2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
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――そういうglobeの時代があって、いよいよですね。KEIKOさんが倒れる時が来ますよね。その時はどうされました? 覚えていますか?
マーク:僕はいなかったんですけど、KEIKOの友達がうちの嫁だったりとかして。なぜかというと、嫁がやっぱり大好きなんですよ、globeを。たぶん、すごいファンだと思うんです。あれだけ突っ張っていて、あれだけ悪そうにしていて、あれだけパーティーガールなんだけど、実はすごいglobeが大好きで。
小室さんのあらゆることを忘れたことないぐらい、僕に思い出させてくれるという。
――すごいですね(笑)。
マーク:だから、何かが起こると最初に教えてくれるのが妻で。だから、KEIKOの時も妻に聞いて……。ピンとくる前にもう治ってたんですよ、KEIKOは。
――そうなんですか。その時、マークさんはどこにいらっしゃいました?
マーク:俺はたぶん、ニースにいたのかな? 要は、倒れて小室さんが見つけて、目の前が病院ですぐに連れて行けて、すぐに手術ができて。だから治るまでが一瞬で、半日たたないうちに血管をピンセットで止めることができて、終わっていたんですよ。
だから後遺症っていうものが殆どないし、会ってみたら普通にしゃべっているし、普通に歩いているし、動いているし。
――パッと見、普通な感じなんですね?
マーク:電話も普通なんですよ。記憶も僕のことも覚えているし、あらゆることを覚えている。ただ、何回も「マークいつ帰るの?」といった現在記憶っていうものが失われちゃっているだけのことなんですよ。それは、大変なことなのかもしれないけど、僕にとってはそれも運命であって。
そこに対して僕が1番言われて嫌いなことが、「大丈夫」ということなんです。globeの時も「マーク大丈夫?」風邪引いても「マーク大丈夫?」って言われる度になんだよ聞くなよ。ダメって言ってもどうしようもできないんだから。なんで言っているのみたいな。
常にその質問が大嫌いだったように、そこで風邪を引いてしまったら僕の自己管理がダメで僕の責任であって、全て。
だからKEIKOの時もそういう運命で、そういうふうになってしまって。でもすぐに治ってすごく良くて、そこに現在記憶はないけれど、もうこれだけ昔と変わらないかわいいKEIKOなわけだから、僕にとっては何も変わってないんですよね。
マーク:唯一残念かもしれないのは、新曲が歌えないこと。現在記憶がないから新曲が歌えない。でも、それも俺は絶対治るとは思うし。自然のままいくべきなんじゃないのかなというふうに思っていて、そうTKにも話して、そう妻にも話して、そうKEIKOと会うときにも話しているんですよ。
だから俺はそれほど心配していないし、何も変わってないKEIKOとして、だから一緒にいて「酒飲む?」みたいな。「医者はダメだって言っているの?」とか。「ダメだっていうから飲むんだよ、そんなものは」って。じゃあ、飲みたくなったら飲むねみたいな。
――そこは、何だかやんちゃなマークさんが出ている。
マーク:もう全然好きなほうにやったほうがいいよ、と言って。
――うーん。その話も……。
マーク:KEIKOのお父さんが亡くなった時も、俺めったに泣かないんだけど。あの時には涙が出たね。
――それはどうしてですか?
マーク:globeの家族の一員みたいなもんだったからね、あの人も。globeっておもしろいもんで、3人だけじゃなくて、100人単位の家族になっているような絆なんですよね。それが家族でも友達でもなく、恋人でもなくて第4のおもしろい絆で、その中で1人いなくなれば悲しいものなんで。
でもそれもお通夜の時に泣いただけで、後はもうしょうがないことで、すぐ忘れちゃっていましたけどね。
――最近のマークさんはDJをされていますよね? ずっとラップ、モデルをやって、MTVのVJをやって、今でいうVJっていうとなんか映像こうやって動かす人みたいな。さっき言ったVJていうのは、しゃべるほうのですが。それで、その次ラッパーをやった時にDJというのは、いつ頃始められたんですか?
マーク:DJはね、ちょうど5年くらい前に始めたんですよ。
――本当に、最近なんですね。
マーク:KEIKOが倒れたのは5、6年前ぐらいじゃないですか。KEIKOが倒れて、不思議なことにどんなにその曲がすごくても、それが世の中で流れなくなると人間全て忘れてしまうですよ。だから、250万枚売った『DEPARTURE』でも、何もしなかったら2年後には誰も覚えてないと思うんですよ。だったら、何かできることはないのかな? っていうことを考えていって。
でもその時15年間globeをやっていて、globeていうのは3人で1個なんですよ。globeは1人が欠けちゃったりとかするとできないんですよ。1人で何ができるのかな? って。1人、1人……。「あ! DJじゃん!」って。
DJというのは、8歳から遊んでいて、僕の目の前でやっているDJ達をみんな見ていると、みんな俺が好きだった曲を延々と流していて、俺がこの曲流れて欲しいなって思った時に、その曲が流れてみんなが盛り上がって、要はラジオよりもテレビよりも超メディアじゃんと思って。
それも1人でそのメディアができるんじゃんと思って、俺DJやろうって思ったんですよ。DJをやってみんなを盛り上げて、みんなが聞きたい曲を、今現在聞きたい曲をかけて、そのピークに喜んでいる時にglobeもかけよう。
――なるほど。
マーク:そうすると、絶対忘れねえ、と思って。
マーク:DJの機材を買ったら、全然使い方がわかんないんですよ。なんだこれみたいな。
――最初はあれですか? ターンテーブルですか? アナログの。
マーク:それもミキサーとか1個にまとまっているような。
――あー。
マーク:だから、もう最初から間違いですよ。何買ってんのみたいな、すぐに大失敗ですよ。土台なしに何かをやろうとしても、大失敗するんだなっていうことなのかもしれないんですけれど。簡単そうだからできるんだ、みたいな感じではじめてもできないから学校に入ったんですよ。
――学校ですか?
マーク:音楽学校みたいなのに入ったんですよ。フランスにある。
――フランスの音楽学校?
マーク:それも、電子トラックメーカープロデュースになるような学校なんですよ。
――専門学校みたいな?
マーク:専門学校みたいな。
――でも、フランスに行ってDJを。
マーク:そこにDJという科目も入っていたんですよ。1日8時間の6カ月間。
――1日8時間。結構普通の学校より長いですよね。
マーク:そうそうそう。生徒が全員15才とか16才で、俺だけ40才近辺。
――おー!(笑)
マーク:で、長髪の白髪で。
――当時まだ長髪の時ですね。
マーク:ジジイとか呼ばれながら、またいじめかよとか思って。
――なるほど。
マーク:でも、もうおもしろくて、1番前座って、全てノートとって。
――1番前ですか?
マーク:そう。わかんなかったら普通に手を挙げて、わかんない、もう1回。先生も俺より若いし、「ジジイ何でわかんねえんだよ」と。「みんなもわかってないと思うよ」とか言って。「わかってないけど、恥ずかしいから言ってないだけだよ」と。「だろう?」とか言ってやっていると、恥ずかしがってる奴も「はい!」とか言って。
だから言えよ、わかんない時は。そのために金もらってんだからこいつ、という感じで、みんなでこう1個になって友達になって6カ月。最初いた20人が最後、5人ぐらいにしかならない。脱落していく、辞めていくのみんな。そのなかにDJがあって、DJなんてテクニック、機材なんて最後なの。その前に哲学なの。
なんで人は踊り、どうして店があり、何が1番大切でっていうところから教えるの。「そんなこと教えたって、できないじゃん」みたいな。「黙って聞けジジイ!」みたいな感じでずっとやっていて、最後終わった時になるほどと思って。卒業して、研修に行かなきゃいけないんですよ、店に入って。
――研修があるんですか?
マーク:そのまま日本に来て、日本のいつも行っているお店のオーナーに頭を下げて、すいません2カ月間研修させてください。ちょうど3.11がその時あったのかな? 客なんて全然いなくて、店も節電で何フロアか締めちゃってみたいな。
「六本木にも人が来なくて、バーとかも閉まっちゃってこんな大変な時に、ギャラとか払えないよ」って言われても、「研修なんでギャラなんていらないです。毎日、オープンから閉まるまで俺がやります。globeのマーク・パンサーってどうぞ使ってください。研修なんで」って。
それでオープンから終わるまでもう毎日やって、外人が集まり始めて、いろんな人が集まり始めて。失敗もあれば成功もありで。それでそこの研修後、初めて1000人いる若者たちがウワーって爆発的に盛り上がっているクラブのど真ん中に、それも1番盛り上がっている深夜1時に、マークここでやれって。
globeの6万人で感じた緊張とは全く違う、誰も助けてくれない孤独な、1人のDJがそのブースに立った時に、その基礎、土台っていうものがすべて助けてくれるんですよ。
客層を見て、なるほど。はい、じゃあこの曲。次はこの曲。次はこれで……。プリペンスはこのぐらいにして、さあ、いきますよ! ドカーンと盛り上がるわけですよ。はい、次! ドカーンていった時、オーナーがバーッとやって来て。
「マーク、ここでglobeだ!」
えー!? 確かに6カ月前に「俺はglobeをかけるためにDJになった」って言っていたけど、もう忘れているわけですよ。緊張の渦で。そこでオーナーが「ここで、globeだ!」いやいやここで!? みんながこんなにデヴィッド・ゲッタとか……。
――EDMですよね。もうド派手な……。
マーク:EDMのちょっと前ですよ。
――LMFAOパーティロック版の。
マーク:みんながもう、ドバカになっている時にここで、『Feel Like dance』はないでしょ。
「いいから、かけろ」
もう、ドキドキで。その時はオリジナルだったんだけど、ちょっとスカスカな音だったんだけど、『Feel Like dance』かけたらドカーンと。
――それは感動ですね。
マーク:ものすごい鳥肌立って。
――聞いただけでも鳥肌立ちますよ。
マーク:それで家に帰って、「リミックスを作ろう。デヴィッド・ゲッタにも負けない、LMFAOにも負けない。キックベースも全部、同じ土台で戦える『Feel Like dance』を作ろう。『wanna Be』を作ろう。『DEPARTURES』を作ろう」って。
それで、学校で習ったことを全部やるわけですよ。それを作ってかけると、案の定すごいことになって。小室さんに聞かせたら、「これ出したほうがいいよ」っていうことで、出したら1位を取れて。それがDJ業の……。
――1番最初に身震いした瞬間ですね。
――いま研修っていうお話があったんですけれども。2カ月間研修をしてきて、研修というのは学校のカリキュラムみたいな感じなんですか?
マーク:紙をもらって、それをそこの店長に渡して2カ月後、「よくやりました」なのか、「こいつダメだ」なのか。書いてくれて、判子を押して返すんですよ。
――そうすると。卒業みたいな感じで?
マーク:その当時は普通に、はい卒業ですみたいな感じだったんだけど、2年待ったらその学校が国に認められて、資格が来たんです。フランス国の。まあ2年後なんですけれど。うれしかったです。資格を持っているDJって多分、世界中、俺くらいなんじゃないのか。と思うんですけれど。
――DJは国家資格。
マーク:国家資格になるんです。DJ及び音楽プロデュースエレクトロニック音楽プロデュースみたいな。
――ええ。すごいですね。
マーク:すごいのよ。
――フランスってまあ日本でもDJって、当然市民権は得ていますけれども。あんまりそんなになんというか、国家資格という方向のイメージじゃないと思うんです。フランスの場合ってそういう意味ではDJはすごく位が高いっていうか。
マーク:すごいですよ。オリコンなんて5組ぐらい全部DJだったり。ゲッタなんてグラミー取っているし、ダフト・パンクなんてやばいじゃないですか? あれだってDJだし。もうDJというのは音楽プロデューサーとしてトップなんじゃないですか。
マーク:曲をつなぎ何とかというよりもトラックメーカーであって、だから普通の作曲家とかそういうのは、DJ兼トラックメーカーというのは偽物だ、みたいな考えを持っているけども。そういうと音楽の中にまで差別を持ってくるつもり? みたいに俺には見えるんです。
音楽の中にも色があり、宗教があり、いろんなものがあっても、音楽にだけは差別はないはずじゃんみたいな。クラシックが好きだから、DJが作っているピコピコ音は偽物だとは言うなよみたいな。
同じ音楽で同じくらい客層がいて、同じ客が笑顔になり幸せになっているんだから。音楽というのはそういうものであって、その中の僕はトラックメーカーというところをやっているわけで。そこには愛もあり、自分の作り方というのもあるわけだから。そこを差別してはいけないんじゃないかなとは思うんですけれども。
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