2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Discover21×アカデミーヒルズライブラリー 『99% の人がしていないたった 1% のメンタルのコツ』刊行記念トークセッション(全6記事)
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千葉正幸氏(以下、千葉):そしたら今、世代の話出たので、ここでいったんみなさんからの質問をうかがって。大きな本の内容のことでもいいですし、自分はこういうふうなメンタルの悩みがあるとか、今こういうことあるんだけど、という話でもいいと思うので、もしよろしければ挙手いただけますでしょうか? どうでしょうかね? 本当はあるけど手を挙げてないという人、手を挙げてください。
(会場挙手)
はい、どうぞ。
質問者1:日本スポーツ振興センターの○○と申します。オリンピックとかパラリンピックとか、アスリート強化をする部署におります。
私はもともと民間にいまして、スポーツ業界に転職をしました。そこですごく感じたのは、不合理に物事を進めていくことに、逆に合理性を見出しちゃっているような人がすごく多いんじゃないかなと思っていて、非常にジレンマを抱えています。
要は、トップダウンで指示が来た時に、「これってAというかたちの指示が下りてきたけれども、よくよく考えてみるとBというほうがいいよね。もしくは、Cがいいよね」と。それでそのB案、C案を出した時に、「いや、上司がAっていってるんだから、Aでやる」というようなことに、なんか上司から言われたことをそのままやることに美意識を見出しちゃってるというか。
そうすると、B案、C案を出すことが、個人としては組織の生産性を上げることにつながると確信してるんだけど、結局、チームワークを乱すという見方をされてるんじゃないかと思ってまして。そうすると、言われたままそのままやるほうが、組織としては効率的に動くような気がして、どっちがいいんだろうなというのを悩んでるんですが、ご意見をいただければなと思います。
千葉:ありがとうございます。どうでしょうか? 河野さんから。
河野英太郎氏(以下、河野):それは僕も、実は体育会の水泳部にいて、最初の就職先が電通だったんですね。その後、コンサルティング業界に行って。何が違うかというと、理屈が通用する世界としない世界。今でも覚えてるんですけど、体育会水泳部はよく酒を飲まされました。当然、バーッと飲まされて、先輩に質問するわけですよ。「なんでこんな飲まなきゃいけないんですか?」って。そうすると先輩は、「おまえさ、飲まなきゃ吐けねーだろ」って言われるんです。
(会場笑)
「じゃあ、なんで吐かなきゃいけないんですか?」、「いや、吐かなきゃ、次飲めねーだろ」、「あ、そうですよね」とかいって飲んでたんですよね。
(会場笑)
そういう世界から入って、「なぜですか?」という質問は、その場で殴られるぐらいの、「いいからやれ」の世界だったんですよ。「なんで俺は夜中のスナックで素っ裸になって怒られてるんだろう?」とか、「それはおまえが後輩だからだよ」とか言われて、「そ、そうなんですかねえ……」という世界だったんですよね。
そこから、仕事は体と心でやるものだという世界から、突然、コンサルティング業界に入ったんですよね。それで、「おまえ、これ考えたか?」って最初に上司に言われた時に、「え、なんで仕事で考えなきゃいけないんですか?」と思っちゃったぐらい、こっち側の世界からこっち側の世界に飛んだ人間なんですね。
(会場笑)
それで、今でもビジネスは非常にロジカルに進みます。ですけど、たとえば、アスリートじゃないですか。アスリートの世界に入ると、なぜか昔のモードになって、「カラスが白い」って言われれば「白いですよね」という、先輩に対してそうならざるをえないモードが、いまだにあるんですけど。
河野:それは置いといて、やっぱりビジネスは目的合理性を追求しなきゃいけなくて。目的合理性というのは、たとえばB案、C案があったら、目的に照らし合わせて、やっぱり健康的に次の試合を迎えるんだったら、吐いたり飲んだり吐いたり飲んだりじゃ絶対無理ですよね。
そこで、「次の試合でベストを出すんです」「影響が今日飲むとありますから、今日は飲みません」って、やっぱり主張はするべきなんですね。
そう主張するとどういうことが起こるかというと、ちょうどここテレ朝近いんであれなんですけど、大門未知子みたいなことになるんですよね。……わかんないですか?
田中ウルヴェ京氏(以下、田中):観てる人はね。
河野:観てる人はわかると思うけど、「私、いたしません」とかね、「私、失敗しないですから」とか、そういう世界ですよね。でもそういう人は絶対必要で。
スポーツ界って今、本当にそこが必要だとされていて。今、めったにないのかもしれないですけど、手が飛んだり、足が飛んだりという世界はありましたよね。
田中:ノーコメントです。
(会場笑)
河野:ということなんですね。時代もそっちに動いているんで、やっぱり目的合理性の追求というのは絶対必要で。それが間違ってたら、やっぱり大門未知子になっていくべきだと思うんですね。それで殴られても、第2、第3のあなたが続くはずなので。
これは福沢諭吉も言ってるんですけど、「四十七士というのは、全員で討ち死にしたからバカだ」と彼は言ってるんですね。「1人ずつ訴えたら、たぶん25人目ぐらいで江戸幕府も認めてくれたはずなんで、被害は25人で済んだはずだ」みたいなことを、ちゃんと『学問のすゝめ』で言ってるんですよ。
140年前にそういうことを言ってた人がいて。それを受け継いでるかどうかは知りませんけれども、やっぱり目的合理性は今の世の中、絶対必要で。とくにグローバルの、とくにアメリカなんかは、いつも社内でいじめられてるんで。アメリカ人は非常に合理的ですね。合理的であろうとしますね。……というのが私の答えですが、いかがでしょうか?
田中:たぶん個別のメンタルトレーニングとかだったら、「その話をしにきた理由は何ですか?」って聞くかなあ。「今の質問がなぜ出たんですか?」って。勝手な想像ですけど、出た質問に本当は答えてもらいたいけども、「もう1つそれのきっかけになったことは何なのかな?」みたいなことを聞きたいですよね。
たとえば、どこがイヤなのか? 「自分が合理性のあることをやっているはずなのに」、すごく軽い言い方ですけど、「認めてもらえない」の方向なのか、それとも、「自分はどっちでもない。世の中、非合理性を合理性ってするの、おかしくない?」なのか、もっと他のことがあるのか。
「そういう上司ってダメでしょ?」なのか、「部下がそうあるべきではないでしょ」なのかって、いろんな広がりありますよね。
そこから私なんかは「企業をどうしますか?」よりは「あなたはどうしたいんですか?」を見たいから、そんな質問を開始しますよね。ごめんなさい、回答になってないようですけど、もし○○さんがこれを受けてどう思われるかを、ぜひやっていただけると。
千葉:ちょっと今、セッションの触りが……。
田中:うーん、やり出すと、だって2時間ぐらいやりたいもん。
(会場笑)
すいません。
千葉:ありがとうございます。他にどなたか、せっかくのチャンスなので。
(会場挙手)
千葉:はい、どうぞ。
質問者2:先ほど、目的合理性というところに少し関係のあるご質問になります。私、ずっとロジックで、理詰めで進めていくのがいいかなと思ってたんですけども、ここ最近、それだけじゃ足りないんじゃないかなと。
たとえば、千利休がなぜ秀吉や信長に仕えたかというと、彼らはそういう美意識がわかるセンスを持っていたからかなと思ってまして。それで、スポーツや仕事を進めていくうえでも、合理的・ロジカルに進めるのに加えて、「ここが好きなんだ」「これが美しいと思うんだ」という美意識の部分について、どのように考えていらっしゃるかをお聞かせ願えますでしょうか?
河野:目的合理性の答えは……。僕の考えとしては、目的合理性って、無理矢理進めることが必ずしもベストであるかどうかは、シチュエーションによって違うと思っています。なので、目的合理性を持って最短距離を見て、そこからどう迂回するかというのを決めないといけなくて、目的合理性はまずロジックで考えてセットします。
たとえば、いつもこの話題になる時に話をするんですけど、北風と太陽の話ってあるじゃないですか。旅人のコートを脱がせますと。それで最短距離は風邪でぶっ飛ばすことだと思うんですが、結論はどういう教訓になったかというと、「ポカポカと照らしたら勝手に脱ぎますよ」という結論なんですよね。
ただ、「本当にそれでいいのか?」とか、「やっぱり吹き飛ばしたほうがいいじゃん」という時ってありますよね。だから、ケースバイケースでやっぱり持っていくんだけど、ただ、いったん最短距離を認識しないと、次の迂回とか修正とかができないから、そこが1つの考えるポイントかなというのはあります。
あとは、たとえば最短距離で郵政の、要は財政投融資に予算の闇があるってなった時に、じゃあ「それを政策として変えるんだ」じゃなくて、キーワードとして郵政民営化とか。
美しさとはまた別の感じですけど、楽しさとか耳に残る心地よさみたいなものを武器としてやったほうが、実は最短で。現時点の最短がいけるんだったら、やっぱりそういうキーワード、ワンフレーズ政治というのを持っていくとかですね。
たとえばそういう工夫のしようがあって。まず筋を、最短距離を描いた後、どうシナリオを持っていくかというのは、また別の戦術の観点で必要かなと思いますので。千利休の例えは僕のほうではできませんけども、そんな感覚を持ちました。
田中:素敵な質問をありがとうございます。美意識ってそれこそ、本書にありますけど。メンタルってね、表層的なスキルを学ぶこともとても大事で。集中力とか、リラックスの仕方とか、いわゆる本当にコツですよね。今回、コツもたくさん書いてますけども。
でも、コツとか、仕事の戦術とか、体力とかのもともとの一番の底辺は何かというのは、最後の章でスピリチュアリティだとか、フィロソフィだとか、ということを書いてて。でも、この本はあんまりスピリチュアルのほうにいきたくないから。せっかく河野さんとご一緒したし、もうちょっと淡々と、淡白に書きたかったんで、あんまりそこまで掘り下げるのは控えたんです。
でも、たとえば、経営者のメンタルトレーニングとかで長くいらしている方で、すでに50代、60代の方だと、そりゃあ美意識というところはとても大事にされますよね。そこが「美意識」という言葉の方もいれば、「存在意義」とか「存在価値」とか、「価値観」というふうにもおっしゃったりするでしょうけど。
「それってなんですか?」って聞いた時は、まず最初にやり始めるのが、「あなたはどんなことにどう感じる方ですか?」という練習をしていただいたりはします。すでにロジカルシンキングができている方だと、当然、感情の表出も上手な方も多いんですけど。
でも、すごくつまんない普通の時、いわゆるなんの感情もない時にあえて自分の感情に気づくということをやってみてください、というと、なにに美意識をどれぐらい重く感じるかというドロッとした感情みたいなことを、どの時に気付いたかというところを集めていくと、その方ならではの美意識がすごく固まる。
そこが根源のエネルギーとなって、スッと上にいくと、技も、戦術も、たとえば集中力とかも、効率よく動きますよね。人間を動かすというと語弊があるかもしれませんが。
そのへんは、私ちょうど50になりましたけど、20代、30代、40代、50代ですごく悩んだらいいんだろうなとは思います。「軽々しく美意識なんて言っちゃいけないな」みたいな質感を感じ始めることが、すごく大事なんじゃないかなとは思います。
自分も教えるつもりはないので、「どうですか? どんなふうに感じますか?」とか。なぜなら選手って、ボクサーだったらこの拳1つに、ここにどれだけの力をかけるかという時に、体力じゃないんですよね。筋力じゃないんですよね。
どの思いで、どういう美意識で、このパンチを肩甲骨から出すかみたいな時には、めちゃめちゃ美意識なんですよね。そのへんは、アスリートの方から逆に教わりますよね。室伏広治くんの美意識とかも、めちゃめちゃ長いですよね。
(会場笑)
単なるとか言ったら怒られますけど、「回してポイってするだけじゃないの?」なのに、骨盤から話しますからね。「そこ?」みたいな。でも、「骨盤のどこどこの何番目の骨がどうでこうで、ここがこうで」みたいな。あ、すいません、以上です。
(会場笑)
千葉:よかったでしょうか?
質問者2:ありがとうございます。
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