2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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稲田豊史氏(以下稲田氏):(川崎出身の若者研究所の女子大学生に向かって)どうですか? 川崎なんて、あんまり地方じゃないじゃないですか? 巨大モール文化って川崎のほうってどうですか? あんまりない?
学生:そうですね、巨大モールがまずないんですけど。買い物をするならラゾーナ川崎っていう、ららぽーと的なものがあるので、そこで買い物をすれば1つで済むっていうのは昔からあって。買い物っていうと、憧れで「109に行ってみたい」って年に1回行ってみる……。
稲田:年に1回行ってみる(笑)。
学生:っていうのは昔はあったんですけど。今は、私は都内に出てしまったのでわからないんですけど、やっぱりラゾーナで済むっていうのは感じてます。
稲田:ラゾーナができたのって何年前くらいですか? 10年経ってます? 経ってないくらい? でも、普通に考えると、若い女性だったら、中学高校だったらラゾーナよりも渋谷ってふうにならないんですか?
学生:そうですね。まず、渋谷が怖かったっていうのがあります。子供だけで行っていいところだと中学生くらいまでは思っていなくて、やっぱり子供だけで行っていいのは南武線沿いの武蔵小杉と川崎までかなっていうのがありました。
稲田:(笑)。南武線が限界っていうことですね。
学生:東横線は子供だけで行くところじゃないなって感覚があって。
稲田:あそこに大きな壁があるんだ? 南武線と東横線の間に。なるほど、大きいですね。すぐですけどね、乗り換えたら。
原田曜平氏(以下原田氏):でも、最近ハロウィンではマイルドヤンキーの子も渋谷に来たりするんでしょう? ハロウィンの時だけは。
学生:はい。去年から六本木のハロウィンに皆で参加をするようになったんです。
稲田:それは地元の子たちとですか? それとも大学の子たちと?
学生:地元の子たちと皆でゾロゾロと。
原田:基本的には地元に引きこもっているっていうか、地元近辺で過ごしているんだけど、ハロウィンの時だけは出ていくと。
稲田:あー、なんかハレの日みたいな。
原田:ハレの日みたいな。ディズニーランドとハロウィンの時だけは遠出するみたいな。
稲田:(笑)。因みにハロウィンは何をしますか? 六本木で何をするんですか?
学生:まず六本木の居酒屋でお酒を飲んで、テンションが上がってきたら皆はクラブに行ってました。
稲田:そういう扮装をしているんですか?
学生:そうですね。地元から皆の家に集まって、ゾンビメイクをして。
稲田:そのまま電車に乗るの?
学生:電車に乗って行きました。
原田:良かったですね、ハロウィンができてね。電車に乗る機会増えたもんね。
稲田:(笑)。本当ですね。ハロウィン様様ですね。
稲田:電車が嫌いっていうヤンキーの声は複数ありましたよね? 確か。
原田:かなり多いですね。
稲田:だからさっきのミニバンの話に多分繋がってくると思うんですけど、ああいうプライベートの空間がずーっとそのままで移動できるっていうほうが好みであって、オープンスペースで公共の場所で電車に乗るっていうのは精神的に抵抗があるのか……。
原田:基本的には同じような人間関係で過ごしている人たちが多いので、いろんな人の目に晒されるっていうのがあんまり好きじゃないと。それよりかは自分の空間で移動するほうがいいと。
原田:多分かつてのヤンキーよりも強くなっているのは、車の改造でいうと外側に改造するっていうよりも内側の改造が増えているんですね。
外側をいかつくするっていうか、それをやる子もいるんですけど、(改造の結果が)比較的見えにくくなっている。群馬でもあんまりそんな、すごいいかつい改造車はかなり減ってますよ。
稲田:竹槍出っ歯的なのは減っている。
原田:減っている。その代わり内装で、地元友達を乗せて快適なようにふかふかシートにするとか、そういうタイプの子がすごく増えているのにびっくりしましたよね。
稲田:昔はエアロパーツとか、所謂外側の物ですよね。見た目に威嚇行為みたいな感じで改造してましたけど。ホスピタリティーのほうに行ってる。
原田:だからマイルドっていう言葉が示す通り、すごく優しい子らが増えてきているような気がしますね。
稲田:そうなるとやっぱり、企業の商品開発とかもそっちの方向で物を作っていったほうが可能性があるっていうことですかね?
原田:そうですね。あんまりビックマウスで、俺は何十億稼いで東京で何とかっていう子たちが減ってきてるんで、もうちょっと快適な地元生活をサポートしてくれるようなコンセプトの何か商品がいいでしょうし。車もいかに悪く見えるかっていう物じゃなくて、皆と楽しめますよって方向性のほうが彼らにウケるでしょうし。かなり時代によって価値観変わってきてるっていうのは言えると思うんですね。
稲田:実際どうなんですか? 原田さんは広告代理店なんで、いろいろ企業の動向なんかも耳に入ってくると思うんですけど。そういうふうな商品開発をし始めている企業もあるんですか? なりかけていたりするんですか?
原田:全部の企業を知っているわけじゃないんですけど、基本的にはかつての若者像を引きずっている企業が多いなというふうに思います。それはいくつか理由があって、まず先程言った通り、日本の若い人の人口が減ってきているんで、企業も調査費をものすごく投じれないと。どっちかっていうと中高年、せいぜい団塊ジュニアに(投じている)。
稲田:人口の多いところに、どうしてもお金を使わなきゃいけないっていう。
原田:規模の経済ってそういうものですね。あともう1つが、やっぱりマイルドな動向がどうしても理解しにくいと。ヤンキーって言ったらきっとこうだろうっていうのがずっと変わらなくて。悪い物が好きで、リーゼントしてて、ってイメージが未だに残っている。
あとは、調査しにくいっていうのがあるんですね。先程言った通り、地元が大好きなんで。昔のヤンキーの子たちって地元に残ってる子もいたと思うんですけど、心のどこかでは「東京に行きたい」とか上昇志向がすごいあったり、ちらついてたりとかあったと思うんです。今の子たちは本当に行きたくないっていう感覚なんですね。
だから、調査会社を通して謝礼何万円払うから、ここの調査会場に来てくださいって言っても、なんか面倒臭いし嫌だっていう子が増えちゃってるんですよね。
稲田:(笑)。実際そういうことがあったんですよね? 来てくれないんですよね?
原田:1回ある地域のヤンキーの若者たちにインタビューをした。ある企業の新商品を試すというんで。ただ、これは新商品なんで外に出せない。密室空間でやんなきゃいけないから、赤坂のうちの会社でやることになった。
そのため彼らを呼ぶ。ところが「来たくない」と。「謝礼いっぱい出すよ」と。それでも「来たくない」と。最終的には来てくれたんですけど。しょうがないから、貸切バスを送って赤坂まで連れてこなきゃいけないかなってところまで追い詰められました。
稲田:そんなに電車乗りたくなんですかね? それとも動きたくないんですかね?
原田:あと、やっぱり、何でしょうね? 赤坂ってよくわからないし、企業にテストされる、人体実験されるのかもとか、良からぬ想像とかもしちゃうのかもしれないですけど。
稲田:(笑)。すごいですね。21世紀にそんなことが起こるんですね。
原田:だからやっぱり企業が、実は優良消費者でありながらその優良消費者にタッチできてないっていうのが、今の若い人たちの消費の停滞にかなり繋がっていて。
原田:例えば、この本にも書いてますけど。お酒が厳しい。若者飲まなくなった。でも、この子たちは比較的飲む子が多いわけですよね。
車に対してだってすごく温度がある程度高いわけじゃないですか。昔とタイプは違ってきてるけど、車の温度は高い。それからタバコだって、すごく吸う。
稲田:吸うんですよね。この喫煙率低下の波とは全く関係なく。
原田:今、実は20代の男女に一番目売れてるたばこってセブンスターなんですけど、これが全て意味してますよね。セッターっていうのは、ヤンキーたばこって言われるんですけど、ヤンキーが吸ってる比率が高いんだよ。他の子は段々時代の流れと共に禁煙者が増えてるんで。
結果的に、20代で一番吸われてるたばこってヤンキーたばこになるっていう、そういう構造なんです。たばこも吸ってる子が多いですし。パチンコスロットってのもものすごい人口減っていますけど、(ヤンキーには)かなりやる子たち多いですね。
稲田:かなり金使ってましたね、パチンコパチスロは。
原田:可処分所得によって違うんですけど、全体的に言うと消費意欲が他の層に比べると旺盛で、かつけっこうお金を使ってるっていうのは言えると思いますよね。
稲田:何か会場からもし質問があればとりたいなと思ってるんですけど、どうですかね? ありますか? 若者研の方でもいいですよ。
「関わったけどこの点を知りたい」でもいいですし。あと、若者じゃない世代の方もいらっしゃってるので、是非何かありましたら。
原田:「俺の時代のヤンキーは違った!」とか。
質問者:今日はありがとうございます。先程の話で地元愛が強いという話とあと巨大モールが好きっていうお話があって、地元愛が強いというと、巨大モールとか行かずに地元の商店街とかで買い物するとか、そういうイメージになってしまうんですけど。その点はどう考えたらよろしいでしょうか?
原田:それ、よく言われるんですけど。だから、正確に言うと郷土愛ではないんですね。「置き換え可能な地元」ってよく言うんですけど。本当に、僕は全国で若い子にインタビューしていて思うんですけど。
「地元のどこが好きなの?」って聞くと、「巨大モールもあるし友達もいるし」と。「それって富山県に持っていっても北海道に行ってでも一緒だよね」と。「たまたま生まれたに過ぎないよね」って言うと、ハッて皆するんですよ。「そうかもしれない!」と。そういう愛なんですよ。
だから郷土愛じゃなくて、「置き換え可能な地元愛」なんですよ。つまりその地元愛って何を意味するかっていうと、イオンであったり、親であったり。
親子仲もかなり良くなってますから。それから中学時代の友達。この3つの要素で構成されてるんですよ。だから、置き換えられるんですよ。
だから、よく、若い人の地元志向が強まっているから、「これから日本の地方は明るいぞ!」なんて言う人がいるんですね。
要するに、自治会のおじ様たちと仲良くやって地域おこしみたいなのをやる子が、勿論増えてはいますよ。昔よりかは時代がそういう時代になっているので。でも、皆がそういう動きに連動するかというと、多分違うと思います。
彼らは上の世代と別に付き合いたいわけじゃなくて、同世代のフラットな人間関係を楽しんでいるだけですから。
町内会長か何かが来ていきなりお説教されて、それに従うっていうそういうタイプじゃないと思います。そういう意味では、郷土愛とは違うっていうことをご理解いただければいいんじゃないかなという気がします。
稲田:だから、郷土史とか地元の偉人とかそんな興味ないんですよね。現状、タレントさんがここから出てるとかいうのだったら興味あると思うんですけど。奈良時代にここにこんな武士がいたとか、そこまで多分興味ないと思います。
原田:高知県でもアンパンマンか広末しか出てこないっていう。
稲田:(笑)。実際出てこなかったんですか?
原田:(頷く)
稲田:他に何か。どうぞ
質問者:最近の話題だと都知事選があったと思うんですけど、20代とかその辺の投票率とか恐ろしい程低くて、ヤンキー世代っていわれる人たちもほとんど投票に行ってないと思うんです。もし仮に彼らにウケる政策をやるとしたらどういうものがあると思いますか?
原田:何でしょうね。家入さんもお友達ですけど、家入さんは割と頭のいい子たちの支持をすごく集めた感じがして。こういうマイルドヤンキーの子たちは多分あんまりよくわからないと思うんですよ。彼らに受ける政策って何なんでしょうね? 巨大モールを1個増やす?(笑)
(会場笑)
稲田:本当にそういうこと。
原田:ディズニーランドに行きやすくする。
稲田:ディズニーランドに安く行けるとか。あと車の税金が安くなったらうれしいとか。
原田:それは大きいかもしれない。
稲田:軽自動車の税金が上がるじゃないですか。あれを阻止するなら相当支持される気がしますけど。あと、普通にタバコの税金を安くするとか。
原田:この本にも書きましたけど、子供に対する愛というか意識がすごい強いんで、子ども手当か何かわからないですけど、家族の関係っていうのは彼らにとっては地元の一番ハブになるところなので、そこに恩恵を感じられるとすごくいいんじゃないかなという気がしますね。
家入さん、すごく居場所って話をされてますけど、それはそれですごく大切なことだと思う。でも、彼らにはもう居場所があるんです。居場所をどうより快適にするかっていうことのほうが多分彼らは関心が強いんじゃないかなと思います。
稲田:はい。結構もう時間があれですか。もう1つ、2つぐらい、ご質問あれば。どうでしょうか?
原田:若者研の子でもいいですよ。これを言いたいという。
稲田:大丈夫ですか? あのー、巻末付録で、ちょっとおもしろい座談会があって。実は私その日に病気になって行けなかったんですけど(笑)。
原田:はい。小学校時代の同級生と最近Facebookで繋がりまして。その子は小4ぐらいから悪さが出始めていて。
稲田:K君ですね。仮にK君として。
原田:K君っていうんですけど。その後、僕は転校してしまって、縁が途切れてたんですけど、最近Facebookで繋がって。いろんな噂は聞いていたんですね。ヤンキーになったとか、暴走族に入ったとか。今でも見た目ものすごく悪そうな。
でも、すごく昔から人気者で気のいいやつなんですけど。彼が割と人望が厚くて、今でも板橋とか北区とかそこら辺のヤンキーの子たちを束ねて、自分でアパレル会社とか経営しているのでそこで従業員で雇ったりしてて。
旧車会っていう暴走族の後にある、皆でツーリングをするっていうのも彼は仕切っていてやってるんですけど。なので、今回彼にもかなり集めてもらって話を聞いたっていうのを巻末に載せているんです。
稲田:彼自身は原田さんと同じ年なんで、今36?
原田:36です。もうすぐ。
稲田:でも、集まってきた若者は20前後くらいのイキのいい子たちですよね。
原田:K君っていうのは、右足か左足がなくて、昔抗争で失っているんですよ。足立区との抗争で失っているらしく。僕も久しぶりに会うと武勇伝を語るんです。飲むと長いんですけど、そういう話をしていて。
で、「足1本くらいいいだろう」みたいな話をするんですね。武勇伝のように。彼は極端にしても、昔のヤンキーのメンタリティーってそういうところありますよね。
ところが、彼が引き連れてる若い子たちは見た目は悪いんですけど、もうドン引きしてるんですよ。「うわー始まった、なんだこの人!」みたいな。「足なくていいわけねーだろう!」みたいな。
またK君が酔っぱらって、『ビーバップハイスクール』とか、『ろくでなしブルース』とか昔のヤンキー漫画の話をするわけですよ。で、もう彼らからすると、「あんな格好悪いボンタン履いてリーゼントでセンスないなあー」とか。「特効服なんで着てんだよ」とか。全然ジェネレーションギャップが出てしまっていて。
稲田:けっこうはっきり、「おもしろくないっす」みたいなこと言ってましたよね。
原田:そうそうそうなんです。K君から言えば、先輩から呼び出されたらもう何があろうが即座に行くっていうのがヤンキーのルールだと。ところが今の子たちは、「あ、バイトっす」って言って電話を切ってしまうとか。不満とか死ぬ程出てくるんですよね。書けないことが多すぎたので、その一部しか書いてないですけど。いろんな話を聞いてました。
稲田:ジェネレーションギャップが巻末でけっこう出てるんで、ここがけっこうおもしろいですよね。大人の30代以上が知るヤンキーの常識と現代のヤンキーの常識が良い感じでぶつかり合ってて。そこがK君がちょっと呆れちゃったりして。
原田:そうですね。だからヤンキーというよりか、今の若い子たちのほうが、勿論、残存ヤンキーもいるんですけど、どちらかと言うとファッションとしてのヤンキーのほうが強く残っているという感じがします。ちょっと悪い格好っていうも格好は良いと。
ただ、心の底まで本当に悪いことがクールかっていうと多分そうじゃなくて。むしろ、EXILE的な、すごく仲間を大事にして礼儀正しかったり、とかってほうがクールだっていう価値観に変わってきているので。
だから、『クローズZERO』とかも若い人たちにすごいヒットしている漫画だったり映画だったりしますけど、ほとんどハリウッド映画みたいな感じで見てますからね。
稲田:ファンタジーですね。
原田:イケメンが殴り合うのおもしろい、みたいな。
原田:あまり自分投下されてないみたいな。そういう感じでヒットしてます。
稲田:話は尽きないんですが、多分もう時間が過ぎているので。ちょっと最後に改めてですけど、どんな人が読むと、これ役に立ったり、ふーんって言うかなっていうのを原田さん自身に言っていただければ。
原田:まずは企業に属してて、若者向けの物作りをしていたりとかマーケティングをしている人っていうのは、ダイレクトに読むと参考になるんじゃないかな。
若い人っていうのは今は人口ボリューム少ないですけど、未来の消費者の主役ですし。やっぱり彼らに物を買ってもらう、まあ、無理に買わせる必要はないんですけど、良い商品だったらちゃんと伝えたいわけで。
伝わる可能性が他の層よりも高いという意味で、まず物を売る人に読んでいただきたいなと。勿論それだけじゃなくて。実は先程言った通り、中々タッチのし辛い層なんですけど、こういう層のボリュームはかなり多いという気がしてるんですね。
実を言うと、今の若者論って本当に頭でっかちの、インターネットで全て満足できちゃうような一部の子たちの若者論が描かれるんだけど。確かにその子たちは賢いから、ただで全部情報を得られちゃうから、あんまり消費しなかったり座していても楽しめちゃうんですね。
でもそういう子たちってごく一部で、恋愛だって本当はすごくしたかったり、車で走りたかったりとかっていう層もかなりのボリュームでいるので、マーケティングする立場としてじゃなくて、若者の全体を捉えるっていう意味でも、未来の社会を占うっていう意味でも、マスボリュームのこの層っていうのに注目してもらうと、非常に世の中違って見えるんじゃないのかなっていう気がしますけど。
稲田:はい。ありがとうございました。
原田:ありがとうございます。
稲田:これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
(会場拍手)
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