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『スラムダンク勝利学』の辻秀一さんに学ぶ、個人とチームの勝利への道しるべ(全6記事)

大谷翔平選手は「結果」を行動の動機にしないから安定する 「一生懸命の楽しさ」を原動力にすることのメリット

「社員の幸せと働きがい、社会への貢献を大切にする企業」を『ホワイト企業』と大きく定義し、さまざまな活動をしているホワイト企業大賞アカデミーのイベントに、同賞の企画委員で、『スラムダンク勝利学』の著者・辻秀一氏が登壇。「個人とチームの勝利への道しるべ」というテーマのもと、大谷翔平選手の行動の特長や、いつもの自分とちょっと違うことを考える訓練などを語りました。

大谷翔平選手の行動の特長

辻秀一氏(以下、辻):セルフマネジメントとは、自分で自分の機嫌をとる、非認知性ライフスキル、思考習慣です。どうやって溜めたストレスを発散するかじゃなくて、どう思考しながらやるべきことをやり、機嫌を保つかという考え方ですね。

まず桜木花道のライフスキル。「一生懸命」というライフスキルがありますよね。

私たちは通常、結果の楽しみで動くんですけど、一生懸命の楽しさで動けるようになると、すごく安定性が高くなります。なぜなら一生懸命は自分でできるからです。

いろんな企業に行ってトレーニングをする時、「働く上で楽しいと感じるのはどんな時ですか」とみなさんに書き出してもらいます。契約がうまくいった時、目標を達成した時、アイデアが出た時、会話がうまく進んだ時……みんなにいっぱい仕事中の「楽しい」を書き出してもらいますけど、ほとんどは結果の「楽しい」です。

儲かったら楽しい、うまくいったら楽しい、終わったら楽しい。結果の楽しさで私たちは認知的に動いています。

「一生懸命」は外にない、自分の中にある楽しさの原点ですよね。子どもの頃はみんなこの一生懸命の楽しさで動いていたのに、大人になるとだんだん認知的になっていくので、外側にある結果の楽しさで動くようになる。

一生懸命の楽しさで動く。まさに大谷翔平もそうですよね。三振をとったから楽しい、ホームランを打ったから楽しい。それは外にある楽しさなので、まずは一生懸命が楽しい、だから自分はやっているんだという人はぶれにくい。ご機嫌の芽をちゃんと持っている人だと思います。

「苦あれば楽あり」という妄想

子どもの頃は泥団子をただ一生懸命転がしているだけで楽しいですよね。ところが大人になると「お前そんなことやって何が得になるわけ?」みたいなことを子どもに言うんですよ。

ただ一生懸命が楽しいのに、大人になるほど、得じゃないと楽しくなくなる。そしてみんな苦しくなる。苦しくなってくるからだんだん勝てなくなる。

私たちは、あることわざにしがみついていますよね。「苦あれば楽あり」。苦しんでいればその先に良いことがあるんだとみんな思っているけど、私は妄想だと思います(笑)。

苦しんでいれば良いことがあるわけじゃない。金メダルをとった人がもし一番苦しんでる人だったら、包丁を持って刺しているやつが金メダルですよね。「いやいや、俺は世界で一番苦しい」と言ったって金メダルにはならない。

やるべきことを質高くやるご褒美に結果がくると私は思っているので、「苦しんでれば良いことがあるさ」という何の根拠もないことわざに、しがみつくのをやめませんか、と思っています。

一生懸命、楽しく、機嫌良く、質高く、やるべきことはやる。機嫌良くやるために、まず一生懸命やってみるのが大事なんじゃないかなと思います。

スラムダンクの漫画でも映画でも、花道の一生懸命度合いに私たちはものすごく打たれますね。どこかで私たちは、みんな憧れているところがあると思います。誰でもできるんですけど、みんな忘れちゃってるんですよね。まず今、目の前のものを一生懸命やってみようという気持ちが大事な気がします。

いつもの自分とちょっと違うことを考える訓練

次は、流川楓のライフスキル。「チャレンジ」。チャレンジの鬼ですね。常に何かにチャレンジしていこうとする、今までの自分をブレイクスルーしていこうとする。

先ほども言いましたが、私たちは固定概念、セルフコンセプト、囚われの生き物です。「自分の普通」という居心地のいい中にいて、気づけばいつもと同じように考え、いつもと同じように行動しています。

目玉焼きに醤油しかかけない。いつもと同じように行動して、いつもと同じように考えていて。世の中はものすごい勢いで変革していくのに、最も変わっていないのは自分ですよね。

なので小さなチャレンジ。ここで言うチャレンジは、いつもの自分とちょっと違うことを考える訓練が大事です。私がサポートしている選手たちも毎日、1日1チャレンジ、「いつもの自分だったらここから始めるのを、ちょっと変えてみよう」みたいな。

最初、若干小さな居心地の悪さがあるけど、それは自分の固定概念が作られてしまっているからです。

チャレンジの喜び。流川楓は常に新しい自分になろうとする。過去の自分を手放して、今の自分に対しても自己否定感も持ちながら、ちょっと新しい自分になって、もともとの自分の良さをより引き出していきます。

今までの自分をダメだと言うのではなく、新しい「もの」なり「考え方」なり、いろんなことを自分の中に広げていくことで、もともと持っている自分の良さをより引き出すことができる。その象徴が流川楓です。

流川くんは自分の決まりきった行動が見透かされてることに気づいて、新しいことをやることで、相手が急に守りにくくなるのを試合中でもやってしまった人ですよね。すばらしいと思います。

子どもには「一生懸命やれ」とか「もっとチャレンジしろ」と言っているのに、大人はぜんぜんやっていない。いつも「結果の喜び」と「普通の喜び」で大人は生きていて、子どもに「夢を持て」とか言っているのは、ちょっと違うんじゃないかなと思っています。

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