2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
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司会:それでは、エシカルファッションについてのトークイベントを始めさせていただきます。鎌田さん、よろしくお願いします。
鎌田安里紗氏(以下、鎌田):よろしくお願いします。最初にお聞きしたいんですけど「エシカルファッション」という言葉を聞いたことがある方はどのくらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
鎌田:お! 何人かいらっしゃる。じゃあ「エシカルファッションが何か知っている」という方はどのくらいいますか?
司会:見事にいないですね(笑)。
鎌田:よかったです(笑)。今日は「エシカルファッションとは」という本当に入口の話をしようと思っていたので、知っている方いらっしゃったらタメにならないかもしれないので。
それでは始めたいと思いますが、ここでまた1つ質問をします。今日着ている服をどこで誰がどんなふうに作ったか知っている方はいますか?
(会場挙手)
鎌田:いらっしゃる! その服はオーダーメイドで作られたんですか? 素晴らしいですね。それでも、まだまだ少ないと思うんですよね。自分の着ている服がどこから来ていて、誰がどんなふうに作っているかを知っている人は少ないと思います。
今日、私はピープル・ツリーのワンピースを着ていますが、4月に、このワンピースを作ってくれた方に会いにバングラデシュへ行ってきました。この写真の一番左が私で、真ん中に写っているのは工場の方です。
そこで「どんなふうに服が作られてるのかな?」とか「どんな人たちが働いているのかな?」というところを見てきたので、その写真をお見せしたいと思います。
これ、何しているところかわかります? 真ん中でお湯を沸かしているんですけど、ここにまず糸を浸けて糸をほどくんです。
そこから、このクルクル回す機械で糸を紡いで。
こんな感じで、手作業で布を織っていきます。これが洋服の布になります。私もやらせてもらったんですけど、慣れるまではなかなか難しかったです。
その後は、布を染めるところですね。この染料は草木や花から取った染料で、化学的な染料を使わないで布を染めていきます。
これは全部布なんですけど、そこに1個ずつスタンプを押していって、洋服の柄を作っているんですね。
ここで押しているスタンプもこんなふうに木でできています。これは実際に工場のおじさんたちが木を切って彫っていて、スタンプまで手作りなんです。
それをミシンで縫製して。
これは刺繍をしているところですね。洋服に刺繍を入れます。
そして、アイロンをかけて。これが私たちのもとに届きます。
これは工場の隣の小学校なんですけど、その小学校にも行ってきました。私が行った工場は洋服の売り上げを小学校の運営に使っていたり。
病院もあって、病院の運営にも洋服の売り上げの一部が使われています。
これが「フェアトレード」という仕組みなんですね。聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、基準が10個くらいあってですね「生産者に仕事の機会を提供する」とか「事業の透明性を保つ」とかいろいろあるんですけど。
すごく簡単にまとめると「人と環境に配慮して製品を作りましょうね」という貿易の仕組みです。「人と地球にやさしい貿易の仕組み」と言われています。
今日はエシカルファッションのお話なんですけど、フェアトレードというものもエシカルファッションというファッションの在り方のなかの1つの方針で、他にも最近よく耳にする「オーガニック」などがあります。
農薬を使わない(もしくは少ししか使わない)で作られた食べ物は、オーガニック食品と呼んだりしますが、洋服の素材も農薬を使わないで育てると「オーガニックの服」と言うことができます。代表的なものは、農薬を使わずに育てられたコットンを使った「オーガニックコットンの洋服」ですね。
あとは「アップサイクル」といって、今までリサイクルと言われていたんですけど。捨てられるはずだったものを加工して、それまで以上に価値を持たせる再利用の在り方もあります。かわいいアクセサリーにしたり。ペットボトルやアクリル板からネックレスやピアスなどを作ったりしています。
「環境に負荷がかからない素材を使う」ことや「伝統を残す」ということもしています。日本でも伝統工芸が衰退していると言われてますが、伝統的な技術を使って洋服を作るということもエシカルファッションのカテゴリに入ります。
「地域に根ざしたものづくり」というのは、地域の人たちにお仕事を提供して、地域のものを活かして洋服を作る。他にも「動物を傷つけない」とか「洋服を作るときのゴミを減らす」とか。
さっきのお話にもありましたけど、売り上げを利用して学校や病院を造ったり。そういうことを全部まとめて「エシカルファッション」といいます。
エシカルファッションは、人と地球にやさしいファッションです。それは「洋服の裏側にあるストーリーを含めて服を買う」ことだと思うんですね。
今までだと「デザイン」や「価格」を基準に服を買って「その服がどこから来たのか?」とか「誰が作ったのか?」という過程を見てこなかったと思うんですけど。これからは、デザインと価格の他に「ストーリー」が大事になってくるんじゃないかなと思います。
こういうふうになってきたのは、ネットがどんどん発達したことで自分で情報をキャッチして、今で見えなかった裏側だった部分が見えてきたからだと思うんです。
たとえば「ファッション・レボリューション」というイベントがあるんですけど。4月24日は「ファッション・レボリューション・デー」というのが世界的に制定されています。これは何の日かというと、2年前の4月24日にバングラデシュで事故が起きたんです。
最近、洋服の工場はバングラデシュにすごく集まってるんです。労働力がすごい安くて、洋服を安く作れるからなんですけど。首都のダッカには洋服を作っている工場がたくさんあります。
その工場はもともと4階建てだったビルを8階まで違法に増築していて、そのワンフロアにすごい数のミシンを置いて、そこでみんな洋服を作っていたんですね。そうしたら、振動に耐えきれなくなったビルが崩れて1000人以上の方が亡くなる事故が起きてしまったんです。
「ラナ・プラザの事故」と呼ばれているんですけど、そのとき工場で服を作っていたブランドがベネトンとかイギリスのプライマークという有名なブランドだと言われていて、つまり、みんながいつも買っているようなブランドの洋服を作る工場だったんです。
ネットがあるから、そういうのがバッと出まわっちゃって。みんな自分が着ている服の為に誰かが傷ついたり、それこそ亡くなるなんて絶対に嫌だから、特にヨーロッパではそれが大問題になったんです。そこから「ファッション・レボリューション・デー」というものができました。
これはインスタグラムにあがっている写真なんですけど、みんな服を裏返しに着ています。それで「WHO MADE MY CLOTHES?」というタグを見せて、ブランド側に「誰が私の服を作っているの?」と呼びかけるキャンペーンをやっています。
世界で70ヵ国以上が参加していて、かなり大きな運動になっています。
新宿伊勢丹、横浜そごう、渋谷ヒカリエでも、5月には「世界フェアトレード・デー」があるということもあって、5月からエシカルファッション特集を組んでいて。
エシカルファッションの洋服を集めたキャンペーンを始めたり、それに関するイベントを行ったり。今までは、こんなにいろんな百貨店さんがこんなに大々的にやることはなかったんですけど、今年はかなり大きく扱ってくれていました。
今日は「ガールズカルチャー」というお話なので、女の子の興味がどうなっているかというお話につなげられたらいいなと思っていたんですけど。
今までは「いかにカワイイか」とか「いかに安くてカワイイものが買えるか」というのが大事だったんです。けれど最近では、いっぱい工場で作られている洋服の「マイナスの情報」も知るようになってきました。
女の子たちもデザインや値段だけじゃなくって「ストーリー」も洋服を買うときの基準に入れ始めてるんじゃないかなと思っています。
なんですけど、ストーリーって見にくいですよね? デザインや値段はすぐに見ることができるんですけど。どうしてもストーリーを見ようとすると、今日みたいに真面目な話を一通りしないと伝わらないという問題があって。
ファッションを楽しむのに、いきなりそんな真面目な話をされてもイヤじゃないですか?なので、そのストーリーの部分を感覚的にシェアできないか考え中です。大切なこと、知っておくべきことを「おもしろく・わかりやすい見せ方」で届けられる方法を模索しています。
ポートランドって知っていますか? アメリカにある最近イケてると噂の場所なんですけど。ポートランドのスーパーがすごいおもしろいらしくて、食品の値段のタグの横に「赤」「緑」「黄」のカードが付いてるらしいんですね。
「緑」はそのスーパーがある地域で作られていて、しかも誰が作っているのかちゃんとわかっている商品。
「黄」はその地域で作られたことはわかっているんだけど、誰が作っているのかわからない商品。
「赤」はどこで誰が作ったのか全然わからない商品。
色で商品の「透明性」と「どのくらい地域に貢献してるか」というのがわかるようになっているんです。そんなふうに、洋服もパッと見て分かる基準があったらいいなと思っています。
私からのエシカルファッションの紹介は以上になります。ありがとうございました。
(会場拍手)
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