2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
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西村博之氏(以下、ひろゆき):じゃあ、本の紹介のまとめをお願いします。
城繁幸氏(以下、城):まとめでいくと、3章は政治参画で、要するに「選挙権を18歳に引き下げる」とか、あとは「世代別選挙区をつくろう」と。例えば、20代、30代、40代の人が選ぶ選挙区をつくったり、或いはそういう世代の候補を必ずいれるようにしたりとか、そういう感じで若い人の声を反映させるような、そういう提案をしてますね。
ひろゆき:その提案は、政治家に読んで欲しいんですか? 若者に読んで欲しいんですか?
城:その意味では両方を意識してますね。この章は。
ひろゆき:でも、実際問題、そういう本を読む人って、例えば今この放送を見ている人もそうで、投票に行く人じゃないですか。本格的に社会を変えるのであれば、こういうのを見ないしこういう本を読まない人にも投票に行ってもらわないといけないわけじゃないですか。どうするんですか?
城:逆に、第3章って一番ハードルが低いですよ。
ひろゆき:3章の話じゃなくて、要は、投票することで若者層っていうのが増えて、若者にメリットのある法案を出そうって政治家が思うためには、若者がどんどん投票に行くって構造にまず変えなきゃいけないじゃないですか。
そういう構造になった後に、じゃあ若者に向けて、どういう政策がいいの? って言ったら、この本が役に立つと思うんですよ。そもそも若者が投票に行くっていうのがない限り、いくらいいことを言ってても現実は変わらないじゃないですか。
城:確かにそれはあるんだけども(笑)。実は結構、投票に行っている人ってゼロではなくて何割かいるわけですね。2割か3割ぐらいっていうのは。だけど、その人たちが果たして集約されているかっていうと結構怪しくて。
というのは、いろんなしがらみがある、いろんな既得権を持っている団体なんかっていうのは、もちろん若者自身も入っているわけですね。連合なんかは連合の既得権があると。
だけどその連合の、例えば労組や職場の委員長に「民主党に入れましょうね!」って言われて、民主党に入れてるっていうのは、実は自分たちの首を絞めているっていうこともあるわけですよ。
だからそういう人たちに対して、1つこういうマニフェストっていうのが本当の世代間格差に対して有効ですよっていうのを示す狙いはありますよね。
ひろゆき:本のタイトルと値段をちょっと出してもらっていいですか? あんまり伝わっていない感じなので。
城:『世代間格差ってなんだ』という本でPHP新書さんです。税別720円です。茶色いやつなので、本屋さんに行ったら新書コーナーで目立つと思いますけれども。
それで、実は政治のほうには探りを出していて、最近の選挙なんかを見ると都市部の無党派層っていうのがかなり勝敗を分ける鍵になっているんですよね。
小泉政権の小泉改革以降、都市部の無党派層って要するに30代、20代あたりが中心なわけですよ。あとは40代も入って、その辺りっていうのがわりと若い層なんですね。その辺りが勝敗を分ける鍵になっていると。
それを結構彼らは気づいていて、彼らはどういう政策を出したらレスしてくれるのかっていうのは、今探り出してきているんですよ。今回の参院選でも自民党っていうのがすごい冒険をしていて、後ろのほうですけども、こそっと「正社員の解雇規制の緩和」って入れてるんですよ。
ひろゆき:あっ、そうなんですか? 入れてんだ、すげー。
城:そうです。入れてるんですよ。僕もだから読んだときに誤植かと思って、しばらく見たんだけど(笑)。これは僕もすごく驚いたんですけど、でも彼らはこれを宣伝していないので。
ひろゆき:知らんかった。
城:それほど、あんまり公開したくないんだけれど、何で入れたかっていうと、要するに「探り」なんですよね。これを入れて、どれだけ無党派層が反応するかって見てるんですよ。
ひろゆき:まあ、何で反応したかはわからないですけど、確かに自民党勝ちましたからね。
城:そうです、そうです。だからこれで勝ったっていうことが、僕は1つ前進だなという気はしてますね。まあ、多分、民主があほだったから勝ったんだろうけど。
ひろゆき:何が原因かって言うのは難しいですからね。本当に誤植だったらおもしろいですけどね(笑)。
城:最後まとめますと、最後に最終章っていう形で各政党のスタンス、それからマニフェストっていうのを評価しています。このマニフェストっていうのは前回の昨年の総選挙ですけれども、その後のスタンスも含めて評価しています。
それで、まとめとしては、投票する際に従来の価値観、右、左っていうのは捨ててくださいと。そうじゃなくて、次世代を見据えたような政策をちゃんと考えて、そのために必要な改革をできる政党と、そういうのを全くやる気がない政党って、2つに分かれますから、それに分かれて考えてくださいという提言で締めてますね。
ひろゆき:そうすると、城さんは、政党に対して「こういう政策を入れたほうがいいですよ、公約に対してこういうのはよくない」っていうのを見た上で、皆さん投票に行ってくださいねって言う役割をずっとやっていくってことですか。
城:僕は、自分の役割はそこだというふうに思っています。
ひろゆき:何か、政治評論家みたいですね。
城:僕はもっと大ざっぱですよ(笑)。
ひろゆき:そうか。何か、政治家になった方が早い気がしますけどね。
城:政治家になったら僕、普段言っていることの10分の1も言えないですよ。
ひろゆき:そうなんですか? 一応、マニフェストでやるんだったらこの党がどんどん議席を占めたほうが社会がよくなる。でも、「みんなの党、人足りねえ」みたいになったら「じゃあ、俺やるぜ」みたいなのが増えたほうがいいわけじゃないですか。
城:もちろんそうです。
ひろゆき:そういうときになったら行くんですか?
城:いや、別に、僕が行かなくても(笑)。あそこは人気あるから大丈夫ですよ。
ひろゆき:ずっと在野で言い続けるのがいいみたいな?
城:うん。
ひろゆき:へーっ。じゃあ、田原総一郎さんはわりと好き?
城:まあ(笑)。でも、そんな特別なことですかね? 民主主義ってそれが基本だと思うんだけど。
ひろゆき:あ、そうなんですか? 僕はそうは思わないんですけど、「口ばっかりで動かないやつ」っていう表現があるじゃないですか。「あいつ、いつもきれいごとで、結局他人にやらせるだけじゃないか!」みたいな。それで他人が何かやったら、「あれ、俺、昔から言ってたんだよ!」みたいな。ああいうふうに見られる可能性ありますよね(笑)。
城:でも、ワカモノ・マニフェストっていうサイトもつくって、そこで会員登録の募集なんかもしてるんで、ある程度数が増えたら、例えば3000人とか4000人ぐらい増えたらアンケートを実施して、そこで政党にロビー活動して行こうとは思ってますけどね。僕が直接やれる活動は何だって言われたらそこですかね。
ひろゆき:ロビー活動?
城:はい。例えば、「この法案、めちゃめちゃ反対してますよ、30代は。これでいいんですか?」と言ったら、かなりこたえるはずなんですよ、彼らは。
ひろゆき:そうか。うがった見方をすると労働系のお仕事の専門家じゃないですか。そうすると、自分に有利な労働法案を政策として通してもらうために世代間格差という社会問題を利用して利益を得ようとしている悪いおっさんっていう見られ方をする可能性もありますよね?
城:でも、仕事が増える法案って何だろう(笑)?
ひろゆき:例えば、さっきの雇用と解雇っていうのを容認した場合って、雇用と解雇という事件がものすごく大量に増えるから、それにまつわるコンサルティングの件数も増えるわけじゃないですか。
城:ああ、それはでも逆ですよ。
ひろゆき:あ、そうですか?
城:結局今はそういう労働の弁護士とか、あとは社労士ですね。そういうのでもめないようにどうしたらいいかっていう、そういうレクチャーする仕事っていうのは判例だから。つまり、実際にやったらどうなるのか企業はわからないわけですよ。基準がどこにも書いてないから。判例ってそうだから。
だけど、それが逆に明文化されて、「こういう手続きをちゃんと踏めば解雇できますよ。なおかつ半年後の基本給を金銭解雇として払うなら認めますよ」っていう一文をつくっちゃうだけで、彼ら全員仕事なくなりますから。
ひろゆき:じゃあ、首の切り方で、「これと、これと、これを守ってたらいつでも切っていいよ」ってなってたら、別に社労士のところに行ったり、労働基準監督所に相談しに行かなくても切れるから、そういう仕事が減ると。それで、そういう人たちから嫌われると。
城:そうです。だから、大体エコノミストはみんな同じ意見なんだけど、僕だとか、そういう解雇規制を緩和しようと言ってる人達に一番敵意を持っているのって派遣会社ですよ。だって、首切れるようになったら誰も派遣会社使わないですもん。
ひろゆき:確かにそうですよね。
城:うちにもきますよ。派遣会社のロビー団体みたいなの。
ひろゆき:だって、派遣会社ってヤーさん多いじゃないですか(笑)。派遣ってもともと港湾とかから始まってて、小泉さんのときに、一般業務にも手を広げていいよってなったけど、もともとは港の荷揚げとかやるっていう、力任せな人達が多い業界じゃないですか。そこを敵に回すのってちょっと面倒くさくないですか?
城:うん、まあ、ノーコメント……。
ひろゆき:すみません! 「日本一の日雇い人夫」ってことで!(笑)
ひろゆき:そんなわけで、本のタイトルをもう1回よろしいでしょうか!
城:『世代間格差ってなんだ 若者はなぜ損をするのか?』
ひろゆき:という本で、幾らでしたっけ?
城:720円です。
ひろゆき:これを大体読めば世代間格差って具体的にどういうものなのかっていうのが数字でもわかるし、世の中で起きていること、実は、こういうことが起きているんだよっていうのが書いてありますと。
城:非常にオーソドックスなことですから。
ひろゆき:確かに初めて聞いたって話じゃなくて、前々から聞いてはいたけど具体的にその数字とか表で見たことがない話が入ってるんですよ。僕から見ると。
だから、「差は結構あるよ」って言われたけど、「ああ、これってこういう意味だったのね」とかっていうのがあってわりと勉強になったので、興味があったら下にニコニコ市場っていうのが貼ってあるのでそこで買うなり、ブックオフに行くなりして買ってください(笑)。
ひろゆき:というところで大丈夫ですか? 最後に何かユーザーに伝えたいこととかあれば。
城:そうですね。だから今、いろんな政治だとか論理だとか、メディアで言ってることってあるんですね。全員、1人1人違うんですよね。これがいいんですよ、あれがいいんですよっていう政策があるんだけれども、政党のマニフェストって、今回僕らは11党採点して結果をサイトにアップしたんだけれども、全然違う。千差万別なんですよね。
だけども実は、我々のマニフェストっていうのが一番レベルが高いかなっていうのは自負していて、その理由は何ですかって記者団から聞かれるんだけども、実はそれは当たり前の話で、我々っていうのは50年先を考えなきゃいけないわけですよ。つくってるのはみんな20代、30代だから。
政党なんかっていうのは、例えば10年先のことだけ考えてやってればいいわけで。政治家ってみんな60代以上ですからね。そこが我々とは決定的に違うなと。だから、僕は自信を持って言えますね。「このマニフェストが一番レベルが高い」と。
ですから、政治がどうあるべきか、社会保障がどうあるべきかっていうのを考えるのであれば、是非手に取っていただきたい。これ、価値観までは触れてません。大きな政府がいいか、小さな政府いいかってところには触れていません。そのための議論をするためのハードですよね。そこまでしか触れていないので、ですから、いろんな方に手に取っていただけると思います。
ひろゆき:議論するための材料として、本来の数字はこうですよと。それをどう見るかっていうのは、読んだ人が適当に使ってね、みたいな。
城:そうですね。
ひろゆき:ちょっと話が外れるかもしれないですけど、ベーシックインカムってどう思います?
城:僕は、広い意味でのベーシックインカムは賛成派なんですよ。給付付き税額控除のほうですね。1人頭何万円払うっていうのは財源的に絶対に無理なんで、それはちょっと……。
ひろゆき:全員に払うのはないと。
城:ないです。給付付き税額控除といって、世帯単位で、全世帯に払うんじゃなくて、これは例えばの数字ですけど、単身者だと年収が200万円以下の人には幾らかバックしますよと。
ひろゆき:年収200万円以下の1人暮らしの人だったら、「200万円じゃ足りないから、50万円ぐらい返してやるよ」みたいな。
城:そうです。あと、共働きの夫婦で年収300万円未満だったら幾ら返しますよと。子どもが1人いたら、年収350万~400万円未満の人にはいくら返しますと、そんなふうに制限をつけて、なおかつ働いている世帯向けに、低所得者向けに払うと。
ひろゆき:じゃあ、働いていない人はもらえない?
城:もちろん。
ひろゆき:それは、逆の所得税と生活保護の形でいくってことですよね。
城:だから、理想を言えば、その給付付き税額控除と生活保護を一本化するのが理想ですよね。もっと言えば年金とか入れられると理想なんだけど、それができたら、多分、日本の社会保障の問題、それから財政の問題ってほぼ解決するんですよ。
ひろゆき:というわけで、ベーシックインカム好きのユーザーもわかっていただけましたでしょうか? というところで長らく、すみません。遅くまでありがとうございました。
城:ありがとうございました。
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