2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
The Search for Tasmanian Tigers Continues(全1記事)
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ステファン・チン氏:2021年2月、オーストラリアの「Thylacine Awareness Group(タスマニアタイガーを探すグループ)」の会長が、タスマニアタイガー(フクロオオカミ)の動画撮影に成功したとオンライン上で発表しました。
これはなかなか冒険的な試みです。なぜなら、タスマニアタイガーの公式な目撃情報は、80年以上なかったからです。「Tasmanian Wildlife Biology(タスマニア野生生物学)」の専門家は、この動画に映っているのはおそらく「アカハラヤブワラビー」という、ワラビーによく似たかわいらしい動物だとしています。
似たような話を聞いたことがあると感じたあなたは、間違っていません。これは昔からよくある話です。タスマニアタイガーの誤認情報は、1世紀近く前から続く「伝統行事」です。タスマニアタイガーが生き残っていることを願う人がそれだけ大勢いるということで、彼らを責めることはできません。タスマニアタイガーはたいへん魅力的な生き物ですが、残念ながらその姿を見ることは永遠にかなわないからです。
1900年代初頭まで人間のすぐそばで生きていたタスマニアタイガーについては、意外にも多くの記録があり、動画記録さえ残っています。
タスマニアタイガーは、Thylacinus Cynocephalusという学名を持ち、カンガルーやコアラ、タスマニアデビルと同じ有袋類であり、他の有袋類と同様に子どもを袋に入れて育てます。
でも、かわいらしい小さなタスマニアタイガーがママのお腹から顔をのぞかせている姿を想像したあなたは、間違っています。有袋類の四肢動物の多くと同様に、タスマニアタイガーの袋は下向きです。ですから、赤ちゃんはママのおしりの下から顔をのぞかせることになります。
有袋類の中でも、タスマニアタイガーは特にユニークです。まず、体重は35キログラムにまで達し、近代まで生きた肉食の有袋類としては最大です。また、「タイガー」や「オオカミ」などと呼ばれることからわかるように、他の哺乳類の肉食動物との共通点も多く持っています。
よく知られているように、顔立ちはオオカミに酷似していました。これは、まったく異なる2つの動物種がよく似た特徴を持って進化する「収れん進化」の典型例です。
タスマニアタイガーが、オオカミのような狩りをしたどうかはわかっていません。オオカミは、獲物を追う型の狩りに適した固定された前肢を持っていますが、タスマニアタイガーの前肢は柔軟性が高く、ネコのような待ち伏せ型の狩りに適しています。しかし、爪を引っこめることはできないため、ネコほど獲物をがっちり抑え込む能力は高くなかったようです。
さらに、歯はネコに似て獲物を裂くのに適しており、オオカミに似たすり潰す働きをする臼歯はわずかでした。
こうしたことから考えると、タスマニアタイガーといった名とは異なり、独自の狩りを行っていたのかもしれません。もっぱら小型の獲物を狩っていたと考える研究者もいます。大きな獲物に噛みつけるほど顎の強度がないからです。とはいえタスマニアタイガーは、かつてはヒツジを襲うと言われていました。真偽のほどは不明ですが、この噂はタスマニアタイガーに不幸を招きました。
タスマニアタイガーがオーストラリア本土に生息していたことは、化石が出土することからわかっており、3000年ほど前に本土から姿を消しました。これは人間が、タスマニアタイガーと同じエサを競合するディンゴをオーストラリア大陸に持ち込んだせいではないかとされています。
タスマニアタイガーは、長くタスマニアに生息していましたが、ヨーロッパ人の入植者が到来した1800年代から1900年代にかけて、さらなる災厄が襲います。タスマニアタイガーは家畜を襲うとされていたため、徹底的に駆除されたのです。当局は懸賞金を掛け、ハンターが熱心に狙いました。
タスマニアタイガーの絶滅には、生息地の消滅や病気の流行など、さまざまな要因が考えられていますが、人間による乱獲が大きな原因であることは疑う余地もありません。1936年、記録に残る最後のタスマニアタイガーがホバート動物園で死にました。以降、タスマニアタイガーとされる目撃情報が多く寄せられ続けましたが、裏付けが取れたものは1つもありませんでした。こうして1986年、タスマニアタイガーは公式に絶滅が認められました。
とはいえ、目撃したとされる情報がこれほど多く寄せられることを見ると、人間は、タスマニアタイガーがどこかで生き続けていることを望んでいるのかもしれません。
過去の目撃情報やタスマニアタイガーの生息地についての研究から類推したところ、タスマニアタイガーは人間が考えているよりも長く生き延びていた可能性があります。1940年代から50年代にかけて生きていた可能性があるとする研究モデルもありますが、専門家の共通認識としては、残念ながら絶滅して久しいとされています。
それでも、タスマニアタイガーを探し求める情熱は消えず、近年になっても目撃情報は後を絶ちません。しかし、鮮明な動画や保存状態の良い死骸などの明確な証拠は皆無です。タスマニアタイガーに生きていてほしいという人間の願望は、とても強いようです。
「確証バイアス」という心理現象があります。ある物を見つけたいと思う気持ちが強いと、たとえ存在しなくても見えたような気になってしまうことを指します。言い換えれば、タスマニアタイガーを見つけたいと願う人が、それだけ大勢いるということでしょう。これは、人間の罪の意識から来る願望だと言う人もいます。生きたタスマニアタイガーが見つかれば、人間が絶滅に追いやったことにはならないからです。
もしくは、この奇妙な美しい生き物を単に自分の目で確かめたいのかもしれませんし、あるいは、ビッグフットやネス湖の怪物のような、いるはずのない未確認生物の存在を証明する情熱に取りつかれているのかもしれません。
いずれにせよ、人間が生きたタスマニアタイガーを見ることは、未来永劫ないようです。仮にタスマニアタイガーが生きていれば、その喜びを保護に向ける必要があります。絶滅していれば、タスマニアタイガーは、どんなに無念であっても、人間の行いには、生物種を絶滅に追いやってしまう危険性があることの象徴として記憶されるでしょう。
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