PR2025.11.27
数理最適化のエキスパートが断言「AIブームで見落とされがちな重要技術」 1,300社が導入した「演繹的AI」が意思決定を変える
We Had Catnip All Wrong(全1記事)
コピーリンクをコピー
ブックマーク記事をブックマーク
ローズ・ベアドントウォーク氏:ネコはミステリアスな生き物です。まず、なぜお尻を人間に向けてくるのでしょう?

食べる気もないおやつを、なぜ人間にねだるのでしょう?

イヌハッカ(西洋マタタビ、キャットニップ)に対する振る舞いも謎です。


さて、このたび日本の研究チームが、史上もっとも愉快な実験を実施し、最後の謎の答えを導き出したようです。すべてがそうとは言い切れませんが、イヌハッカやマタタビに遭遇したネコは、たいていが酔っぱらったような状態になり、顔を擦り付けたり転げまわったりと、愉快な振る舞いを見せてくれます。

酔いをもたらす成分は、人間にはたいてい有害ですが、イヌハッカやマタタビは、ネコの身体や神経系に害を与えません。酔ったネコの様子がおもしろいので、私たち人間はネコのおもちゃにこれらを仕込み、人工的に酔ったネコちゃんの様子を眺めて楽しみます。
ネコ科動物がイヌハッカやマタタビを先天的に好むことは、古くから知られてきました。事実、イヌハッカやマタタビへの反応は、一部は遺伝子に由来しています。
普通の人にとって、イヌハッカはペットとの楽しい遊び道具ですが、日本の研究チームはさらに深堀りして、反応の仕組みと理由とを究明しました。

2021年刊行の『Science Advances』誌上の論文で発表された実験では、研究グループは、ネコを興奮させる成分である「ネペタラクトール」をマタタビから分離して「ろ紙」に浸し、そのろ紙をネコのいる檻に置きました。

するとネコは、イヌハッカやマタタビに対するのと同様の振る舞いを見せました。とても愛くるしい仕草だったようですよ。

研究グループは、ネペタラクトールの成分がネコ科動物の脳の報酬系を直接刺激することを立証しました。
さて、ネコの小さな脳の中で起きていることを明らかにしたところで、ここからがスタートです。研究グループは、そもそもこのような反応が起こるように進化が起きたのはなぜかを調べました。愛くるしい反応ではありますが、進化の起爆剤ではないはずです。

ペットの愉快な反応を楽しむために、人間が品種改良を施したのではないかと考える人もいるかもしれません。しかし実は、イヌハッカを好むのはイエネコだけではないのです。ライオンのような大型ネコ科動物も、イヌハッカで酩酊状態になります。どうやらイヌハッカには、他にも何か利点がありそうです。
研究チームの仮説の出発点は、人間がマタタビを「蚊避け」として使うことでした。

ネコがイヌハッカやマタタビの上で転げまわることから、ネコは、ネペタラクトールを毛に擦りつけようとしているのではないかという仮説を立てたのです。つまりネコは“天国行きチケット”と同時に、蚊の防虫効果も手にすることになり、Win-Winです。

まず研究チームは、マタタビとマタタビから精製したネペタラクトールの双方を、蚊が忌避することを確認しました。その後、ネコの檻に再びネペタラクトールに浸したろ紙を置き、ネコが顔を擦りつけて、毛にネペタラクトールの成分がついたのを確かめました。
次に、ネコに蚊の大群を放つ実験をしました。この実験過程で、一番心が痛む場面です。そして、ネペタラクトールを毛に擦りつけたネコを刺す蚊が少ないことが認められました。こうして、イヌハッカとマタタビにじゃれつくと、蚊を忌避する効果があることが明確に立証されたのです。
今後もさらなる究明が必要です。反応による利益が証明されても、反応が出るようになった進化の理由とは限らないからです。

次の段階は、この反応に関連する遺伝子が、いつどのようにできたかについての研究です。研究チームが真実にたどりつくには、気の毒にも、ネコとイヌハッカについての愉快な実験を続けざるを得ないのです。
続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。
会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
スピーカーフォローや記事のブックマークなど、便利な機能がご利用いただけます。
すでに会員の方はこちらからログイン
名刺アプリ「Eight」をご利用中の方は
こちらを読み込むだけで、すぐに記事が読めます!
スマホで読み込んで
ログインまたは登録作業をスキップ
関連タグ:
この記事をブックマークすると、同じログの新着記事をマイページでお知らせします