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【マンスリーMiLI】人生が変わる『書くマインドフルネス』: 〜MiLI新著「心のもやもやを書いて消す マインドフルネス・ノート」刊行記念セミナー〜(全2記事)

いつでもどこでも、周りに人がいてもできる「マインドフルネス」 限られた時間の中で書き出す、「ジャーナリング」の効果

リーダーシップと組織開発のために日本でいち早く「マインドフルネス」を導入した一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)が主催する月例セミナー「マンスリーMiLI」に、3月に『心のもやもやを書いて消す マインドフルネス・ノート』を出版した木蔵シャフェ君子氏が登壇。本記事では、ジャーナリングの関連書籍の紹介や、ジャーナリングの効果、瞑想との違いなどが語られました。

ジャーナリングの伝道者・木蔵シャフェ君子氏が登壇

木蔵シャフェ君子氏:みなさんこんばんは。マンスリーMiLI、ご参加ありがとうございます。日本時間7時になりましたので始めさせていただきたいと思います。私はマインドフルリーダーシップインスティテュート(MiLI)の木蔵シャフェ君子と申します。おそらく今日来てくださっている方は、前に何らかのかたちで、SIYや他のセミナーを受けていただいた方がほとんどかと思いますが、よろしくお願いいたします。

まずは、私たちの組織についてご紹介させてください。私たちマインドフルリーダーシップインスティテュートは、2013年に設立しました。ビジョンとしまして、リーダーのみなさまお一人おひとりに、ご自身のポテンシャルをより高めていただく。それが反映されて、組織や会社などがまたアップグレードされる。組織や会社、そしてその中にいるリーダーの意識が変わった時に、社会や世界も変わっていくことを目指しております。

特に今年からは社会的なエンゲージメントと言いますか、社会的な貢献も私たちMiLIは大切にしています。もちろんリーダーのみなさまお一人おひとりについてのサポートも大切にしていますし、ちっちゃなちっちゃな会社ですけれども、徐々に影響の輪を広げていけたらなと思っております。おかげさまで受講者数の累計や、書籍からMiLIのメソッドを導入いただく企業や組織の方々も、徐々に増えているところです。

それでは本日は、ジャーナリングについてのマンスリーMiLIとなっております。ジャーナリングとは何かから始まり、なぜ私たちが2013年からジャーナリングを推奨してきたか、そのメリットやリサーチについてシェアしていきます。そして3月29日に出させていただきました、『心のモヤモヤを書いて消す マインドフルネス・ノート』の特徴についてご説明した後、後半は実践メインでやっていきたいと思っております。

メインコンテンツに入る前の瞑想

それではまず最初に瞑想をご一緒できればと思います。みなさんがいらっしゃるそれぞれの場、そしてみなさんが座ってらっしゃる地面や椅子を意識していきましょう。心地よく力みを抜いて、同時にしっかりと目覚めている。呼吸の通りがいい姿勢を意識してください。そこから深呼吸を3回していきましょう。今のこの瞬間、ご自身にとってゆったりと深く、心地よい深呼吸です。

忙しい金曜日を終えられた方は、吐く呼吸と共に、疲れやいろいろな思いを手放していかれてもよいでしょう。新鮮な数呼吸と共に、今ここに存在していることをあらためて感じていきます。

今度は自然な楽なリズムで、呼吸にその深さ・そのペースを任せて、くつろいでいきましょう。初めの呼吸の瞬間から、吐き出す最後の瞬間まで、共に向き合うことができるかどうか。

これからご一緒させていただく時間に何を大切にしたいか。どんなご自分でいたいか。直感的にその答えを受け取っていきます。最後に、一度深呼吸をしながら、Zoomでつながっているこのコミュニティも意識しながら、ゆっくりと目を開けていきます。

ジャーナリングとは何か?

それではさっそくコンテンツに入ってまいりたいと思います。1度か2度、ご質問やコメントをいただくところがあると思いますので、もしご質問などありましたら、ぜひその時にお聞きになってください。まず、今日みなさんと学んでいくジャーナリングとは何かということですね。

あるテーマについて気付くことを、ありのままに観察し、言語化して、手で書き出すことです。これからお見せするリサーチの結果の中でエクスプレッシブ・ライティング(Expressive writing)と表現をされているものがジャーナリングになります。ジャーナリングは書くマインドフルネス、あるいは「書く瞑想」とも言われています。

マインドフルネスの定義はいくつかありますが、1つご紹介すると、今この瞬間をあるがままに観察し、気付きを得ること。ジャーナリングと非常に似通っている部分がありますね。

あるがままに観察するとは、バイアスや色眼鏡、期待、あるいは「こういう私でなければいけない」「こういう表現をしなければいけない」という感情をいったん払って、そのままを観察する。あるいは、そのままを言語化するということです。こういう共通点からジャーナリングは書くマインドフルネス、書く瞑想とも言われているわけですね。

ジャーナリングは、マインドフルネスが流行ってきた昨今に起こったわけではなく、いろいろなかたちで、ずっと多くの方たちの支えになってきたものでもあります。

シェリル・サンドバーグの『LEAN IN』(リーン・イン)という本があります。彼女は数年前、家族でメキシコを旅行中、急にご主人がお亡くなりになってしまうんですね。お互いのキャリアもうまくいっていて、人生順風満帆というところで、最愛のご主人を失ってしまう。その際、彼女はセラピストに勧められたジャーナリングをしたことで、苦しみから立ち直ったと書いておられます。

歴史書分野の米国No.1ベストセラー『自省録』

次は私の愛読書で、SIYビヨンドのみなさんとは読書会もさせていただいた、マルクス・アウレリウスの『自省録』という本です。マルクス・アウレリウスは、1900年前のローマの皇帝です。ローマの五賢帝、優れた皇帝の1人として数えられている方です。英語のタイトルは『Meditations』。まさに迷走している心持ちを書き出していったものが1冊の本になっています。

彼が皇帝としてリードした時代は、疫病が流行り、そして常に外敵との戦をしなければいけない時代でした。リーダーとして非常に大きな苦しみを抱えながら、自分の倫理や価値観、どうやったら自分を律していけるか。時には悩みを書き出したり、時には尊敬する人を思い出して自分を鼓舞した本です。

ジャーナリングは、実は人に見せることを前提に書きません。人に見せないことが前提なので、びのびとありのままに書けるんですね。実際にアウレリウスの自省録は、「自分自身に」という原題になっていたそうです。

つまり自分自身に向けて書いたもので、これを書くことで、自分を鼓舞したり、大切なことを思い出したり、励ましたり、時には嫌なことを吐き出したりしていたわけです。

それが1900年の時を経て、いまだに読み継がれている。本人は他の人に読ませたくなくて書いていたにもかかわらず、アメリカではいまだに歴史の分野の書籍では、ナンバーワンベストセラーになっています。みなさんももしチャンスがあったらぜひお読みになってみてください。ローマの五賢帝の1人も、ジャーナリングで自分を支えてきたということですね。

そしてこの中川いち朗さんは、現在のシスコジャパン(シスコシステムズ)の代表をされている方です。彼が書かれた書籍も、やはり『一枚の紙で夢はかなう』という、紙に大切にしていることや価値観などを毎日言語化していくことで、ゴールを達成するという内容になります。

それから日本でベストセラーになりました、『ゼロ秒思考』ですね。これもやはり限られた時間の中で、紙の上に早く一気に言葉を吐き出すことで、いつもの思考パターンをバイパスして、深層心理やより広い知識とつなげるというものです。

このようにジャーナリングは、いろんなかたちで優れた人たちが取り入れてきたんですね。

ジャーナリングの効果

そして、私たちMiLIがお伝えしてきたプログラムの中でも多くのフィードバックをいただいています。

例えばSIYの中では、みなさんの5年後のビジョンを言葉にして書いていただくんですね。それ自体がジャーナリングですが、書いた後に思い出したり、さまざまなチャレンジに向き合うことで、「5年ではなくて1年で達成しました」という方もいらっしゃいます。

また某IT企業の管理職の方からは、「瞑想はまだコツをつかめないところがありますが、ジャーナリングは、ストレスが高くなったと感じたら吐き出すことでかなりすっきりします」と言われました。そして「書き出したものを振り返ってみたら、新しい改善案も見えるようになりました」とおっしゃっていただきました。

某企業の代表の方は私たちのプログラムを受けた後、正式に自社に取り入れたいと言われ、ジャーナリングを全社ミーティングに導入されたそうです。1つの同じテーマについて、みなさんがありのままに書き出し、それをシェアすることで、チームの心理的安全性につながったとおっしゃっていただいています。

その他、みなさんから「ネガティブな部分、例えばもやもやや違和感の理由に気がつける」「失敗や困難に際して自分を受け入れられるようになった」「セルフコンパッションが持ちやすい」といった声をいただいています。ストレスでイライラした時に頭を整理し感情を落ち着かせたり、ネガティブを和らげて極力ゼロに持っていけるということですね。

同時に「ふだん思いつかない創造的な気付きやアイデアを得られる」「自分の倫理や価値観が明確になるので、実際の行動に反映でき、自分が納得した行動がとれるようになった」「心で感じていることと頭で思っていることが、ジャーナリングで一致してつながりを持てるようになり、実際にアクションを踏み出せるようになった」など、ポジティブの強化につながるといったフィードバックもいただいています。

他にも「これまで気付かなかった自分の側面や望みを発見できる」「ゴールや今何を大切にしたいかを思い出し、モチベーションを維持できた」といった声もいただいています。

ジャーナリングと瞑想の違い

それではジャーナリングについて、実際にリサーチでどのようなことが確認されているかをご紹介したいと思います。これは1986年から、さまざまな学校や大学で研究者が、ジャーナリングについてリサーチしたものをまとめたものになります。

健康に対する効果としては、ストレスに関連した通院の減少、血圧の低下、そして肝機能や肺機能、免疫システム機能の改善も見られたということですね。それから入院患者については、入院日数の減少、気分や感情の改善、トラウマの緩和に結びつき、社会的・行動的な変化としても、仕事で常習欠勤する方が減ったことなどが報告されています。

そして作業記憶や学業成績が向上したり、他者とのコミュニケーションにおける望ましい変化、さらにアスリートではスポーツパフォーマンスの改善も確認されています。

スコアによって変わることだとは思いますが、このようなことがわかったそうです。なぜこのような望ましい変化が起きるのか。ありのままを書くというジャーナリングのメリットが、こちら(スライドの図)に起因しているかなと思います。

限られた時間の中で手を動かして書き出すことで、バイアスを飛び越えやすく、表層心理だけでなく深層心理も出しやすくなり、結果として状況に対してより客観的な認識を得やすくなります。

しかも紙に書いて可視化することも、マインドフルネスの瞑想との大きな違いかもしれません。瞑想は、正しく認識した気付きを流さずにしっかりホールドする能力が必要になります。ジャーナリングはその場で書いて可視化してしまうので、そのスキルが不要です。初心者の方でもやりやすいのは、こういったことが理由かもしれません。

まずは自分に対して、あるいは起こっていることに対して、正しい認識が得やすくなる。そして可視化することで、「ああそうか」と受け入れやすくなる。あるいは正しい認識を得るうちに、違う視点に気付き、創造的なアイデアが出てくる。そして、「あぁ、こういうことだったのか。自分にもまだ見えていなかったことがあった」と好奇心が刺激されるわけですね。

それらを統合して(スライドに)叡智と書いてあります。困難な状況についても、より有効な意思決定とか、よりいろいろな条件を慮る。こちらを立てたらあちらが立たないという難しい状況でも、これならできるのではないかといった叡智も、浮かびやすいのではないかと思います。決まりきったパターンの思考では、なかなか起きないようなこの受容・叡智・好奇心・創造性につながりやすい。

瞑想ですと静かなところで、あまり人に見られたくありませんが、ジャーナリングは紙とペンさえあれば、いつでもどこでも周りに人がいてもいなくてもできます。特に静かな場所でなくても案外集中してできるものですので、非常に実用性が高いという利点があると思います。

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