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ジェーン・スー&雨宮まみトークショー(全5記事)

「夫婦で2世帯住宅」は最高の贅沢 ジェーン・スーが語る理想の住まい

自分自身でマンションを買う、モチイエ女子に憧れるジェーン・スー氏と雨宮まみ氏。周りにも30代で家を買った友人が何人かいるそうです。自分のお部屋を持つとしたら、やはりこだわりたいのはインテリア。しかし、ポストカードやポスターを飾ったり、お部屋をデコレーションするとだいたい失敗してしまうと、ジェーン・スー氏は語ります。理想の暮らしを実現するには何が必要になるのでしょうか。会場に参加している女性100人のアンケート結果を見ながら、意見を交わしました。

好きな言葉は「繰上げ返済」

江藤愛氏(以下、江藤):それでは改めましてゲストの方に登場していただきましょう。ジェーン・スーさん、雨宮まみさんです。どうぞステージまでお越しください。

(会場拍手)

お帰りなさいませ。お待ちしておりました。第1部あっという間でしたね。

ジェーン・スー氏(以下、スー):盛り上がりましたね。もっといろいろ発表したり、書いたりしたい感じは……。

江藤:グループワークもなかなかのアレでしたけれども。ここからは第2部に入りまして、皆さんで女子とおうちについて考えていきたいと思いますが、さっきアンケートに答えましたよね?

スー:はい。

江藤:その際にお二人には実は聞かなかったんですけれども、最初の質問、出ますでしょうか。

「皆さんはどのタイプに当てはまりますか?」っていうので賃貸一人暮らしが一番多かったんですけれども、お二人はどうなのか? 気になるところなのでちょっと聞いていきたいと思いますが。まずはスーさん。

スー:私は賃貸一人暮らしですね。

江藤:2番。一番多い。雨宮さんは?

雨宮まみ氏(以下、雨宮):私も2番ですね。

江藤:やっぱり皆さん大多数のところに。意外といえば意外な部分もありますけどね。

スー:友達で30歳ぐらいでマンション買った子が何人かいるんですけど、今までで一番いい買い物したとは言ってますね。「好きな言葉は、繰上げ返済」って言ってましたよ。

(会場笑)

スー:繰上げ返済できるといいんですけどねー(笑)。確かに1人ってよくわかってなかったんですけど。賃貸で借りるより広い部屋に住めるんですね。

江藤:そうなんですね。買った方が安いお値段でいい部屋に……。

スー:そのへんの基礎知識もなかったので、タイミングを逃しちゃいましたね。でもこないだ、全部自分の望みを叶える賃貸は果たして月いくらなんだろうと思って、全部自分の思い通り駅も選んで、平米数も選んで、ウォークインクローゼット、浴室乾燥機、トイレウォシュレット、宅配ボックスがあって、リビングが何畳で…って、ネットの賃貸サイトで検索したら……家賃92万でした。無茶すぎる!

(会場笑)

江藤:えー!?

スー:おぉーっと思って。92万の部屋ある!

江藤:92万の部屋あるんですね。

スー:びっくりしましたね。あるっていうのがすごい。住める人がいるっていうね。

雨宮:それで借りるんだっていう……。

マンションを自分で買う「モチイエ女子」への憧れ

スー:不動産の人に聞いたら都内に400万ぐらいの賃貸があるらしいですよ。

江藤:400万!

雨宮:昔、住んでた家の近くにありましたね。すごいタワーみたいなのができて、そこの最上階がたぶんワンフロアーになってて、250万って言ってたかな。めっちゃテレビに出てた。たぶん全然誰も借り手がいなかったから。

江藤:嫌ですよね。でもスーさんはもう今お年は?

スー:42です。

江藤:42。もう買わないっていう選択肢なんですか。

スー:いや、わたしのニワカ情報によると、オリンピックの後、マンションの値段が下がるらしいので。

(会場笑)

江藤:2020年は後5年ですね。

スー:それを狙うかっていうところなんですけど。ローンが通ればの話ですが。じゃあ、そのときどんな物件を買うのが良いかはまだわかりません。転売できるところを買ったほうがいいとかいうじゃないですか? ちょっとかなり夢のない話なんですけど……。

江藤:現実的でしたね。持ち家は女子にはまだまだ。

スー:モチイエ女子にはまだまだ憧れますよ。もちろん憧れます。

江藤:今は現在、賃貸で?

スー:賃貸です。雨宮さんも賃貸の一人暮らしという。

雨宮:はい。賃貸です。

江藤:その理由といいますか?

雨宮:ローンが通らない問題が強いですよね。欲しいなっていうのはあったんですけど。あまり最初は考えてなくて、モチイエ女子で連載を始めてからマンションギャラリーの見学に行ったんですけど。すごいんですよ! マンションギャラリー。スペクタクルで家を推してくる。

スー:マンションの広告にあるバーンみたいな、店頭でドーンってやってるけど実際の中身ってことですよね。

雨宮:実際に入るじゃないですか。いろいろ説明がありますよね。まずイメージムービーみたいなものがある。「そこに住んだらどんな暮らしができるか?」みたいなのをドラマ仕立てで、まず見るんですよ。

江藤:夢が広がりますね。

雨宮:なんかいい感じの河川敷とかあって、なんか素敵な感じだなぁっていうムービーが終わったら、スクリーンがバァーッて上がりますよね。そのうしろにある壁が、パァーッて割れて、そこにタワーマンションの模型がドーンッ!

スー:わぁ、すごいわ!

雨宮:はぁ~〜っと思って。大変だって。

江藤:一気に夢が現れて掴みたくなっちゃうような?

雨宮:夢じゃなくて、自分が何をしているのか、どこにいるのか、わかんなくなりましたね。

スー:それはすごいですね。

雨宮:買ってもいいのかなみたいに……思っちゃう。

おうちは一番素に戻れる場所

江藤:ちなみに検討とかは、どうされたんですか?

雨宮:そこはちょっと、「ちょっとお高いんでしょう?」みたいな感じだったんですけど、その後で中古のマンションでいいのを見つけちゃって。その時はすごい心が揺れて。

江藤:やっぱり持ち家に対して強い憧れといいますか、願いというか思いはある?

雨宮:そうですね。あの時は本当に欲しかったですね。

江藤:なんでこんなに「おうち」って欲しくなるんだろうって思うんですけれども。お二人にとっておうちって、いったい何なのか? すごくぼやっとしているんですけれども、自分にとってのおうちって、スーさんはどんなふうにとらえていますか?

スー:もう誰の目も気にしないで済むので、完全オフができるところですね。人の目を気にしたりすることがなく。完全なるプライベートスペース。

江藤:気を使ったりとか、人前に出たりもそうですし、社会に出て働く……。

スー:だって部屋のなかでは稽古後の力士みたいな格好のままでも、さっき行ったカフェのコーヒーの写真をSNSにポストしたら「お洒落じゃん」ってなるじゃないですか(笑)。自分の家っていうのは、ある種、社会と断絶されてる。そこがいいですね。

江藤:なるほど。じゃあスーさんにとっておうちっていうのは、一番素の自分を出せるところ?

スー:そうですね、一番素に戻れるところですね。

江藤:リラックスできる場所。雨宮さんはいかがですか?

雨宮:私はパラダイス。

江藤:おおー。家は天国。

雨宮:そうですね。ほとんどスーさんが仰ってるのと同じですけど。やっぱりそういう時間がないと疲れるというか。

スー:疲れますよ。一人暮らしを始めちゃうと止められないですね。

雨宮:うん。「何してるの」とか、スーさんはたぶん聞かれてると思うんですけど、「どういうサイクルでフリーの方って生活しているんですか?」とか、絶対に言えないですよね。

なんかちょっと、おもしろかったドラマとか、1日で全話を見たりとかして、徹夜して、次の1日寝るとか、そんな言えない……。

仕事用の部屋を借りた

江藤:実際お二人はおうちでお仕事されることも多いんでしたっけ?

雨宮:私は家で仕事をしています。

スー:わたしは、仕事用にちっちゃい長屋の部屋を借りました。

江藤:えっ!? 仕事用に?

スー:あの、限界がきました。

江藤:どういうことですか? 家とは違うんですか?

スー:家で仕事をしていると、気がついたら1日パジャマでいる日が続いて仕事に支障が出てきたのと、いろんな仕事をやってるので、その仕事を全部ひとつのところでやると完全にカオスになって、休まるところがなくなちゃって。

雨宮:家のなかにいてもいつも仕事が目に入るって、気になっちゃいますよね。

スー:そうなんです。

江藤:そこで今仕事をしている。では、家は完全にあまり仕事は持ち込まない?

スー:やめました、ようやく。ようやく家であるべき姿に戻りました。

雨宮:それでやっと切り替えができるようになりましたか?

スー:改善できますね。無駄にファミレスに行かなくなりましたね。

雨宮:あー、仕事はファミレスですよね。

スー:ファミレスで原稿書いたりとかってなっちゃうんですけど、そんなに行かなくなりましたね。

江藤:お二人はフリーでおうちでされたりとか、家じゃだめだからファミレスに行ったり、家を借りということがあると思うんですけど。

今日来てる方って皆さん、会社勤めの方が多いんですかね? どうでしょうか。会社勤めってなると、やっぱり家から出て会社に行くっていう流れがあると思うんですけど、おうちと働き方っていうのはすごく結びついていると思うんです。今のお二人のお話にもあったように。

スー:私もサラリーマンの時は、どんどん部屋が汚くなっていく木曜日ぐらいなんかは、気分が鬱々としてきて。土日休みたいのにこれを片付けないと、また何かが起こってしまうという。

でも、「よっし!」って一念発起できれいにして、最高なんですよね。きれいにしたときの気持ちよさは。床やシーツにアロマオイルとか垂らしたりして。クイックルやってね。

雨宮:バスソルト入れたりとかね。

お部屋のデコレーションはだいたい失敗する

江藤:その働き方と生き方におうちが関係してくると思うんですが、皆さんは家で何を求めているのかなとすごく思うんですけど。リラックス?

スー:リラックスっていう人はどれぐらいいますか? リラックスを求めている人?

(会場挙手)

スー:まぁそうですね。家に刺激を求めている人は?

(会場挙手)

江藤:あまり居ない。おうちがやっぱり自分のステータスじゃないですけれど、自慢の一部とか、そういう自分が働いたご褒美に部屋を飾りたいとか、そういう思いってやっぱりありますか? きれいにしてたいとか。

雨宮:自分の世界をそこに実現させたいというのは。

江藤:ちらほらいらっしゃいますね。そういうのってお二人はされてますか?

スー:だいたい失敗するね。

江藤:だいたい失敗?

雨宮:10回以上はしますよね。

スー:おしゃれなポストカードを貼るじゃん。その前に服をダーッて掛けるからポストカードが見えなくなる(笑)。

雨宮:ポストカードやポスターの類を絶対にもう。

スー:やりますよねー。

江藤:ちょっと絵を飾ったんですけど、ちょっと壁には賃貸だから穴は開けられないので、床に置いたら床に傷がついて、本末転倒でもうやめようと、すぐに片付けたんですけど。

スー:そう、なんか難しいですよね。インテリアとか、ソファーにたくさんのクッション、憧れるけど、いらねーっていう(笑)。

雨宮:あーあるねぇ。

スー:あれやりたいんですけどねぇ。

雨宮:飾りクッション!

江藤:飾りクッションされている方いらっしゃいますか? おっ! いた!

スー:2人! エリートが居る! ソファー界のエリートだ。

ソファーを買うことは、理想の暮らしの第1歩

江藤:お家に皆さん、ソファーってありますか?

スー:結構居ますね。

江藤:お二人はどうですか?

雨宮:私は無いです。

スー:去年買いました。

江藤:買った?

スー:やばい、いい! ソファー買ってソファーの上でしか生きてない(笑)。

江藤:ソファーって本当に家の悩み。欲しいけど狭い。

スー:でも買っちゃったら最後です。ソファーの上にしか居ないですよ。ベッドかソファーの上ですよ。楽しいし居心地もいいし。

江藤:理想の暮らしの第1歩っていう感じがありますよね。

雨宮:ベッドの上にいるよりは、若干ソファーの方がましな気がするから。

スー:社会性が若干出てきますよね。

江藤:そうですよね。さっきのベッドで猫ちゃんというのも、ソファーで猫ちゃんというのもいいですよね。ありますか? おうちソファー。ある?

参加者:マッサージソファーがある。

スー:マッサージソファー! それも憧れの、ねぇ。

江藤:いいなぁ。

マンションの隣同士の部屋にドアを付けてほしい

江藤:みんないろんな暮らし方があると思いますけれども、さきほど質問に出ました、こちら出ますかね?

一人暮らしで住みたい、誰かと住みたい、お二人にちょっとチラッと聞いたんですけれども、もう1度改めてこれお伺いしてもよろしいでしょうか?

スー:同じ部屋より少し距離がある離れとか同じ敷地内の別の部屋が理想。

江藤:雨宮さんも。

雨宮:だいたいそんな感じですけど。可能ならばですけど、そのマンションの隣同士の部屋があったとするじゃないですか。間に1個ドアつけておいてくれればいいかな。

スー:なるほど。

雨宮:お風呂場、キッチン、完全別。いい2世帯同居みたいな。

スー:2世帯住宅に夫婦で住むって最高だと思うんですね。最高の贅沢。

(会場笑)

雨宮:あの物件作ったら結婚率上がると思う。

スー:そうですよね。だって別に相手の部屋だと思ったら、掃除してなくても関係ないし。髪の毛落ちててイライラしなくても、まぁあなたの部屋だからって。

江藤:そういう家って無いんですかね?

スー:無いでしょう、この狭い日本に。

江藤:無いですよね。

スー:でも欲しいですけどね。メゾネットとかちょっと憧れますよね。

江藤:やっぱりそれぐらい誰かと住むっていうのはある程度の我慢とか、そういうのが。

スー:あと逆もあるんですよ。自分がトイレを使ってそろそろ掃除をしないと、なんか「トイレが汚い女って嫌だよな」みたいなことで掃除をしたりとか、1人だったらもうちょっといけるんだけど、もうちょっと掃除しなくてもいけるんだけど。

江藤:そうですね。ちょっとカビが生えても、「まあ、許せるかな」っていうような思いが。

雨宮:今だけは散らかしたままにさせといてっていうような、疲れてる時もあるじゃないですか。

スー:そうです。

雨宮:その時にちょっと入ってこないでっていうふうになれる状態っていいですよね。

結婚しても半同棲が一番

江藤:1人で例えば家を買うことのハードルと、誰かと買うことの方がなんとなく現実的かなと思ってたりもするんです。

雨宮:本当ですかぁ? 私は離婚で財産分与で揉めるっていうのがあるから、他の人と家を買うっていうのは……。

スー:うーん。

江藤:そうですか。

スー:だって共同名義にしている人って少ないじゃないですか。基本どっちかの名義になっている。名義の話は結構買うときに考えた方がいいですよ。かりそめの家ですよ、自分の。名義がなかったらね。

江藤:なるほど。まだまだ理想を追いかけているんだなっていう感じがありますが。

スー:そうですよ。

江藤:私の姉がちなみに先日結婚したばかりなんですよ。

スー、雨宮:おめでとうございます。

江藤:それこそマンションを買いましてですね、ケンカばっかりしてて、一緒に住むとこんなに大変なのかと。

雨宮:住んで最初のほうって必ずそういう時期ってあるみたいですよね。

江藤:なるほど。そこを乗り越えればいい。

スー:半同棲が一番だと思う。住むところも関係性も安堵する。

江藤:買う借りる問題。そこは聞き入ってみたいと思うんですけど。さぁ、買う、借りる、モチイエ女子。これね、モチイエ女子というのはどうでしょう皆さん。響き、そして憧れ、現実的。

スー:経済力があるんだったら、持ってたらいいなと思うけど。

雨宮:特に私とかスーさんみたいに、結婚とか、人と誰かと一緒にということがあっても、自分の家が欲しいという発想が、持ってることって何にもマイナスにならないし、事務所にして使ってもいいみたいなものだから。貸したりももちろんできますし。あって困るものではない。

スー:わたしの普通のサラリーマンの友だちも、35歳くらいのときに一念発起で、突然マンションを買って、どうするのと思ってたんですけど、38歳くらいで結婚するときに、それを売って。

ちゃんとリセールバリューのある物件を買っていて、こっちがぼんやりしてる間に賢いなと思うんですけど、損をせずに、結婚してまた新しいところを買ってって。1回買い始めると転職と一緒で、またそれ売ってこっちの賃貸でなんとかとかやり始めるんですよ。

江藤:えっ! そんなことができるんですか?

スー:一番びっくりしたのは、41歳で結婚した女友達が、いままでの貯金で投資用のマンションを一括で買ったこと。そうするとオーナーになって家賃が入ってくるから、何年後には利益が出始めて……って計画して。

その投資用のマンションは修繕積立金が貯まってるので、建て替えることになったらまた利益が出て……と。いつの間にこんな勉強してたんだと。結構、みんな考えてるんですよね。

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