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創業からフロントジッパーまで REALISEの歴史

「水中ニーソ」で知られるデザイナー・映像作家の古賀学氏が中野・Bar Zingaroで毎月開催しているトークショー「月刊水中ニーソ」。2015年6月に開催されたイベントでは、フロントジッパー競泳水着で話題になった水着メーカー「REALISE」の中村圭介氏との対談を行ないました。このパートでは創業からフロントジッパー競泳水着に至るまでのREALISEの歴史を、すべてのプロダクトとともに振り返ります。

REALISEのはじまり

古賀:そして2008年から順番にどんどんバージョンが上がっていくんですが、今日はREALISEさんの全プロダクトを紹介します。

古賀:まず、この型番のNっていうのは?

中村:ノーマルバックです。

古賀:もう1個、Tバック仕様のT-001っていうのが存在するんですよね?

中村:そうです。だからだいたい、掛ける2パターンあります。

古賀:これ全部前向いてるからわかんないですけども、Tバック仕様とノーマル仕様と両方出してる、と。

2番が単色で、3番でハイネック。ハイネックって、水球用水着とかもあるんですね。

中村:そうです。

古賀:そして4番を飛び越えて12番。

中村:急に何かあったのかな、みたいな(笑)。

本橋:理由は無いんですか?

中村:一応資料をたどっていくと、僕が感じるにですけど、先代の何か思いがあったのと。あとは僕が先ほど出てたAさんと作ってる時に「もうちょっと練りたいなー」とか「この商品に関しては……」というのは、どんどんリリースが遅くなっていくので、そのタイミングでできるものからっていう感じですね。

古賀:そして12番が先に戦場に投入されるんだ。

中村:次に4番が。

古賀:4番は幻みたいですね(笑)。

中村:これは僕は2回ぐらいしか触ったことがないですねえ。当時僕は発送とか顧客の対応とかをしてたんですけども、正直「これは売れねーだろう」と思いながら見てましたけどね。

古賀:売れなかった?

中村:そうなんです。すぐに廃盤になっちゃいました。

本橋:プリントはホログラムですか?

中村:はい。ホログラムを上に加工してあって、あともうひとつ、白ベースのシルバーっぽいものもあったりしたんですけども。

古賀:後で話題になりますけれども、某なんとかを目指している感じがちょっとします。

中村:そうですね。

我慢できなくて、どんどん出しちゃう

古賀:突然20番。ばんばん飛びますね。

古賀:7番。元に戻りますね。これはめちゃくちゃ売れてるんですよね。

中村:これは売れてますね〜。

本橋:カラーバリエーションが増えて強光沢ですね。

古賀:裸以上の立体感が気持ちいいですね。

古賀:8番。これがさっき出てきたラバー?

中村:そうです。1番最初のラバー加工で。いわゆるゴムフェチさんたちからは、こういうちょっとヌメッとした感じの質感が好まれていたと思います。

古賀:ラバー加工って、実際にはラバーではないんですよね。

中村:ラバーではないんです。ラバーっぽい、ラバーライクな感じです。

古賀:これはそれの白バージョンですね。

古賀:そして新型の光沢ラバー加工。

中村:超光沢ラバー加工です。

古賀:これがカラーバリエーションですね。

古賀:そして9番。

古賀:原点回帰。

中村:ここへ来て原点回帰です。

古賀:まだこの時点で2011年なんで、2008年からまだ3年しか経ってないんですけど、3年でこの量のプロダクトを世の中に(笑)。

中村:原点回帰の意味もよくわからないですけど。

本橋:この新製品の投入ペースは、新しいのができたらとにかく出すっていう感じなんですか?

中村:一応我慢してるんですけど(笑)。

古賀:してないですよね? 3年でこれだけ出して。

中村:あのー、マーケット的にこう……。

古賀:あぁ、でもそうか! 売れてなければこの量は出せないから、売れてるんですね。

中村:だから、元気がいい時はとにかく出すんです。普通のアパレルだと展示会とかやってると思うんですけど、僕らはそんなのなくて、我慢できなくなっちゃって売っちゃうっていう(笑)

古賀:あはは(笑)。4番はその中でできたやつですね。

本橋:俺たちが作りたいから売ると。

戦場での迷走期も

古賀:そして15番の長袖。この数字も飛んでますね。

本橋:横のラインとか、デザイン性が増してきましたね。これはなぜ長袖なんでしょう。やっぱりかっこいいからですか?

中村:昔アディダスかどこかが出していたのを画像で見たことがあるんですけど、それのオマージュかもわからないですね。

古賀:レオタード的でもありますね。

古賀:30番。これは20番とどう違うんですか?

中村:生地が違います。

古賀:20番、30番は明らかにこだわってつけた品番なんでしょうね。

中村:そうですね。これもよく売れていて、現行ですね。

古賀:33番はスク水風ですね。これは先代は出す気はなかったんですかね。

中村:ちょっとこのときはイライラしてましたね。イライラっていうか、やっぱり競泳水着とスク水って全然別ものじゃないですか。でもお客様からお声をいただくと「スク水作らないんですか?」とか「御社流でスク水を解釈してください」っていうのがあったらしいです。

古賀:ユーザーの希望に応えてみた?

中村:はい。

古賀:色はREALISEっぽい。スク水でこんな色ないですもんね。

中村:これはメッシュです(笑)。

本橋:これ、乳首はPhotoshopで消してるんですよね?

中村:消してます。ここらへんで、たぶんユーザーの声をいただきすぎて、先代プロデューサーが迷いだしたんですよ(笑)。メッシュに行っちゃったっていう。

本橋:やっぱりユーザーの声なんですね。

中村:そうですね。でもカラーバリエーションが少ないことを見ても、多分先代も迷っていた。

古賀:次々に送り出したはいいけど、戦場で迷走してた感じですね。

本橋:これは明らかに普通のプールとかに着ていけませんよ。

中村:もう絶対無理ですね。

古賀:これが30番のメッシュタイプですね。

中村:一応30番と関係あるから34番っていう数字になってます。

2ピースタイプは着る人を選ぶ

中村:なぜか2ピースになるっていう(笑)。完全に迷走してますよね。中の人間が言うのも何ですけど、かなり迷走が大きいです。

古賀:ただ、これはグルっとまわってかっこいいですけどね。有りか無いかっていうと全然有りですよ。

中村:ただ、競泳水着の機能というか、使う人からすると、お腹の部分が締め付けられてスタイルよく見えるっていう魅力があるんですけど、この商品だとお腹の上と下が締まってるから、ポヨポヨッてなりやすいので、なかなか難しい。

古賀:これを着こなすのって、本当にスタイルが良くないと無理ですよね。

本橋:あえて腹筋を見せつけるとか、そういう感じですか?

中村:そうですね。競泳というか、アスリート水着っていう感じですね。

本橋:陸上競技のアスリートはセパレートのウェアで腹筋を見せる方向に変わってきたじゃないですか。2000年代ぐらいですかね。

古賀:陸上でこういうスーツありますね。

本橋:そっちの何か影響があるような気がします。

古賀:37番。競泳水着に戻した。

中村:実績のあったハイネックタイプの、配色バージョンっていう感じですね。これも海外で人気がありますね。

古賀:これはどうしたんですか?(笑) 品番がKになっていますけど。

中村:そうなんですよ。これは先ほど登場したAさんが、「作りたい」って言い始めて、僕らが監修して作ったものです。こういうフェティッシュな要素もマーケットはあるっていうのがわかってたんで、出しませんかっていう提案だったんですけども。

先代のプロデューサーは、「いや、うちは競泳水着メーカーなので」っていう、なんかよくわからない揉め事があって。そんなことがありながらリリースに至って、これも結構好評頂いていました。生地が無くなってしまったので、廃盤になりましたけども。

古賀:作れば売れたんですね。

中村:そうです。

本橋:これ何年ごろなんですか?

中村:2012年とかですね。

本橋:キャットスーツとかゼンタイ(全身タイツ)の影響がありますよね。

中村:そうですね。

生地の伸縮性や加工のレベルが違う

古賀:これは「曖昧☆美少女アート展」で写真がありましたね。

中村:そうです。これも結構こだわりのあったストライプなんです。これはうちのオリジナルの生地ではないんですけど、うち流にするには光沢感をさらに出そうということで、ウエット加工というのを通常の2倍以上施して、ストライプがより際立つようにしています。普通に見た感じ、同じようなのが他社さんでも置いてるんですけど……。

古賀:質が違う、と。

本橋:これの型番がKNになっているのは?

中村:これもAさんの企画のものです。Kが入っているのがAさんのもので。ややこしいですよね。

古賀:「KN-5033」はKのノーマルバックの5033ってことですね。

中村:そうです。ちょっとややこしいですね(笑)。

古賀:型番の読み方とか、鉄オタみたいですよね(笑)。

古賀:これは現行版のシースルーですね。シースルー需要ってあるんですか?

中村:多いですね。普通にロム(コスロム)作ってらっしゃる方とかも、加工して使われている方もいらっしゃいますし、何よりも結構着心地がいい。僕は直接着たわけじゃないですけど、伸ばしたりしたときの伸縮性もかなり高くて、体型の補正的にもかなりレベルの高いものです。

古賀:スタイルが良くなる。

中村:そうです。

古賀:これはそのハイネック版ですね。で次が話題の。

世界に広がるREALISEの水着

中村:今に至るって感じですね。

古賀:これが最新型。雑誌のグラビアとかを見ていると、これまでいろんなプロダクトが出てきますよね。日本国内のグラビアもそうだし、海外のグラビアでも。

中村:よく使っていただいて、ありがとうございます。

古賀:pixivなんかに上がってるイラストの参考資料としても使われているみたいです。

古賀:それから、こういうのもあるんですけど。

(会場笑)

本橋:これなんですか?

中村:キョトーンですよね(笑)。

古賀:海外のシンクロアーティストの女性がデモリールをインターネットにたくさん公開してるんですけど、なぜかREALISEの水着が大好きで、タイトルにまでREALISEって入ってるんですよ。

中村:うちもエゴサというか、ネット上でサーチするときに、YouTubeで「REALISE」に「swimsuits」とか「水着」とか足して検索してるんですけど、その中でこの人が急に出てきて(笑)、しかもかなり量が多くて。

古賀:別にエロでもなんでもないです。普通にアスリートのお姉さんですね。芸術家というか。

本橋:すごいいろいろ持ってますよね。

古賀:REALISEのハイネックのメタリック素材が大好きみたいで、各色持ってます。それから海外の水中ポルノでもREALISEは大人気なんですが、このへんで(笑)。フルフェイスマスクっていう顔を全部覆うタイプのスキューバのマスクを着けた女の子が、画面の映ってないところでタンクのバルブを閉めたり開けたりされるんですけど。

ヨーロッパからの注文も多い

古賀:REALISE自体、なかなか普通の使われ方をしづらい水着になってしまっているんですかね?

中村:そのへんは、そもそも先代のプロデューサーの狙いでもあったと思うので。

古賀:別にスポーツウェアのメーカーを立ち上げたわけじゃないですからね。

中村:はい。だからフェティッシュとか、そういう細かい解釈ではなく、いわゆるエロとか、そういう方面に対して「こういうプロダクトもあるよ」という提案が海外にも伝播していって、全然有りだと思うんですけど、こういう使われ方をしてるっていう。ただ、僕とはちょっと方向性が違う。

本橋:海外のお客さんからは、サイトを通して発注があるわけですか?

中村:そうですね。海外の発送を承っているので、直接英語で注文が来て、という感じですね。

これは「swimsuit-heaven.net」という海外のオーストラリアのグラビアサイトなんですけども、直接「大好きです!」という熱いメールが来まして。それから英語のやりとりをして、よく使ってくれているっていう感じですね。

本橋:全体の中で、海外のお客さんってどれぐらいの割合なんですか?

中村:どれぐらいなんですかね。ただ海外の3分の1ぐらいはヨーロッパです。だから僕が思っているよりも先に、ヨーロッパでしかわかってない市場にもうちの商品が届いていて、たぶん僕が見たことのない使われ方もしてるかもわからない。

古賀:インターネットに載っているのは一部かもしれないですもんね。

「REALISEロゴいらない」事件

古賀:そんな感じでむちゃくちゃ勢いのあるREALISEさんですが、実は2012年12月に、僕とREALISEさんの間で事件がありまして。

中村:これは一大事件でした。

古賀:僕が2012年12月29日にツイートで、「REALISEのロゴはいらない」と書いてたんですね。

中村:これは事件ですよね。

本橋:まさかのdisからスタート(笑)

古賀:disまではいってないんですよ。かっこいいと言ってるんです。でも、ロゴはいらない(笑)。

さっき「普通の使い方をしない水着を目指した」と言っていたように、競泳水着とかが好きな人から見ると、REALISEのロゴが入っていることによって、これは同時に実用の水着では無いっていうことになってしまうので。そのツイートの数年後に実際に中村さんとお会いしたときに話をしていたら、「パブリックな場所で着てもらえないんですよね」って言ってましたけど。

中村:そうなんですよね。これは1つの事件ですよね。

古賀:ちなみに、中村さんがこの発言を見つけてRTしたのはツイートの2年後ぐらいで、リアルタイムではないんですよね。

本橋:やっぱり定期的にREALISEブランドでエゴサとかするんですか?

中村:この発言を僕が発見したのは、しばらくTwitterをやめている時期があって、再開するときに「Twitterやるんだったらちゃんとやろう」ということで、まず過去の自分たちはどう思われているのかというデータを蓄積させるためにエゴサしてまして。

めっちゃ水着を使ってくれてて、競泳水着を好きな、しかもこういうコンテンツを育てていってらっしゃる方が「うちのロゴいらない」って言ってるって、どう解釈していいのか、すごい悶々とした気持ちがあってRTしたんです。

古賀:これが当時のREALISEのロゴですね。今回トークするにあたって、中村さんから面白いものをいただいたんです。このロゴのラフで。

中村:これほんとの、ほんとのラフですね。ロゴ案というか、捨てデザインと呼ばれる。

【ロゴ案(非公開)】

古賀:今見るとこれめちゃくちゃかっこいい。普通に競泳水着メーカーに見える。右のマークはRをかたどったんですね。

中村:Rの縦棒以外のとこですね。これ発見したときは、ちょっとびっくりしましたけどね。最初はこんな形だったんだ、と。

古賀:これは2代目になった後に見つけたんですよね。

中村:そうです。初代が遺していったものの中にありまして。

古賀:結局細い線で構成されたロゴになったんですけど、面構成のロゴもかっこいいですね。

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