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グッドデザイン賞「AKB48」株式会社AKSプレゼン(全1記事)

「AKB48は形のないデザイン」 秋元康氏による「グッドデザイン賞」プレゼン書き起こし

「AKB48は、形のないデザインといえるのではないか」。プロデューサー・秋元康氏が、今までにない、新しいアイドルグループのスタイルをどのように描いて(デザインして)きたか、その経緯と意図を“高校球児”にたとえながら簡潔に語った、2010年グッドデザイン賞のプレゼンテーションです。

みなさん、こんにちは。AKB48プロデューサーの秋元康です。

今回グッドデザイン賞に応募させていただいたのは、「こういうのはデザインに入るんだろうか?」というのが、僕のなかの素朴な疑問でありました。つまり、形のあるものがデザインの基本だと思いますが、形はないがスタイルとして、こういうモノはあるんじゃないかと。このAKB48というのは、アイドルグループではあるんですが、普通のアイドルグループとは違いまして、一番は「ドキュメンタリーをやりたい」ということだったと思います。

もともとは、小劇団やロックグループが少しずつ少しずつ、観客を増やしていくさまに感動を覚え、「わあ、やっぱり少しずつ少しずつ、地道に活動を広げていくのは大切だな」と。僕のように、テレビというメディアを中心に仕事をしてきました者にとっては、その、少しずつ増えていくさまが感動的だったんですね。

そこで、秋葉原の一角にキャパシティ250人の劇場を作って、そこで毎日レッスンを積んだ10代の女の子たちが、歌やダンスを披露する。ま、レビューのようなものなんですが、そこで実際にやってみまして気づいたことは、「がんばれ!ベアーズ」みたいな、まだ経験もなく何もわからない少女たちが、本当に厳しい歌やダンスのレッスン、あるいは礼儀作法、そういうものを少しずつ学びながら輝いていく。それはまさに「がんばれ!ベアーズ」が少しずつ練習して強いチームになっていく……。

AKB48は、甲子園を目指す高校球児に近いと思います。ですから、本当に弱っちい、秋葉原の新設の高校の野球部がですね、全然だめだったんですが、少しずつ練習を重ね、試合を勝ち抜き、ようやく今甲子園で優勝できた、くらいかなと。

まだまだ1回目の優勝なので、2回目、3回目の優勝を目指さなければいけませんし、このAKB48の球児たち、彼女たちはこれからプロを目指しているわけですから、ひとりでも多くのメンバーが、芸能界という、今度は本当のプロの世界に入って、メジャーリーグに行けるまで、ハリウッドに行けるまで頑張ってほしいなと。そのさまを見ていただくという、観客とメンバーが同じ気持ちでひとつの夢を追うという、新しいスタイルだと思います。

こういうエンターテインメント・パフォーマンスグループが、はたしてグッドデザイン賞としてどういう風に評価していただけるのか、すごく楽しみです。グッドデザイン賞は、すごく由緒のある、そして素敵な賞だと思いますので、ぜひご評価いただきたいと思います。どうもありがとうございました。

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