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猪子寿之氏講演会(全4記事)

棒高跳びをホログラムで街中に再現! チームラボ・猪子氏が語る、理想の「東京五輪2020」とは

チームラボ代表の猪子寿之氏が、大学生に対して「デジタル社会の未来と生き方」をテーマに行なった講演。猪子氏が東京五輪2020に向けて構想する「リアル参加型オリンピック」を紹介します。

オリンピックも参加体験型イベントに変えるべき

司会者:ほかにいらっしゃいますか。

猪子寿之氏(以下、猪子):どうぞ。

質問者:この前シンガポールに行ったんですけれども、植物園とか見てきてハンパなく色がすごくて、あれを見て日本はちょっとまだ未来じゃないなと思っていて、猪子さんが考える未来はこうあったらいいなという何か今ありますか?

猪子:どういうふうに、日本がということ? ちょっと範囲が広すぎてわからないんだけれども、わかりやすいので言うと、オリンピックとかもっとすごい。せっかく日本でやるからもっと新しいオリンピックになったらいいなと思っていて。

簡単に言うと、オリンピック自身も今までというのはすごい鑑賞型で、開会式も見るし、聖火リレーも見るし、競技自体も見る。オリンピック自体はすごい歴史があるんだけれども、メディアが変わっていくごとに実はオリンピックのフォーマットはとても変わっていっていて、聖火リレーだって昔からあるわけじゃなくて実は歴史が浅かったりして、もっと鑑賞型のモデルから参加体験型のモデルに変わったらいいなと思っています。

例えばすぐわかりやすいのだと、聖火リレーとかも観客が、沿道の人がみんなおもちゃの聖火を持っていて、その聖火が本物の聖火が近づくと火がつくような明かりがつくような仕組みになっている。

そうすると聖火ランナーが来ると自分の聖火に光がついていって、自分の光がつくと近くの人の光もついていく。そして全部がこんなふうに光がバーッとついていくし、デジタルで制御されていると自分のについた聖火が1個のドットになって、全体でさっきのPepperじゃないけれども映像になるわけだよね。

1人1人がビジョンの一部になって映像になったり、都市に人々があふれていて、都市の人たちがみんな聖火を持っていったら、東京の都市がそのままこんなふうにビジョンになったりするし、そうすることによって聖火みたいなものも、ただ見るものより都市の人たちが全員参加して一部になるみたいな、そういう聖火になるだろうし。

オリンピックの100メートル走の凄さを誰もが体験できる

例えば競技自体も今までは競技場で見るかテレビを通して見るかだったんだけれども、せっかく都市で行われるんだからホログラムみたいなもので、実寸大で生中継が都市の中でホログラムで中継ができれば、例えば棒高跳びなんだけれども、渋谷の街にホログラムで中継されたりすると、この人は本当に人じゃないんだみたいな感じになると思うんですよね。

(会場笑)

スタバ超えちゃうよみたいな感じで、例えばホログラムで中継されて、生中継が終わった後は再生できるので、棒高跳びとかは現実性がないけれども、例えば100メートル走とかだと終わった後自分も一緒に走れるわけですよね。

決勝に参加できて一緒に走れて、それがビデオで撮られてビデオをもらうと決勝戦なんだけれども、第9レーンか何かわからないけれども自分が走っていて、映像が終わったところでまだ30メートルぐらいまでしかついていなくて、本当にすごいんだなみたいなそういうビデオになると思うんですね。

そういうもっと参加したり体験したりする。オリンピックを見に行くだけじゃなくて、参加したり体験しに行くみたいなオリンピックにフォーマットが変わったらすごいいい。

2020年東京オリンピックのオープニングを考える

ロンドンオリンピックにしろ北京オリンピックにしろ基本的には競技場でシーンがあって、シーンがどんどん切り替わっていくというふうにして物語が進んでいくんだけれども、別にシーンごとに、競技場じゃなくても東京のいろんな場所でシーンを撮っていってもいいわけだよね。

カメラがシーン1からシーン2と切り替わっていけば、テレビとかビデオを通して見ている人はそれがどこで行われているかはあんまり区別がつかないので、1ヶ所の競技場でやらなくてもシーンごとに場所を東京の中で変えていくこともできて、そうすると何がいいかというとシーンが終わった後にそのシーンが残せるわけで、そうすると1個のシーンが1個のインスタレーション、アートのインスタレーションの空間みたいに変えることが多分できて。

そうすると例えば何か日本の四季の美しさみたいなのを表現するようなシーンがあったとして、それが街のどこかでそういうシーンが実は演者さんがすごい練習をして踊るとかではなくて、テクノロジーで何か1個のアートのインスタレーションで街の中で何かをすると、街が演出されるみたいなシーンでも良いわけ。

そうするとオープニングが終わった後にそこが1個のアートのインスタレーションとして残るので、東京に来た人は自分も体験しに行って、体験記録だね。そうすると全シーンが全部1個のアートのインスタレーションになっていって。

オリンピック期間中に東京に来ている人がそのシーンを全部体験しに行ったら、自分が自動で撮影されていて、全部回るとそれが例えばビデオでもらうと、そのビデオを見るとテレビで流れたオリンピックのオープニングと全く区別がつかないんだけれども、よくよく見ると全部自分が出ているみたいな、そういうものには変わるかもしれなくて。話を戻すと、だからなんだっけ。まあいっか、次の質問に行こう(笑)。

週1で会社に来られても、振れる仕事はない

司会者:すみません、もう時間がないのでこれが最後の質問で。

質問者:チームラボという組織に入っていることに対してどのくらいこだわりがあるのか聞きたいんですけれども。

猪子:僕が?

質問者:はい。意図としては、私は今、社会人で早稲田のMBAに通っているんですけれども、昼間は普通に会社で働いて、夜とか休日にみんなで会ってプロジェクトを進めていくということがあって、別に他の会社でも会っていればいくらでもプロジェクトってどんどん、会うことがあればなんですけれども、進めていけるなと思っていて。

私はチームラボのすごいファンなのでオープンなプロジェクトとかも、もしあったら参加したいんですが……。チームラボに入社したいとかはないんですけれども、プロジェクト単位で入ることができるんじゃないかなと思っていて。質問としては2つあって、1個はオープンのプロジェクトをもしやっているのなら、それに私たちが参加ができるのかと。

もう1つはさっきのとおり1個の会社に属さないといけないというのは、社会通念的なことだと思っていて、あんまり別にどこに属しているかとか何個属していてもいいような気がしているんですけれども、猪子さんはチームラボに属していないといけないみたいなこだわりがありますかという2点の質問です。

猪子:どういう仕事をイメージしているのかわからないんだけれども、現実問題として、例えば夜にちょろっと来て、何かその人が百万人に1人の天才とかそういう次元でない限り、何か役立つことというのはほぼないと思っていて、プロジェクトというのは刻々と1秒単位で変わっていくし、刻々と手を動かしながら考えていっているので。オープンでもいいんだけれどもね、全然。

プロジェクトを一緒にやって一緒に考えるというのは、すごい時間をそこにコミットしないといけない。例えば週に1回5時間来ましたといって1週間ぶりに5時間来たところで、その人に振れる仕事は……難しいですよね。

チームラボに属そうが属さまいが、それが誰であろうと誰でなかろうと関係なくて、その瞬間、そのプロジェクトにコミットしないといけないと思うんですよね。コミットというのは何かこう、基本的に誰も答えが見えてつくっているわけではなくて、何となくこうかもと思いながらつくっていくものだから。

つくりながら体験してみて何かやっぱり違うといってどんどんどんどん方向性を変えていくわけだから、そのプロジェクトの時間は結構コミットしないといけない。それは単純に、すごくコミットしないと何かうまくいくようなイメージが湧かないですよね。

あとは、例えば昔みたいに表計算のソフトをつくろうみたいな、答えが論理的に、つくることで何か、実はそれによって得られる効果というものが論理的に説明つくようなもの、例えばエクセルとか車だとか、車というのは1番はじめに人類が移動できなかったときに移動できるようになるだとか。

こういう、言葉によって論理的に効果が、説明がつくようなものであればプロジェクトベースもいいのかもしれないけれども、いいか悪いかとかが説明がつかない領域なので、究極気持ちよければそれはいいし、究極どれだけ正しかろうと別に気持ちよくなければそれは悪いことかなと。

そういうものというのはあんまりなかなか言葉で論理的にコミュニケーションが取れないものなので、やっぱりすごい共感が生まれれば生まれるほど仕事はしやすい。だから、プロジェクトごとに仕事をしたことがない人といきなり仕事をするイメージが自分には湧かない、というのが、回答です。

司会者:はい、それではもうお時間にもなりましたので、これで今回の講演会を終了させていただきたいと思います。本日はありがとうございました。

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