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進化型シセイと快眠(快眠編)(全1記事)

ゴリゴリのデスクワーカーの「深い睡眠」は30分以下 運動が好きじゃない人が深く寝るための「1分間ストレッチ」

ビジネスパーソンに向けた快眠スキル本『働くあなたの快眠地図』の出版記念イベント「進化型シセイと快眠」に、著者の角谷リョウ氏と著書やメディア出演多数の「姿勢のカリスマ」木津直昭氏が登壇。本記事では、快眠をテーマとした角谷リョウ氏のセッションの模様をお届けします。寝るためのリラックスのポイントや、不眠とメンタル不調の相関関係などが語られました。

深い睡眠を取るために重要となる、「光」と「寝室環境」

角谷リョウ氏(以下、角谷):では、「快眠」をテーマにした僕のパートにいきたいと思います。ほとんどの現代人はなかなか深い睡眠がとれないと言われていますが、いかに睡眠を深くするかという話になります。

深い睡眠になるための3つのポイントを簡単に言うと、1つ目は「光」ですね。『働くあなたの快眠地図』にも書いたんですが、日本はコンビニの光も1,800ルクスぐらいあって、世界で一番照明の光の基準が高いことがわかってます。快眠するためには、その照明の明るさをなんとかしなくてはいけません。

家庭用の電球も海外はまあまあ暗めですけど、日本は最低基準が500ルクスとけっこう明るい。直前まで500ルクスの光を浴びていて「じゃあ寝ましょう」と言っても、深い睡眠はとりにくいんですよね。200〜300ルクスぐらいなら、良い睡眠がとれるのがわかっています。その時に光を少し落とすとか、白ではなく黄色系の照明を使うといいことがエビデンスでわかっています。

2つ目は寝室環境です。薬以上に効果があると言われる睡眠改善法はいくつかあるんですけど、ダントツで効果があるのが、刺激制限法というものです。要は寝室環境が寝る用になっているかどうかがすごく重要です。ふだんの習慣を変えるのはちょっと手間ですが、寝室環境の変更はお金で解決すると言うか、ちょっとした工夫で睡眠スコアを上げられます。僕はここを推奨しています。

寝るための「リラックス」のポイント

でも今日はこの寝室環境の話はせず、3つ目の「リラックス」のお話をしたいと思います。最近のビジネスパーソンの多くは、緊張状態がとれず、リラックスできていないために快眠できない場合が多いのです。ギリギリまで仕事をしたり、いろいろ考えてしまうところがある。僕らはそこをどうやったらリラックスできるかをお手伝いしています。

要は、交感神経をどう副交感神経に入れるかですが、ポイントはいくつかあります。まず「お腹がリラックスできているか」が1つ目のポイントです。やっぱり満腹で胃の中が動いてる状態はリラックスできないので。胃の中にものがない状態をどう作るかがあります。

このあたりは、パフォーマンスに関係するので海外のアスリートやプロ選手はすごく徹底しています。胃の中のものがなくなるまで起きる。睡眠時間を確保するよりも、「食べる時間が遅かったら寝る時間を遅くしてください」というスリーブコーチの指示があるぐらいです。

あとは自分に合えばですが、やはりアロマやハーブティーはリラックスします。

あと本にも書きましたが、夜悩んでしまう人はジャーナリング(5分間手を止めずに頭に浮かぶことをひたすら書いていく)がおすすめです。ジャーナリングは、睡眠改善サポートの現場でも相当効果が出ています。

ウォーキングも効果的です。1日の歩数が4,000歩を下回るとめちゃめちゃ睡眠の質が下がります。快眠になるには7,000歩というエビデンスがあって、そこを目指して歩くと睡眠スコアにも表れます。

しかし、無料でできる王道はストレッチです。実際に睡眠改善サポートの現場でどんなストレッチに効果があるかを、今日は話していきたいと思います。

ゴリゴリのデスクワーカーの「深い睡眠」は30分以下

僕らは毎日何百人という人の睡眠サポートを行い、「何をやったら効果があった」「何をやったらスコアが上がったか」という話をしています。では、最も睡眠に効果のあるのはどんなストレッチだと思いますか?

女性:手を上に上げて、体をねじるみたいな感じのストレッチだと思います。

角谷:ありがとうございます、外れです(笑)。

女性:(笑)。

角谷:嘘です、すいません! それも効果があるんですよ! 「もうストレッチじゃないやん」と言われそうですけど、一番はストレッチポールを使うものです。

ゴリゴリにデスクワークをしている人は、Fitbitとかそこそこ精度の高いアプリでデータを取ると、ほとんどの人が深い睡眠の時間は30分以下なんですよ。

そういう人は巻き肩で緊張状態ですけど、ストレッチポールはわりかしよくできていて、あんまり努力しなくても自然に脱力して肩甲骨を寄せられます。これをやると平均で3倍ぐらい深い睡眠が増えます。

僕らは、最低でも深い睡眠の30分超を第1目標にしていて、第2目標は1時間です。ストレッチポールをやった人のほとんどは、第2目標のクリアまでいくことが多いです。僕も寝る前、本当に毎日、短時間でもやっています。「ベーシックセブン」というやり方がありますが、これだと長すぎるので、ショートバージョンにしています。ただ、モノを買わないといけないのと、そこそこ場所を取るというハードルがあります。

よく質問で出てきたり、僕らもデータを取っているものに、筋膜ローラーもあります。寝る前に筋膜ローラーをゴリゴリやる人がいますが、睡眠スコアが上がったり、深い睡眠が伸びるかと言うと、多少は良くなりますがそんなに変わりません。筋膜的にはすごく良いけれど、ちょっと痛かったりするので睡眠スコアにあまりつながらないのかもしれません。

運動に興味がない人でも継続率が高い、「1分間ストレッチ」

検索すると快眠ストレッチがいっぱい出てきます。300万回再生とか、お客さんでも「このストレッチのYouTube見ながらやるとめっちゃ寝れます」とか、僕らもどれが人気あるのか、ランキングをつけていたりします(笑)。ただ効果はあるんですけど、ほとんどの人は、やっぱり何分もできなかったりするんですよね。

僕らは、運動にほとんど興味がない普通のビジネスパーソンを対象にやっているので、その方たちがずっと続けて効果があるものとなると、どうしても「1分間ストレッチ」に落ち着きます。もちろん5分ぐらいやる方もいるんですけど、ほとんど8~9割の人は1分間ストレッチになってしまう。

ちなみに快眠ストレッチはいろいろ本も出ていますが、基本同じです。僕らもいろんなストレッチをやって検証するんですけど、確かに効果があります。ちなみに白濱(龍太郎)先生というベストセラーを出している先生の本です。この本はほぼストレッチのことが書いてあるだけなんですけど、10万部くらい売れているんです(笑)。「ストレッチ良いよ、このストレッチでっせ」みたいな感じですけど、本当に良くって。

僕らも何万人という人をサポートして「上半身が凝っている人だったら、これぐらいはやっていいかな」というのがありますが、睡眠スコアが上がるのは、今回本に載せたこのストレッチです。手を伸ばして前で組んで、伸ばしたまま頭の上に上げて、ゆらゆらとやって、「ふー」と息を一気に吐き、腕をストンと脱力して下ろすやり方です。

これを5セットぐらいなら続けられるし、実際に睡眠スコアも上がる。続けられなかったら意味がないので半年後継続率とかも取っていますが、この1分間ストレッチは継続率がめちゃめちゃ高いです。デスクワークの人にはこのやり方が有効です。筋弛緩法でもぜんぜんいいんですけど、ちょっと難しいので。

次は、下半身です。これも検索するいろいろ出ますが、ほぼこれになります。仰向けに寝て3秒ぐらい息を吸って、足首を手前に曲げて、5秒かけて「ふー」と息を吐きながら足首を反対側に伸ばす。

デスクワークをしていると「なんか太ももが固まってる」という感覚の人がけっこういます。上半身が固まる人が多いんですけど、下半身が固まる人も多い。

下半身が固まる人は、このストレッチをやるとかなりリラックスできます。案外、下半身が固まって寝られない人は多いんです。あと下半身が固まったまま寝ると足がつったり、足に違和感があったりする。上半身と下半身の両方のストレッチをやる人もいますが、ほとんどの人はどっちかをやっています。

「不眠」と「メンタル不調」は相関する

話が脱線しますが、なんで睡眠改善が重要なのか。良い睡眠を取ることで、パフォーマンスを上げるという観点もありますが、それだけではありません。本を出した当時のデータは6,800人ぐらいで、今は1万人を超えていますが、僕らはメンタルの数値と「アテネ不眠尺度」という不眠レベルの両方を取っているんですね。メンタル不調と不眠は強い相関があって、相関係数が0.8ぐらいあります。

かつ不眠テストでアウト(6点から上の人)は不眠症の疑いが強いですが、不眠テストが6点の時には「QIDS」という公的な抑うつテストの平均点もだいたい5.9ぐらいになる。抑うつテストも6から(上が)軽いうつになるんですけど、不眠がアウトの時はメンタルもほぼほぼアウトになるんですね。これはたぶん、うちしか(データを)持っていなくて。1万人を超えても同じような感じなので、ほぼそう言えると思っています。

不眠がアウトの時はメンタルもほぼアウトの逆で、快眠になるとメンタルの数値も相当下がるんですよね。メンタルの改善って非常に難しいんですが、寝られるようになればメンタルの数値も良くなるので、ここが解決策の1つになるかなと。

これが、僕らが今いろいろな会社の睡眠改善サポートに入っている理由です。僕のパートは以上になります。

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