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【マンスリーMiLI】人生が変わる『書くマインドフルネス』: 〜MiLI新著「心のもやもやを書いて消す マインドフルネス・ノート」刊行記念セミナー〜(全2記事)

「自分に向けて」は一緒でも、異なる「日記」と「ジャーナリング」 「マインドフルネス」の効果を得られる、日記の書き方とは?

リーダーシップと組織開発のために日本でいち早く「マインドフルネス」を導入した一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)が主催する月例セミナー「マンスリーMiLI」に、3月に『心のもやもやを書いて消す マインドフルネス・ノート』を出版した木蔵シャフェ君子氏が登壇。本記事では、手書きでジャーナリングをするメリットや、ジャーナリングに「蓄積」が必要な理由などが語られました。

MiLIが出版した2つのジャーナリング本

木蔵シャフェ君子氏(以下、木蔵):この実用性の高さから、私たちMiLIは瞑想と同時にジャーナリングで言語化し、認識することを推し進めていきたいと考えています。中でも、ジャーナリングに特化してさまざまな情報をお届けしようと書籍も2冊出しております。1冊目は(スライドの左側で)4年前にMiLIの理事の吉田典生が出しております。(『「手で書くこと」が知性を引き出す 心を整え、思考を解き放つ新習慣「ジャーナリング」入門』)

そして(スライドの)右側が、先月出させていただきました『心のモヤモヤを書いて消す マインドフルネス・ノート』で、まったくフレーバーが異なる2冊になっています。特に吉田の本は非常に深層心理に響くようなクリエイティブなジャーナリングのテーマがたくさんあります。

例えば、「自分の仕事や役割で、国宝級の巧みになったらできることは何ですか」とか。あるいは「お金に糸目をつけずに勝負服、勝負ファッションを身につけるなら」といった、ちょっと突拍子もない質問をあえてさせていただくことで、みなさんの新しい考え、視点を刺激する内容になっています。

『マインドフルネス・ノート』は「心のモヤモヤを書いて消す」と書いてありますが、ジャーナリングをご紹介した時に一番聞かれるのが、「どんなテーマについてジャーナリングをしたらいいんですか」という質問なんですね。

本当はテーマは何でもいいのですが、人は迷ったり悩んでいる時に成長のチャンスが秘められていることが多いので、限られた時間・日数の中で、実践しやすくかつ一番効果を感じていただくために、30代~40代の働いてらっしゃる方、主に女性の方にインタビューを行いました。

そして彼ら、彼女らが持つ典型的なお悩み・迷いをリストアップさせていただきました。56のテーマについて、8週間毎日ジャーナリングをやっていただけるようになっています。

瞑想では最初にインストラクターが簡単なお話をさせていただいて、それについて思いを馳せるというやり方がありますが、この本も同様に、みなさまからお聞きした、悩みや迷いについての簡単なエッセイが載っており、それを読んだ後にジャーナリングをする形式になっています。

エッセイは、答えを提供したり、アドバイスをお届けするのではなく、なんとなく視点を広げたり、あるいはより安心してテーマに向き合うことを目的とした内容になっています。

参加者のジャーナリングへの感想

ここまでジャーナリングのご説明とメリットをお伝えしましたが、ここで一度ジャーナリングについてどう感じているかやご質問などをチャットに書いていただけたらと思います。感じたこと、疑問、参考になったこと。まずはそれをジャーナリングしていただきたいと思います。4分ほど時間を差し上げますので、どうぞみなさんジャーナリングをなさってください。

(4分後)

それでは簡単で構わないので、ジャーナリングした内容をチャットにお書きいただければと思います。ありがとうございます、さっそくAさんからいただきました。

A氏:3月は1日3つ、よかったことを睡眠前に書き出すか、ベッドの中で考えるという、ジャーナリングに近いことを少しやってみたのですが、続かず、ちゃんとリードしていただくものが欲しかったところでした。Kimikoさんの本を購入して、まだDay2を終えたばかりですが、今後の継続に役立てたいです。

木蔵:ありがとうございます。ジャーナリングをやろうと思ったんだけども毎日はきつかった、ということですね(笑)。この本を役立てていただければと思います。

B氏:ありのままの自分に出会いたい。自分でも自分がよくわからないので、手で書くだけでいいのであれば、習慣にできそう。今壁にぶち当たって動けないでいる自分をどうにかしたいです。

木蔵:自分でも自分がわからない。ブラックボックスのままの部分がありますね。先ほど少し申し上げましたが、やはり成長だったり自分について知るのは、今Bさんが直面してらっしゃるような悩みや、壁に突き当たった時にこそ得られることです。大切な時期にセミナーを受けていただいてありがとうございます。

C氏:マインドフルネス・ノートを購入し、さっそく活用させていただいています。過去に転職を決意した際、ジャーナリングを通じて自分の価値観や方向性、心からやりたいと思うことなどを明らかにできたことで、最終的に決断に至ることができました。

木蔵:すでにジャーナリングを通じて、転職に活かしていただいたということです。価値観、方向性、そして本当に何がやりたいのか、ですよね。何が正しいかというよりも、ジャーナリングでは、何がやりたいのかという本音の部分が出やすいので、それを活用していただきました。

D氏(以下、D):興味をもったことをジャーナリングすると、自分の考えと心が一致して、体が動きやすくなる。やろうと思っても体が動かないことは、考えと頭が一致していなかったのだ。

木蔵:そうですね。頭・心と、手や体という表現をしますが、これが一致した時に、私たちはいろいろなアクションがやりやすくなります。ジャーナリングは、まずは頭と心を一致させる。そしてそれに突き動かされて手・体が動きやすくなるのではないかと思います。

手書きで、ジャーナリングをするメリット

木蔵:いくつかご質問がありますので、まずはEさんのご質問から。

E氏(以下、E):こんにちは。みなさんとジャーナリングについて話す機会があって、その時に若い子が「携帯で打つほうが速い」と言うわけですね。「携帯で打ってもいいの?」と。「いやぁ、それはちょっと違うんじゃない?」と自分は言ったんですが。

そのあと気になっていろんな本を調べたんですけど、「手で書いたほうがいい」とみなさん書いているんですけど、その理由はあんまり書いていなくて。木蔵さんはよく調べておられるので教えていただきたいと思いました。

木蔵:ありがとうございます。最も受け入れられている仮説をご紹介したいと思います。「速いより遅いほうがいい」ということなんですよ。速く書けてしまうと、いつもの習慣的な、パターン化された思考しか出てこないらしいのですね。

手は思考よりも遅いから、スローダウンせざるを得ない。そうすると思考もしょうがないからスローダウンする。そうするとふだんのパターンやリズムが乱されて、余計に「こうかな、こうかな」と探求し始める……というのが、仮説として最も支持されています。

手をこうやって動かして字を書く場合と、こうやってタイピングで10本の指を使ったり親指を動かす場合とでは、どうも脳の刺激が少し違うらしいんですね。これも仮説ですが、手を使って書くと、紙の感覚などいろいろな刺激が入ってくるわけですけど、その時に「RAS(Reticular Activating System)」という脳のシステムが刺激されると言われています。タイプなどで速く打つと、そこは刺激されないんですね。

RASは情報の選択や収集に関係して、例えば、「なんとなくこんなことを知れたらいいな」と思いながら本屋さんに入ると、知らない間に興味のある本が見つかったりとか。ぼやーっと「釣りとか楽しそうだな」と思いながら電車に乗ったら、たくさんの社内広告から釣り関連の雑誌のものが目に入ったりとか。そうやって情報をピュッとハイライトしてくれるんですね。

ですのでRASがはたらくことで、テーマが与えられた時に深層心理にある部分にサッとスポットライトが当たりやすくなるのではないか、ということも言われています。「遅い」ことが、習慣的な・パターン的な思考をバイパスさせてくれるということですね。今のところの「最強の仮説」にとどまりますが、そういうことです。

E:すばらしい、ありがとうございました。

日記とジャーナリングの違い

木蔵:Tさんからも同じご質問がありましたね。

F氏(以下、F):先ほど、全社ミーティングでジャーナリングを取り入れたという会社の例がスライドに紹介されていました。それをもうちょっと具体的に知りたいと思いました。職場で取り入れたいと考えているので、参考にしたいです。

木蔵:ありがとうございます。その会社さまでは、まず社長の方がSIYを受けたり、あるいは我々のコーチングプログラム、MBCCなどを受けていただいていました。そして去年まで出していた「マインドフルネス・ダイアリー」という手帳を導入いただいたわけです。

その会社では週に1回全社が一堂に会する状況があったらしいんですね。その際にみなさんにマインドフルネス・ダイアリーを配って「今日はこのページのお題をみんなでやってみましょう」とやった後、小グループに分かれてそれについて話をする時間を持った、ということを毎週なさったそうです。

F:ありがとうございます。

木蔵:あとはDさんもご質問をありがとうございます。

D:日記は今日自分に起きたことや思ったことをいろいろと書きます。人に見せないものなので、書いているうちになんとなく考えがまとまったりするんですけれども。この「書いているうちになんとなくまとまる」と、初めからお題が決まっているジャーナリングの違いは何でしょうか。

木蔵:そもそも日記のことを英語で「ダイアリー」と言ったり、「ジャーナル」と言ったりします。だから両方を行ったり来たりできるということです。もし違う点があるとするならば、日記は自分の心にあることを書き出していくのと、「今日は何を食べました」「誰々さんに会った」みたいに1日で起きたことを記録するという目的もありますよね。それがジャーナリングとちょっと違う部分かもしれません。

でも起こったことについて、「自分はこう感じた」「こういうふうな見方ができる」と、起こった事象の後ろにある気持ちとか、より理解を深めようというモチベーションがある場合には、ダイアリーもジャーナリングになると思います。

D:ありがとうございます。

ジャーナリングに「蓄積」が必要な理由

木蔵:「電子ペンでタブレットに書くのでも効果は同様なのか知りたくなりました」という質問がきています。今はデジタルガジェットでも手書きができます、ということですね。

検証はされていませんが、先ほどの理論でいきますと、ペンで書くのでスローダウンをせざるを得ないので、そういう意味では効果は紙に書く場合と近いのではないかと思います。今後はこういう使い方がどんどん出てくるかもしれませんね。おもしろいご質問をありがとうございます。

ほかの質問は、Gさんですね。もしよろしければご発声いただければと思います。

G氏(以下、G):私もずっとマインドフルネス・ノートやダイアリーを愛用して、毎日やっていますが、自己認知が高まった感じがあまりなく、どうなったら「自己認知高まった」と言えるのかが今の悩みといいますか……。

木蔵:もしかしたらちょっと的外れかもしれませんが、1つの可能性を申し上げますと、自己認識にはいろいろな単位があると思うんですね。まずその瞬間瞬間のリアクションを自分で気付くという、ミクロな自己認識があります。「今の自分の感情はこうだ」「今はこれを思い出している」みたいな感じです。

それが蓄積されますと、今度は「私の傾向はこうだ」「私の好きなことはこうだ」とか、あるいは直感みたいなことが出てくる。さらに蓄積されると「もしかして私が目指しているのはこれかも」とか「私はこんな人間かもしれない」のように、だんだんとマクロな把握になっていきます。

ジャーナリングによって得られる自己認識は、テーマによってはこのミクロな部分が多くなるかもしれません。「この事象についての自己認識」「このテーマ、この課題についての自己認識」という部分がより深くなっていくと。その結果、自分のことをより深く理解したという実感は生まれないかもしれません。それにはかなりの蓄積が必要となってくるので。ご質問を聞いてそのような印象を受けました。

つまり、自己認識の定義が細かいものから大きいものまであった中で、おそらくジャーナリングのテーマの多くはわりと細かめの部分を突いてくるかと思います。その部分の気付きは得られる。でも、自分のことをよりわかったという実感は持てないということかなと思ったんですが、いかがでしょうか。

G:大変よくわかりました。お話を聞いて、もうちょっと蓄積がいるかなと思いました。

木蔵:あとおすすめなのは、やはり瞑想との相乗効果です。瞑想とジャーナリングの両方を続けていくことで、お互いが深まっていきます。マクロな自己認識の感覚は、もしかしたらそちらからも得られるのかなと思います。

G:ありがとうございます。

木蔵:ほかにご質問はございますでしょうか? みなさん本当にグッドクエスチョンでした。それではご質問へのお答えはいったんこちらで終了させていただきます。どうもありがとうございました。

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