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「セーラームーン世代」座談会(全6記事)

セーラームーン世代の女性が小学生のころにドキドキしたシーンを振り返る

『セーラームーン世代の社会論』の著者である稲田豊史氏は、セーラームーン愛に溢れるアラサー女子たちに謝罪します。なぜかというと、じつはこの本の中に「陵辱」という言葉が散りばめられていて……!? それでも稲田氏は、「セーラームーンはエロい目線で見ていない」と弁明。そのうちアラサー女子たちも、ドキドキしたキスシーンなどの話で盛り上がります。変身シーンの綺麗さ、うさぎちゃんの髪の毛。セーラームーンが好きだった女子にとっても、あの頃「なんだこのアニメは!?」と思っていた男子にとっても、懐かしい記憶が蘇ってきます。

セーラームーンと「陵辱」!?

稲田豊史氏(以下、稲田):知らなくていいこともあったということですね。確かに、重々承知というか、わかるんですね。僕はこの本だけに限らず、いろいろ書き物をしてるんですけど。よくあるご意見で、「そういう風に見てたなんて、本当に嫌」って言われるんですよ。

(一同笑)

セーラームーンに限らず、コラムとかでも。「そっかーすまんね」って(笑)。僕はそういうふうに見てるけど、他の人もそういうふうに見ているとは全然限らないので。

あずきバー氏(以下、あずきバー):人の見方はわかんないですからね。

稲田:1人でもそういうふうに見ている人がいると確認した時点で不快だっていうことは、よくわかりました。

(一同笑)

もう本出ちゃったからね。書き換えられないですよ。特に今後、SPEEDを聴くとそういうふうに感じてしまうっていうのは、本当に申し訳ないっていうのと、カラオケで歌われる回数が減るわけですから、SPEEDにも迷惑がかかっている。ごめんなさいとしか……(笑)。

TANAKA氏(以下、TANAKA):私が原稿を拝見していて、短い文章の中に「陵辱」という言葉が3回ぐらい出てくるんです。

稲田:あれね(笑)。

TANAKA:私は稲田さんがこの言葉を使いたくてしょうがなかったんだなって。

(一同笑)

いけちゃん氏(以下、いけちゃん):あの文字結構ショッキングでしたね。

稲田:(前にも言った)刊行記念トークイベントでも、もう1人の人に「陵辱ってすごいなー」って。

いけちゃん:よっぽどのことがないと使わない(言葉)ですよね。

一同:使わない。

TANAKA:日常生活で使うことは、まずないですよね。

いけちゃん:ひどいときにしか使わない。

稲田:僕も原稿に「陵辱」という単語を書いたのは初めてですね。

いけちゃん:えー(笑)。

TANAKA:それが3回ぐらい短い間に出てきたので。

稲田:数ページの間に3回出てきたの?

TANAKA:そうです。「この言葉使いたくて仕方なかったんだろうなあ」って、勝手に解釈してました。使う機会がないから、ここぞというばかりにね。

(一同笑)

稲田:使わないですよね。

あずきバー:ショックでした。

いけちゃん:あまり見ないからこそ、目に留まるというか。

あずきバー:あれを、そういうふうにご覧になってたんだと思うと、ショックでした。

稲田:(TANAKAさんの)そのお面で言われるとちょっと怖い(笑)。

(一同笑)

稲田:そうですよね。「陵辱」っていう言葉は、もともとあっちの世界の言葉ですからね。18禁の世界の。

TANAKA:ビデオテープに「SMTV」……。

稲田:そこ繋げないでください(笑)。

(一同笑)

TANAKA:つながっちゃいますよね。

セーラームーンはエロい目線で見てない

稲田:そういうつもりはないんですけどね。でも誤解してほしくないのは、見ている当時に、性の対象としてセーラームーンを見ていたわけでは、全然ないんですよね。

はな氏(以下、はな):本当ですか(笑)?

稲田:本当ですか!? 疑われちゃった(笑)。

いけちゃん:本の中では、だからなんだろうなっていう感じがします。高校生の悶々とした感じなのかなって。

(一同笑)

稲田:悶々とした感じか。

いけちゃん:そうでなければ、もう少し純粋に……。

稲田:はっきり言うと、高校生の悶々とした感じはこんな健全な絵柄では解消されないです。絵は基本少女漫画の絵なんで、男の子の劣情をもよおす絵ではないんですよ。かっこよくてスレンダーなプロポーションとかもそうですけど、男の子はあまりそういうのは求めてなくて。

普通の人は「ボン・キュッ・ボン」みたいなのとか。だからそういう対象ではなかったっていうのは、何十回言っても、誰も信用してくれない。

(一同笑)

稲田:こういうこと言っていいかわかんないですけど、当時そういう目で見てたとしたら、恥ずかしくて本書かない。それに顔出しで出ない。

(一同笑)

稲田:だって高校の時これがエロ本でしたみたいなのを、名前と顔出して、それで本書きましたって言えないでしょう。

あずきバー:言えないですね(笑)。

稲田:どうします? 身内がそうだったら?

はな:やだ、ムリムリ(笑)。

あずきバー:やだー(笑)。

稲田:絶対嫌ですよね。縁切りますよね。

当時ドキドキしながら見たキスシーン

稲田:6章とかに限らずでもいいんですけど、何かありますか? 言いかかったとか、反論じゃなくてもいいんですけど、もし何かあれば。

はな:小学校だった時に、キスシーンとか見るのに親と一緒に見てたから、すごいドキドキした記憶があります。

稲田:結構ありましたね。

はな:テレビで堂々とやってたので。

稲田:よくやってましたね。今のアニメってどうなんですか。プリキュアとかそういうのあるんですか?

はな:いやー、多分無いんじゃないですかね。

稲田:じゃあ思い切ってやってたんですね。

TANAKA:セーラームーンだけだと思いますよ。私はその前の世代なんですけど、前の世代の女子モノでキスシーンって、それこそないですよ。

稲田:『魔法のプリンセス ミンキーモモ』とか『魔法の妖精ペルシャ』とか。

TANAKA:もっと古いですけど、『花の子ルンルン』とか。

稲田:ルンルンはもっと健全でしたよね。

TANAKA:もう性的な臭いとか一切無かったですよ。男子は出てきましたけど、そこにちょっとほのかな慕いの気持ちがあるだけで。

同性愛のシーンが美しく描かれている

稲田:確かに。まじめに恋愛とかを、やってた気がしますけどね。本にも書きましたけど、衝撃たったのはゾイサイトとクンツァイトが同性愛だけどちゃんと付き合ってて、結構美しくゾイサイトが散るんですよね。なんかすごいなあと思って。

はな:何の抵抗もなく受け取ってた。

いけちゃん:今となったら、それこそ精神的な。

稲田:そうですよね。今あれやったら、意外と物議をかもす気がするし。でも、ちゃんとドラマとしてやってるから、今見てもすごいですよ。

はな:ウラヌスとネプチューンのあれね。

稲田:“ウラネプ”ね。ちょっと腐の言葉が(笑)。

(一同笑)

稲田:今回ウラネプの話をあまり書いてないんですよね。5人に絞って書いてるのはなんでかっていうと、あとの4人(のセーラー戦士/ウラヌス、ネプチューン、サターン、プルート)を書いていくと方向性が変わってくるっていうか。ちょっとオタクっぽい話を交えていかないと、物が語れなくなってしまうというのがありまして。

ウラネプはカップリングですし、ウラネプって言ってわかるのかな? あとほたるちゃん(サターン)とかも、別の需要が男からあったりするので。一説では“萌え”という言葉の起源は、(ほたるのフルネーム)土萠ほたるっていう話もあるんです。

何の話でしたっけ? そうそうキスシーンでドキドキしてたって。

はな:そうですね。

お団子ヘアーは憧れだった

稲田:(あずきに振って)キスシーンの話が出ましたけど、印象に残ってるシーンとか。

あずきバー:私はストーリーより、変身シーンの綺麗さとか、うさぎちゃんの髪の毛はどうやって結んでるのかとか、美奈子ちゃんのあの綺麗さはとか。

稲田:ドレッシーな感じとか。

あずきバー:そう、小細工じゃないですけど、細かいところばかり覚えてて。それこそ、変身シーンのここ(胸のあたり)からリボンがふわって出てきて、ほんと綺麗でしたよね。

稲田:あれ綺麗でしたよね。僕が言うとちょっと疑惑が(笑)。

(一同笑)

あずきバー:あれをリカちゃん人形で再現するのが。できないんですけど、とりあえずリボン巻いてみたいな。リボンが出てこないから、とりあえず巻いてみたりとか。髪の毛はこうやってとか。

稲田:先っちょがクルッて。

あずきバー:そう、クルッて。絶対できないんですよ。

稲田:知らない人がセーラームーンの絵を描くと、ここ(毛先)を絶対クルッてさせないんですよ。見てるやつは先をちゃんとクルッてさせるんですよ。

一同:あー、確かに。

稲田:どうでもいい情報でしたね(笑)。当時、たまに町でお団子ヘアーの小さい子いましたね。

あずきバー:やってました。

稲田:やっている子いましたね。

いけちゃん:三つ編みにして。

稲田:さすがにうさぎちゃんの長さはないけど、ちびうさぐらいならあるとか。

あずきバー:あれは憧れでしたね。

稲田:憧れでしたか。

TANAKA:(あずきにむかって)目線が女子の目線ですよね。

稲田:それは女子ですから(笑)。

あずきバー:そこだけはちょっと。大分屈折してたんですけど、そういうところを見てました。

セーラームーン世代の社会論

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