2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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稲田豊史氏(以下稲田氏):あらためてですけど、ここ(本)で書かれている若者って年齢の幅的にはだいたいどれぐらいですかね?
原田曜平氏(以下原田氏):うーん、それもどうでしょうね、10代の後半くらいから20代半ばくらいまでですかね。
稲田:20代半ばくらいとか、もうちょっと下の20歳前ぐらいの子たちを含めてリサーチしてくれたのが、原田さんも含めチームとしての若者研と呼ばれる現役大学生の皆さんですよね。
これはもうリサーチしてくれた中に入ってると思うんですけど、実際にリサーチしてくれた人に聞きたいのは、いわゆるDQN(ドキュン)と言われるようなヤンキーの人にもインタビューとかヒヤリングしてくれたかと思うんですが。
結構、この偏差値の大学生がそれをやるって大変かなっていう気はしてるんです。どうだったかなって聞きたいんですけど。どうしようかな、当てていただいて。
原田:誰か手を挙げて。すいませんね、サクラが混ざってて変な感じになってるんですけど。はい、○○ちゃんとか。
稲田:まず誰にリサーチしてくれたんでしたっけ。
若者研の大学生(以下、学生):はい。私の場合は小中学校の同級生だったので、今でもすごく仲が良い友達でよく会っているので。そういう抵抗感だったり、結構きつい質問をしても親身に答えてくれるっていうか。
稲田:出身は?
学生:神奈川県の川崎市。
稲田:川崎市ですか、川崎のどの辺(笑)?
学生:駅名(笑)?
稲田:駅名でいい。
学生:南部の方の。
稲田:ちょっと荒れた感じのとこですか?
学生:荒れてるか荒れてないかっていうと、分けると荒れてる側。
稲田:じゃ特にリサーチでも抵抗されたりとかも無く、結構友好的に。
学生:そうですね。すんなりスムーズにデータは集まりました。
稲田:基本、女性、女の子の友達ばっかりでしたっけ?
学生:はい、常に女の子10人くらいで行動しているので。その共通の友達に男の子を紹介してもらったりはしたんですが。
稲田:ぶっちゃけ、そのお友達は、はっきり言っちゃうと自分より学歴が高くてキラキラしてる貴方をやっかんだりはしないんですか? なんか「広告代理店の仕事なんかして」みたいな感じにはならないですか?
学生:そうですね。おそらく、「すごいね」っていうふうに口では言ってるんですけど、具体的に説明しても何をやってるかっていうのがわかっていないのと、まずは昔からの付き合いでっていうところがあるかなと。
稲田:なんか苦労したところはありますか、リサーチのときに。
学生:私たちにとって当たり前のことが全てなので、どこまでを聞いてくれば本になるデータになるのかっていうところがわからなくて。当たり前すぎて見逃してる点っていうのがあったのかなというのを聞きながら。
稲田:例えば何ですか、当たり前すぎて?
学生:飲み屋で鏡月をボトルを頼むっていうのは当たり前すぎて他の子が言ったときにすごい食いついていて、あ、こういうことなんだ。
稲田:だから最初、鏡月って言ってもピンとはこなかった。
学生:それが当たり前なので。そんなのいちいち気に留めることではない。
稲田:そうですね、私も鏡月って報告を聞いたときは「へー」って思いましたね。
原田:最近、安い韓国焼酎が増えてますから。大学生とかも結構飲むんですけど、わりとマイルドヤンキー系の子たちもかなり鏡月飲むっていうのは彼女がかなりたくさんの子たちにインタビューしてくれて見えてきたんですけど。
稲田:複数のリサーチ先から鏡月の銘柄名が出てきてましたね、確か。ありがとうございます。他にも当てて。
原田:富山県いきますか。
(マイクが富山県出身の若者研の学生に渡る)
稲田:はい、いいですか。出身はどこですか?
学生:富山県です。
稲田:幼馴染にリサーチって感じですか。
学生:そうですね、僕も小学校と中学校の同級生に聞きました。
稲田:どうでしたか?
学生:やっぱりちょっと距離があるっていうのと。
原田:東京に住んでるからね。
学生:そうです。今東京に住んでるので、結構LINEとかそういうものでヒヤリングが中心になったりしたっていうのが苦労したことです。
稲田:直接地元で逢うんじゃなくてLINE、SNSで聞くっていう。リサーチしてて、まあもちろん地元に住んでたわけですから、だいたい土地の事とかわかってるはずですけどそれでもびっくりしたこととかってありますか、驚いたこととか?
学生:そうですね。やっぱり、この本の中でもちょっと書いたかなと思うんですけども、持ち家って、20代前半とかでも結婚したら家を持ったりするっていうのは、なんとなく自分も住んでいたので当たり前のことなのかなって思ってたんですけども。
実際に同世代の友人が去年の末に結婚して家を買ったって報告とか受けるとびっくりというか、本当にあったんだなって。
原田:昔からやっぱり地方は持ち家信仰が強いんだけど、だんだん若い人がお金無くなってきたりなんだりする時代の風も受けずに、マイルドヤンキーの子たちが持ち家信仰が強いってことに驚いたと。
学生:そうですね、はい。
稲田:確かに、富山に限らず地方では家と車ってすごく優先順位高いですよね。
原田:そうですよね、生活に密着してるというか。それだけ自分の土地を愛してる人たちともいえるのかもしれないですね。
稲田:他に何か驚いたこととか、「へ?」って思ったことありますか。
学生:そうですね、マイルドヤンキーの例でいうと、中学を卒業して、富山って漁師町とかがあるので中卒で漁師になったりとかした子とか周りにいたりもするんですけど。
結構見かけがいかつくて、いわゆる不良であったりヤンキーといわれてるような見た目ではあったんですけれども。趣味とか休日何してるのか聞いたらアニメとかが好きで。
2ちゃんねるとかニコニコ動画とかそういうのを見て時間を潰したり結構インドアな、見かけはすごいいかついのにインドアな生活をしてるっていうのがマイルドヤンキー。
稲田:それは僕もリサーチ結果聞いてびっくりしました。ちょっと前の僕の世代とかでいうとヤンキーとアニメってすごく遠いもので、なんならクラスの中でいうとね、ヤンキーがオタクのアニメ見てるやつをバカにするみたいな図式が20年くらい前だったらあったと思うんですけど。あんまりそういうのも無くなってきてる。
原田:それだけニコニコ動画とかYouTubeとかでアニメが誰でも見やすくなったので、最近なんか、すごい可愛い子もアニメのオタクと全然真逆をいくような子も別にアニメ見てたりしますし、ヤンキーの子も例外じゃないってことだと思うんですよね。そういうインフラは整ったと。
稲田:好きなアニメが深夜帯のアニメだったりして、普通にアニメファン向けのアニメがよく上がってきてましたよね。
(富山県の学生に向かって)ありがとうございました。原田さんは結構昔からこの本のためだけじゃなくて前々からずっと若者は追われてますよね。
原田:はい、もう10何年ずっと若者を研究してます。だから最初に若者を研究した頃の子はもう30歳ぐらいになっちゃってる。
稲田:追跡調査するとおもしろそうですよね。
原田:おもしろいですね。やっぱり高校のとき、こいつこんなこと言ってたからこうなったんだって人の未来予測みたいなのが見れておもしろいです。
稲田:10年ぐらいあるとやっぱり、10年前の常識と今の若者の常識って何か違ってきてますか?
原田:10年前ぐらいは、ちょうどホリエモンさんとかって、わりと若い子がもっと勢いがあったというか、ビックマウスだったというか……。
稲田:ホリエモンさんの全盛期ですね。
原田:とかね。中学、高校でその影響を受けてる子とかね、ホリエモンさんだけじゃなくてその時代の空気でこうITベンチャーのイケイケの風もあったかもしれないし。
それから10年くらい経って今の子たちは本当にもう階層問わず、すごくマイルドになってるなと思います。そして、ソーシャルメディアってこの5年間ですから本当に普及したのは。
すごくソーシャルメディア・オリエンテッドになって、いろんな人に嫌われない、悪くいうと嫌われない。良くいえば友達と楽しむというか、そういう傾向がすごく強くなってるなというふうに思います。これがどこの階層の子でもいえることだと思います。
稲田:今ソーシャルメディアの話がちょうど出たんで、まさにTwitterとかFacebookとかここ5年以内の普及じゃないですか、日本は。使い方にもやっぱり、若者の使い方って1つ特性としてあるとして。その中でもここに出てるようなマイルドヤンキーとか地元族特有のソーシャルメディアの使い方ってものがあるという感じなんですが、そこ辺聞かせてもらえますか。
原田:基本的にはマイルドヤンキーの子たちって地元志向が強いんで、例えば彼だと(富山県出身の学生を指す)、富山県から早稲田大学に出てきて、早稲田大学でたくさんの友達作って、ライフステージごとに友達が変わって、かつ増えていくわけです。
ところが地元に残り続けるので中学時代の友達とずっとコミニュケイトしているわけですね。LINEなんてのは彼らにとって最適なツールで、あれはもう、囲われた自分が選んだグループの人たちだけの会話ですからすごく親和性があるんですね。彼らの特徴はTwitterやってたりFacebookやっててもLINE的な使い方をする。
稲田:LINE的な使い方をする。うん。
原田:むしろLINEの方が後なのに、実はLINE的な使い方をしてるがすごくおもしろくて。だからTwitterでつぶやくにしてもどうせ地元の友達何人かしか見てないだろうって。
自分たちが繋がってるのが限られてますからって。まあ、バカッターで騒がれた時期もありましたけどね。
稲田:全世界が見れる状況なのにその意識が無い。
原田:とかね。
稲田:結構気付けてないんですよね、そういう子たち。
原田:そうかもしれないですね。その傾向はすごくあると思いますね。だから身内の本当に絆の強い5人とか10人とずっと会話をし続けるって傾向があるんじゃないかなと思います。
稲田:実際リサーチした若者たちのタイムラインとか見てみても、本当にもう内輪会話なんで、全然ソーシャルメディアとして外にどんどん拡げていくっていう、多分ソーシャルメディアの設計者のザッカーバーグの思想とか無視してる。
原田:メーリングリストに近いですよね。レディー・ガガと繋がって孫(正義)さんと繋がって、世界拡げてくっていうよりかはメーリングリストにかなり近い使い方をソーシャルメディアでしてるっていうのがマイルドヤンキーの特徴だと思うんです。
稲田:最近は、ちょっと前までだとガラケーがね。都会の若者はスマホ、地方はガラケーってなんとなく言われてた瞬間もあったと思うんですけど、今だいぶそんなことも無くなってきてますよね。
原田:今はスマホしか売ってないですからね。ただし、マイルドヤンキーの子たちの方が、人によるんですけど、マクロでみると情報スキルが低い傾向があるので、スマホになったんだけど大して使いこなせてない傾向があると。
稲田:ほとんどメールとLINEとその他ちょちょくらい。 原田:インタビューしてる最中に、これ赤羽のヤンキーの子だったんですけど、スマホに換えた後に「ちょっとiPhoneが難しいからまたガラケーに換えた」っていう、大笑いしたんですけどね。
稲田:戻っちゃった(笑)。
原田:そういう子いましたけどね。
稲田:これから困りますよね、ますますスマホしかなくなるわけですから。どうするんでしょうね。
原田:でも日本のガラケーってレベル高いんで、オンラインショッピングもできるし、スマホみたいなものなんで彼らはそれで充分なんですよ。大きな画面で見れなくたって。
稲田:でもこれからキャリアとしては、スマホ一辺倒に発売していくじゃないですか。それって結構みんな取り残されるんじゃないかなって気がしますけど。
原田:でも、らくらくホンはおじい様向けじゃなくて、若者でもそういう人たちがいるっていうことかもしれないですね。
稲田:真面目な話ですが、最終章なんかはそういうマイルドヤンキーたちに売れそうな、サービスとか商品ってこういうものがあるんじゃないかなって。
これは若者研の皆さまのアイデアもかなりたくさん詰め込ませていただいたんですけれども。そういうのが実は、マーケティングの落とし穴みたいなものが有りそうですかね。
原田:かつての若者、つまり今のおじ様たちって、どうしても刷り込みが強くて、先ほど言った通り、低い車が良いとか高級外車が良いスポーツカーが良いとかって、若者ってそういうものだとずっと思っちゃったんですよ。
なぜなら団塊世代から団塊ジュニア、バブル世代までずっとその文脈の上にのってたんで、「トレンドの変化はあるけれども、みんなが上昇志向を持っているに違いない」「若者は東京に出て行きたいに違いない」「海外に行きたいに違いない」。そういう文脈でずっと実は見れたんですよね。
ところが最近出てきたこの子たちっていうのは、地元が大好きなんで海外は別に行きたくないと、海外どころか川崎の子は東京行きたくないって言ってるわけですから。20分で来れるのに。
稲田:衝撃の一言がありましたよね。どこだっけな川崎の(駅名)かな、そうだね。(会場から若者研の大学生の声)あ、そうかリサーチしてくれたの彼女でしたね。
川崎の(駅名)って渋谷まで16分くらいでしたっけ、20分かからないわけ。でも出たくないんですよね。なのに「いつか東京に出たい」みたいなことを言うんですよね。
原田:あまちゃんが言うならまだしも、川崎に住んでる子が言う時代になりましたから。本当に日本全国でインタビューしてると、とにかく巨大モールの力がすごく大きいなと思うんですよね。多分、昔の田舎って、ダサい洋服しか売ってなかったと。
ところがこれだけ2000年代にすごく巨大モールが普及して、最低限のブランドも入るしオンラインショッピングもできるんで、満足度が地方の子もすごく上がってるんですよね。
わざわざ出てきたくないと。ちょっとネットで検索すれば情報も入ってくるし、お金もないしとかっていうのがあるんでしょうけど。非常に「巨大モールは夢の国」。この本の中にも書いてあるけど。
稲田:名言ですよね。この本一番の名言じゃないですか。
原田:本当にね。全国でいろんな若い子たちにインタビューしてるとよく出てくる。聞いてもないのに、夢の国。ディズニーランドかアメリカかハワイかと思いきや、巨大モールが夢の国。すごく便利で、5分で行ける。
稲田:手軽な夢の国なんですね。ちょうど日の出の巨大モールの近くに住んでる、ちょっと上の年齢になりますか30歳前くらいの地元族ってのでいいですかね。その方にインタビューしてて、まさにそういうようなことをおっしゃってましたね。
原田:社会学者の阿部真大さんっていう方がこの本の中にも書いてる、私お友達なんですけど。『地方にこもる若者たち』という本を何ヶ月か前に書いてね、それは巨大モールとかそういうもののサービスが増えて若者の満足度がそこそこパラダイスだと彼は言ってるんですけど。
確かにそうなんですけど、もっと温度が高い感じがしますね、インタビューしてると。夢の国って表現を使うくらいですから。もちろん人によってばらつきはありますけど。
稲田:そこそこどころじゃないかもしれない。
原田:そこそこどころじゃない。やっぱり親もいるし地元友達ともずっと今の時代、ソーシャルメディアで繋がり続けるし、非常に満足度がかなり高くなってきてると言えるんじゃないかと思います。
稲田:最近の巨大モールすごいですからね。この前、幕張にも新しいのができて。なんなら都内のある駅でね、まごまごして「どこ行こう、どこ行こう」って言ってるようなら巨大モールに行った方が全てのブランドが入ってるんでその方が実は良い物買えたりしちゃったりするということですよね。
原田:それが2、3個家の近くにあったら、1日歩いてたら結構楽しいですよね。
稲田:はしごする夫婦でしたよね、確かここ(本)に出てくる。
原田:わりと郊外から街にかけて巨大モールをはしごするみたいなのが趣味だって答える人たちが非常に多くて。
私は都心部に住んでるので、近くに巨大モールがないんですけど、そういう話を若い子たちに「はしごして何かそんなに違うの?」って聞くと怒られる。
それだけ温度が強いんですよね。「わかってないなこの坊主は」みたいなことをよく言われますけどね。
(富山出身の若者研究所の男子大学生に向かって)
稲田:今、大学生ですよね。巨大モールって行きますか?
学生:地元に帰ったら行きます。
稲田:地元、富山はどんな距離感ですか? 自宅からだと。
学生:車で行くんですけど、車で5、6分くらい。
稲田:近いところに。上京する前、実家ではよく行ってたってことですか?
学生:そうですね。ご飯を食べに行く、服を買いに行く、映画を観に行く、もう全部巨大モール。そこしかなかったってことかもしれないです。
稲田:東京に来てどうですか?
学生:最初のほうに思ったのが、全部別々の位置にあってすごい面倒臭い。
原田:あー、面倒臭いんだあ。
学生:やっぱ、1個にまとまってたほうがいいんじゃないかな。
原田:そっちの世界観(巨大モールのような1つの施設で事足りるというもの)からスタートしてるもんね、君はね。
学生:そうなんですよ。
稲田:でも、日本の大半の人はこっちの世界観からのスタートですよね。でも今、東京で大学生をやられててもその感覚はあるわけですよね? 普通に。
学生:そうですね。
稲田:ちょっと面倒臭いなってのはまだあるんですか?
学生:けっこうミーハーなんで、最近はちょっといろんなところ行ってみようかなって変わってきましたけど。
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