2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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川原崎晋裕氏(以下、川原崎):ちょっと話が変わるんですけど、自分の持っている株のシェアで、その会社へのコミット度合って変わるもんですか?
小笠原治氏(以下、小笠原):いや、どうだろう。僕個人で言うとそんなに変わらないですね。20パーセント持たせてもらっている会社もあれば、ログミーでは最終数パーセントとかだったじゃないですか。でも別にそこの差はあんまりないです。
だって、7パーセントの株を持たせてもらっている会社が1,000億円になるかもしれないし、30パーセント持たせてもらっているところが10億円にしかならないかもしれない。そのへんはわからないですよね。だからあんまり、そこの価値や評価みたいなもので差はないですね。
川原崎:今までいろんな起業家を見られてきた中で、起業家に向いているかどうかはわからないですけど、そもそもへこまない人とか、立ち直れるタイプの人の特徴とかありますか? 折れない人はこういうマインドを持っているとか、思考法を持っているとか。
小笠原:どうなんだろう。異常に明るい人はちょっと怖いなと思います。人前で異様に明るい人はちょっと怖く見えることがあって。特に人が喜んでくれたことでテンションの上がる人っているじゃないですか。あのタイプの方は、自分がしんどい時は周りを喜ばせてあげられていないから、自分のテンションも上げられないみたいな。心が折れると戻ってきづらいだろうなと思うことはありますけどね。
変化したのを見ている人は、また変化して戻れるんだろうなーとか。自分を変えない人と変化を好む人だったら、折れないのはやっぱり変化を好む人だし。
サービスとかプロダクトはすごくイノベーションとか変化と言っているけど、自分のことは変えたがらない人っているじゃないですか。そういう方はけっこうヤバそうに見える時がありますね。誰のことだっていうツッコミはやめてください(笑)。
川原崎:はい(笑)。私ももともと起業したきっかけが、やっぱり違う世界を見てみたいというか。小さい出版社の1つの事業部の長をやって、これより上に行こうと思うともう社長とか役員しかなかったんですね。すぐ上が社長だったんで。
初めて部下を持った時とか、チームリーダーになった時って、見える景色が変わるというか。部下のままだと上司の気持ちって一生わからないけど、(上司に)なってみると、だからああいうことで悩んでいた時にあんなことを言ってくれたんだ、と自分がアップデートされる感じで、すごく気持ちよくて。次は社長が見ている世界ってどんなもんかなと思ってトライしてみたというのが。
小笠原:どんな景色でした?
川原崎:月30日あるとするじゃないですか、28日は今すぐ辞めたいと思っていましたね。辞めたい、ああ辞めたい。でも嫌なことに、記事がすごいヒットしたり、ものすごい大手の企業から案件が入ったり、スピーカーの方やユーザーの方にすごく感謝されたりするんですよね。
小笠原:辞められない理由がそこに生まれるんですよね。
川原崎:そうなんです。ジェットコースターってよく言いますけど、「今度こそ本当にダメだ」って思っている時に何かちょっといいことが起きやがるんですよね(笑)。それで辞められなくなっちゃって。小笠原さんの投資を受けて、その時ももちろん辛いことのほうが多かったんですけど、逆に辞められない理由ができて。これは絶対に大きくしないとな、とか。そういう意味でもよかったですけどね。
小笠原:けんすうなんかも今けっこうエンジェルをやっていますけど。株主が入ることで(起業家が会社を)続ける理由の1つになることって、ありますよね。株主によるのかもしれないけど。エンジェル投資で言うと、実は一番最初の会社……、一番最初に僕に投資してくれたのは、さくらインターネット共同創業者の田中(邦裕)さんなんだよね。
川原崎:えーっ、そうなんですか?
小笠原:まだ田中さんが20歳で、僕が26歳で、さくらインターネットを一緒にやろうという前に、僕が紙のコンテンツのライターさんをWebのライターさんに変えていくための会社をやろうとして、コンテンツを作れる人を囲わないといけないというので。
関西のリージョナル(地方)紙とかをやっているライターさんとかと一緒に会社を作って、田中さんが300万円出資してくれて。そこをやりつつ、今度はさくらインターネットという会社を一緒にやりましょうとなった時に僕が出資させてもらったので、実は僕にとってのエンジェル投資家は田中さんなんですよ。
川原崎:えー、それは知らなかったです。
小笠原:しかも、田中さんがまだ20歳の時ですよ。
川原崎:ヤバい人ですね、田中さん。
小笠原:それが会社を続ける理由になって。ただ、僕はすごく我が強かったので、当時、「紙のほうがライターとして上」みたいな状況があったのに、僕が「Webだ、Webだ」とやってるから、12人の会社で9人に会議中に辞められて。一緒にやってた人に「小笠原ちゃん、求心力ないよ」と言われて。
「辞める奴はついてきて」と言って、その人が出て行って。残ったのは同級生1人と事務の女性1人で、締め切りは4日後、みたいな(笑)。でもやっぱり辞められないじゃないですか。
投資というのはある種の期待でもあると思うので、田中さんに株主にいてもらってよかったなと思うのは今言ったとおりで、面と向かって言ったことはないですけどね。そういう意味では恩人ですよね。
川原崎:なるほど。けんすうも小笠原さんもそうですけど、ログミーがYahoo!でデカめの炎上したり、類似サービスが出てきたり、けっこうメンタル的にきつい時に、「ぜんぜん大したことないよ」と言ってもらえたり。
あと「訴えるぞ」と大手の企業に言われた時に、「これ裁判しようぜ」と逆にアドバイスをもらったり。そういう時に心がぽんって軽くなって、もうどうでもいいや、やってみようという気持ちになれるので。
小笠原:そういう意味では、経験者が近くにいてくれるというのはすごくいいですよね。だって裁判のコストは知れてるしなーとか。こっちが本当に悪いことをしていたとか、後ろめたくて隠していたとかなら別だけど、別に向こうの勝手な言い分で訴えられるんだったら、最後は裁判で白黒つけたらいいんじゃないですか? と言えるかどうかですよね。
ついみんな勝手に抱えて、おおごとにしちゃうから。そういうのを言える相手としてエンジェル投資家みたいなのがいいんじゃないですかね。逆にそういうのを言える相手にしか(資金を)入れてもらっちゃダメですよという。
川原崎:本当はあの時裁判したかったんですけど、社内のマネージャーに「絶対やめてくれ、評判に関わるから」って言われてやらなかったんですよね。
小笠原:そのへんも難しいですね。評判とかを気にして、やったほうがいいことができない時ってあるじゃないですか。ちゃんと白黒つけたほうがいいことが、「それはやらないほうがいいです」っていう。そういうのばっかり抱えると経営者ってむっちゃ荒むと思うんですよ。
本来やるべきことをやろうと思ってやっているわけで。少なくともガス抜きぐらいはできたほうがいいし、本当はやっていいんだよという話があったっていいし。
川原崎:あとこれは、スタートアップの起業家からけっこう相談されるんじゃないかなと思っているんですけど。どこもみんな火事場みたいな職場で働いているわけじゃないですか。どういう気持ちで従業員をマネジメントをしていけばいいとかってありますか?
小笠原:うち(京都芸術大学)の学生が1人、とある会社のインターンから帰ってきて。モノ作りが好きな学生なんですけど、「いやーやっぱりモノ作りは仕事にするべきじゃないっすねー」と言って。何があった、みたいな感じで。やっぱり、そう感じさせるチームにしちゃダメですよね。
川原崎:抽象的ですね(笑)。ちょっとわかんなかったです(笑)。
小笠原:あ(笑)。スタートアップのチームって、やっぱり熱量が勝負な部分もあって、そこに関わりたい若手に同じ夢を見てもらわないと(うまくいかない)。確かにロジックも方向感も大事なんだけど、それを全部ドライブしてくれるのは熱量のはずで、その熱量があるから、入ってきたお金が何倍かになるという話だと思っているんですけど。
インターンに行って(好きなことを)やりたくなくなったというチームにしちゃダメですよねという。その熱量をもっと上げられるような雰囲気とかカルチャーがないと。
小笠原:マネジメントというのが最近違うなって話をtsumugでしていて。結局そこの最大の問題は評価なんだと思うんですけど、評価って難しくないですか?
川原崎:評価って人事評価のことですか? はい、難しいです。
小笠原:やりたいですか?
川原崎:いや、できれば一番やりたくない仕事ですね。
小笠原:ですよね。なので、今、本当にできるかどうか試そうと言っているんですけど。代理人制度を作ろうかと。
川原崎:誰の代理人ですか?
小笠原:例えばエンジニアなら、だいたいエージェント1人で4、5人ぐらいまで見て、ギャラの交渉とか待遇の改善はエージェントが会社と交渉していく。みんなのギャラによって代理人のギャラが決まる方式にすると、この人たちのいいところを引き出そうとするわけですよ。
そのエンジニアは、今までずっとRubyしか使えなかったけど、今回マイクロサービス化にあたって、Pythonでこのファンクションとこのファンクションを作って、このぐらいの稼働で会社のバリューにこのぐらい転換できていますよ。だからギャラはこれぐらいにしてこういう待遇にしてあげるべきです、みたいなことをエージェントが言ってくれる会社だったら、評価する方もされる方も楽じゃないですか。
川原崎:あーなるほど。
小笠原:絶対雰囲気が良くなると思っていて。
川原崎:そういう仕組みにすることによって、人事評価の負荷が取り除けるということですね。
小笠原:でもマネージャーの役割って本来それだよね、って話になって。メンバーのいいところを引き出して、成長を促して、会社とその人たちの待遇を決めていく。でも、そんなマネージャーいないよねって話になって。
川原崎:いないです。
小笠原:あんまり会ったことなくないですか?
川原崎:私はないかもしれないですね。
小笠原:部下として扱うような人ばっかりで、本当の意味でチームマネージメントをしている人はあんまりいないので、そこをちょっと変えていくためのトライをしようとしていますね。
川原崎:仕組みで変える方法もあるということですね。
川原崎:あと1分になったので、最後にスタートアップの起業家やそこで働く人たちが元気になったり、心の荷が降りるようなメッセージを一言でお願いします。
小笠原:なかなかなことを振りましたね(笑)。でも、あれですよ。楽しみましょうよ。楽しみを見つけましょうよ、かな。
楽しみに気づけるような観察力が大事だと思っています。絵を描くと観察力が身に付くのと一緒で、さっきカワパラが言っていた「部下ができると上司の景色が見えた」みたいなもので、「自分の周りの人たちの立場だとどう考えるかな?」ということをちょっとやってみるだけでも、けっこう元気に働けると思うんですけどね。
川原崎:なるほど、ありがとうございました。じゃあすみません、時間になりましたので、今日はどうもありがとうございました。
小笠原:ありがとうございました。
川原崎:チャンネル登録してください!
小笠原:(笑)。
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