2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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本橋康治氏(以下、本橋):では8月の「月刊水中ニーソ」をはじめます。お願いします。
古賀学(以下、古賀):いきなり文字のページから始まるんですけど。そもそもREALISEとは何なのか。その前にまず、そもそも競泳水着フェチとは何なのかという(笑)。実は中村さんってREALISEの創業者ではないんですよね?
中村圭介(以下、中村):そうなんです。2代目で。先代にプロデューサーがいて、その方が立ち上げて。この年表で転換期がわかるようになっていると思うんですけども、先代のプロデューサーの下で僕は普通にスタッフとして、どこにでもいる普通の人間として……ちょっとどういう説明をしたらいいかわからないですね(笑)。
古賀:REALISEが立ち上がった時に下にいる時点で「どこにでもいる感じ」ではないですよね。しかもそれって、そんなに昔の話じゃなくて2007年なんですよね。2007年以前には、まだREALISEは無いんですよね。
中村:そうなんです。先代のプロデューサーの頭の中にはあったけど、ものはないっていう状態で。
古賀:その先代さんは、ここに書かれているように元水泳部で、本人のノスタルジー的な要素もあって。
中村:いわゆる競泳水着フェチって、どこからがフェチなのかっていうのもあると思うんですけども、先代は競泳水着が大好きで自分も元競泳水着部、じゃなくて水泳部だったんで。
古賀:競泳水着部って(笑)。でも、わかんないですよ。水着が好きだったから水泳部に入った可能性もあります。
本橋:先代はスク水とかは全く興味が無かったんでしょうか?
中村:競泳がすごい好きで。ここに「ノスタルジー的要素有り」って書いてあるのにはちょっと意味があって、まぁ先代はモテてなかったんですよ。だから、たぶんその当時の悶々とした何かがあったのかなって。
古賀:非モテな水泳部の青春。
中村:そうですね。“非モテな水泳部の青春”な日々を送っていたと、凄い熱量で僕に語ってきました。忘れもしない2007年に(笑)。
古賀:先代が書いた企画書を持って、夢の競演水着を作ってくれるところを探したんですよね?
中村:そうなんです。夢の競泳水着を作ってくれる工場を探し始めたんですけど、フェティッシュな要素を含めた企画書だったもんで、それを理解してくれる工場がなかった(笑)。
古賀:先代がわざわざメーカーを立ち上げるっていうことは、たぶん2007年当時に市販されていた競泳水着に満足していなかったということですよね。
中村:そうですね。普通に商売として成り立つ魅力がもっとあるんじゃないかと思ったのもあるし、競泳水着の愛好家の方たちが満足していないっていう隙間も見えていたというのが、スタートだと思います。
古賀:ここで難しいのは、一般的にあまり知られていない競泳水着愛好家がいるっていうこと。
本橋:これは話し出すとちょっと長くなるので、追々やりましょう。
古賀:そうですね。この頃、2007年より前の僕はグラドルのイメージDVD作ったりしていて。2004年に菊地成孔さんのMVを作ってちょっとアートっぽくなるんですけど、それでもやっぱり友達はオタク界隈で。
そういう中で、2007年に「クラブ方面に映像を持っていくとファンが増えますよ」とアドバイスを受けてクラブイベントに参加するようになる。このときはまだVJじゃなかったんですね。僕の枠がタイムテーブルの中にあって、新作映像をその都度上映するっていうのをやっていました。その映像作家としての発表枠をもらってたのが2007年前後。
本橋:まだ水中ニーソは発見前ですね。
古賀:水中ニーソは発見前です。そして2008年9月にリーマンショック!
中村:これは全く関係が無いようで、すごい重要なファクターっていう。
古賀:この当時僕がやってたのが、この箱(Bar Zingaro / Zingaro Space)がらみなんですけど、村上隆さんがやっているGEISAIっていうアートコンベンションというか、アートの即売会と公募展が一緒になったアートイベントがあって。
そのGAISAIの中で村上さんが「GEISAIの中で学祭をやりたい」って言い始めて『学園祭実行委員会』というイベント内イベントがありました。コスプレイヤーがいっぱいいて、模擬店がいっぱいあって、痛車がいっぱいあってっていうイメージを「うわぁー」っと語って、これどこに特化する気だろう、みたいな。
本橋:たぶんGEISAIの規模がいちばん膨らんだ頃ですよね。
古賀:超バブルです。
本橋:それがリーマンショックでえらいことになるという。この時には古賀さんは学園祭実行委員会に関わっていたんですか?
古賀:ロゴを作ったり、パンフレットを作ったり、グラフィックデザイナーとしてお手伝いしていました。このリーマンショックが、さっきのREALISE先代の企画書に化学変化をもたらすんですね。
本橋:そこをもっと詳しくお願いします(笑)。
古賀:このAさんは、商社マンじゃないんですね?
中村:そうなんです。何て言ったらいいんでしょうね。AさんはAさんで、この時リーマンショックがあって、同じような内容で悩んでて。
古賀:1回スライド読みましょうか。「Aさんは水着をメインに売っていた元商社マンで、当時の美白ブーム、さらにリーマンショックにより、水着が売れずに悩んでいた。工場、生地屋さんも同様。ざっくりこういう需要があるとはわかっていたものの、どういったデザインにすればいいかわからないのと、表立ってそういうアイテムを作ってしまうと取引がしにくくなるのではないか、懸念をしていた」(笑)。
(会場笑)
中村:そうなんです。やっぱり、いわゆるエロっていう商材に手を出してしまうと、メーカーとして、「アッ」て指さされるような存在になってしまうんじゃないかっていう。
古賀:Aさんはエロくない水着を売ってたんですね。
中村:そうなんです。ファッションビキニとかも売ってて。業界は狭いので工場はかぶっていたりとかするんで。
古賀:作れる機能がある人ってそんなにはいないんですね。
中村:はい。この方は今もビジネスパートナーとして一緒にやってるんですけども、ここに書いてある通り悩んでいて。
うちの先代のプロデューサーは、作る場所とパートナーを探してたので、元々知り合いだったこともあって、ここが繋がってスタートするという形です。先代のプロデューサーの頭の中にあったものが形になり始めるのは、リーマンショックの後の2008年10月以降っていう感じです。
古賀:これによって、ようやくREALISEが始められる。「この間、メイドインジャパンであることと、オリジナルの型を作ることを理由に何度も試作する」と。
中村:もう、すごかったみたいですね。何センチ何ミリ刻みで「ここのレッグの角度を上げてくれ」とか。ここの試作の段階で、ベースがすでにできあがってたと聞いてます。
古賀:その年、僕もやっぱり仕事なくなっちゃうんです。リーマンショックで。
本橋:この当時の古賀さんのメインの仕事っていうのはグラフィックデザイン?
古賀:グラフィックデザインなんですけど、一時期オタク系の仕事を少なくしてて。2009年の『仮面ライダーW』からもう一回復活するんですけど、わりと景気のいい話がどんどん無くなる時期だったんです。
本橋:でもバンダイさん含めて、このあたりから大人向けのマーチャンダイジングを積極的にやるようになりましたよね。ゴッホ今泉さんイラストの仮面ライダーWのパンツを買った覚えがあります。
本橋:これから年表形式でREALISEさんの商品の変遷をたどっていきます。
古賀:さっきの事件が2008年9月だったんですけど、もう11月にはできてるんですね。
本橋:試作を重ねたと言っていましたが。
中村:結構ハイスピードで、毎晩のように電話をしていたと聞いています。夜中だろうが日曜日だろうがっていうぐらい。先代の熱い思いがそこでようやく報われるというので。
本橋:先代はこれ、めちゃくちゃ楽しい時期ですよね。
古賀:夢の競泳水着が、どんどん形になっていくんですからね。
本橋:この時点でのREALISEの夢の競泳水着の新しさって、どこだったんですか?
古賀:例えば、今普通に競泳水着を買おうと思って、ネットで「競泳水着」ってサーチして買おうと思うと、まず黒い水着しかないんですよ。
本橋:スピードとかのやつですよね。
古賀:スピード、アリーナ、ミズノ、アシックス、いろいろあって、形はちょこちょこ違うんですけど、基本、黒い水着しかないんですよ。せいぜいネイビーぐらいしかない。REALISEさんが最初に出した白とオレンジとか、まずありえない色で。
本橋:こういうカラーリング自体がなかったということですよね。
中村:アシックスさんで、ちょっとあるぐらいですかね。
古賀:まぁ、透けるからなんですけどね。別注って言われる、例えば「ロットで発注してくれるんだったら違う色の布で作るよ」っていうサービスも各メーカーであるんですけど、それは個人では頼めないので、ちょっと変わった水着屋さんが、アリーナとかアシックスとかに別注をかけるんです。
そうやって作った別注の水着のMサイズが何枚とか、そういう形でネットの通販とかにたまに出るんですけど、出た途端一瞬で売り切れるので、やっぱり競泳水着愛好家たちに需要があるんですね。愛好家たちも、さすがに自分で発注をかけてっていう人はいないんで。
本橋:ひとりで抱えられるロットじゃないですからね。
古賀:REALISEさんとは違う愛好家向けの水着屋さんがいくつかあるんですよ。僕自身も衣装用の水着を買うこともあるんですけど、サイトに載っているものがほとんどソールドアウト。こういう状況の中で、REALISEさんの先代がすごいのは、別注をかけるんじゃなくてメーカーごと作るっていう(笑)。
(会場笑)
古賀:色がまず全然違うんですよね。たぶん愛好家として、速く泳ぐっていう機能じゃなくて、「ここがこうなっていたらなぁ」っていうカットの問題とかにこだわってるんですよね。
本橋:競泳水着なのに、競泳と関係ないところで(笑)
古賀:名前は競泳なんですけど。一応、競泳水着として使えなくはないんでしょ?
中村:そうですね。生地によっては某スポーツメーカーと同じような生地を使っていたり、加工も同じような加工していたりします。ブルーのやつとか、その横の長袖のやつとかは、泳ぎも全然問題ないですね。
古賀:光沢のやつは別に泳ぐための機能じゃないですね(笑)。
中村:でも、いわゆるラバー加工をする前の元の生地自体は水着の生地だったりするんで、一概に泳げないとは言わないですけども。「ちょっとお任せします」っていう感じの製品ですよね。
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