えば「should」。この「べき」という言葉が、実は自分を怒らせる原因になっています。
例えば、「時間は守るべき」とすごく強く思っている人と約束をした時に、遅刻すればすごく怒るわけですよね。それから「マナーは守るべき」と思っている人の前にマナー違反の人がいたら、その人はすごく怒るわけです。
それから、「仕事はこうするべき」「報連相はこうあるべきである」「会社は、上司は、同僚は、部下はこうあるべき」みたいな感じで、自分たちはいろいろな「べき」を持っています。その「べき」が裏切られると、そこに怒りの火種が生まれるんですね。
「べき」という言葉を他の言葉で置き換えると、「当たり前」「普通」「常識」「~はず」という言葉に置き換えることができます。
自分がふだんの会話の中で「そうするべきだよね」というふうに「べき」を使っていたり、「普通さあ」「え? 常識じゃない?」という言い方をしている時に、実は自分の怒りの火種が隠れています。
コミュニケーションにおいて「べき」「はず」「普通」「常識」「当たり前」という言葉はすごくよく出てきます。実はそこに怒りの火種が隠れているので、コミュニケーションをやっかいにする1つの大きな要因が「感情」になります。
特に感情の中でも「怒り」というのは、コミュニケーションを非常に難しくする要因の1つです。じゃあ「怒り」について考えた時に、みなさんにまず注目してほしいのは、自分がどのような「べき」を持っているかなんです。
「べき」「はず」「普通」「常識」「当たり前」。実は直接的に言葉に出さないまでも、頭の中だけで思っている言葉はけっこうあるんですね。
私たちがアンガーマネジメントを専門にやっていると、自分がどういう「べき」「はず」「普通」「当たり前」「常識」を会話の中で使っているか、あるいは考えているかを記録したりするんですよ。
そうすることによって、「自分の怒りの火種はどこにあるのかな?」とチェックをしていくわけですね。いわゆる「リフレクション」といって、自分自身を見つめる作業です。
「自分を振り返りたいなと思った時に、何をやったらいいですか?」と、よく聞かれます。いろんなやり方はあるんですが、まずは自分がどういうことに関して「べき」があるかを書き出してみるのはいいですよ、という話をします。
多くの場合、その「べき」に怒りの火種があり、そしてコミュニケーションにおいて問題を起こす原因があったりするんですね。
例えば、よくあるのが「べき」の押し付けです。「こうあるべきだよね」と自分は思っていても、実は相手はぜんぜんそう思ってないかもしれません。
ということで、自分の「べき」「はず」「普通」「常識」「当たり前」というキーワードに注目をしていただくと、ふだんのコミュニケーションを改善したり、余計なミスコミュニケーションをちょっと防げるポイントになります。
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