2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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中野信子氏(以下、中野):ルールがある夫婦ほど離婚しやすいというデータからもう1つ推論できそうなことは、ルールがある共同体ほどいじめを生みやすいということです。
これは日本の心理学者が研究していますが、規範意識が高いクラスの方がいじめが多いというんですね。私が所属するならできるだけ緩い組織がいいです(笑)。
悪者、悪たれがいじめをするというより、一見いいやつとか、みんなのリーダーになるような人が、歪んだ正義をもって誰かを標的にするという構造になっているわけですよね。
「みんなのルールに従わないからちょっとみんなで懲らしめた方がいいんじゃない?」といった感じで始まることもあるかもしれません。大人の社会でもそういうことがありますね。
週刊誌などのメディアでも時々そういう人を標的にした記事が好評を博して、その人物が大きな話題になることがあります。これは日本が向社会性の高いコミュニティである証左かもしれませんね。
ヨーロッパの人たちに「日本ではこんなことが問題になっているよ」と言うと、「あり得ないよ。それはポリスの案件じゃないか」と言われます。「どうして学校で処理しようとするの?」と言われるのです。警察権の介入を許すのかという問題についてはまた別の議論になると思いますが。
友光:いじめで生き死にとかお金、カツアゲとかになったらね。
友光雅臣氏(以下、友光):ちなみに、あと10分ほどで終わりなのですが。普通は最後の10分間はQ&Aの時間をとっていますが、手を挙げたそれぞれが「私はこう思います」という話になるので、今回はありません。
ですから、最後まで「みなさんはどうですか?」とかはやりません。やったところで……というのが正直あるのです。こちらでその人の意見をあれこれジャッジしても仕方がありませんし、好き嫌いの話でしかないし。
期待されていたかもしれませんが「質疑応答はないよ」というのを一応10分前に言っておきます。すごく思いがありましたら、Twitterとかで。はい。
中野:私は今回、寛容と不寛容の間を考えた時に思い出したのが、キリスト教神学で否定神学です。
否定神学とはなにかというと、例えば「神はxxではない」と、ある形質を次々に否定していくことによって「神とはなんぞやを語る」という手法をとるものです。こうしたアプローチは、仏教にもありますよね。
友光:仏はこういうことをするとかしないとか、そういうことですよね。
中野:私たちも「生きる」ということを、ああでもないこうでもないと言うことで、おぼろげにその姿を描出していくことはできるんですよね。
私たちが生きている意味なんて本当は……。生きている意味がないというとややラジカルすぎる言い方になるのですが、無意味、無駄ということではなくて、意味はどう決めてもいいということですね。
それをどう考えてもいい、どう捉えてもいいという非常に大きな可能性と共に私は生きているということを、仏教ではあんなに多くの文字をかけて書いているわけじゃないですか。そのことをもう一度考え直してもいいのかもしれない。それがもしかしたら真の寛容ということなのかもしれませんね。
友光:脳科学者の方も生きている意味を考えるのですね。
中野:学者である前に人間ですから。
中野:「生」というのは、ある日気付いたらこの世にいたという感じですよね。自分から生まれたいと思って生まれた、と宗教的な言説では教えることはありますが、私たちの内観としては、ある日小さい頃に気付いたらこの世にいて、お母さんがいて……という感じだったと思います。
そして、だんだん世の中のことを知って「ああ生きているということはどうやら大事なことで、自分でゲームリセットして終わらせちゃうとどうもいけないらしい」ということを学ぶ。そのうち「大きくなったらなんになるの?」と聞かれ始める。人生には目的がないといけないらしいということを学ばされるのですね。
けれどもよくよく考えてみれば、そんな目的なんてどうでもいいんですよね、本当は。生きていることが大事だというならね。もちろん、当座の目的を達成できたとしたら、非常に満足は大きいし、楽しいけれど。
友光:それを達成してしまえば、お母さんが納得してくれるか、満足してくれるか。わかりません。ただのコミュニケーションとして聞いているだけですしね。
中野:遺伝子の目的としては明確にあって、それは自分自身を拡散することかもしれない。けれども脳はなにを目的としているのか。その辺は多種性があるという言い方をするのですが、どんなふうにも変えてよい。目的はなんでもよい。なんでもよいという意味で目的はないと表現することが適していると思います。
友光:なるほど。今、生きる意味というすごく大きなことを言っていただいた中で、みんなが生きていく上で仏教や宗教がどこに関わるんだろうという話をするんですが。
法華経を読む中で「仏は衆生の眼となって」という一節があります。これは仏教というのが、みんなにとっての目になろうとしているという意味です。仏教では人間を構成する要素として6つを挙げています。眼、耳、鼻、舌、身、意(げんにびぜっしんに)。目と耳と鼻と舌と体と意識の6つがあると。
情報が入ってきて、自分なりに考えて判断して意見を作って、発信をするなりアクションを起こす。インプットがあって、自分というフィルターを通して、アウトプットしていく中で、限=目=というのはインプットです。なので、仏さまはインプットのところに役割を持とうとしている「衆生の眼」になろうと。なので、人々の意識になろうとはしていないんですね。
仏様が意識となって、フィルターの部分、一人ひとりの決定を仏様替わりにやろうという話ではない。アウトプットのところを替わりにやって、行為や言葉を定義しようというものではない。みんながなにをどう受け止めるかというところに入って、捉え方を提示してくれている。
インプットの時に1つのフィルターを入れてくれるのが、仏様の立ち位置なんですね。とはいえインもアウトもどちらも大事で、入れたものしか出せないので、インプットはすべてに繋がってくる部分ですが、でも意識や判断自体を代替したり乗っ取るというのは目指していません。
インプットではなく、フィルタリングやアウトプットの部分。その人の意識や判断、行為を乗っ取るというのはかなり恐ろしいことです。
そうした意味では、仏教や仏様というのがインプットに関わろうとしていることはとても健全なように感じています。そしてインプットのところでも、晴れを喜べ、雨を悲しめというようにインプットの内容を定義するのではなく少し幅をもってみようねとか、極端にならないようにしようねとか。こういう見方があるよねという話を仏教はあれこれしてくれるんです。
仏教はそういう風に人に語りかけたり、関わりを持とうとしていて、僕もそうあろうと思っています。
中野:例えば、政治的なイデオロギーを持っていたり、ある1つの結論を持ってみなさんにこう考えろということを強要するのは好みません。そこをなるべく避けているのですね。それはみなさんの可能性を信じているから。きれいな言い方で気持ち悪いですが。
友光:仏性みたいな。機根ともいいますよね。
中野:種が植わっていて、その種が芽を出すまでの助けになるといいなと思っています。
それがもしかしたら学者の使命なのかもしれないし、とても大事な作業だと思っています。これがみなさまの考えるきっかけになってくれればという気持ちでいます。
友光:向源ではトークショーもやってはいるのですが、他のお堂でワークショプをやったり、それぞれ自分でじゃあ座禅してみようとか、自分のお経を唱えましょうというようにしていて、それは実感してほしいというのが一番大きいです。
実感して自分で判断して、動いてもらいたいというのがあり、そのためのインプットの1つとして、「こういうことをやってみたらどう?」と。仏様に習ってインプットの役割をしているという気持ちの中でイベントをやっています。
やっぱり実際の場所で実感をしてもらいたいというのがあります。だから習うとか教わるではなく、実感してもらいたい。その実感だけで僕は満足です。
一人ひとりがどう生きていくかは、その人が決めてアクションしていくしかない。インプットを共にすることはあるけど、結局はあなたの判断とアクション。そして、僕はそのあなたのアクションを信じています。それがどんなものであっても、信じてます。そうやっていろんな人を受け入れながら、なんとなくぼんやりと日々安穏と暮らしてもらいたいなと思っています。
というところで、ありがとうございました。僕らはこれで去っていきますね。
今日はみなさんに遊んでいってもらえる、すごく良い日だなと思っていますし、こうやって仏様の下でみんなが話を聞いてくれるのを、僕はすごく楽しいなと思っています。
どうか今日は夜まで思い切り遊んでいってもらえればなと思っております。そしてこれからも、今日の実感などいろいろ噛み締めながら過ごしていっていただけたらなと思います。
本当に今日はご来場いただきありがとうございました。
(会場拍手)
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