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第861回 トレンド経営学『不安との向き合い方』(全1記事)

不安解消のカギは、「自分を主語」にした思考を減らすこと 精神の安定につながる、自分の「得意」の使い方

日本最大のビジネススクール「グロービス経営大学院」が、ビジネスパーソンに向けて、予測不能な時代に活躍するチャンスを掴むヒントを配信するVoicyチャンネル「ちょっと差がつくビジネスサプリ」。本記事では、不安との向き合い方について語られました。 ■音声コンテンツはこちら

人が「不安」を感じる際に共通すること

加藤想氏(以下、加藤):グロービス経営大学院の加藤です。月曜日はトレンド経営学というタイトルで、よく聞くニュースをいろんな視点から切り取った場合に何が見えてくるのかについて、お話をしていきます。

今日は、不安との向き合い方について考えます。2020年の日本人の不安に関する意識調査によると、「最近不安を感じている」と答えた人が全体の70パーセントもいたというデータがあります。

コロナ前からのデータでも、9年連続で70パーセント程度の方が「不安に感じている」と答えているので、変化の激しい時代に不安を感じる人はますます増えるのかもしれません。

これを聞いているあなたも何かしら不安を持っているのではないでしょうか? 将来安定して生活ができるだろうか? 今日の私の発言は周りに不快を与えただろうか? 今の生活がずっと続いたとして私は幸せになれるのだろうか? いろんな不安があるかと思います。

不安の種類は千差万別ですが、不安を感じる際に共通していることがあります。それは自分を主語にして考えているということです。ためしに、あなたが不安に思うことを書き出してみてください。多くの不安は、自分が主語になっているのではないでしょうか?

書籍などでよく見かける不安にならない対処法として『自分を客観視して、コントロールできること、できないことを区別して、コントロールできないことは無視する』という方法があります。非常に有効な方法だと思うのですが、どれだけ鍛えても自分を完全に客観的に見るのはやはり難しいことです。

ここで、以前スタジオジブリの鈴木(敏夫)プロデューサーの講演に行った際に聞いた言葉が非常に参考になったので共有させていただきます。それは「他人のことを考え続けていたい。そうすれば自分が安定するから」という言葉です。

つまり、自分のことではなくて他人のことを考えることで、不安が小さくなって自分自身の精神も安定して過ごせる、というわけです。

自分を「主語」にする思考を減らす方法

でも、急に「自分のことではなく、他人のことを考えてね」と言われても難しいと感じる人も多いと思います。そもそも他人のことを考えられる人は、生まれ持っての性分で先天的な影響が大きい。このように考える人もいると思います。

ここで重要なのは、他人のことを考えることを意識するのではなく、頼られる機会を増やす環境を作ることだと思います。頼られる機会が増えると、自然と相手のことを考える時間が増えるからです。では、どうやって頼られるようにするのでしょうか? 

そのヒントは、以前こちらのチャンネルで紹介した『人的ネットワークづくりの教科書』の中にあります。そこには「誘われる力を鍛える」という項目があります。

自分のできることを、具体的に周りに発信し続けることで、周りから「あの人はこんなことが得意なんだ」とか「興味があるんだ」と認識してもらい、関連する仕事をする際に誘われやすくなることが重要。こんな記載がありました。

私は定期的にVoicyでコンテンツについて話しています。この内容を発信することで、「音声メディアに精通している人」「コンテンツを作れる人」といった印象を持った社内のメンバーから「一緒にコンテンツを作ろう」と誘われることも多いです。

中には、自分には「発信するほど得意なものがない」と感じる方もいると思います。そんな時は、まず自分はどんなことが人より得意そうか? というのを考えます。得意なものが言語化しづらい場合は、ありがとうとよく言ってもらう場面はどんな時かなと考えてもらうといいと思います。

そして、おぼろげながら得意な領域を見つけたら、それをとことん伸ばす努力ができると本当にすばらしいと思います。

自分の得意なものを発信して周りから頼られ、さらに頼られるために能力開発をがんばって、能力開発した内容を発信するとさらに周りから頼られる。こんなグッドサイクルに入ると、気づいたら自分のことを考える暇なく、周りの人のことを考えられるようになっている。そんな不安の解消ができれば、自分も周りも幸せになれると思います。

今日は不安との向き合い方について考えてみました。そのために自分のことではなく他人のことを考える。まずはできることから少しずつ発信してみてはいかがでしょうか? 

今日のお話はここまでとします。

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