2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
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西村博之氏(以下、ひろゆき):でもさっきの切りやすく雇いやすい話というのは、実は全員が非正規雇用になるという話と一緒ですよね。
城繁幸氏(以下、城):私はそう言っていますよ。1億総非正規と言っています。
ひろゆき:じゃあ全員が全員、派遣社員になると。
城:派遣じゃないですね。全員が全員直接雇用の非正規。
ひろゆき:直接雇用をしているけれども、いつ切られるかわからない。
城:そうです。
ひろゆき:それはアメリカ型な感じですよね。
城:アメリカ、イギリスもそうだし、欧米も基本的にホワイトカラーはそうですよ。
ひろゆき:はい。
城:一般事務とかブローカーは違いますけれども。
ひろゆき:そういえば日本の外資系は、何で簡単にクビ切れるんですか?
城:あれは正式に言えば、雇用期間の定めのない正規社員じゃないんですよね。
ひろゆき:あれ正社員じゃないの。
城:いわゆる日本的な意味の正社員じゃないです。
ひろゆき:じゃあ、外資系の会社と同じ仕組みを日本の会社も使えばいいじゃないですか。そうしたら、来月からクビと言えるんですよね。
城:やっているところは、ありますね、やろうとしているところは。
ひろゆき:そうなんだ。
城:野村証券とか、そうですよ。
ひろゆき:さすがジョーズ・ラボ、詳しい。何かいい話聞いた。それを使って雇えばいいんだ。じゃあそれを使って日本中の会社が雇えば別に、労働ビッグバンをやらなくてもよいの?
城:そうですよ。
ひろゆき:そうなんだ!
城:リクルートさんも、そうですよね。
ひろゆき:そうなんですか?
城:リクルートも6割から7割ぐらいは契約社員にしている、3年ぐらいの。だけど偉いのは、あそこはちゃんと社内で労働ビッグバンをやっていますから、普通の従来型の正社員も採っていますけれども、全く格差がないですし。
3年型のやつがちょっと1回延長して6年契約の間に、6年まであるんですけれども、その6年の間に課長になって、正社員の部下をこき使うやつも結構いますから、偉いですよ。
ひろゆき:じゃあ、労働ビッグバンという形でそういう仕組みをつくらなかったとしても、いつでも雇えるし、いつでも切れるようにして、雇用を流動化させたほうがいいだろうという。
城:できなくはないですよね、みんなを説得すれば。
ひろゆき:でも逆に会社のほうで優秀な人が逃げちゃうという、恐怖感というのもあるわけじゃないですか。要は一生懸命教育して育てても、スルッと辞めてほかのところに行っちゃうんだったら、その人の教育という社員教育をしなくなるじゃないですか。
自助努力をして自分でスキルを上げていける人は勝手に賢くなると思うんですけれども、会社がやらなくなると結局みんな成長しないで、だらだらしたままという。
城:それは確かにあるかもしれない。外資とかだと基本的に、会社があんまり研修に金かけないので。年俸に含めて払っているから自分で受けろというスタンスなので、それはありますよね。いいんじゃないですかね、自助努力で自分で努力するようになれば。
ひろゆき:でも世の中、自助努力できる人少ないじゃないですか。だって大学だって別に勉強しなくても卒業できるし。
城:それもちょっと書いていますけれどもね。それもだから日本型雇用の裏返しですよ。
ひろゆき:アメリカの大学は卒業するの、すごい大変じゃないですか。
城:はい。
ひろゆき:だからアメリカの大学を卒業したやつは基本的に自分で努力ができるやつだ、だから雇っても大丈夫だろうとなるんですけれども、日本の大学は努力しなくても誰でも卒業できるじゃないですか。
城:要領がよければ。
ひろゆき:そうすると教育システム自体が変わらないまま始まっちゃうと、単に要領のいいいやつというのがだらだらと仕事をしていて、きちっとどんどんスキルを上げていくという生産性の高い人というのは、増える確率というか、増える波が減りません? 社員教育をやらなくなったら。
城:僕はそこは多分逆だと思っていて、社会のニーズが高まれば、それについて変わるものだと思っていますよ、大学の教育って。だって戦後、別に日本の大学とか文科省が学生に勉強するなという政策をやったわけじゃないじゃないですか。
ひろゆき:はい。
城:むしろ、サラリーマンカルチャーに、何で俺たちサラリーマンなんだというのに反抗して社会をひっくり返したいって言って暴れたのが60年代の学生運動なわけで、だから、もともとは勉強してたんですよね。日本型雇用が確立して、みんな勉強しなくなっちゃったと考えるのが……。
ひろゆき:その時代って本当に頭のいい、勉強したい人が大学に行ってたんですけど、今ってもう猫も杓子も「とりあえず大学」じゃないですか。そうすると「大卒」っていうのが、何かしらの努力をして与えられるものじゃなくて、単にお金を払ったらもらえるものじゃないですか。
そうすると、努力なりの成果を出した人っていうのをどうやって肩書きとして判断するか、かなり難しいと思うんですよね。
城:だから、本当に中身のある高等教育を復活させるにはどうするかというと、結局は社会、企業が面接のときにそういうのを求めるようになって、そういう人にある程度の処遇を実際に出すようにならないと、本物の大学教育って復活しないと僕は思いますけどね。
ひろゆき:というわけで、「本の後半を紹介する」というカンペが出ていたので、お願いします。
城:第2章なんですけれども、「世代間公平基本法の制定を急げ」と。社会保障ですね。これは社会保障制度なんですけども、若干難しいパートになるんですけども、簡単に言ってしまうと、世代間格差って非常に大きく広がっていると。
70代と今の2000年以降に生まれた人の間で生涯大体8,000万円以上の格差が広がっていると。社会保障費を幾ら国に納めて、どれだけ受け取れとるかっていう格差ですよね。
ひろゆき:年金が幾ら返ってくるか、みたいなこと。
城:そうですね。そういうものをどういうふうに是正するかっていう我々のマニフェストを書いてます。大ざっぱに言ってしまうと2点ありまして。
まず、法律で世代間の格差っていうのを一定の範囲以内におさめるような法律をつくる。これが「世代間公平基本法」ですね。例えば、「4,000万円以内におさめること」とつくっちゃうと政治が動かなきゃいけないわけですから、そういう法律をつくる。
2点目が財源をハード化するというもので、要するに、財源を、例えば消費税なら消費税で5%分、プラス社会保険料で全て賄うようにするという法律をつくっちゃうわけですよね。
そうすると例えば、高齢化で「団塊世代が退職して今年1兆5,000億円増えます。足りません」っていうときにみんなで議論しなきゃいけないわけですよ。今はそういう制約、ルールが全くないので、垂れ流している状況なんですよね(笑)。それをそういうふうにハードでロックしちゃおうというものを第2章で提案しています。
ひろゆき:言ってることは正しいと思うんですけど、お金を誰に配るかっていうのは政治家の力の根源なわけじゃないですか。それを軽々と手渡すような法律を通すと思えないんですよね。
城:そこはミソであって、そういう言い方をする論者もいます。私もありますけども……。
ひろゆき:「ありますけど」って、どっちなんですか!(笑)
城:だから、言い方ですよ(笑)。例えば、「年金を3割カットしろ」なんて言ったら、絶対に通るわけないですよ。反乱が起きますよ。おじいちゃんの。
だけど、それを「世代間公平基本法をつくって格差を何千万円以内にしなきゃいけないですよ」「社会保障の医療と年金を含めて予算の制約はこれだけですよ」っていうのをつくっちゃうと、議論しなきゃいけないですよね。
「新しくこれだけ払わなきゃいけない。でも消費税でいうと5%上げなきゃいけない。どうしますか? 国民の皆さん!」と言わなきゃいけないわけですよ、政治が。そこでみんなで議論すればいいわけですよ。
ひろゆき:そんなこと言いたくないんじゃないですか? 政治は。
城:でも、法律をつくっちゃえば言わなきゃいけないでしょう。
ひろゆき:法律をつくりたくない。そうなっちゃうから!
城:いや、法律をつくるだけだったら言えますよ。
ひろゆき:法律をつくるっていうか、政治家が賛成するわけじゃないですか。そうなって面倒くさいのに巻き込まれたくないっていう(笑)。
城:それは多分、メインの支持層が老人だけで、そこだけしか見てないような社民党とか共産党だったら反対するでしょうね(笑)。だけど、ある程度幅広い視点、例えば50年後、100年後を考えてるような政党だったら間違いなく賛成しますよ。
ひろゆき:ほう……。でも、本にもありましたけど、後期高齢者医療制度も要は、老人が医療費をガンガン垂れ流すのはよくないから、ある程度ギャップを制限しようねっていう、考えりゃ当たり前な法律だけど……。
城:めちゃめちゃいい法案ですよ!
ひろゆき:でも、その後、結局「老人叩きはいかがなものか」みたいなメディアの統制によって、「あの法律はよくない法律である」という印象をつけられちゃったわけじゃないですか。それと全く同じことが起きません?
城:いや、それは、僕は大丈夫だと思うな。多分、メディアっていうのは叩きやすい対象っていうのを探していると思うんですよね。後期高齢者医療制度って、実は、むしろ地方の老人を助ける法律だったんだけれども、後期高齢者別枠ってところだけに反応して叩いちゃった。
「何で叩くの?」って話をしたら、メディア自身もよくわかってなくて、「よくないよね、おじいちゃんを外すのは」ぐらいのノリだったんですよね。でも逆に、そんな彼らだったら、多分、公平基本法みたいな形をつくろうって言ったら、「公平」ってキーワードをむしろ叩けないと思うんですね。
ひろゆき:城さんは、みんな、頭いいと思ってる?
城:うん(笑)。
ひろゆき:へーっ! 結構、人を信じてるんですね。コメントでも「甘いなあ」とか書かれてますけど(笑)。だって、マスコミって所詮、騒いで見てもらってお金をもらうような仕事じゃないですか。何が正しいか否かを伝えたいっていう公共機関ではないと思うんですよ。
城:そうですよね。
ひろゆき:じゃあ、「公平な世界がいいんだ」っていうふうにやったとしても、実際問題、お金が足りなくてひもじい思いをしてる老人の映像とかをバンバン出して、コンビニでたむろっているような若者とかが「俺、働いてないけど、生活保護でさー」みたいのを出したら、もう一発じゃないですか。そういう画が好きじゃないですか。
多分、そういう画で流されて、やっぱりこういう法律はよくないよねっていういつもの流れに行きません? だってテレビを見てるのって老人が多いし(笑)。
城:それはあるかもしれない。だけど僕はいく余地があると思うんだけどな。
ひろゆき:そのマスコミに対する信頼は、何か根拠ってあるんですか?
城:多分、僕、5年前だったら全く同じ、すごいニヒリズムだったと思うんですよね。多分、「期待してもしょうがないな」って思ってたんだけれども。
でも、僕が最初にこのテーマを取り上げた、「若者はなぜ3年で辞めるのか?」っていう本を出したのが2006年で、そのときは、ほとんど全く取り上げてもらえなかったんだけれども、それから3年ぐらいたってみて、やっぱり変わってますよ。
というのは、例えば、テレビの討論番組とかで正規雇用の流動化とか解雇規制とかいうテーマが今普通に取り上げられるようになってきて、結構変わってきてますよね。だから僕は、その手応えからして今だったらこれっていけるんじゃないかなっていうのをすごく感じてますね。
ひろゆき:メディアのほうもある程度若者に寄ってくるような意見を出してくるのではないかと。
城:出してきています。あと、もう1つ付け加えると、メディア自身が今、すごくジレンマを抱えていると思っていて、これは特に紙のほうが強いんですけど、「若者が全然読んでくれない、見てくれない」と。「こりゃ、どうしたらいいんだ!」っていう。それは、彼ら自身やっぱりすごく悩んでいて、聞かれることありますね。
月刊誌とかで、「何で読んでくれないんですか?」みたいな話があって、「いや、第二次大戦特集ばっかりやってたら読まないよ!」っていう話はするんですけども(笑)。「もっと、未来や今を取り上げろよ!」って話はするんだけども、だから僕、彼ら自身も変わりたがっている気がするんですよ。すごく。
ひろゆき:優秀な新聞社の社員の人って大体辞めて、その後ネット系の会社に行きますよね。だから、ヤフー・トピックスをつくってるのだって読売新聞の人だし(笑)。
城:ドワンゴにもいますもんね(笑)。
ひろゆき:ドワンゴにも朝日新聞出身の人いますし、結局、優秀でやる気のある若い新聞社の人って辞めてネット系に行くじゃないですか。佐々木俊尚さんももともと毎日新聞だし(笑)。
多分、優秀な人はどんどん抜けていって、ほかで働けないようなだめなやつと既得権益を持っている老人っていうのがメディアに居続けるという構造はあんまり変わらないと思うんですよね。
現場の人たちは優秀だと思うんですよ。現場って優秀じゃないと回せないから。だから外に来る人ってのは優秀なんだけど、そういう人たちは出世しないで途中で脱落していくと思うんですよね。構造として。……っていう気がしちゃうんですけど。
何かこれが、「ピーターの法則」とか何とかそんな名前があるって勝間さんに教えてもらったんですけど、例えば営業で優秀な人がいるじゃないですか。そうすると営業ですごく優秀だから、この人が出世して管理職になるじゃないですか。
その人は、営業では優秀だけど人を使うのは下手な場合って、そこから出世しないじゃないですか。そうするとその人は自分の不得意な管理職っていうところでずっと長年働くことになるんですよ。
それで、管理職でも優秀で部長になりました。部長で、予算管理っていうのが下手だと、今度はそこで部長のまま止まるじゃないですか。基本的に、大きい会社の構造ってその人が無能なところで長年勤めるっていうのになりがちっていう法則があるっていう。
城:そりゃそう。日本の企業はみんなそうですよ。
ひろゆき:そうすると、やっぱり優秀な人ほど優秀じゃないところで止まると思うんですよね(笑)。メディア系の社員があまり辞めていかない、自分からじゃないと辞めないっていうような、給料もそれなりに高いです、別に労働環境も悪くないですっていうところだと。
そうすると、「この会社を変えなきゃいけないんだ!」っていう若手はガンガン消えてって、ネット系とかに行くんじゃねえの? って気がしちゃうんですけど。
城:だけど、多分、今って、本当に組織の存続に疑問符がついている企業さんって結構ありますから。メディアで。僕は「変わろう」って意志のほうが強いと思いますけどね。みんながみんなネット系に行けるわけじゃないですからね。
ひろゆき:それはそうなんですけど、実際に既得権益とかは、大きい会社の上の方の人って60歳とか50歳とかで、まあ、あと5年いればいいやって話じゃないですか。
城:みんなそうでしょ(笑)。
ひろゆき:そうすると、「あと5年間まともにするためには、今のラインをだらだらやっていけばいいよね」っていうので、多分、20年、30年先を考えたらドラスティックに変更していく必要があると思うんですけど。
5年だったら今までどおり波風立てないでも全然問題ないよねっていう方法論で、ずっとぬるま湯で、JALもそうだったわけじゃないですか。結局、昔から「やべえ、やべえ」って言われてたけど、全然何も変えないで、潰れてから「そろそろ変えなきゃ」っていうので。
そういう意味で、メディアって、多分、自分から変わることってないと思うんですよね。
城:そういうメディアは潰れればいんですよ!
ひろゆき:あら! ほう!
城:それで残るメディアもあるわけで。
ひろゆき:そうすると結構時間かかりません? メディアがきれいになるのはまず潰れてからだから。だって、例えばTBSとかも不動産屋じゃないですか(笑)。収入の多くは不動産から上がっていますみたいな。
ああいう会社になっちゃうと、メディアとしての能力値ってあんまり関係なくて、単に不動産で収益があるから、メディアは赤字でちょっと細々と垂れ流しながらでやろうよみたいになっちゃうと、まあまあ潰れないじゃないですか!
「不動産屋でいいの?」っていうのでいいんだったらメディアは全く変わらないものだと思うんですよね。赤坂サカスとかね、そういう不動産を持ってるんですけれども。何の話だ、これ(笑)。
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