2024.10.10
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Where Does the Candle Wax Go(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:ろうそくが燃えているようすを観察してみましょう。燃えているのは、綿でできた細い灯心ですね。ところが、数時間ほど熱と光を放出した後には、なぜか何も残りません。ろうそくが丸ごと消滅してしまったようで、とても不思議です。
何らかの科学現象が起きていることは明らかです。考えてみてください。30センチほどの長い綿のひもに火をつけ、1時間経過してもまだ燃えているなんて、驚くべきことではないでしょうか。それに、ろうそくのろうはどこへ行ってしまったのでしょう。
短い答えは「燃え尽きた」のです。長い答えをこれからお話ししましょう。
ろうは燃料の一種であり、自動車の燃料タンクに入ったガソリンのようなものです。燃料としてはたいへんな優れものです。電灯に慣れてしまった現代人にはぴんとこないかもしれませんが、油を燃焼させるランプの次世代を担う、すばらしい発明品としてもてはやされた時代もありました。
ランプで燃焼させる油は、オリーブオイルや菜種オイルなどの植物油が主ですが、動物性の油脂が使われることもあります。人類最古のランプは、フランスのラスコー洞窟で発見された物です。いつごろ作られたのかはわかっていませんが、同じラスコーで発見された壁画は、1万7000年ほど前のものです。
ランプを作るには、浅い皿に灯心を置き、油を注げばできあがりです。油そのものを燃焼させるのは難しいので、灯心を使うのです。油に浸された灯心は油を吸い上げます。灯心は表面積が広いので、点火すると吸い上げられた油は蒸発してどんどん気化します。気化した油は炎のエネルギーを得て酸素と化合し、燃焼します。
燃焼とは、炭素を含んだ成分と空気中の酸素が、二酸化炭素と水やその他の成分へ変換される化学反応です。
油が燃焼する場合、炭素を含んだ成分は脂肪酸であり、現代のろうそくが燃焼する場合はろうがそれに該当します。まったく異なる化合物群ではありますが、脂肪酸もろうも構造は似ています。
燃焼プロセスはどちらもエネルギーを放出する「発熱反応」であり、さまざまな形で役に立ちます。電球が無い時や、おしゃれなレストランでムードを出したい時などには特に有効ですよね。
発熱反応で放出される熱により油は蒸発し続け、油がある限り酸素と化合して反応は継続します。つまり、燃焼しているのは灯心ではなく、灯心に吸い上げられた油です。
ランプには欠点があります。油皿に可燃性の油を入れて、綿製の灯心が浸されているだけのような単純構造の物であれば、うっかりぶつかれば皮膚にやけどを負ったり、火事になって近所に延焼したりなどの危険が考えられます。ろうそくが画期的なのは、固体燃料と灯心が一体で、燃料がランプの働きを兼ねている点と、日常生活で使用されるろうそくであれば、火を近づけるまで固形を保っている点です。
炎を近づけるとろうは溶け、灯心に吸い上げられ、熱を得て気化し燃焼します。
気化したろうの成分が酸素と化合して燃焼し、二酸化炭素と水へ変換されます。
つまり、これがろうの「成れの果て」ということになります。常温で気体となる「二酸化炭素」と、ろうそくが燃焼する高温度では水蒸気となる「水」が、姿を変えたろうなのです。
この現象は、目で確認することが可能です。ろうそくの上に、冷たい物体をかざしてみてください。気化した水蒸気が再び水となって姿を現します。もしくは、ろうそくの炎を逆さにしたカップなどで覆ってみてください。酸素がなくなり二酸化炭素が増えるため、すぐに炎が消えます。
消えたろうそくから立ち上る煙は、気化したろうが燃えずに残ったものです。灯心はまだ熱いため、高温のろうは気化し空気中に放出され続けますが、燃焼しないため温度が下がり固体へと戻り、細かな粒子になるのです。ろうそくが消えた後に燃えずに残ったろうは、このように目で見ることができますし、臭いも残ります。
たちのぼるろうの「燃え残り」にマッチの炎を近づけてみてください。炎が、気化したろうをさかのぼって、灯心に再び火が灯ります。ちょっとした手品に使える手ですね。
こうした原理を知ってみると、燃えたろうそくが「消滅」してしまう原理と、数百マイル運転すれば自動車の燃料タンクが空になる原理が実は同じ、ということがあまり知られていないのが不思議になってきます。
両者の違いといえば、移動できるかバスルームにアロマの香りが立ち込めるかぐらいしか差がないはずです。
改めてろうそくを見てみてください。燃えれば空気になって消えてしまうなんて、なんだかとても不思議で、わくわくしませんか。今度「ろうそくは燃えるとどこへ行くの」と誰かに聞かれたら、ぜひ教えてあげてください。もしくは、SciShowのこの動画を紹介してあげてくださいね。
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