2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Stanford Graduate School of Business Jennifer Aaker: Power of Humor(全1記事)
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ジェニファー・アーカー氏:ディズニーランドは様々な矛盾を孕んでいます。なぜなら、楽園であるにもかかわらず、そこには様々な悲惨なことが待ち受けているからです。順番待ちの長蛇の列、高額なチケット、そして疲れてぐずる子供たち。
私たち家族も数年前、ディズニーランドに遊びに行きました。息子のクーパーは、後にホリデーカードにその時の思い出を綴っています。熱射病になったこと、嘔吐したこと、そしてその後の家までの長く気まずいドライブ……。
しかし、驚くべきことに、彼はカードの最後をこう締めくくっていたのです。「ああ、次にディズニーランドに行くのが待ち遠しくてたまらないよ!」なぜこの様なことが起こるのでしょうか? なぜ私たちが家族イベントのことを思い出す時は、辛かったことや嫌なことはあまり思い出さずに、楽しいことばかりが思い出されるのでしょうか?
その理由のひとつは笑いにあります。笑うことでエンドルフィンという物質が分泌されるのですが、この物質は私たちがネガティブな感情や痛みを感じるのを抑えたり、克服したりするのに大きく関係します。
どうやら、笑いや苦しい状況下で何か面白いこと見つける能力が前出のディズニーランドの矛盾を解明する鍵のようです。笑いは嫌なことを忘れさせてくれます。
しかし、それは単に遊園地に対する耐性を高めるだけでなく、もっと大きな力を秘めているのです。研究によると、笑いは創造力を高め、健康を促進し、人間関係を強固にしてくれるそうです。
これらは全てビジネスの世界では重要とされる能力です。
では最初に、どのようにユーモアが創造力と関係しているのか見てみましょう。心理学者のアリス・エイサンと彼女の同僚たちはある実験を行ないました。彼らは被験者たちに短いビデオを見せ、その後で創造力を計測する古典的なテストを行なったのです。
そのテストとは、被験者たちに1本のろうそくと、画びょうの入った箱と何本かのマッチを渡し、火を付けたときにろうが下に垂れないように壁にろうそくを固定せよ、というものでした。
この問題の正解は、画びょうが入っていた箱にろうそくを入れ、それを壁に固定するというものです。そしてビデオですが、被験者たちの半分はごく普通のビデオを見せられ、残りの半分はコメディーを見せられます。
その結果、ごく普通のビデオを観た被験者たちの正答率が20パーセントであったのに対し、コメディーを観て楽しい気分になった被験者達の正答率は実に75パーセントにも達しました。
これは、笑いがふたつ目のグループの被験者たちを賢くしたわけではありません。笑いが彼らに精神的安心感を与え、よりリラックスさせたのです。つまり、ユーモアは被験者たちの精神的緊張をほぐし、各アイテム間の関連性に気付かせたのです。
次に、ユーモアが健康面に与える影響について見てみましょう。マイケル・ミラーと彼の同僚たちは次のような実験を行ないました。彼らは被験者たちにふたつの15分程度の映画のワンシーンを48時間の間をおいて見せました。
具体的には、最初に、観る人にストレスを感じさせる戦争映画の『プライベート・ライアン』を、そして2日後にユーモアたっぷりのコメディー映画『キングピン』を見せました。
そして、被験者たちの血流量を実験の前と映画を観た後にそれぞれ測定したのですが、その結果は驚くべきものでした。ストレスを感じる映画を観た後の被験者たちの血流量が35パーセントも減少していたのに対し、コメディー映画を観たあとの血流量はなんと22パーセントも増加していました。もしあなたが、自身の免疫システムをより良くしたいとお望みなら、このことは覚えておいて損はないでしょう。
最後に、人間関係に対する影響に関してですが、ドリス・パジニと彼女の同僚は何組かの恋人たちに協力を仰ぎ、ある実験を行ないました。彼らはまず被験者である恋人たちに、以前一緒に笑いあったときのことを思い出して貰いました。そして、他の恋人たちには彼らの関係がぐっと深まったときのことを思い出して貰いました。
実験の最後に、研究者はそれぞれの恋人たちが自分たちの関係にどれだけ満足しているかを測定しました。その結果、一緒に笑いあったときのことを思い出した恋人たちの方が、もう一方の恋人たちよりも自分たちの関係により満足しているということが判明しました。このことは、一緒に笑い合うという行為が恋人たちの精神的な繋がりをより深めたということを示しています。
では、なぜユーモアはこれほどの力を持つのでしょうか? その理由は、先ほども述べましたが、笑いがエンドルフィンという痛みに対する耐性をアップさせる物質を分泌するからです。
これに関してロビン・ダンバーとその同僚たちが興味深い実験を行なっています。その実験とは、被験者たちの腕に血圧測定用のバンドを巻き付け、徐々に締め付けていくことにより彼らの我慢できる限界を探るというものでした。
そして、実験時に被験者たちにビデオを見せるのですが、被験者たちの半分にはコメディーを見せ、もう半分にはドキュメンタリーを見せました。結果は、コメディーを観た被験者たちの方が痛みに対する耐性が10パーセントも高いというものでした。
やはり、ユーモアは私たちの創造性を高め、私たちをより健康にし、そして私たちの周りの人々との人間関係をより強固にしてくれるようです。ただ、これは、何も緊迫した会議であなたのお気に入りのコメディーを上映し、彼らを爆笑させろと言っているのではありません。
しかし、リーダーは活性化のためにも可能な限りユーモアを許容すべきです。あなたの部下たちも大いに賛同してくれるはずです。ひょっとしたら、彼らも「ああ、次の会議が待ち遠しくてたまらないよ!」と言ってくれるかもしれませんよ。
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