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Why Does Smoke Follow You Around a Fire?(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:ちょっと想像してみてください。キャンプファイヤーを楽しんでいるあなたの顔に、煙がかかります。

あなたは立ち上がり、煙の届かない場所に移動します。「さて、仕切り直し」と思ったところに、また顔に煙がかかります。どうやらあなたが移動すると、煙も追いかけて来るようで、移動する先々に煙は来ます。

他の人のそばから離れ、移動すると少しの間は無事ですが、煙はすぐに追って来て目を刺激します。やがて、他の人も煙から逃れてなんとなく一ヶ所に固まりますが、結果は同じです。

そのうち「煙を引き連れて歩くあなたは呪われているのではないか」と言われてしまいます。でも、呪われているのならその方がましです。呪いは解くことができますが、物理法則からは逃れられないからです。
煙は燃焼により発生します。燃焼は高い熱エネルギーを放出し、付近の空気中の分子は熱エネルギーを吸収し、動きが早くなります。熱は分子が持つエネルギーの一つで、空気は熱くなります。

動き回る分子は、動きの遅い他の分子に衝突してこれを動かし、火の周辺の熱い空気がどんどん広がります。こうした連鎖により、火の周辺の空気の密度が外縁の空気の密度よりも下がります。

さて、密度が低い空気が上昇する話は聞いたことがあるでしょう。実際にそのとおりで、高い階層の部屋は冬、低い階層の部屋は夏に過ごしやすいのはそのためです。
さらに、密度の低い空気は軽く、周囲の密度の高い空気を押しのけながら上昇すると聞いたことはありませんか? これも事実であり、よく考えればあたりまえのことです。

密度の低い空気は上昇し、逆に密度の高い空気が下降する理由は、高いところに行けば行くほど、上の大気層が薄くなるからです。

一方で、低い場所にある大気は上層の大気の重さを支えています。圧を受けているのは大気だけではありません。地表に近い物体はすべて、大気の層による上からの圧を受けています。

また、みなさんは下方向に働く重力を身体に受けています。仮に大気の上昇する力が重力よりも強ければ、みなさんは気球のように宙に浮くでしょう。しかし、実際には大気が上昇する力よりも重力が大きいため、みなさんは地表に留まっています。
火の周辺の熱い空気は、外縁の空気よりも密度が低くて重力の作用する力も弱く、上方に働く力により上昇します。この流れにより「対流」が起こります。
対流は、太陽や地球の内部、自家用オーブン、コンベクションオーブン(熱した空気をファンで循環させ、対流を利用して調理するオーブン)でなくとも、あらゆる場所で見られます。当然、火の回りでも発生します。これが、煙が顔にかかる理由を探るカギとなります。

火によって温められた空気は、それ自体が持つ上昇する力以外にも、外縁の空気が流れ込むことによって押し上げられます。温められた空気が上昇した後に、この外縁の空気が流れ込み続けます。


そして、人体がこれに作用します。「自分は特に何もしていない。火のそばでマシュマロを炙っているだけだよ」と思うかもしれません。さらに、火が人体に作用していると考えがちですが、実は人体もまた火に作用しています。人体が壁のような働きをして、真空が生じるからです。
仮に人がいなかった場合、人側から来る空気と火を挟んで反対側からくる空気は、火の上空で合流します。

しかし、人が火のそばにいれば、背後から火に向けて流れ込む空気を体が遮ります。

すると、火の向こう側から流れ込む空気は遮られることなく、ちょうど顔のあたりに煙や煤を伴って流れ込むのです。

当然、気流を遮っている人体がどこへ移動しても、同じことが起こります。
困ったことに、一ヶ所に集まる人数が増えるほど気流を遮る面積が増えるため、真空作用は高まります。煙が目にしみたり吸い込んだりすることを避けるには、他の人と固まるのではなく単独でいる方がよいでしょう。

そもそも煙の発生を抑えてしまえば、真空ができても流れて来るのは温められた空気だけになります。

これを利用して、火を起こす際に煙を抑える手法があります。煙は、薪に含有される成分の不完全燃焼、低い燃焼温度、酸素不足などで発生します。煙を抑える手法は、2番目の要因への対処です。空気が流れ込むルートを確保することにより、燃焼による煙を軽減し、場合によっては抑えることも可能です。

もしこの手法が難しいようであれば、「分度器作戦」をおすすめします。「分度器作戦なければキャンプファイヤーの成功なし」と、僕はよく言っています。

無風状態であれば、等間隔で火を囲むことにより、気流がまんべんなく遮られます。人が一人あたりで発生させる真空がほぼ等しいためです。

これは、新型コロナウィルス感染拡大を抑えることにもつながります。屋外であること、呼気が火に向かうこと、うっかり他者に近づけば煙が目にしみて警告を受けることなどなどが、その理由です。
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