2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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司会:さぁ、それではさっそくお呼びいたしましょうか。高台寺執事長・後藤典生さんと、平等院住職・神居文彰さんです。そして他のお二人も紹介してまいります。大行寺副住職の英月さんと、コラムニストの犬山紙子さんです。どうぞ!
小籔千豊氏(以下、小籔):こういう白のテーブルに、こう名前(のプレート)があって、ご住職お二人と、英月さんもそうですし、またコラムニストというちょっと賢めの方が来たら、ちょっと堅いトークコーナーになりがちですけども。
シンポジウム的なのもちょっともう飽きてきましたので、ざっくばらんにいろいろとお話お聞かせいただいたらなと思っています。よろしくお願いします。
司会:まずは英月さんと犬山さんのお二人を簡単にご紹介させていただきます。英月さんは大行寺がご実家ということですが、大行寺は江戸時代から続くお寺だそうです。
銀行員として6年勤めた後、日本を飛び出し、アメリカで生活されていらっしゃいましたが、跡を継ぐために帰国されたということです。
小籔:本当に紆余曲折ありまくりですね。波瀾万丈な人生。
英月氏(以下、英月):ほんまにそうですね、まさかこんな格好してここに座らせてもらうことになるとは思いませんでしたけど。
小籔:銀行に勤めてはる時やアメリカにいらっしゃる時はなかなか、ねぇ。想像はつかなかったと思いますけどもね。英月さん、よろしくお願いいたします。
英月:よろしくお願いします。
(会場拍手)
司会:そして犬山紙子さん。元ファッションカルチャー誌の編集長をされていたそうですが、その後、ニート生活を送られ、その間に書かれたエッセイを集めた本『負け美女』が話題となり、現在テレビや雑誌で活躍されています。
犬山紙子氏(以下、犬山):はい、よろしくお願いします。
小籔:よろしくお願いします。
犬山:編集長なんて、そんなに偉い肩書きではなくて「編集者」でございます。
小籔:あっ「編集長」ではなく「編集者」だった。
犬山:はい(笑)。
小籔:という方でございます。仏教とかお寺、そういうのはどうですか?
犬山:正直、本当に一般的な知識の、そのさらに1個下ぐらいかもしれないです。「ちょっと興味が湧いてきた」ぐらいの感じです。
小籔:いえいえ。僕もそんな感じですから、一緒に勉強していきましょう。よろしくお願いします。
犬山:よろしくお願いします。
(会場拍手)
小籔:さぁ、それではいろいろみなさんにお話をお聞かせいただきたいと思うんですね。「そもそもお寺って日本人にとってどういう存在だったのか?」ということですけども。
ちょっと難しいですから、最初にライトに聞きたいことがあるんですけども、参拝というか拝観するにあたりまして、我々が知らず知らずに犯してしまっている失礼とかミスとか無作法、僕らが行く時に気をつけたほうがいいことというのがあったらちょっとお聞かせ願えたらなと思うんですけども。後藤さん、いかがでしょう?
後藤典生氏(以下、後藤):お寺はやっぱり修業の場なんですよ。我々が拝観に踏み切ったのは23年前で、見ていただくかどうか迷ったんです。伽藍(がらん)も建てなければならないので割り切ったわけです。だけどね、根本的には「修行の場」であるということだけはちょっと忘れないでいただきたい。
小籔:なるほど。じゃあお坊さんたちが修行されているところにお邪魔しているんだという……。
後藤:お坊さんだけじゃなくて、在家の人もみんなここで「安心(あんじん)」。心に安らぎを求める場所であるということです。
小籔:じゃあ僕らも「この世は修行だ」と。それのホンマのところに行くから、明日からもうみんなに優しくして一生懸命頑張らなアカンな、明日からも修行やなと肛門にグッと力入れるみたいな感じでおればいいということですか?
(会場笑)
後藤:そういうこともあるんですけどねぇ……。頭にくること、それから何でしょう、年を取ること、病に倒れること、それから死ぬこと。人間、解決できない問題があるんですね。これから脱却する場所であるということ。
例えば極楽へ行きたいとか、地獄へ行きたくないというのは「欲」なんですよ。その欲を切れば脱却できるでしょう? みんな欲を切るために修行してるわけですよ、どんどんどんどん。
みなさん方にこういうこと言っても無理かもしれないけども、みなさん方がもし脱却したいと思われるんだったらね、やっぱり欲をできるだけ減らしていく、なくしていく。そういう場であるということ。
小籔:さぁ、神居さんいかがでしょう? 平等院に行く時に「これはせんといて」とか「こういうふうなことをするとちょっと無作法になるよ」みたいなの、ありますか?
神居文彰氏(以下、神居):いろんな考え方があると思うんですけど、例えば浄土教なんかですと、行(ぎょう)ができない、行することができない身だということに立脚するので、むしろこの場所でそういった世界を感じるということ。
ですから、ここで素晴らしい世界であるとか、そういったことを目の当たりにしたりとか、そんなことが大切であると思います。
ですからよく言われる、先ほど後藤さんも言っていたように、観光ということ。観光というのはサイトシーイングではなくて、いわゆるツーリズムに近いような、自分を探したりする。
ただ自分というのは探しきれないということを考えると、言ってみればそこの場所に行って感じること、それがすごく大事だと思います。
ですからそこの場所に行って美しさを感じたり、またそこの場所でその世界観を感じることができるということが一番だと思います。
ですからまず来ること、というのがすごく重要になるんじゃないかなという思いはありますよ。
小籔:なるほど。本当に一般的なマナー、まぁ唾吐くとか、ガムをペッとするとか、そういうことさえせずに上品に過ごしながら、別に大して「これやったらアカン」とか特別な無作法みたいな禁忌はないけども、歴史を感じたり自然を感じたり、また美しさを感じたりして「ありがたいな、自分頑張ろか」みたいに自分を見つめなおし、心を落ち着けるみたいなところという目的を持って行けばよい、という感じでしょうか。
神居:逆に探すために来る人もいるはずですし、それぞれだと思います。油のこと(寺社連続油被害事件)があります。あれは私、最初の事件の時から必ず模倣犯が出るかなと思っていました。
特にイデオロギーとかそういったことがあるわけではないので、おもしろがってどんどん模倣されていくと。東京でもありました。全国に広がっていく。
ということは、日本中にそういった大切にすべきものがあるはずなんですよ。ですから、それがお寺だけじゃなくて、大切なものを探す、そんなことであってほしいと思います。
小籔:なるほど。お寺だけが別に残しておくべき大事なものでもないということですもんね。犬山さん、いかがでしょう?
犬山:私もお寺に行くにあたって妙にかしこまっちゃったりとか、何か失礼のないようにしなきゃって結構気を引き締めて行ってたんですけれども「感じればいい」っていうのは少し楽な気持ちで行けるかなと思ったんですけど、ちょっとさらに聞いてみてもいいですか?
小籔:はいはい。
犬山:私はお寺に行くとやっぱり「建物がきれいだな」とか「お庭素敵だな」とか「仏像が色っぽいな」なんて思ったりして見るわけですけど、逆にみんなが見過ごすようなところとか。そこ以外で「こういうところを見ると楽しい」みたいなところを、何か住職さんたちに伺えればと。
小籔:それぞれのお寺ではまた違うと思いますが、英月さんはいかがでしょう?
英月:みなさんいろいろな思いを抱えてお寺というところに行かれると思うんですね。これは先ほど小籔さんがされた質問とも重なるかと思うんですけども、お寺に行く時の心構えっていうのは、私は……。
お寺というと私たち、今犬山さんもおっしゃいましたけど、特別な場所ってみなさん思われるかもしれないですけど、実はそこは修行したはる人がいはる場所だし、住んだはる人がいはる場所なんです。
その場所にお邪魔させていただく。もしみなさんが道を歩いたはって「なんやこの家、すごいええ家やなぁ。ちょっと中見せてほしいなぁ」と思ってピンポンとかしはらないと思うんです。
犬山:しないですね(笑)。
英月:お寺もそうやと思うんです。やはり「あぁ、ここ見せてほしいなぁ、お参りさせてほしいなぁ」と思った時に、やはり礼を持って行くと思うんですよね。
そしたら次は今犬山さんが言わはった質問に重なると思うんですけど、やはり礼を持ってお寺に入ると、出会うものがまた変わってくると思うんです。
もちろん伽藍も見てほしいですし、先ほど色っぽい仏像とおっしゃいましたけど、私の寺でしたら重要文化財の快慶の美しい、男前の像があるんですけど。
そういったものを超えて、今自分がこのお寺にお参りさせてもらっているそのご縁、その空間、時間を、私は楽しんでいただきたいなと思います。
犬山:なるほど。縁ですね。
小籔:だからまぁ、七不思議的なね。知恩院やったら何とか甚五郎……でしたっけ? 傘忘れてるとかね。あとプラっと歩いてたらキュッキュッキュッて鳴る「うぐいす張り」ですか、そういうものがある。
そういうおもしろスポットみたいなのはお寺お寺できっとあると思います。平等院もこないだ行かせてもらったら、日本で初めて切腹した場所があるとか。
犬山:え~っ。
小籔:そういうの聞いてたら「へぇ~」と思いますけどね。それはお寺お寺で違うかもわかりませんのでぜひホームページを。「詳しくはWebで」ということで。
(会場笑)
小籔:ですよね? お寺によって違いますからね。どうでしょう、後藤さん?
後藤:3月のはじめになるとたくさん電話があるんです。高台寺は桜が有名ですからね「枝垂れ桜、どうですか?」って。3月の初めなんか全然咲いてないんです。
「咲いてないよ」って電話を切ったら職員の方に怒られましてね。「それじゃお客さんが来てくれない」と言う。
小籔:はい。
後藤:だから「ちょっと先ぐらいは咲いてるから」って言うようにしてるんですけどね。あんなのに騙されたらあきませんよ、全然咲いてないんです。
(会場笑)
後藤:どんな桜がいいのかなぁというと、やっぱりみんな満開の桜が見たい。だけどね、満開だけが桜じゃないんですよ。この中でもお見かけしますと、だいぶ年齢がいっていて定年退職が終わって、あとはおまけだと思ってからが仏教徒じゃないですよ。
そんなものは運よく80、90、100歳まで生きてもね、その一瞬一瞬は差しきったような命、精一杯そこを生きるということですね。だから高台寺の桜は満開の桜だけではないんですよ。
つぼみも桜なら、ちょっと開いたのも桜。私が好きなんはね、花も葉っぱも全部散ってしまった冬枯れの桜。枝だけになったのが大好きなんですね。あれも生きとるんですね。そう、そこも一生懸命生きる。
我が身に振り返って見ておるわけですよ。自分のことですよ。だからぜひ冬枯れの桜、見に来てください。
小籔:先ほど神居さんもおっしゃってましたけど、もみじが赤いのも、いわば、もみじというものの中では晩年のことですし、それを美しいと感じるのはこっちサイドのことですからね。
後藤:今は新緑がきれいですよ。青いもみじも今はもうだいぶ京都も有名になって、平等院さんもすごく青い新緑。私も緑が大好きなんです。ぜひ緑のもみじを見に来てください。
小籔:「こんなところで順番抜かしするか?」と。仏さんが見てるテリトリーの中で順番抜かしするって気狂っとんなと思って。大きい声出して怒ったろかなと思うんですけど。
まぁそれもね、たぶん仏さんが見てる思うから、じっとこう我慢して、娘に「順番抜かししたらアカンな」って小っさい声で言うっていうことにしてます。あと、写真撮影したらアカンっていうところで写真撮るアホみたいなのがいてますもんね。
犬山:いますねぇ。最近携帯でも音が出ないシャッターありますもんね。バシバシ撮ってる人いますね。
小籔:どうでしょう、平等院自体は撮ってもいいんですかね? 建物自体は。
神居:景色ですよね。風景になりますからね。大切なことじゃないので。
小籔:それは別に撮ってもいい、と。仏さんとかに向けるんとかはちょっと控えたほうがいいんですかね?
神居:大切なことですよね、向けないということも。
小籔:そうですよね、仏さんにはやっぱり悪いという気持ちを持ってもらう。平等院の全体像とかやったら全然撮ってもいいということ。
犬山:そっか、たしかにそうですね。聖なるものだから、その人にカメラ向けて撮るかっていう話ですよね。
小籔:なかなかね。まぁ中にはOKしてる仏像とかもきっとあると思うんですけどもね。どっちかわからん場合はやめときましょうということですよね。アカンって書いてあるところは100%やめましょうみたいなところでしょうか。
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