2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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TANAKA氏(以下、TANAKA):では、後半戦は『セーラームーン世代の社会論』で物議をかもした第6章(セーラームーン世代の恋とセックスとジェンダー)です。
稲田豊史氏(以下、稲田):かもしたんですか(笑)。
TANAKA:こちらにつきましては、担当編集者、20代の女性なんですけど。彼女から、「TANAKAさんこれどう思います?」というふうに、相談もされまして。「これ出してもいいんでしょうか? 私ドキドキしたんですけど……」と相談を受けまして。
稲田:そんなこと言われてたんだ(笑)。
TANAKA:「いや、これは大丈夫だよ」ということで、掲載をさせていただいた章でした。この章に関しましては、帯の裏に「正直者のモニターの読者の声、続々」というところで、「いや、違うだろう」という部分が、かなり突っ込まれています。
皆さんそれぞれ読んでいただきまして、思うところもあるかと思うんですけど、まず第6章「セーラームーン世代の恋とセックスとジェンダー」というタイトルなんですけど、こちらを稲田さんのほうから……。
稲田:何が書いてあるかっていうと、6章って最終章なんですけど、セーラームーンのお話の中に、演出上、若干セクシャリティというか、性的なものを想起させる部分があるんじゃないかと。
敵の中に同性愛者がいて、このあたりの描き方がすごく斬新だったり、新しかったりしたんじゃないかとか。フェミニズムが入ってるんじゃないかっていうのを、書いたのが6章なんですけど。
これがいろいろ反発を……反発というか、別にいいんですけど。「そうじゃねーよ!」っていう感じの意見があったのはわかってて。それはまあ確かに、ぶっちゃけ言うと僕は「セーラームーン世代」の対象世代ではないので。
これは本来、小学校低学年ぐらいの女の子が見るものですから。それを10代後半ぐらいの男が見て、違う感じ方をしちゃうっていうのはあるんですけど、「そういうものも含まれているんだろうな」ってことを書いたところ、まず担当編集の女性から、「ピリッ」とした感じの反応がきまして。
(一同笑)
遠回しな感じで、「どうなんですか?」的な。それがなんとなく伝わってきて、原稿の章の頭に、エクスキューズみたいなのを入れてはどうかと。「これから過激なことを言うけど、みんな許してね的な一文を入れませんか?」みたいな提案があったんですけど、「いやー、なくていいと思います」って言って、なくしたんですよ(笑)。
……というくらい、ザワッとさせる内容だったと。
TANAKA:第6章をお読みになって、それぞれどうお感じになったのか。お聞かせいただければと。
稲田:本人の前で言いづらいですよね(笑)。
TANAKA:本人を前にして。特におもちさんは、事前アンケートでたくさんお書きいただきまして、ありがとうございます。いかがでしょうか?
おもち氏(以下、おもち):そうですね。うさぎちゃんには母性があるんじゃないかっていうところは、私も大人になって稲田さんの本を拝見して、「そういう見方も確かにあるかもしれないな」って思うところはあったんですけど、正直変身シーンに関する、そこはちょっと……。
稲田:何について、おっしゃってるかと言うと、母性がどんどん強くなっていくっていう話と、変身シーンで一瞬シルエットで裸になる、みたいなことをいろんなところで言及しているんですけど、そういうことですよね。
おもち:そうですね。当時好きで見てたセーラームーン、キラキラしていてかっこいいと思って見てたセーラームーンの変身シーンに対して、性的な意味があるっていう考え方はやっぱりできないなーと思って、拝見しました。
稲田:おっしゃるとおり。
おもち:(笑)。小学校の頃はそういうことは考えていなかったので。
稲田:まあそうですよね。
おもち:そうですね。ちょっとそこは賛同しかねると思って。
稲田:そこはすいません。おじさんの意見なんでね。あと弁解するわけではないんですけど、アニメを作ってたのも(その多くは)おじさんなんですよね。
おもち:なるほど。
稲田:女性スタッフもいたでしょうけど、主導は男性なんで。そこは原作の武内先生の主張と、アニメはまた違うものなんですね。アニメはアニメである部分はけっこう違う中で、ひとつの解釈ということで(笑)。
ちなみに、ご指摘していただいた変身シーンを、刊行記念でやらせていただいたとあるトークイベントで、スライドが出せるところだったんで、5年分の(セーラームーンの)変身シーンを全部つなげた動画を、大音量で流したんです。感無量でしたね。
はな氏(以下、はな):感無量(笑)。
おもち:どうしてですか?
稲田:やっぱり変身シーンが大好きなんですよ。それはちょっと性的な意味は置いておいて、変身シーンは単純に美しいので。
おもち:確かに。
稲田:どれが一番好きとかいうのもあるし、僕は「R」の変身シーンが一番好きなんですけど。本にも書いてあるんですが、それを並べてみると、変身時のうさぎちゃんの挙動がだんだん大人っぽくなっていく感じがあるんですよね。
それを思い入れたっぷりに説明したら、壇上にいるもう1人のトークする方にすごい「キモい、キモい」言われて。それはそうだろうなって思ったんですけど。
(一同笑)
はな:私は原作も一緒に見てたので、原作にはそういった描写がまったくない。結構あっさりと、まもちゃんの前で変身しちゃうというのもありましたし。子供だったから、キラキラかわいいものを見ているっていうことしかなかったので、そこはやっぱり男性目線なのかなーって。
稲田:そうですね。何も反論はないです(笑)。当時小学生の男の子でも見てた人、こちらの出版社の営業の方もそうだったんですけど、やっぱり男の子は、(セーラームーンを)見てるとエロいって言われたらしいです。
それは別に変身だけじゃなくて、男の子が女の子向けのものを見てるっていうのはどうなんだっていう。なんとなく全体的に、それはエロいって言ってはいけないんだけど、やっぱり女の子っぽいものがいっぱい入ってて。
シルエットではあっても1回裸みたいになって変身するっていうのは、小学生の男の子にとってはエッチなものという扱いだったと、複数の証言者からいただいておりました。
はな:うちの旦那もそういう風に言ってました。「変身シーンは裸になるんだよね」みたいな。
稲田:そう、正確に言うと裸になってないんですよね。よく見ると、別にただのシルエットですから。でもあれはうまい演出で、裸になったような気がするんですよ。特に男の子にとっては。マジックなんですよ。
だから今の新しいセーラームーンでは、『美少女戦士セーラームーンCrystal』っていうのをやってるんですが、あれも光につつまれる変身なんです。それを見た人が「昔は裸だったのにな」っていうコメントをしてたんけど、いやいや! 昔も別に裸じゃないんですよ。思い出が美化されてるというか。
つまり「制作者がうまい」ということですね。裸を描いていないのに、裸に見えるっていう。
TANAKA:あずきバーさんはいかがでしたか?
あずきバー氏(以下、あずきバー):SPEED(の歌詞の解釈)がやっぱり気になって。SPEEDとセーラームーン、私たちの世代はどっちも好きだったところで、そこに性がどうだとか、欲望がどうだとか……。
稲田:「性がどうだとか言いやがって!この野郎!」ですよね(笑)。(本の該当ページを指して)ここですよね。
あずきバー:そう、そこですね。それを歌わせていたのは大人であって、彼女たちが歌いたかったどうかは知らないじゃないですか、っていう怒りも出たりして。
稲田:そこは穏便に言うと、そのとおりですよ。あれはプロデューサーや作詞した人が、過激な歌詞をSPEEDに歌わせた。SPEEDの皆さんがそういう気持ちがあったとは思わないんですけど。
ただ当時のJ-POP、大衆に見られる商品としてのアーティストを、少女が過激なことを歌っているというパッケージ商品として世の中に出した、というのは事実としてあるので。それが良い悪いは置いておいて、許容するじゃないけど、それが人気を得る社会ではあったということですよね。
だから、島袋寛子ちゃんが淫乱だったとは言わないし、思わないですよ。むしろ右も左もわからないで歌っていただけだと思う。
はな:だから聴いているほうもわかってなくて。
いけちゃん氏(以下、いけちゃん):わかってなかったですよね。だから文章になった時に「うわー」と思って。
(一同笑)
歌詞をこんな風に文字面で読んだことが、なかったかもしれないと思って。「こんなことを歌っとったかー」って。
稲田:九州の言葉が出ましたね、素晴らしい。歌っとったんですよ。確かに意味もわからず歌ったり、セーラームーンもそうなんですけど、意味がわかってないからそういう影響がないかどうかは、なんとも言えないんですよ。
言葉が先に潜在的に染みついてて、あとになってそれが生きてくることもあるし、理解してないから別になんの影響も与えてないんだっていうこともあるんで、なんとも言えないんですけれど。
ただSPEEDに関しては、別の、リサーチをした女性がそういう話をしていて、「確かに小さい頃はそんな意味もわからずだったけど、歌詞が染み付いている中で、10代を迎え、大人になり、恋をして、となると、あの歌詞のとおりに生きているわけでもないし、あれが正しいとも思わないけど、どこかしらに『ある女の子の生き方として』みたいなのが残っているので、影響がないとは言えない」みたいな話をしたことがあったので、そういう人もいるんだろうなっていう感じですね。
だから全然SPEEDを汚すつもりはない(笑)。
(一同笑)
僕は普通に好きですよ。「Body & Soul」の8センチシングル買いましたよ。ヘビーローテーションでした。今でもレンタカーでドライブする時にかけてます。
はな:懐かしい。
いけちゃん:でもなんか、そう言われてしまったらもう(SPEEDの曲は)聴けない。
稲田:えー(笑)! そうですか?
いけちゃん:素直な気持ちでは。(もし歌っている人がいたら)痛々しい、じゃないけど……。
あずきバー:そう、「こう思われるんだ」って……。
稲田:こういうことだっていうのは、いち解釈だから(笑)。
いけちゃん:そういう解釈をする人もいるんだって思ったら、もうカラオケでは歌えない。
あずきバー:歌えない。
いけちゃん:今まで何も知らなかったほうが罪悪感もなく歌えたけど。
あずきバー:(男性の)上司の前で絶対歌えないよね。
(一同笑)
いけちゃん:そうそう。男子の前でも歌えないよ。おじさんの前で絶対歌えない(笑)。
稲田:おじさんが全員そう思ってはいないですよ、きっと。
いけちゃん:そう思うんですけど、思っている人もいるってことですよね。
稲田:当時のおじさんは、歌詞の文字面を見て多分「うわっ」て思ってた。
いけちゃん:でも私たちは、それを知らずに無邪気にカラオケでもう歌えない。この(本の)おかげで。
稲田:罪深いですね……。
(一同笑)
いけちゃん:もう歌わないです。
あずきバー:もう歌わない。
稲田:もう歌わない? ハハハ。やっべ……。
はな:すごい影響だ。
いけちゃん:そういうふうに捉える人もいるんだな、っていうのはわかりました。
稲田:それは責任逃れをすると、僕のせいではなくて。気づかせてしまったということですよね。
あずきバー:そうですね。ショックでした。
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