2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
Zombie Fires Are on the Rise(全1記事)
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ステファン・チン氏:山火事と言えば、1シーズンのみで終息するものだとか、年間のうち火災が発生しやすい時期のみに発生し拡大するものだ、というイメージがありますね。ところが、鎮火することなく越冬する火災が存在するのです。
正確には、地下に潜って一見鎮火したように見えますが、冬の間中、地中でくすぶり続け、翌シーズンに再び燃え上がって発生します。アラスカやカナダのノースウエスト準州などの、冷涼な亜寒帯林で主に見られます。
こうした火災は、死滅しても数ヶ月後に再び墓場から蘇るように見えるさまから、俗に「ゾンビ火災」と呼ばれています。そして、この“アンデッド火災”の発生件数は増加しつつあります。
また、最長で8ヶ月ほど燃え続けた後は休眠期に入り、そうなると検知は困難で、再燃焼が始まっても前年から残存したものではなく、新たに発生した火災として記録されます。
このように検知が困難ではありますが、ゾンビ火災の存在は以前から知られてきました。
ゾンビ火災には4つのステージがあります。まず第1段階では、火災の燃焼と拡大が収まり、鎮火したように見えます。第2段階では、火は検知されないまま雪の下でくすぶり続けます。
第3段階では、火災シーズンの到来と共に火は再び息を吹き返し、燃え上がります。
第4段階になると、火災は燃え広がり、森を焼失しながら拡大します。明確な火種がない場所で本格的な火災シーズン前に突如燃え出すことから、把握が困難です。
さらに近年、ノースウエスト準州でのゾンビ火災が急増しました。これまでの記録や研究が乏しいことから、増加の原因は不明です。専門家は、気候変動が原因ではないかとしていますが、これは別段驚くに値しません。気候変動は、通常の山火事にもすでに大きな影響を及ぼしているからです。
ゾンビ火災急増の原因解明には、そもそもの発生原因を調べる必要があります。発生について近年行われた研究で、火災の越冬の条件が明らかになりました。
まず、ゾンビ火災は、大規模火災が発生した年に多く発生することがわかりました。つまり、大規模火災の完全鎮火は難しいことから、燃え残った火からゾンビ火災が発生するのです。火災の規模が大きくなればなるほど、火が越冬できるチャンスは増えます。
また、夏の平均気温が高い年に多く発生することもわかりました。ノースウエスト準州では、2005年から2017年のうち、夏の平均気温が高かった上位6ヶ年の翌年にはすべてゾンビ火災が発生していました。逆に、下位6ヶ年の翌年には1件も発生がありませんでした。
発生に関わるのは平均気温だけではありません。特異な高温日を記録した夏にも、ゾンビ火災の発生が増加します。高温日を90パーセンタイル以上記録した夏には、火災シーズン中に焼失する森林面積と、翌年に発生するゾンビ火災件数が共に増加しました。
火災の激しさも、ゾンビ火災が翌年まで持ち越す“体力”に影響します。火は、地中深くや木の根などに延焼することで越冬します。
さらに、延焼の深度は気温とも関係します。90パーセンタイル以上の高温日を多く記録した夏には、延焼の深度も上がりました。
つまり、ゾンビ火災発生には「夏季の気温」「焼失面積」「延焼の深度」という3つの主要因子が考えられます。これらすべてにおける大きな要因が気候変動です。
地球の全域で気温が上昇していますが、中でも変動が激しいのが極域です。極域や亜寒帯林地帯での気温の上昇速度は、他の地域の倍です。ノースウエスト準州でも、夏季の気温は従前よりもはるかに高くなっています。
こうした好条件が火災の発生を促し、ゾンビ火災の記録が年々増加している原因だと考えられます。また、極域の気温が上昇すると、シーズンが長期化することで火災が激化し、ますますゾンビ火災が増加するでしょう。
そうなると、シーズン中の火災が激化してはゾンビ火災が発生し繰り返すという“ポジティブなフィードバックループ”が定着してしまいます。
問題は、火災シーズンの長期化に留まりません。気候変動の激化にもつながります。樹木に含有される炭素は、燃焼により二酸化炭素として大気中に放出されます。現状、ゾンビ火災の頻度は高くはありませんが、頻発するようになれば炭素の燃焼も増加し、二酸化炭素の放出量が増えることでしょう。
現行の研究によれば、アラスカとノースウエスト準州における2002年から2018年にかけてのゾンビ火災による二酸化炭素の放出量は、3.5テラグラムと推定されています。そのうち64パーセントは、特に火災の激しかった2010年と2015年のシーズン中のものです。これは樹木由来の炭素だけに絞った値であり、かなり控えめな推量です。
現時点では、冬季に地中で生き残って静かに燃焼する火が放出する炭素量を測る術はありません。しかし、こうしたゆっくりとした燃焼が放出するメタン量は、一般的な燃焼よりも多い上に、メタンの温室効果は二酸化炭素よりもはるかに強大です。
ありがたいことに、ゾンビ火災の発生は稀であり、二酸化炭素放出量は比較的少量で、現時点では火災シーズンの総放出量のうち1パーセントを満たしません。しかし、将来的に頻度が上がれば排出量も増加するでしょう。
これを阻止する手段の一つが、まだ規模の小さなゾンビ火災を航空機や人工衛星で早期検知するシステムの構築です。拡大前に火災を消し止めることができれば、ダメージを未然に抑えられます。
また、気候変動への対策であれば、どんな試みでも“ポジティブなフィードバックループ”が暴走する前に抑止できることは言うまでもありません。
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