2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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齋藤あい氏(以下、齋藤):パネリストのみなさんがバーンアウトからどう復活したのかというご質問をいただいているんですけど、その辺も含めながらワークにも入っていけたらいいのかなと思います。
「みんなの『バーンアウト』を見てみよう」ということで、今の我々の話に対して感想をチャットでいただいていたと思うんですけど、けっこうみなさん「みんなそうだったんだって安心しました」という声だったり、「周りにヘルプを出せない自分がいます」と書いてくださっています。寺口さんがおっしゃっているように、今日は「共感」の場にしたいなと思っていて。寺口さん、お願いします。
寺口浩大氏(以下、寺口):そうですね。お話しいただいたパネリストのみなさんはわかると思いますが、僕もこの2~3年ぐらいで、Zoomで集まって企画していっぱい「こういうイベントやりますよ」と言うようになってわかってきたことで、イベント自体は誰でもできるけど、イベントで話す側になった瞬間に、視覚上「あの人はすごい人」となるなと思っているんです。
ぜんぜんそんなこともないなとよく思っているんですよ。僕自身も、去年の年末も2週間くらいコンデション調整でお休みもらっていましたし。
僕が自分のために気休めにやっているのは、サッカー観戦ですね。サッカー選手ってお金をもらっているけれど、アキレス腱うんぬんとか半月板がうんぬんとか、ハムストリングが切れたとか、よく故障で離脱しているんです。僕が休むのもそれと同じぐらいの感覚なのかなと思って、サッカーを見てちょっと自分を癒やしていますというのが1個。
あとは、今日僕はいろいろネタを持ってきたんですけど、「いや、お前はもう乗り越えたからそんな笑って言えるんじゃん?」というところもちょっとあると思うんですよ。
実際はそうだし、今日はあえて明るくいきたいなと思っているのもあるんですけど、僕の話ばかりしても仕方ないかなと思ってて。
寺口:今の若い20代くらいの人たちが、どんな理由で転職をしているのかというのを調べてきたんですね。こっちのほうが、僕がいっぱいしゃべるより説得力がある。
参加してくださっている方は、僕が何をやろうとしているかは知ってくださっていると思うんですけど、「ワンキャリアプラス」という、リアルな転職体験談とか、どういう企業からどういう企業にどんな人が転職しているのかというのを、全部1ヶ所に集めた「キャリアの地図」のようなサービスを、この6月から新しく作っています。
「バーンアウトなのかな」みたいな時って、弱気で、ここじゃないどこかに行きたいけど、「ここで通用しなかった私は次もダメなんじゃないか」とも思うし、「うちで務まらなかったらどこに行っても無理だよ」みたいなことを周りからもめっちゃ言われるんです。今日はそれに対抗する「事実」の体験談を、(「ワンキャリアプラス」の中から)いっぱい集めてきました。
例えば、これをみて欲しいんですけど「自分のことを頼ってくれる人のために仕事をすると、営業成績が目標までいかなくて、先輩や営業所長から冷たい視線を受ける」。お客さんと社内都合の間で悩む人が、やはり「お客さんのために仕事をしたい」と言って転職するという感じで、自分のやりがいが持てることに薄々感じ始めるような話とか。
それから意見の否定、行動の否定、存在の否定。否定ってどこまでされているか、どこまでしているのかがわかりにくい。その中で「存在自体に価値がないんじゃないか」「自分が無価値じゃないか」と思うところまでいっちゃって、場所を変えるしかないと思った人たちが、実際にちゃんとキャリアチェンジができている事実をオープンにすることってめっちゃ大事だなと思っています。
寺口:「この会社で通用しなかったからどこでも通用しない」ってぜんぜんそんなことなくて、転職を1回もしたことない上司に言われても、「なんで知っているの?」という話なんですよね。
そういうことって、1人で考えていると「そうなのかな」って負けるじゃないですか。だから僕が僕の話をするのもいいけど、それ以上にこういう「みんなそうなんだよ」という事実を、今日はどうしても伝えたかったなと思って。リサーチをいろいろやったんですけど、エピソードは無限にあるんです。本当に人ぞれぞれだなと思います。
岡:「今の場所でがんばれないなら、他でもがんばれないかも」というのは共感がありますね。
寺口:そうなんですよね。だから「転職先なんてどうせないよ」って言うけど、ぜんぜんあるんですよ。「できる・できない」じゃなくて「合う・合わない」だし。それがちゃんと自分でわかっていたら、大丈夫なことっていっぱいあるんじゃないかな。
僕の時はこういうのがなかったので、できなくて否定されたら「俺なんてダメだ、社会不適合者だ」ってなるまでのステップがめっちゃ早かったんですよね。なんだか知らないけど。
でもそれは「その会社不適合」なだけで、別にその会社が社会じゃない。こういうデータが、個人の声が孤独を癒すので、これからも「ワンキャリアプラス」で体験談集を作っていきたいなと僕は思っていますね。
最初は転職の不安を解消することがしたかったんですけど、不安だけじゃなくて、こういう孤独とか自分の価値を感じれなくなったりとか、そういったことのほうが重い課題なんじゃないかなと最近すごく思っています。
寺口:今日初めて「そんなのあるんだ」と思われた方は、ぜひ見てみてください。ここだけ話したいので、1分くらいしゃべっていいですか?
齋藤:もちろん。
寺口:最近、ユーザーの方に教えてもらったいい使い方があって、いろんな体験談を見られるんですけど、「絞り込む」から「3年未満」「3年から5年」とかで(検索するんです)。今日の参加者は20代中盤の方が多いと思うんですけど、同年代の体験談が見られるのがめっちゃいいなって。
齋藤:確かに。
寺口:社会人歴によってけっこう転職の理由って違うんですよね。しかも、どういう業界、どういう会社からどういうところに行っているのかというトレンドもわかります。30代の体験談とか、僕はほぼ毎日見ているんですけど、僕自身むっちゃ勉強になるし気持ちが楽になりますね。
わかんないですけど、最悪いつかクビになるかもしれないとなっても、体験談を見ていると「あ、大丈夫だな」と思えます。だから今の仕事に集中できるようになるし、ビビらずに今の仕事でチャレンジができる。現職に留まるとしても、自分と同じ価値観の人とか、境遇の人とか、業界の人、年齢の人、職種の人を見ておく必要があるなと思います。
孤独だといろんなことにすぐ負けるので。リモートワークとか転職とかって「孤独がデフォ」なんです。マジで。みんなの声をちゃんと集めて、はたらく人の力にすることをやりたいなと思ってますね。
寺口:すいません。質問に答えられたかどうかわからないですけど、「パネリストのみなさんはキラキラまみれだと思っていたので、どう復活していかれたのかお聞きできるのか楽しみです」という質問に答えると、僕は本当に「1人じゃないんだな」と実感する時間をつくってます。今日みたいな。人は不安で死なないらしいですけど、孤独で死んじゃうって聞いたので。
岡千尋氏(以下、岡):うん。
寺口:「孤独じゃない」と自分に実感させることがめちゃくちゃ大事だなと思っています。(チャット欄に)「体験談を見て、そのままこの人と話したい」。そうですね。僕もユーザーの方からそういった要望をめちゃくちゃいただいているので、お声は生かしていきたい。
岡:おもしろいですね。
寺口:「リアルな体験談を理由に1on1ができるようになったらいいな」とユーザーの方からも言われています。キャリアの話って誰にでも相談したいわけじゃないんですよね。確かな情報を知っているポジウィルさんのようなプロの方とか、自分と同じような経験をしている人ととにかく感情を共有したいとか。やはりいろいろ理由があるので。
SNSとかのよく知らない人で「就活のプロです!アドバイスします!」「転職のアドバイスします!」と自分から言っている人って、相談するのハードル高いじゃないですか(笑)。
それより、ポジウィルさんもそうですけど、カウンセリングを受けている人たちの「受けてよかったな」と思えた人とか、自分がちゃんと信頼できる人たちとか、確かな情報を持っている人たちとか、良い体験を提供して信頼されている人に相談するほうがいいのかなと思っていますね。
熱が入って過呼吸気味にしゃべってしまいました。
(一同笑)
齋藤:そうやって救われる人、めちゃくちゃいるんだろうな。
岡:やはり実際にユーザーさんと話をしていても、自分に近しい事例とか、みんな何で悩んでいるのかとか、そういうことを情報として知りたいという要望をけっこういただきます。これは確かに救いだなと話を聞きながらあらためて思いました。
齋藤:私も新卒入社の頃に見たかったな(笑)。ありがとうございます。
齋藤:ここまで、バーンアウトになったらどんな症状が出るのかだったり、みなさんの経験だったりを聞いてきたんですけど、「バーンアウトになってしまった時に、どうすればいいのか」というところについて、ワークも含めて考えていきたいなと思います。
JobPicksの編集長の佐藤留美さんの言葉で、めっちゃいい言葉があったので(笑)、文字に起こしたんですけど。
小林将也氏(以下、小林):いやぁ、めっちゃいい言葉ですね。このNewsPicksが配信したバーンアウトの記事の特集を担当して実際執筆した佐藤留美さんは、NewsPicksの副編集長をやりながら、JobPicksの編集長をやっていて。メッセージを1つもらってきていたのをここに書いているんですけど、そのまま読み上げるとマジでわかるなと思ったんですね。
「バーンアウトとは、使命感・責任感が強い人ほどなりやすく、誰しもが陥る可能性があります。そしてバーンアウトしたとしても、キャリアの終わりではもちろんなく、むしろ、自分を見つめ直し、度量や技量を広げる機会にもなりうるのです」。めちゃめちゃいいメッセージだなと思って。
齋藤:めっちゃいい言葉。
小林:バーンアウトになりやすい人の傾向は「真面目で責任感がある人」ということははっきりしているので、バーンアウトになっていること自体、キャリアについて真剣に考えていること自体が、めちゃめちゃ偉いことだなと思ってて。
それをなかなか共有できないところが、解決に向けての大事なところなんだろうなと。その時に「もう終わりだ」と思ってしまうんじゃなくて、あらためて自分を見つめ直すいい機会にする。
僕も夏にバーンアウトしかけた時に、あらためて「自分って何ができるんだろう」とか、「どういうことが好きなんだろう」ということを考える、いいきっかけになったなと思います。当時苦しくても、振り返るといい機会になることがけっこうあったと思うので、この言葉は僕も救われるなと思いました。
齋藤:めっちゃいい言葉ですよね。岡さんはどうですか?
岡:さっきの「バーンアウトになったらどうしたらいいの?」という質問に答えるとすると、私は実体験としてバーンアウトになった時にどう復活していったんだっけって、けっこう考えていたんですけど。
noteにも書いたんですけど、私はハーバードビジネスレビューの、『バーンアウトに打ち勝つ処方箋』という本を読んだんです。その時に、「当時は意識していなかったんですけど、この本の内容を明確に忠実にやってたんだな」と振り返っていました。
私としては、リクルートの時に燃え尽き症候群みたいになっちゃって、これ以上がんばれない状態になった時に、それまでは時間の多くを仕事に費やすということで、「成果を上げる」働き方をしていたんです。でも明確に、自分の仕事だったりとか、プライベートの中の境界線を作りに行ったということが大きくて。
これまでのたくさん働いてたくさん量をこなして、とにかくがんばるというところから、「ちゃんと19時に帰る」といった自分の中のボーダーを作って、ちゃんと自分の時間・余白を作る。自分の感性とか感覚を取り戻すことに時間を使っていくことで、復活していったなというのが実体験としてありますね。
それがたまたま本の中でもあったので、「これけっこう大事なんやな」とあらためて痛感しました。
齋藤:「バーンアウトになったらまず何を考えなくちゃいけないのか」とか、岡から話がありましたけど「どう復活していくのか」みたいなところを、ワークで考えていければと思います。
岡:そうですね。これは私たちのプログラムの中でも実際に行っているワークなので、もしよければみなさんも一緒にやっていけたらなと思っています。
バーンアウトになっちゃうということは、やはり「仕事=人生すべてだ」と捉え過ぎちゃっている人が、けっこう多いんだろうなと思っています。
キャリアコンサルティングの勉強をされている方がいれば馴染みがあると思うんですけれども、サニー・ハンセンのキャリア理論では「人生は仕事だけではない」と言われていて、この4つのLの要素がパッチワークのように複合的に絡まっているのがキャリアなんだという捉え方をしていくんですね。
1つの要素として、「仕事(Labor)」があって、「Love」が、家族だったりとか友人関係とかパートナーの関わり方だったりの時間の使い方をどうしていきたいか。それからキャリアや人生そのものが学び続けるものだというところがあって、「Learning」は勉強とか自己投資にどれぐらい時間を使っていくのかだったりとか、「Leisure」は1人の時間や仕事以外の活動でどういったものをやっていくのか。
まず現状はどうなっているんだっけということを考えてもらっていいのかなと思っています。自分の心に問うていただいて、「これが本当に求めている状態なのか?」ということを、あらためて客観視するというのは大事かなと思っています。
現状を整理した上で、「本当はどんな状態にしていきたいんだっけ?」ということを、未来バージョンで書き出していくことが大事かなと思っています。書き出した上で、この4つ全部でパーセンテージが100と捉えた時に、どれぐらいの割合をそれぞれの時間に使っていきたいのかを、パーセンテージで振っていく。
意外と、自分が頭で考えていることと実践している状態ってけっこう違ったりするので、ちゃんと書き出してパーセンテージまで振ってみると、視覚化されやすいというか、イメージしやすいのかなと思っているんですね。ここから見直すといいのかなと思います。
齋藤:(チャット欄に)「就活時は『バリキャリとして生きる』『仕事=人生』と思っていましたが、実際働いてみたら、仕事は人生の一要素でしかないと感じました」。
岡:ああ、そうですね。私も今でこそめっちゃ仕事も会社も好きなんですけど、仕事が人生のすべてだとは一切思っていないです。プライベートどう充実させるかなということもすごく大事にしていると思っているので、全部を統合させて、どう豊かに生きていくかということを考える機会があれば、すごくいいのかなと思います。
寺口:確かに確かに。はい!質問いいですか。
(一同笑)
齋藤:はい、寺口さん!
寺口:ちょっとやってみようかなと思ったんですけど、まずどれくらい時間を使っているかというのを可視化したほうがいいんですかね。「現在」の欄に対して。
岡:そうですね。「バーンアウト気味かも」という状態の人は、現状整理から入ったほうがよくて、疲れていない人は未来から考えたほうがいいですね。
寺口:あ、そうなんだ。
岡:あまり疲れていない人は「未来はどうしたいんだっけ」から逆算して落とし込むのが本当のやり方なんですけど、疲れている人って「未来もクソもねぇ」みたいな状態だと思うので……。
(一同笑)
寺口:ああ、そうか。確かに確かに。
岡:「現状どうなっているんだっけ」というところから入ったほうが入りやすいです。
寺口:うーん。「これはしたい」というよりも「実際どうか」という観点のほうがいいということですよね。
岡:現状整理においてはそうですね。
寺口:ああ、やべぇな。これはすごいですね。
齋藤:やべぇなって!(笑)。
寺口:これは時間で割るとすごいことになりそうです。コメントにもありましたけど、みんなもそうかもしれないんですね。「仕事めっちゃ多いじゃん」って。
齋藤:「未来もクソもねぇめっちゃわかります(笑)」(というコメント)。
(一同笑)
齋藤:仕事に追われているとそうなんですよね。
岡:そうそう。私たちのユーザーさんでも、上場企業の役員の方とかが増えていて。この4Lはそういった方とかにも使っていただいてて、やはり「人生を見つめ直すのにすごくいいワークだね」と言っていただくことが多いです。この4つの要素で、あらためて「自分の人生はどう豊かに生きていくんだっけ」と考えるのは、すごくいいのかなと思います。
寺口:確かに。僕も爺ちゃんが仕事人間だったんですけど、定年退職したあとはマジで暇そう過ぎて、「ああ、なるほど。そうなるのか」と1回見たから、早めからやっておいたほうがいいかもしれないですね。たぶん、4Lはライフステージによっても変わりますもんね。
岡:そうなんです。40代になった時に、仕事に全集中していたものをどこにベクトルを変えにいくのかとか、転職だけのソリューションではなく人生そのものを考える機会になったりするので、そういう見方もありますよね。
齋藤:もうちょっと気になる方は、YouTubeにも動画があるのでぜひそちらを見てください。
寺口:ありがとうございます。あとで見てみよう。
(一同笑)
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