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『脳神経外科医が教える 一生疲れない人の「脳」の休め方』(実務教育出版)刊行記念 「寝ても疲れの抜けないアナタへ。今年こそ「脳内休息革命」で人生を変えましょう!」(全6記事)

人は年を取るほど眠れなくなる--医師が教える、加齢と睡眠時間の関係

老若男女を問わず、多忙でストレスフルな生活を送る人が多い現代。疲労や不調の原因は「脳」にあるかもしれません。2018年2月28日、紀伊國屋書店新宿本店にて、『脳神経外科医が教える 一生疲れない人の「脳」の休め方』(実務教育出版)刊行記念イベントが開催されました。菅原脳神経外科クリニック院長の菅原道仁氏が登壇し、現代人の抱えるさまざまな悩みや疲れと「脳」の関係を解説。本パートでは、引き続き菅原氏がイベント参加者からの質問に回答。職場の困った同僚との接し方や、ストレスの受け止め方などについてアドバイスしました。

鯖缶はオススメ

菅原道仁氏(以下、菅原):サプリメントの中でオススメなのは、EPAなどのオメガ3脂肪酸の魚の脂です。あれは莫大なデータが揃っていますので、あれはいいです。いいというか、青魚は血管をしなやかにしてくれる脂なんです。今だと、鯖の水煮缶がよく売れていたりしますし、サプリメントメーカーもこぞって出してますけど。

EPAは医薬品でも出ているので、データは揃っています。中性脂肪が高い方は、保険診療でお薬として出すことはあります。

小谷俊介氏(以下、小谷):EPAはいいって聞いて、会社の隣のセブンイレブンで鯖缶を買って、お昼に会社で食べてたんですけど。

菅原:いいですね。いいと思いますよ。

小谷:みなさんも気をつけていただいた方がいいですけど、意外とあれ(鯖)臭うみたいで。

菅原:(笑)。なるほどなるほど。

小谷:鯖男みたいな名前もついちゃって。

小松田久美氏(以下、小松田):かっこいい、鯖男。

小谷:家で食べるようにしたんですけど。オイルを食べてもいいということで。

菅原:そうですね。テレビ番組の収録で一緒になったんですけど、80歳でエベレストに登頂した、三浦雄一郎さん。あの方は、実はああいうことをする前はけっこう不摂生が続いていて、心筋梗塞になりかかったとおっしゃってました。だけどそこで気づいて、生活をがらっと変えたそうです。

今の目標はまたエベレストに登りたいということで。今、トレーニングを一生懸命されているそうですが、彼の食事は、鯖の水煮とそうめんと卵なんかを混ぜて、それを食べていらっしゃってました。ちょっと振る舞っていただきましたけど、非常においしかったです。

小松田:手軽でいいですね。

寝られない時間=何かにチャレンジする時間

小谷:またちょっと長文が。

菅原:はい。

小松田:訳してます。読み込んでます。

小谷:「個人的に数年間、朝、起きれない。」

菅原:はい。なるほど。

小谷:「起きちゃって1時間経つ頃には疲れていて、やる気にならないので、やっぱり仕事とかに身が入らない。」

菅原:なるほど、なるほど。

小谷:「マットレスを変えたり、心療内科に通院したものの改善のないままです。何が原因だと思いますか?」

菅原:ああ、なるほど。これ、ガチの質問です。

小松田:はい。本気のやつです。

菅原:やっぱり睡眠の悩みの方が多いようです。なので、何が原因かというのはちょっと申し訳ないですけど、ここではなんとも言えない。

小松田:診断が必要ですね。

菅原:それもそうなんですが、いろいろなことが複合してまして。いわゆるストレスとの向き合い方かもしれませんし、寝具とか変えて、いろいろチャレンジしているのはいいですし。そもそも体型とか生活パターンでも睡眠時間というのは決まってきますし。

メラトニンという物質が出て、われわれは睡眠を促されるんですが、基本的に年齢を重ねてくると、その分泌がそもそも減るんです。

小谷:あ、そもそも減るんですね。

菅原:やはり年齢を重ねていると、睡眠時間はそもそも減るので。学生の時に比べれば、絶対に少なくなるのは事実。

小谷:おじいちゃんは早起きとか。

小松田:はい。

菅原:だから逆に考えてみると、寝られない時間というのは、イコール、起きている時間ですから。何かをチャレンジする時間が増えるというふうに捉えてもいいとは思います。人間はいずれ永眠するときがきて、意識がなくなるので、生きている時というか、起きていることを楽しんだらどうでしょうか、というのも1つの考え方かなと思って。

小谷:逆にね。もう。

菅原:はい。

小谷:いっそのこと。

菅原:だから、「起きている」という、「人生というのは実は有限なんだよ」ということをあらためて考えてみると、寝られないことに囚われるよりも、自由な時間が増える、と捉えていただくといいかもしれない。

ただ本当に、先ほどお話ししたように、ストレスがあって、本当に心理的なトラブルで、自分のパフォーマンスが発揮できなくなっちゃうと困るので、もう一度やはり受診をしてもいいかもしれません。

小谷:八王子に、と。

菅原:はい。

小松田:はい、ぜひ。

呼吸の深さによって副交感神経をコントロールできる

小谷:「深呼吸は常にすべきか。」

菅原:はい。

小谷:「ここぞという時にすべきか。知りたいです。」

菅原:なるほど。自律神経というのは2つありまして、車でいうアクセルの交感神経とブレーキの副交感神経。今の現代社会はいろいろ情報過多ですし、忙しい方が多いので、興奮している方が多い。

小谷:ああ、なるほど。

菅原:この自律神経というのは自分でコントロールできないから自律神経なんです。「心臓、動け」って言って動く人っていないじゃないですか。「汗、出ろ」って言っても動かないじゃないですか。それが自律神経の交感神経と副交感神経で微妙にバランスを取っている。

唯一、副交感神経を発揮、コントロールできるのが、呼吸の深さなんです。呼吸だけは調節できるので、あえて深くすると副交感神経が優位になってくるので、興奮していたのが少し穏やかになってくる。というのが、いわゆる瞑想とか幻想です。

小谷:書かれてますけどね。

菅原:はい。なので、常にすべきというか、「べき」ではなくて。自分が疲れたなとか、ちょっと興奮しているなとか、なんかイライラしたなという時に使ってみるのがいいんじゃないでしょうか。

まあ人間ですから、勝負をしなきゃいけない時とか、ある程度仕事で力を発揮させないといけない時とか、そういう時は交感神経優位の方がいいわけですから、それはそれでいいわけです。だけど疲れで困ってるなという場合は、副交感神経を優位にした方がいいので、深呼吸とか利用してゆっくりすることがおすすめです。

小谷:具体的なやり方とかはこちらを。

菅原:はい。

小松田:本をご覧ください。

小谷:こちらでお買い求めいただけるので。

菅原:おすすめはお風呂のなかでやるのがいいです。僕、お風呂でよくやってますけど。

小谷:歩きながらとかね。

菅原:歩きながらというのもいいですし、お風呂とかでもいいと思います。

口の問題が睡眠に影響していることも

小谷:(手元を見て)ちょっとわかりやすいところで……あ、これも……。

菅原:はい。睡眠の質問がやっぱり多いです。

小松田:悩んでいらっしゃるんですね、みなさん。

小谷:本当です。これは寝具。

菅原:これが最後じゃないですか。

小谷:そうです。

菅原:睡眠の問題がやっぱり多いですね。本当に睡眠時無呼吸というのが注目されているので、やはり少し昼間の眠気がある方は、それを疑うというのも1つ。寝てる時に呼吸が止まっていないかとか、聞いてもらうというのも1つです。

この間の3月12日のテレビ収録の時は、口の問題だったんです。その時に、口腔外科と言うんですが、歯医者さんと噛む話についてお話をしました。僕もやっぱり思ってたんですが、顎関節症とか、寝てる時に癖で歯をぐーっと噛み締めて、睡眠の質を落としている方が多いそうなので。

そういう場合はマウスピースを適切に使うと、睡眠の質がぐっと上がることがあるので、歯医者さんや口腔外科といわれてるところでつくってもらうのがいいかな、と思います。睡眠の問題というのは、意外と寝られないということだけではなくて、呼吸の問題であったり、歯の問題であったり、あとは噛み合わせ。

だいたいみなさん、癖があるじゃないですか。左の歯を抜いてしまったから右でずっと噛んでるとか、片噛みだったりとか。そうすると肩や首が凝ったり、頭痛や眩暈が出たりしますし、睡眠障害につながることもあるので、一度相談してみるといいと思います。

最近、顎とかの問題も多いです。頭痛、眩暈で私たちのところに来る方の8割が緊張型頭痛といって、肩こり、首こりからくる方です。そのなかで話を聞くと、ずっと片噛みだったり、口を開けた時に「カブッ」という音がするとか。あとは大きく口が開かなくなったりということで、顎関節症で歯科の先生にお願いすることもよくあります。

小谷:そういう人は、そもそも増えているんですか?

菅原:増えています。

小谷:そういうのはスマホとかあんまり関係していなさそうですね。

菅原:噛む方は(スマホとは)関係ないですけど、姿勢の乱れによって頭痛、眩暈を訴える方が本当にめちゃめちゃ増えています。どうしても姿勢が悪い方が多いです。

小松田:どうしてもこんなになっちゃいますよね。

菅原:なのでスマホを持つ持ち方としては、こうやって持っています。

小谷:(笑)。

小松田:ちょっと老眼ふうみたいに見えますけど。

菅原:そうです。はい。

健康のために個人でできることは3つしかない

小谷:「睡眠負債」という言葉もNHKでやっていましたけど。

菅原:やってました。だからやっぱり寝るというのは、すごく大事なことで。寝ることはストレスというか、メンタル的な問題につながってきたりするので、忙しい方が多いという証拠なんでしょう。私たち医者が伝えられることって、実は数少なくて。健康のためにやれることは、僕は3つしかないと思っています。

小谷:3つ。

小松田:3つ。大事です。

菅原:はい。1つは食事、1つは運動。そして3つ目はストレスとの向き合い方。

小松田:はい。

小谷:うーん。

菅原:今の健康法といわれるのは、この3つにすべて帰着するんです。

小松田:はい。確かに。

菅原:食事、運動、ストレス。だって考えてみると、お医者さんにそれ以外のことを言われたことないですよね。

小松田:はい。

菅原:魚、食べなさい。食事の話です。

小松田:はい。

菅原:各論はいろいろあるんです。だけど大事なことはその3つだということで、みなさんが自分にあった健康方法をやっていただければ、いいんじゃないかなと思います。そのうちのストレスとの向き合い方を、今回、この本に書かせていただいていますので。

小谷:そうですね。

菅原:ぜひ読んでいただければ嬉しいです。

小谷:ありがとうございます。うまくまとめていただきまして。

菅原:いえ。はい。

小谷:ありがとうございます。本当にそうですね。先生もいろんなご本を書かれていますけど、そういう本質的な脳のパフォーマンスという。一番身近な。

菅原:そうです。

小谷:この本が初めです。

菅原:この本で一番言いたいことは、世の中のいわゆる労働人口、働き盛りの人が、自分の持っている力を最大限発揮できる(ようになってほしい)という。別に、隣の部署の何々さんより営業成績を上げるとかではなくて、自分で自分に勝つというか、自分でパフォーマンスを上げるようにして欲しいなということで、書かせていただいた本です。

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