2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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青山裕企氏(以下、青山):『スクールガール・コンプレックス2』。売れたらすぐに次回作を出そうということで、放課後をテーマに撮影しました。
青山:『BODY PARTS』。パーツ写真集ですね。こういうのがバンバン出てくると、「フェチな人」ってなるのは、もう当然のことです。
古賀学氏(以下、古賀):青山さんに撮らせるならフェチなテーマでっていう感じがあるんですかね?
青山:どうですかね。やっぱり写真集って、なかなか売れないじゃないですか。
古賀:はい。
青山:なので、『スクールガール・コンプレックス』が部数が出たので、要するに他の人たちが便乗したのと同じように……。便乗っていうと言葉が悪いですけれども、切り口を変えて見せると。
その時に、闇雲に全部やったわけじゃなくて、やっぱり自分の作品はとっても大事なんですよね。作品のイメージを保つというか。だから、例えば類似本で出たんですけど、『スクールガール・コンプレックス』をOLでやるっていうのは、僕もオファーが来たんですけど、そういうのはやらないようにしたんです。
古賀:受けなかったんですね?
青山:僕はOLさんに対してコンプレックスを持ってないから(笑)。
古賀:「撮りません」って言ったんですね。
青山:はい。モチーフとしては。でも企画としては、たとえば『絶対領域』だと、さっき僕が言った記号的な存在っていうか、衣装・コスチューム。まさにニーソもそうですけど、職業とかじゃないので、撮っても作品と交わらないわけで。そういう基準は一応持ちながらやってるんです。
青山:『つきあいたい』。美女暦とのコラボで、中はきちんと顔が出ています。
青山:『君に、ひとめぼれ。』ジュニアアイドルの写真集です。『スクールガール・コンプレックス』のあとに、吉高さんの本が出たあたりから、芸能人を撮る仕事が増えましたね。
古賀:下にクレジットがちゃんと出てますよね。
青山:そうですね。
青山:『スク水』。いわゆるスクール水着ですね。
古賀:これも一迅社だから、さっきの『絶対領域」の延長線上ですね。
青山:そうですね。
青山:『ふたり』。これはいわゆる「百合」がテーマになっています。顔はほとんど入れていないのですが、パーツや仕草や二人の距離感によって、いかに感情を伝えるかが、撮影でのテーマになりました。
青山:『透明人間⇆再出発』。中の写真を見ると、フェティッシュな感じはなくはないんですけど、日常的な写真詩集になってまして。自分で言うのもあれなんですけど、要するに「気付いたら青山とかいう人、普通の写真も撮ってるじゃん」って思われるようになっていくというか。
古賀:これ、比較的普通の写真で構成してますよね。
青山:そうですね。スナップ写真です。母校のつくば市で撮りました。
青山:『BODY TALK』では、はじめて男をモデルにしてます。
古賀:男モデルで。
青山:やっぱり、どういう新しい切り口があるかっていう。でもここでよく言われるのは、なんで普段は女の子を撮ってるのに、男も撮るんだってことなんですけど、僕の中でちょっとずつ、撮れる領域を広げていきたいっていうのはあったんです。
古賀:はい。OLはいかないけど。
青山:そうですね。前提として、僕はもともと、例えば女子高校生とサラリーマンしか興味がないわけじゃなくて。人間そのものに興味があって。
大学で心理学を学んでたんですけど、やっぱり人に対する興味は全般的に、非常にあるんです。人間観察とか心理分析とか。それはもちろん、若い女の子はついつい見ちゃうし、気になるところは重点的に見たりするんだけど、じゃあ他のタイプの人間が気にならないかっていうと、そんなことはなくて。誰に対しても、興味が向くんです。
だから、徐々にでも撮れる対象の幅を広げていかないと。これはセルフ・ブランディングなんです。実は、ここの2012年っていうのは、『スクールガール・コンプレックス2』が前年に出て、3が出るのに2年間空いてるんですけど、この年は女子高校生を被写体にした本を出さないって決めてたんです。結構それは意識してました。
古賀:撮ってはいたんですか?
青山:撮ってはいました。作品はずっと撮り続けてるんですけど、意識的に本を出すタイミングをずらしたりとか、逆に女子高校生だけを撮る本っていうのは出さないって決めて、あまりにも偏ったイメージを持たれ過ぎないようにしようと。
あとやっぱり、作品を消費させないっていうことで。僕はお笑いが好きで、やっぱりブームってあるじゃないですか。今だとラッスンゴレライとか。やっぱ消費されて、「あの人は今」とかなるじゃないですか。
写真業界も、一発屋みたいな雰囲気って、写真集に限らずありまして。写真のコンペとかもあったりして。でもそういうふうに消費されるかどうかっていうのは、作り手側が選択できないんですよね。
だけど、頑張って戦略を自分なりに立てて、コントロールして、なるべく消費されないようにする努力はできると思ったので。だから女子高校生、女子高校生、また女子高校生ってならないように、一応、出版上は気をつけてました。あとアップする写真とかも、ちょっと眠らせておくみたいな。
むしろ作品は撮っておくんです。溜めてるっていう。
古賀:2012年までの時期は、パブリックイメージでは、もう女子高校生の人っていう。
青山:もうなってますよね。だから仕事も女子高校生とか制服の女の子を撮るのは、すごい増えてましたよね。でも、このまま突き進んでも数年かなと思っていたので。
古賀:消費されちゃう。
青山:はい。
古賀:で、教科書を書く。
青山:そうですね。『ガールズフォトの撮り方』を出しました。もともと文章を書くのがすごい好きだったので。言うなれば、本を出しやすい立場になったんですよね。
古賀:既に14冊目ですもんね(笑)。
青山:なので、やっぱり出しやすい。とは言っても年々出し辛くもなると思っていたので、やっぱり出しやすい時に、自分の好きな、やりたいことをやるっていうことで、2012年は、文章を書いた本をとにかく出そうと思って、3冊書きました。
青山:『女装少年』。女、男ときて、いよいよ女装ですね。パーツになると、見る側の性意識が揺らぐのが、とても興味深かったです。
古賀:これも文章ですね。
青山:『僕は写真の楽しさを全力で伝えたい!』。これは自分史みたいな、結構熱い青春本みたいな感じで。その次のフェチに挟まれてる感じなんですけどね。
青山:『パイスラッシュ』。フェティッシュなものって、肌の露出はもう関係ないんですよねっていう本です。
青山:『<彼女>の撮り方』は、僕の歪んだ女性観を全部書いた本なんですけど(笑)。
古賀:コンプレックスですね。
青山:何故さっき突然言い始めたのかっていうのが、全部この本に書いてあるんです。そういうのを出したんです。
古賀:それと、フェチものが(刊行順が)サンドイッチになってるんですね。
青山:そうなんです。フェチなものに対しても、だいぶ客観視できるようになってきたんですよね。だから、『絶対領域』とか『スク水』とか出した時は、やっぱり企画、企画で来て、でもその中でも納得してGoしたものを撮って出してたんですけど、それでもやっぱり、すごい葛藤はあったんです。「やっぱりそういうのは出さない方がいいんじゃないかな?」とか。
古賀:『パイスラッシュ』とかは当時まだ新しいから、あれですけど、『絶対領域』とか『スク水』って、ドメスティックなファンがめちゃくちゃいるわけじゃないですか。
青山:そうなんです。
古賀:その人たちのこととか、やっぱり気になります? 怖いとか。
青山:ものすごい気にしてましたし、うかつにやると「ポッと出の野郎が」ってなりますから。
古賀:別にそこと戦争する気ないですもんね。
青山:だから本当に、研究はめちゃくちゃしました。本もすごい勢いで出してるように見えると思うんですけど、1冊1冊ものすごく集中してやってるので、『絶対領域』を撮ってる時は絶対領域のことしか考えてないし、『スク水』の時はスク水のことしか考えてないから。
でも、真性のスク水好きの人よりは理解は浅いとは思うんですけど。キャリアが浅いから、やっぱり。
古賀:キャリア(笑)。
青山:そこはどうしてもね。だからやっぱり短く深くですけど、でも異常に研究して。
古賀:短距離走みたいなスピードですよね。
青山:そうですね(笑)。僕もネットの反響とか、ちゃんと見ますので。感想とか。そこで一応、評価を得られていれば、よかったなというか。
古賀:怒る人って、やっぱりいました?
青山:でも、そんなにはいないですね。だからよかったなと思います。
古賀:僕あとで言いますけど、めちゃくちゃ怒られてるんで。基本的に。
青山:そうなんですか?
古賀:これもフェチものですね。
青山:『はさみっこ』。これは僕の中で一番問題作というか。この前に出した『パイスラッシュ』の時に、「現代フェティシズム分析」っていう、副題をつけたんです。
古賀:青山さんが付けたんですよね?
青山:はい。僕の意志で付けさせてもらったんです。だから、あとがきをちょっと長めにして、論文調のフェティシズムを分析した文章を書いて、僕の中のフェチの集大成ってことで出したんです。
要するに、だんだん「もう露出じゃないよね」ってなってくるなかでね。フェティシズムって、ニーソもそうですけど、「水中ニーソ」よりも「水中裸足」の方が露出してるけど、ニーソの方がグッとくるっていう。
要するに、露出を控えれば控えるほどグッと来て、露出ゼロ。要するに胸元。この表紙も、別に胸元に対して露出はないけどグッと来るとしたら、ここが究極点、到達点だよねってことで、フェティシズムを分析して、「卒論」じゃないけど、まとめたって言って区切りをつけた矢先に『はさみっこ』が。
古賀:終わったと思ったら、終わってなかったっていう(笑)。
青山:だからこれは1回やらかそうと思ったんですよ。最初は断ったんです。
古賀:これは、青山さん企画じゃないんですね。
青山:そう。ちょっと一迅社の方も、だんだん羽目を外し始めて(笑)。たぶん、もっと露骨な企画は別な人に回してると思うんです。でもこれが来たから、「はっちゃけたな?」と思ったんですけど。
古賀:これ(『はさみっこ』)を実演している青山さんをテレビの「紅リサーチ」で拝見しました。僕も3週間後に同じ番組で取り上げられてて。番組の局の人からは「フェチ特集」で1本にまとめるって言われたんですけどね。
青山:たしか、そうでしたよね。同じ時に出るのかなと思ったんですけど、違いましたよね。
古賀:同じ回じゃなくて、何かうちをずらす言い訳で、「撮れ高が高すぎて、1回にするともったいないって話に会議でなって、サブ企画をそれぞれ足して、2回に分ける」みたいな話でした。
青山:そうなんですね。だから、「この本を掘り下げてきたか!」と思って。
古賀:これをやりたいって番組が言ってきたんですか?
青山:そうなんですよね。「こういう他のも、今撮ってますよ」とか、いろいろ言ったんですけど。
でも、はっちゃけるなら本当にはっちゃけようと思って。この本って、よく見るとシュールすぎるんですよね。入れてるもの、挟んでるものが。露骨なものは絶対やめようと思って。
古賀:簡単に言うと、エロくはないんですよね。
青山:そうです。どんだけエロくできなくするか、みたいな。だから、挟んでいる部分のプロデュースを完全にやりました。他を寄せ付けず。何かエロそうなもの、例えばソーセージとか言われたら、即「いや、そういうことじゃないんで!」みたいな。「私の『はさみっこ』はそういうことじゃないんで」みたいな(笑)。だから、全然よくわかんない消しゴムとかね。
古賀:消しゴム(笑)。テレビでスチレンパネルか何か挟んでましたよね。
青山:でかいスチレンボードのパネルをね。
古賀:向こう半分見えないっていう(笑)。
古賀:で、『ソラリーマン』なんですね(笑)。
青山:そうなんですよ。『ソラリーマン』もやってるよっていうことで。でもおもしろいのは、やっぱり、『ソラリーマン』だけ知ってる人も多いんですよ。
古賀:え!? そうなんですか?
青山:本当そうなんですよ。案外そうって言ったらあれですけど。『ソラリーマン』も根強く展示もずっとやってますし、もちろん出版ってインパクトありますけど、でも出版だけが活動じゃないので。
僕は『ソラリーマン』と『スクールガール・コンプレックス』を、やっぱりいつか、当たり前のように「同じ人が撮ってるよね」っていう感じにしたいんですよね。
古賀:今日のイベントに「青山さんだ」って言って来た人は、みんな当然知ってることだと思うんですけど。
青山:今日来てくれた人の中にも、2つがつながってない人が絶対にいると思う。でも、それもおもしろいんじゃないかなと思うんですよね。
古賀:『スクールガール・コンプレックス3』。2013年になったから出したんですね。
青山:そうです。さっき『ふたり』っていう百合があって、『ソラリーマン』でも後々出てくるんですけど、やっぱり元々は僕と誰かっていう1対1の関係を描いた作品なんですね。『スクールガール・コンプレックス』の場合は、それが思春期の女の子で。
『ソラリーマン』は、ちょっと長くなるので割愛しますけど、サラリーマンだった亡き父親を撮ってるんです。というわけで、はじめは自分対モデルだったんですけど、だんだんモデル対モデル、人間関係を撮るのがすごく興味が湧いてきたので、『スクールガール・コンプレックス』も変化してくるんです。
古賀:一人称から三人称に変化したんですね。
青山:そうです。そういう感じで変化してきたんですね。
青山:『JK POSE MANIACS』。これはポーズ集ですね。刊行時期をずらして、ずらしてやったんです。
古賀:玄光社から来た段階では違うものだったんですか?
青山:前年にも出せたんですけど、2012年は出さないって決めてたんで。だから立て続くんです。
古賀:堰を切ったように(笑)。
青山:ここからはもう。『君に、片思い。』。制服が続くわけです。
青山:『連れていって』。これはヌードの写真集だったりして、もう何でも行きますよっていう感じになってます。っていうのは、このあたりで『スクールガール・コンプレックス』が映画になったんですよね。2年前に公開になりまして。映画の『スクールガール・コンプレックス』って、女の子の顔が出てるんです。
古賀:役者さんがやってますもんね。
青山:そうなんですよ。だから僕の作品の前提を覆してるんですけど、でもまさに思春期の頃に見てた女の子たちが演じてる、みたいな感じで。僕は原作の立場なので、脚本も何もタッチしてないんですけど、最初からオーディションとかも全部見て、僕が一番「この子がいい」って子になったんですよ。主役の子が。それはもちろん、僕の一存だけでは決まらなかったんですけど。
古賀:合致したんですか?
青山:そう。この主演2人の女の子が、「この子とこの子がいい」って思ってたら、なったから。要するに僕がずっとコンプレックスを抱えてた思春期の頃の女の子が、飛び出して、映画になって。
古賀:写真集原作で映画ってすごいですよね。
青山:なかなかないとは思うんですけど。それをスクリーンで見た時に、なんだろう、もう、すごい、たぶん僕にしかわからない感覚になって(笑)。でも僕の中では、ここで顔が出ても違和感なくなったんですよね。
古賀:この文庫本は、ギリギリ顔はなしなんですね。
青山:そうですね。これは。映画『スクールガール・コンプレックス』のパンフレットなんですよね。3の次に顔が出て、だけど4まではいかないから、π(3.14)なんです。割り切れない感情、みたいな。
青山:『フラッシュバック』。3冊目の写真詩集です。
古賀:写真詩集は、たまに出されてますね。
青山:そうですね。自分の写真が独りよがりにならないので、学ぶことも多いです。
青山:『undercover』。これは『スクールガール・コンプレックス』の作品集なんですよね。
古賀:本当は帯に写真が載ってるんですよね。
青山:そうですね。『スクールガール・コンプレックス』の作品って、もともと「undercover」っていうタイトルだったんです。
古賀:そうなんですか?
青山:一番最初は、そうなんです。
古賀:本になる時に『スクールガール・コンプレックス』って名前に?
青山:そうですね。本にしようと思って、作品タイトルとかを洗練させていって、変わったんですけど。
青山:『金曜日の午後と私。』。これは自分が映画監督した時の主演の子の写真集ですね。もう脱いでます。
古賀:これと対になってるんですね。
青山:そうです。タイトルも『土曜日の午後と私。』。
古賀:ここでまた男の子が。
青山:『スクールボーイ・コンプレックス』。完全に自分のタイトルをパロるっていうね(笑)。
古賀:セルフパロディですね。
青山:これも、最初は美少年をテーマにした写真集を作ってたんですよ。だからタイトルもこれじゃなかったし、グラフィック社の方も、「こうしてください」って一切言ってなかったんですけど、全部撮り終わって、編集して、タイトル決めようって考えた時に、僕がこれにしたんですね。
これは若い男の子ばっか出てくるんですけど、やっぱりさっき言ったように僕は今メガネコンプレックスと戦ってるんですけど。周りは誰もそんなこと意識してないと思うんですけど。やっぱり男の子に対してもコンプレックスを感じてたなと思って。
古賀:綺麗な男の子に?
青山:いや、単純にモテる男子っていうか。この表紙みたいな。昼休みは上半身裸でバスケして、「女とかどうでもいいから」とか言ってカッコよくシュートして、結局後ろで「キャー! かっこいい」って言って女の子が見てるのを、僕が見てる(笑)。
古賀:なるほど。
青山:だから、すごい嫉妬しながら見てる。これは10人ぐらいの男の子、全部面接して、全部僕の歪んだところをぶつけた荒んだ面接で。「モテてるの?」「あ、はい、モテてますね」「そうなんだ。いいね〜」とか言いながら、内心「クソ!」とか思って(笑)。でも、その感じを湧き立てて撮ってたんです。
古賀:「くっそー」みたいな気持ちで。
青山:そう! でも「やっぱそれはモテるわー!」「俺がただ駄目なだけだー!」と思いながら撮ってたんで(笑)。そんな気持ちで撮ってたら、自分なりに、すごい良い写真になったと思ったんで、このタイトルをバシッと付けたんですけど。
古賀:確かにコンプレックスですね。
青山:そうなんです。
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