2024.10.01
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How Do We Know We’re Tired(全1記事)
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ハンク・グリーン氏:私たちが人生の3分の1を費やし、リラックスさせてくれる睡眠ですが、その仕組みはおどろくほど複雑で、実は謎が多いのです。
たとえば、私たちの体が「疲労する」とはどのようなことで、どうやって知覚されるのでしょうか。科学者たちはこの疑問を長く検証してきました。そしてこのたび、謎の解明に一歩近づいたようです。
睡眠を促すのは、2つの因子です。1つ目が、私たちの体が1日24時間を通して過ごす「概日リズム」(地球の自転による約24時間の明暗周期に活動を同調させる生物のリズム)です。
2つ目が、「ホメオスタシス(恒常性維持機構)」による睡眠圧で、長く起きていれば睡眠への欲求が高まり、眠れば低下します。
要は、概日リズムが睡眠に入る時間を司り、ホメオスタシスによる睡眠圧が睡眠欲求を司ります。しかし、ホメオスタシスによる睡眠圧を促す仕組みは、実はよくわかっていません。
そこで、ホメオスタシスによる睡眠圧とよく似たパターンをたどる別のプロセスに目が向けられました。それが、細胞が受けるDNAのダメージです。これもまた、起きている間や睡眠不足の時には増加し、眠ると減少するからです。
体内細胞のDNAが受けるダメージは、日中を通して蓄積されます。たとえば、表皮細胞のDNAは紫外線により損傷し、修復されないまま放置されると、変異や細胞死を引き起こします。DNAのエラーは、発生の都度修復されますが、神経細胞のDNAは、ダメージを受けると眠らない限り修復されません。つまり、日中起きている間ずっと、神経細胞のDNAのダメージは蓄積され続けるのです。
そこで、イスラエルの研究グループが、脳内の神経細胞のダメージの蓄積が睡眠圧を高め、疲労感を生成するという仮説を立てました。研究グループは、ゼブラフィッシュの幼生を使ってこの仮説を検証しました。ゼブラフィッシュの神経系はヒトのそれとよく似ており、睡眠の調整もよく似た仕組みだからです。
果たして、神経細胞のDNAに損傷を受けたゼブラフィッシュの幼生はすぐに眠りに落ち、通常よりも長く眠りました。そしてDNAにダメージを多く与えれば与えるほど、睡眠時間が長くなりました。DNAのダメージが修復されると、睡眠パターンも元に戻りました。
研究グループは、神経細胞のDNAがダメージを受けると、なぜゼブラフィッシュが眠るのかを調べることにしました。そこで、DNAのダメージを検知し、修復開始を促す働きをするPARP-1というタンパク質に着目しました。
すると、日中にDNAダメージが蓄積するにつれ、ゼブラフィッシュの神経細胞内でPARP-1の値が急増し、DNAダメージが修復される夜間には、徐々に値が低くなることがわかったのです。
研究グループはさらに、ゼブラフィッシュを睡眠不足にしたところ、PARP-1の値はやはり通常よりも増加することがわかりました。これは、起きている時間が長ければ上昇するホメオスタシスによる睡眠圧とよく似ています。
次に、神経細胞内のPARP-1値を強制的に増加させたところ、ゼブラフィッシュの睡眠時間は長くなりました。また、PARP-1がDNAダメージを検知できないように遮断したところ、ゼブラフィッシュは眠らなくなりました。
特に日没直前や夜間の睡眠は短くなり、睡眠圧がもっとも高まるはずのタイミングでも同様でした。それはまるで、ゼブラフィッシュが疲労を感じることができないかのようでした。
ゼブラフィッシュが、人間と同じように疲労を感じるか否かは、ゼブラフィッシュが口をきけないため、聞き出す術はありません。しかし、これはDNAのダメージと睡眠の関係性の理解を深め、神経変性疾患や老化の仕組みを解き明かす大きな一歩です。何よりもまず、あなたのお昼寝の立派な言い訳になりますよね。
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